続かない
僕は今、どこかの科学者の誘いの元、ある研究所で検査を受けていた。
既に自分の名前も覚えていないが科学者達に新しく名前とありもしない能力に名をつけられ、それを自然と僕も使うようになっていた。
「これで検査は終了です。
どこからか聞こえてくる機械音声の言葉を聞いて僕は頭部に付けられていたヘルメットのような機械を外し、どこかで見ているであろう哀れな科学者に別れの言葉を放つ。
「うん。お疲れ様。僕は
言葉は帰ってこなかった。少しは会話をしようとか思わないのかなあの人達は。実際に僕と話しをしにくるような人間がいたら、頭がおかしいと思っちゃうけど。
退屈な検査を追え、研究所を出ると外は既に夜だった。
「今から寮まで徒歩かぁ、明日も普通に学校あるのに交通費ぐらいだしてくれてもいいと思うんだ僕は」
愚痴を言っても何も変わらないとはわかっていても言葉にしてしまう。でも思った事を口にするのは普通の事だ。しかも一度不満を覚えると今まで気にしていなかった事まで気に障るようになってくる。
「第一僕の
言葉にしてしまうと少し気が晴れるような気がしたんだ。ちょっとは気分が良くなった気がするよ。でも、これは反省しないといけないね。それで周りが見えなくなっていたら危ないからね。
「おぃ、どこ見て歩いてんだテメェ!」
道路で屯していた不良達に気づかずにぶつかってしまったようだ。
「いや、ごめんね本当に。反省してるよ。でも君も周りを見れていたらこうはならなかったと思うんだ」
「俺たちが悪いって言うのかぁ!?」
「比は僕の方にあると思うよ、だからこうして頭を下げて謝ってたんだ」
「はあ?それで済むと思ってるのか?」
うーん。彼らにも僕の反省や謝罪の気持ちは
「暴力とかはやめてくれないかな、君達も痛い目には会いたくないよね」
意思表示は大切な事だと思うんだ。この人達は僕を痛めつけないと気がすまないようだけど、正当防衛になると思うんだ。速く終わらせて明日の僕のために速く帰りたい。
「この人数差で勝てると思ってんのか?」
「いや、まさかこのガキ何かの能力者か?」
能力者かどうか警戒するあたり、どうやらこの人達は過去に高位の能力者にやられていたみたい。誰か知らないけど速く終わらせれそうだから感謝するよ。
「うん。そうだよ。ちなみにどんな能力だと思う?風力操作?電撃使い?他だとそうだね、発火能力とか?まぁ、面倒だからまず君ね」
「なんだとっ」
リーダーらしき男に指をさすと全員が身構えた。攻撃に備えているみたいだけど、無意味なんだよね。
「ぐあああぁぁ!!」
僕がさっき指をさした男が突然苦しみだしその場に倒れた。上手くいったみたいでよかった。いつもこれ緊張するんだよ。倒れた男に駆け寄っていく仲間、こういう輩にはこれで十分だ。
「今何をされたっていうんだ!これは...!」
男の体には様々な火傷の痕ができていた。見えない攻撃って怖いよね。後は少し脅せば終わりだ。
「同じような目に会いたくないならそこどいてくれないかな」
彼らは化け物を見るような目で見て道を開けた。こんな僕に完全に屈服しちゃって、不良なんかになる奴が強いわけないもんね、精神的に。
「はぁ。速く帰って寝たい」
そんな一連をある科学者が監視カメラで見ていた。学園都市の闇とされる暗部の端くれ。能力こそあったが、ただ何かを成す事もできず闇にその身を落とす事になった数ある被害者の1人。
「はぁ、なんで私がこんな事しなきゃいけないんだ」
彼は1人で愚痴をいいながら、送られてきたデータを再度読み直していた。
そのデータにはある男の情報が書かれていた。
「名前は
その身を焼かれたと思い込ませれば実際に火傷を負い、極端なものだと死ぬと思い込ませられれば相手を殺してしまう事もできる力、強力ですが対策は非常に簡単なようで。なるほど、その能力の性質上『木原』とは相性が悪いため私のような者に押し付けられた、という事ですか。」
嫌なものを押し付けてきたなと心の底から上層部を恨みながら、科学者として仕事はやろうと思った。
「
能力の元ネタとか案外わかったりするのかな