~IS~好きな機体で駆け抜けろ   作:豆紳士

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第三十四話

ーsideセシリアー

 

 

 

時は至れり(タイム・イズ・ライト)ですわ!

 

 

 

私セシリア・オルコットは遂に決戦の時が来ましたわ!愛しの一夏さんと一線を越える時が!この日の為にいろいろと準備をして覚悟も決めましたの!シャルロットさんには先を越されたようですが・・・まぁいいでしょう。最後に勝つのは私です!まさか学校行事の最中にお誘いとは・・・一夏さんも大胆ですわね。いざ!決戦の場へ!

 

 

 

・・・なんて意気揚々と一夏さんの部屋に向かったのに―――

 

 

 

「どうだ?セシリア」

 

「ちょっと痛いですけど気持ちいいですわ・・・」

 

 

 

まさかマッサージだったとは思いませんでしたわ・・・ここまで見事な空振りをするとは無念です。まぁでも一夏さんにマッサージしてもらっているならいいでしょう。部屋には織斑先生もいらっしゃいますし・・・目論見がバレてしまいましたが大丈夫・・・でしょうか?

 

 

 

「一夏、もうマッサージはいいだろう。おい、聞き耳を立てているそこの四人。入ってこい」

 

「え?」

 

 

 

織斑先生が言うと襖が開き箒さん、鈴さん、シャルロットさん、ラウラさんが入ってきましたわ。い、いつの間に!?

 

 

 

「好きなところに座れ。一夏はマッサージで汗かいたろ。もう一度風呂に行って来い」

 

「そうするよ。それじゃ寛いでくれ」

 

 

 

一夏さんは部屋を出てしまいましたわ・・・上手く行きませんわね・・・

 

 

 

ーside千冬ー

 

 

 

一夏を部屋から追い出し小娘達に飲料を出す。なんか黙り込んでいるが緊張でもしているのか?

 

 

 

「どうした?いつものバカ騒ぎは」

 

「いえ、その・・・」

 

「織斑先生と話すのは・・・」

 

「初めてでして・・・」

 

 

 

やれやれ私はそんなに怖いか?

 

 

 

「まぁ飲め。こっちもやりずらい」

 

「「「「「いただきます・・・・」」」」」

 

 

 

渡したものを口にしたな。よし、こっちもアレを出すか。隠していた缶ビールを取り出し飲む。うん、旨い。

 

 

 

「い、いいんですか?仕事中では・・・」

 

「固い事は言うな。それに口止め料はもう払ったぞ?」

 

 

 

折角温泉もあるんだ。普段の苦労を少しでも和らげるには酒でも飲まなきゃな。少しは緊張も解れたようだし話でもするか。

 

 

 

「さて、前座はこのくらいにして肝心の話をするか」

 

「話?」

 

「お前らあいつらのどこがいいんだ?」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

 

 

小娘達の顔が一斉に赤くなった。やはり意識していたか。

 

 

 

「私は別に・・・以前より腕が落ちている事が腹立たしいだけですので・・・」

 

「あたしは腐れ縁だけだし・・・」

 

「私はクラスの代表としてしっかりして欲しいだけですわ」

 

 

 

篠ノ之、凰、オルコットは曖昧な返答だな。

 

 

 

「ほう・・・そうか。では一夏に伝えておこう」

 

「「「言わなくていいです!!」」」

 

 

 

まったく・・・素直じゃないな。

 

 

 

「デュノアはどうだ?」

 

「えっと・・・僕は優しいところです」

 

 

 

無難な答えだな。しかしなぁ・・・

 

 

 

「あいつは誰にでも優しいぞ?」

 

「そうですね・・・そこが悔しいですね・・・」

 

「ラウラはどうだ?」

 

「私は一夏の強いところに惹かれました」

 

「強い?そうか?」

 

「はい、強いです。少なくても私より・・・」

 

 

 

ラウラがここまで褒めるとは意外だったな・・・まぁなんであれ一夏は学園で上手くやっているようでよかった・・・酒のせいか気分がいい。

 

 

 

「ハッ!ハッ!ハッ!そうか!まぁ強いかは別としてあいつは家事も料理も中々だ。付き合える女は得だな。どうだ、欲しいか?」

 

「「「「「くれるんですかっ!?」」」」」

 

「やらん」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

「そう簡単に渡せる程安くはないぞ?自分を磨けガキ共」

 

「「「「「はい・・・」」」」」

 

 

 

こいつらはまだ子供だ。今はいいが心変わりするかもしれない。一夏の伴侶となるのはこの中の誰かか或いはまったく別の奴か・・・今は分からんか。

 

 

 

「ところでもう一人の方はどうなんだ?これだけ上玉が揃っていて誰かアイツの事をいいと思っているのは居ないのか?」

 

「えっと・・・」

 

「その・・・」

 

「ん~・・・」

 

「あ~・・・」

 

「・・・」

 

 

 

ん?一夏の時とは違いなんか反応が薄いな。全員が沈黙している・・・何故だ?

 

 

 

「その、なんて言うかアイツの事はよく分からないんです」

 

「分からない?どうゆうことだ?篠ノ之」

 

「アイツは自分の事をあまり話したりしないんです。昼食や放課後の訓練でたまたま一緒になっても基本黙っている事が多くて。こっちから話せば応じますけど・・・」

 

「そうなのか?」

 

 

 

私も忙しいから構ってはいられないが授業中はよく質問していたし分からない事は職員室まで来て私や摩耶に聞く程で積極的な奴だと思っていたが・・・

 

 

 

「それに休日はいつも居ません。一夏から聞いた話だと所属している会社の方に行っているとかで・・・」

 

「あー、あたしも聞いたわそれ」

 

 

 

凰も話に入って来た。

 

 

 

「一夏が休日に遊びに誘っているけどアイツはなんだかんだ言って断っているらしいわ。よく一夏から聞くけど誘われないこっちとしては羨ましいとは思うわね。男同士だからかしら?今日だって一緒に海で遊ぼうって誘ったのに来なかったって。基本休日は居ないし平日だって授業出て放課後にアリーナかシュミレーター室で訓練してるか自室に籠っているって・・・あ、この前誰かとカフェに居たってのは聞いたわね・・・それ以外だと誰かと一緒に居ることなんてないっぽいわ」

 

 

 

ふむ、凰の話を聞く限りではアイツは人付き合いが盛んではないようだな。

 

 

 

「私も放課後にアリーナで時間が被る事がありますが彼は操縦も射撃も中々上手ですわ。時々アドバイスを送る事もありますが真面目に聞いてくれますし機体や企業の事は機密でないものは教えてくれます。でも・・・プライベートな部分は余り話してはくれませんね」

 

 

 

オルコットもアイツ自身の事は聞いてないのか。

 

 

 

「僕は彼とは接点があまりなくて・・・その、普段無口で大人しい人だなって思うくらいで・・・でも、彼は戦う時は別人のような気がするような・・・自分でもよく分からなくて・・・」

 

 

 

デュノアは歯切れが悪いな。アイツはそんなに取っ付き難い奴なのか?

 

 

 

「秋月はパイロットとしてはかなりの強者です。今までの試合の結果がそれを証明しています。ですが何故か奴の悪い噂ばかりを耳にします。"卑怯者"と言う輩ばかりですが私はそうは思えません。口数が少ないが故にそこまで交流がなく奴のことが分からないのは同じではあります」

 

 

 

ラウラはハッキリと言うな。確かにアイツの悪い噂はよく聞くがどれも根拠がないものばかりだ。言い掛かりと言っていいレベルのものばかりだがアイツ自身から相談はなく実害も出ていないようだから此方から深入りする事はない。噂なんて下らないものだ。私も第二回モンド・グロッソの決勝戦を棄権した時にやれ"八百長があったのでは?"とか"妊娠していたのでは?"だの様々な噂が出たものだ。思い出すと腹が立つが事情が事情なだけに明かせないからなぁ・・・まったく。

 

 

 

話をまとめると秋月はあまり他人とは接点を持たないようだな。恋愛対象どころか友人として付き合うのも難しいという事か。IS学園に来る前のアイツの事はある程度聞いているが昔から周囲との関係は希薄で友人も居らず常に孤立していたようだ。学園に来ても変わらずか・・・まぁ人間そう変われないな。

 

 

 

秋月は悪い奴ではない。授業だって真面目に受けているし座学や実技の成績も上の方だ。トラブルの時でも冷静に対処している。正直に言うと一夏より出来はいいがアイツはどうも"楽な方へ逃げる"癖があるようにしか思えん。クラス代表を巡った時には一夏はハンデはなしでいいと言っていたがアイツは普通に要求していたな。それでは示しが付かないし可能性を潰すかもしれないからハンデをなしにするようにしたが結果的にアイツはオルコットと一夏に勝利している。実力があるのにハンデとはけしからんな。仮に負けても死ぬ訳でもないのにアイツは・・・この間は一夏達が教室で騒いだ時も止めずにただ傍観しているだけだったしな。今からでも矯正しておこないとアイツのためにもならん。それに今年の一年は専用機持ちが多く曲者ばかりだ。その中でも比較的に大人しく話が出来るアイツに抑えてもらわないとな・・・

 

 

 

「そうか、アイツは今のところ貰い手なしか」

 

「あの、織斑先生にこんな事を言うのもなんですけど・・・」

 

「なんだ凰?」

 

「アイツって一夏の事を嫌っているんじゃないかなって・・・」

 

「なに?どうゆうことだ鈴?」

 

「なんか一夏を避けてるような感じがするのよね。態度がそっけないし一夏とは最低限の会話で切り上げようとしてる感じがしてさ・・・箒だってそう思わない?」

 

「うむ・・・確かに・・・」

 

「一夏さんを嫌っているかは分かりませんが何となく秋月さんのその感じは分かりますわ」

 

「セシリアも?」

 

「その、彼は私の知っている男性に似ているところがありまして・・・その方はいつもなにかに怯えていてパートナーである女性の顔色を常に伺っていて・・・とにかく彼も出来るだけ感情を抑え常に仮面を付けているみたいな・・・自分自身を他人に見せないように隠しているような感じがありますわ」

 

「ほう・・・」

 

「一夏さんは"守るために強くなりたい"という目標がありそれが努力する理由になっていますが彼にはそれを感じませんでした。なにを目標にしてあれ程戦えるのかが分からなくて以前"何を望み求めているか"と聞いたら"自分も何を望んでいるのか知りたい"みたいな事をおっしゃていました。その時に彼の心の中が見えた気がしますがそれ以降は特になにもなくて・・・」

 

「ふむ・・・」

 

 

 

女同士の話でもしようと思っていたが・・・なんだが重い話になってしまったな。聞いていて面白くないし酔いも少し覚めてしまったな。秋月が一夏を嫌っているならそれは少しまずいなぁ。一夏にとって同じ"ISを動かせる男"はアイツしかいない。精神的な余裕を持つ為でもあり互いに競い高め合う者が成長には不可欠で年も近く同性のアイツが適任なんだがなぁ・・・

 

 

 

クラス対抗戦で乱入して来たあの無人機はISだった。残骸を回収した時に未登録のコアも発見されている。あんな物を用意しあんな真似をするのは()くらいだろう。一体なにを考えているのか?・・・だからこそ一夏には強くなって欲しい。人を惹きつける一夏が中心になって()の企みを跳ね返せる程に。そのためには秋月との交流は不可欠だ。一夏にはないものをアイツは持っているだろうからな。一度話し合って見る必要があるが忙しくてなかなか時間が取れるものではない。どうするかな・・・考えがまとまらん。・・・一夏はまだ戻ってこないし話題を変えるか。

 

 

 

「話は変わるが誰か一夏のマッサージに興味はないか?」

 

「「「「「ッ!」」」」」

 

「勿論オルコット以外でだ」

 

「そんな~」

 

「当たり前だ!」

 

「そうよ!抜け駆けしようとして!」

 

「僕が受けてもいいですか?」

 

「ダメだ!嫁からのマッサージ権は旦那のものだ!」

 

 

 

急に騒ぎ出したな。まぁ葬式や通夜みたいに静まり返っているよりマシか・・・

 

 

 

ーside勝輝ー

 

 

 

少しの明かりでマニュアルを読み返していたら夜が更けていた。時計を見た時に時刻は零時を過ぎていて既に同室の山田先生は爆睡している。流石に俺も寝るか。明日は追加装備テストが始まるからようやくここに来た目的を果たせる。それにしても今日は穏やかなでいい日だった。いつもこうならいいが・・・まぁ無理か。

 

 

 

明かりを消し自分の布団に入る。あ、そう言えばアメリカが新型の軍事用ISをハワイでテストしているのを出発前にモルゲンレーテ社で聞いたなぁ。今頃思い出した・・・まぁ、こことは関係ないだろう。日本とハワイはかなりの距離があるから別に気にする事はないか。目を閉じ眠りに入る。明日は忙しくなるなぁ・・・

 

 

 




誰視点から他のキャラのセリフを書くって難しい・・・
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