Fallout76 -once in a blue archive-   作:egguimen

28 / 40

もう大晦日ですね。
本作の投稿をはじめたのが今年5月という事で…あっと言う間でした。
半年以上も費やしてきましたが、いよいよ対策委員会編も終幕が近づいてまいりました。


それでは本編をお楽しみください。


End of the director's empire

 

 

 

戦場に駆けつけ手痛い一斉射撃を浴びせたベルチバードの大編隊。

先頭の一気にはシャーレの教師達が搭乗しており、彼は嘗てない程殺気立っていた。

 

 

 

「ケーブル引き摺りだして首に巻いてやる!」

 

「錆バケツ頭の腐れ外道め絶対にぶちのめしてやる!」

 

「この世に原子も残さんぞ…!」

 

ペスコフは攻撃の後ベルチバードを自動操縦に切り替え、彼らと相対した。

怒り一色に染まった機内でも彼は統率者として彼らを纏めていた。

 

「諸君!我らは今、我らの唯一無二の友であるターキンをこの地で失いかけた。」

「あの日を知る我らに…これがどれほど屈辱的で恨めしい事か、痛いほど理解できよう……!」

 

故郷でターキンが死んだ時の途方もない悔しさが呼び起されたペスコフは拳を堅く握りしめた。

 

「彼は……カイザーPMCと呼ばれる戦前の企業が起こしてきた数々の非道の限りにも並ぶどこまでも貪欲で傲慢な不届き千万の外道の衆にその命を狙われた!!」

「俺達はまた、を喪いかけたッ!!」

「俺達に残された道はただ一つ!」

復讐(Vengence)だ!」ドンッ

 

 

『おおおおおおおおおっ!!!!』

 

 

漢達は彼に歓声の雄叫びを上げ呼応した。

 

 

ゴゴゴゴゴゴ……

 

 

ペスコフはデッキの脇にある赤いボタンを力強く叩くと、後部のカーゴランプが開いた。

そして仲間達に号令を下した。

 

「敵に一切の情けをかけるなっ!」

「奴らが視界に入った瞬間、片っ端からぶち殺せ。」

()()()()!」

見敵必殺(サーチアンドデストロイ)だ!!」

 

 

 

 

 

指令を受けた教師達はラぺリングを用いて迅速に地上に降下した。

 

 

 

…グーンズを除いて、T-60に乗っている彼は普通に飛び降りた。

 

 

 

 

ターキンは舞い上がった砂埃の奥から彼らの影を見た。

 

「待たせたな、ターキン。」

 

「会いたかったぜぇ、相棒!」

 

「ベルチバードが間に合って良かった。」

 

「久しいな、ブラザー。」

「本当にまた会えてよかったよ……。」

 

友人達と再び戦場で再会できたことに彼は胸の中で感情が込み上がっていた。

 

「ああ、グーンズ……その厳ついヘルメットの音声が恋しくなるとは思わなかった。」

 

皮肉交じりの言葉にグーンズは緊張の糸が少し緩み笑顔で応えた。

 

「はははっ、一時はどうなるかと思ったが元気そうじゃないか!」

 

「レーザーで焼き殺されそうになったがな。」

 

「あっ……。」

 

ターキンの一言がワカモの脳内であの出来事をフラッシュバックせた。

あの絶望の瞬間を。

 

「…………。」(無言のハイライト消失)

 

「ワカモっ!?おいしっかりしろ!」

 

「「「「野郎ぶっ殺してやる!!!!」」」」

 

友人を酷い目に遭わせた上、生徒にえげつないトラウマ植え付けやがってと教師達の怒りが核爆発を起こしていた。(n回目)

殺意を剥き出しに、猪突猛進外道撲滅の勢いで敵の軍勢へ突撃した。

 

 

「!!」ピタッ

 

ペスコフを除いて。

直ぐに冷静さを取り戻した彼は直ぐに突撃の足を止め、ワカモの方へ歩み寄った。

 

「ワカモと言ったか……。」

 

「……っ!?」ビクッ

 

ペスコフの呼びかけにはっと我に返ったワカモは体を跳ねながら彼と向き合った。

 

「君には礼を言っておかなければならないな。」

 

「礼……ですか?」

 

「ありがとう、我々が街を死守してる間……彼の傍にいてくれて。」

「君がいてくれたから、彼はここまで踏ん張る事ができたのだろう。」

「なぁ?友よ。」

 

「ああ、彼女がいなかったら……俺は今頃燃えカスになってたと思う。」

 

ターキンもフォローを入れるが、彼女の表情は依然重たい物を抱えたままだった。

 

「……。」

「そんな…私には勿体ないお言葉ですわ…。」

「寧ろ、私はあなた方に謝るべきとすら……。」

 

「ワカモ…。」

 

「私があの時動けて入れば…!」

「動けて入れば………!!」

「あなた様があんな目に遭うことは……!」

 

ワカモは恐怖で足を竦めたあの時を悔やんで唇を噛み締めていた。

 

「……。」

 

あの時、あの瞬間に立ち会った者なら誰でも彼女の様に凍り付いていただろう。

それほどまであのタイタンと呼ばれる兵器は邪悪で凶悪な存在だった。

誰が彼女を責める事ができようか?

それでも彼女は……あの時の自分を許せずにいた。

愛する人を、見殺しにしたと。

 

 

その様子にいたたまれなくなったペスコフは彼女に言った。

 

 

「狐坂ワカモ。」

「自分に自負を抱くことはあれど、あまり買い被らないことだ。」

 

「……?」

 

「確かに君には()()()()という異名で恐れられるほどの実力を持っているようだが…。」

「とはいえまだ一人の子供、我々が守るべき存在であることを忘れるな。」

 

「!!」

 

ペスコフは威厳を持って、それでいて優しく諭した。

 

「怖い物を見て足が竦みその場から動けなくなろうと、君がまだ未熟だっただけの事。」

「なら君は子供として、これから成長していけばいい。」

「だがその悔しさは忘れるな。」

「その気持ちを糧にしろ、そうすれば君はもっと強くなれる。」

「君の()()()を守ってやれるくらいにはな。」チラッ

 

「おいおい……知ってたのか。」

 

ターキンは事情を友人に把握されていた事をしり気恥ずかしそうに頬を掻いた。

 

「ふふっ、まあな……。」

「さて、つまらん説教は以上だ!」

「改めて、本当によく頑張ったな……ワカモ。」

 

「はい、ありがとうございます……ペスコフ先生。」

 

ワカモは彼に頭を下げるとこちらに振り向いて言った。

 

「このワカモ、愛するあなた様の為にもっと精進いたします!」

 

「ングゥッ!?////」

 

心臓が止まるかと思った。

 

ダイレクトに好意を向けられると弱いターキンであった。

 

「いい心掛けだな……。」

 

ペスコフは最後、ワカモに称賛の言葉をを送るとターキンを一瞥しこう言った。

 

「まあ先の生徒を守るという話じゃ、ターキンはよくやった。」

「察するに、あの時オズワルドがピップボーイで見たあいつの重傷は君を庇っての事だろう。」

 

「ええ、その通りです。」

「あの瞬間に見た先生の安らかな瞳…。」

「以前私がオートマタに囲まれたところを助けられた時と同じ目をしていました……。」

「あぁ、あの時のあなた様と言ったらもう…♡」

 

最早先の陰鬱とした表情は影も形もなかった。

それでいいと言われればいいに決まっているのだが…

 

「う、うむ…。」

(まあ生徒が元気そうなら…何よりだ……。)

「はぁ、いつもの事ながら、お前の性根の良さは呆れるほどだな。」

「まあそれが良いところだというのは言わずもがなか……。」

 

と、辟易したような息を吐きながら彼を誉めた。

 

「ん?おかしいな、普段は体を張りすぎだとか言って叱責するだろ。」

「熱でもあるのか?」

 

「どっかのバカが殺されかけたせいでカンカンだとも…だがそれ以前にそうせざるを得ない状況まで追い込んだ敵への怒りで腸が煮えくり返りそうでそれどころではない。」

「今の話を聞いて俄然火がついた。憂さ晴らしに小隊をいくつか壊滅させてやる。」チャッ

 

そういってペスコフもサービルライフルを手に血祭に加勢しに向かった。

 

「先生。」

 

「どうした?」

 

「あなた様の友人は、本当に頼もしい方達ですね…。」

 

「ああ、Vaultを出た時からずっとな……。」

「と言ってもワカモには話してなかったか、私の故郷については……。」

 

「ご心配なく、以前シャーレに忍び込んだ時にお伺いしましたから。」

 

「そ、そうなのか?」

(ちょっと待て忍び込んだと!?)

 

「ええ、色んなお話を聞かせて貰いました。」

 

「……なるほど?」

 

「子供の頃はよくVaultの居住室の段差で転んで泣いてたとか」

 

「そんなことまでっ!?」

「あいつらぁ、生徒に恥ずかしいことを平気でぇ~!」カァ…////

「どうせならもっとカッコいい事話してくれればいいのに……。」ボソッ

 

先生だって生徒にはいいところを見せたいものである。

そのせいで死にかけては元も子もないが……。

 

「あらあら、あなた様は今でも十分()()()()()ですよ♡」

 

「そ、そうか……?」

 

「はい…♡」

「それにあなた様の子供っぽいところも普段とのギャップがあってかわいらしくて私の母性本能が疼いてたまりません<早口>」

 

「ふぁっ!?!?!?!?」カァ……////

 

そして真っ赤になったターキンは考えるのをやめた。

 

 

 

 

「……。」

 

「……。」

 

少しの沈黙の後、先程までにこやかだった彼女表情に再び影が差した。

俺が心配そうに見つめていると、彼女はその重く閉ざした口を開いた。

 

「その……。」

「先生のご両親の事も……お聞きしました。」

「まだ若かったあなた様を守るために…命を賭して戦ったと……。」

 

「……そうか、そんなことまで…。」

 

「はい……。」

 

「………………。」

「…私は両親を愛してる。今もこれからもずっと。」

 

そう呟くと、懐から一枚のフィルムに収められた写真を取り出した。

彼の家族写真だ。

 

今抱えている傷はなく、純真無垢で幼かった彼。

そんな彼を愛しそうに見つめる二人の男女が映っている。

 

「レスポンダーは皆のヒーローだが……。」

「私のヒーローはいつだって…父さんと母さんだった。」

「いつも傍に居てくれて、私が困ったときは必ず助けてくれた。」

「何より私に命の尊さと、()()()()()を教えてくれた。」

「その知識は今でも宝だよ。」

「それに算数とキャッチボールのやり方も教えて貰った。」

「ははは…」

 

些細なジョークを挟みながら、俺は両親について語った。

 

「……。」

「二人は俺のヒーローで、唯一無二の()()だったんだ……。」

 

「先生の…先生………。」

 

「ああ。」

 

スーパーミュータントの集団に囲まれて絶体絶命の時も…

スコーチに足を吹っ飛ばされても…

ブラッドイーグル達の退屈しのぎで囚われた入植者を握られたナイフで殺せと脅されても…

闘技場で無意味な殺し合いを強いられても……

放射能に侵されグールになりかけても…

核爆発が起きてすべてが無茶苦茶になっても……

どんな過酷な状況にいても、記憶の中の両親が思い出させた。

 

 

人としてどうあるべきか……

 

 

「憧れだった二人の愛に報いる為にも、私は君達を守るし何があっても助ける。」

「私は君達の先生だから…。」

 

ワカモは改めて、ターキンという大人がどういう存在なのかをその胸に深く刻み込んだ。

揺らめく炎を更に昂らせながら。

 

「さて、私もそろそろ行かないとな……ホシノ達が待ってる。」

「その前に、んーっ…!」

 

ターキンは軽く伸びをして緊張を解すとワカモを目線を合わせるようにしゃがみこんだ。

そしてヘルメットを脱ぎ、彼女の顔をじっと見つめた。

その時の表情は、どことなく写真に写る両親と重なって見えた。

 

「あ、あなた様……どうなされましたか?」

「ワカモの顔になにか……。」

 

「いいや?ちゃんとかわいらしい素敵な顔だよ。」

 

数十メートル先では<伝説級の激昂したレジデント★★★>達が縦横無尽に戦場を駆ずりまわってオートマトンをズタズタに引き裂き、爆殺し、皆殺しにしている地獄絵図が繰り広げられている。

それにもかかわず二人の間には何故だか和やかな空気が流れていた。

 

「君の愛にも…いつかちゃんと応えてやらないとな。」

「………。」

 

チュッ

 

再び無言でじっと見つめていたかと思えば彼は教え子の頬に優しく口づけをした。

 

~~~~~~~――――――ッ!!!???////

 

想い人からの思いもよらない突飛な行動に困惑しつつ、彼女は顔をみるみる赤く染め上げ頭から湯気が立ち上らせていた。

 

「…………きゅう。」フラッ

 

「……。」ぽすっ

 

結果、ワカモの思考回路はフリーズ。

そのまま失神し、ターキンは倒れる彼女を受け止めた。

少女の綺麗な顔を砂で汚しては忍びない。

 

「ふう、これでよし……。」

「お~い!」

 

「はい、お呼びですか。」

 

「彼女を安全なところに運んでやってくれ。」

 

彼はちょうどいい時に助けにやってくることに定評のある「通りすがりのプロテクトロン」を呼び出した。

作者はこのどちゃくそに都合のいい存在を本作の準レギュラーにしようと画策している。

 

そうこの展開はデウス・エクス・マキナこと()()調()()であるッ!!!

 

 

「了解しました。」

 

ガション……ガション……ガション……

 

 

「これ以上彼女に無理させるわけにはいかないしな。」

「しかしまさかほっぺにチューがああもうまくいくとは思わなかったな。」

「でも…本当に、あの子の気持ちには真剣に向き合わないと…。」

 

 

ターキンはあの時*1からずっと彼女とどう接していくべきか悩んでいた。これまでは、アビドスでなんやかんやとあったため特に音沙汰がなかったが、そのなんやかんやにも終わりが近づきつつある今、改めて彼女との関係に頭を悩ませた。

 

生徒と先生の関係…どんな支障が来すかも未知数だ。

それに、出来れば……彼女には俺の傍に居て欲しくはない。

俺が背負うモノに、彼女が巻き込まれでもしたら……俺はもう正気じゃ要られなくなる。

愛する人の手が冷たくなるのは……もう嫌だ。

 

 

「………………。」

 

 

「っていうか……」

「滅茶苦茶恥ずかしかった~……////」

 

ターキンはロマンスに関してはまるでウブだった。

ともかくこうしてワカモは怪我なく退場、ターキンは心置きなく敵に床ペロならぬ砂ペロをさせることに集中できるようになったのである。

 

「よーし、後はあいつらをぶちのめしてホシノ達を救出するだけだ。」

「やってやるぜ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

Our empire is immortal!

 

FOR KAISER!! FOR OSCAR!!

 

Our revenge will be fulfilled tonight!

 

TEACHER SCUM DETECTED>>>KIA PROTOCOL...ACTIVATED

 

Serve the KAISER!!

 

 

 

「 ア ホ 死 ね 」(迫真)

 

 

ガッシャーーーーーーーーーーンッ!!

 

 

耳障りな機械言語をガン無視して斧を薙ぎ払い5体を纏めてバラバラに粉砕していく。

レジェンダリーPERKの効果でその一撃は通常の10倍も素早く、重く、研ぎ澄まされ、精確で、なにより致命的(クリティカル)だった。

 

 

「おおターキン、やっと来たか!」

 

デバステーターの頭部を踏みつけながらグーンズは彼の参戦を歓迎した。

周囲にも仲間達の姿があり……。

 

「お前らタンブルウィード*2より目障りなんだよぉ!!」バキューンッ!!

 

エドワードはビッグアイアンの一撃で戦車の装甲を貫き弾薬庫を爆破すると、銃をくるっと回した。

 

 

 

「死に腐れ錆野郎、さすれば子供達は救われん。」ジャキンッ!!

 

バシュッ!バシュッ!バシュッ!

 

オズワルドは元レイダーである事を思い起こさせる暴言と神父らしい高尚な語彙が混在することで独特な字面になっている台詞を放ち、サーキットブレーカー2丁で某イスカリオテ所属の再生者(リジェレネーター)の様に十字を作ると、そのまま生徒を冒涜した鉄の化物達に向けて神罰を代行するが如く光線を無数に放った。

 

 

 

「そーれそーれどうしたその程度かぁ!?」

「貴様ら程度の有象無象ではこのペスコフ将軍は止められんぞぉ!!」

 

 

市街地で披露したヒナとのコンビ技の影響で愛銃を使えなくなっているものの…そこは軍人兼エンジニア、なんのそのとアサルトライフル一丁で軍勢と互角に渡り合っていた。いやもうその時点で普通の軍人の域を超えているのだが…これこそアパラチアのレジデントクオリティであった。

 

「ははは、やっぱり死んでも変わらねえな…。」

 

ターキンは仲間達の相変わらずの戦闘狂っぷりに毒気を抜かれるも、その狂気じみた勇姿に背中を押され、揺るぎない決意を拳に固め、夜空を見上げた。

 

 

「アビドスの夜明けは近い…。」

「行くぞぉ!野郎共おおおおおおおおお!!」

 

 

「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」

 

 

さて、それでは彼らの歓声をバックに現在の戦況を整理していこう。

VBX-02ベルチボットは現在カイザー陣営の戦車やヘリ部隊をガトリングレーザー・プラズマ等のハイテク兵器や4門のマルチミサイルポッド、GAU-8 30㎜機関砲等の重武装を用いて猛襲。

 

更に最初の掃討射撃にてペスコフが操縦していた先頭のベルチバードが装備していた電磁パルス弾頭を搭載したミサイルを発射、それにより現在タイタンが機能を停止中である。

当機体はペスコフ達を降ろした後、オート・オペレーター・サブルーチン(つまりベルチボットと同じ自動操縦機能)にて他のベルチボットと共に作戦を遂行中。

 

現在の最優先目標は要塞への再突入。

そのため正門を塞いでいるタイタンの撃破が急務となっているのであった。

 

 

「雑魚はベルチボット達が粗方間引いた、後はベルチボット達に任せよう。」

 

「ラジャー。これより敵戦術兵器の無力化及び要塞正門の確保に動く。」

「教師各員は直ちに合流されたし。」

 

『了解。』

 

 

 

 

 

「………だ…」

「なん………だ……」

「なんなんだ………ッ!」

「あいつらは一体!」

「なんなんだーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

 

カイザーPMC理事はタイタンのコックピットの中で己の困惑をひたすらに喚き、絶叫した。

 

「有り得ない…!」

 

有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイアリエナイ

 

「アり得ナいぃ井いぃイいぃ胃ぃぃいい異いぃぃいいい!!!!!!!!!」

 

頭部にノイズを走らせながら狂ったようにモニター越しの現実を否定した。

 

「そんな馬鹿なっ!!」

「殺した筈だ!!確実に、あのタイタンで!あの一撃で!我がカイザーコーポレーション系列企業、カイザーPMC理事であるこの私の手で!!」

「確実に葬った筈だ!!」

「なのに………なのにぃ………!!!」

「おのれシャーレぇ…おのれぇ…ゴッドフレイッ!!!」

 

 

 

ゴッドフレイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!

 

 

 

 

 

機能が復旧したタイタンが彼の名を叫ぶと強風が吹き荒れ砂埃が周囲を舞い上がった。

そのおどろおどろしい形相に教員は驚くどころか懐かしささえ感じていた。

彼らはただ、怒りのままにマスクの下で敵を睨んでいた。

必殺をその胸に刻みながら。

 

「お前が俺のファミリーネームを呼ぶんじゃねぇ…」

「ゴッドフレイの名が穢れるだろうが!」

 

「あの野郎、だいぶ頭にキテるみたいだな。」

 

「頭ァキテんのはこっちだってのによぉ……ダチに気安く吠えてんじゃあねぇよ企業の犬が。」

 

「貴様は斬首(クビ)だカイザー。文字通りな。」

 

 

敵が向けた殺意に、それを上回る殺意で彼らは呼応した。

 

 

ギュィィィィィ……!!

 

 

「死ぃねええええええええええ!!!」

 

 

 

ドルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!!!

 

 

 

タイタンは両腕のGSh-6-30ガトリング砲の砲身を回転させると教師達に向け弾丸の豪雨を降り注いだ。

 

 

「全員俺の後ろに!!」ザッ

 

 

ガガッガガガガガガガガガガガンッ!!

 

「ぐうううあづいいいいいい!!」

 

「グーンズ!」

 

「神秘が体を蝕んでる、このままじゃヤバいぞ!」

 

教師達はグーンズが繰るT-60の背中を頼りに鋼鉄の体を盾に敵の攻撃を凌いだ。

ブラックチタンとタングステンの強化複合装甲と衝撃補正機能が敵の30×165㎜弾を凌駕した。

しかし流れ込む神秘は着実にグーンズの身を焦がしており……

 

「ぐあああああ!!」

「アド・ヴィクトリアーーーーーーム!!」

 

彼はこの苦痛を耐え抜くべく、魂から叫んだ。

 

「……はぁ……はぁ……ッ!!」

 

グーンズは耐え抜いた、耐え難き苦痛を…友の為、守るべき信念を貫くために耐え切った。

 

「グーンズ!」

 

エドワードはすぐさま彼に駆け寄るが……

 

ジューッ

 

「あづっ!?」バッ

 

神秘が降り注がれたアーマーは凄まじい熱を帯びており、手袋越しでもその熱が伝わってきた。

 

「俺がやる、下がってろ。」

 

ジューーッ!

 

「これくらい…ベルチング・ベティに潜った時と比べたらぬるま湯も同然!」バッ

 

赤みを帯びる程熱されたヘルメットを外してやると、ぜえぜえと息を荒げるグーンズが顔を覗かせていた。

 

「今スティムパック打ってやるからな。よく頑張った。」プスッ

 

「うっ……ああ、ありがとうターキン助かった。」

「だが大したことはない…。」

「レーザーに焼かれて生き延びた奴が目の前にいるんだからな。」

 

「ははは、しかも生身だからな。」

 

「お前キヴォトスに来てから余計にしぶとくなってないか?」

 

「生徒の為なら火の中水の中超高出力レーザーの中ってね。」

 

「俺らにゃ笑えねージョークだぜ全く…。」

 

エドワードが冷や汗をかく横でペスコフはオズワルドに目を向けた。

 

「オズ、我々もアーマーを着た方が良さそうだ。」

 

「それがいい、あんなもん喰らったら一溜りもないしな。」

 

 

ガシャンッ……ピピッ

 

 

シャキーンッ!

 

ペスコフはX-01、オズワルドはT-65に搭乗した。

二人の間にヘルメットを被りなおしたグーンズも加わりかなりその出で立ちはかなり様になっていた。

差し詰め、パワーアーマー三銃士といった所だろう。

 

「ターキン、お前は俺とダラスに乗れ。」

 

「ガッテン承知の助!」

 

「しょーち、のすけ??」

「おい、どこでそんな言葉覚えてきたんだ。」

 

「キヴォトスのバラエティ番組。」

 

「ほーん、後でおすすめ教えてくれよ。」

 

「うん。」

 

 

ブロロロロロ………

 

 

 

二人がバイクでタイタンから距離を取った先にある砂丘でオートマトンを数体轢き殺しながら走行していると、PA組から無線が入った。

 

『こちらペスコフ。』

『エドワード、ターキン聞こえるか?』

 

「こちらエドワード。しっかり聞こえてる。」

 

「こちらターキン。こっちも聞こえてるよ、どうぞ。」

 

《font:279》『了解。我々PA部隊はタイタンと正面から衝突する。』

 

《font:279》『お前たちは俺達が交戦してる間に中の理事を引き摺りだすチャンスを狙え。』

 

『くれぐれも無茶はするなよ。』

 

「本音は?」

 

『何が何でもあのビチグソ野郎を仕留めろッ!』

 

「オッケー。」

 

 

 

通信を終えるとPA部隊は重武装でタイタンへの反撃を開始した。

 

「散開!」ダッ

 

ペスコフの号令と同時に彼らは3方向に別れ突撃した。

 

「久々のデカブツ…血が滾るぜぇ!!」

 

キュイーーー…!

 

 

ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!

 

 

 

右側から回り込んだオズワルドはタイタンの片腕をガウスミニガンで攻撃。

 

 

「むぅっ…小癪なぁ!!」

 

 

ゴオオオッ!!

 

 

「ぐおっ!?」

 

ブシュゥウウウウウッ!!

 

タイタンはコバエを払いのけるように腕を払うが、オズワルドはジェットパックを噴射してこれを回避し危機を脱した。

 

 

 

 

「報復攻撃だ、ありがたく受け取るがいいッ!!」

ペスコフはタイタンに真正面からミニガンで襲い掛かった。

 

 

ギュイーー…

 

 

バババババババババババババババババババババッ!!

 

 

ドオオオオオオオオオオオンッ!!

 

 

銃身を切り詰め回転数を上げ軽量に改造されたミニガンには特別な塗装が施されていた。

 

 

嘗て、ハンターズビル南部のクレーターで開拓をしていた入植者達がスーパーミュータントの襲撃を受け壊滅した。

 

「ファウンデーション・ヴェンジェンス」と呼ばれるそのミニガンは、ミニという言葉には収まり切りない彼らの無念が詰まっている。

 

ファウンデーション・ベンジェンス

 

★  :血濡れの

★★ :爆発

★★★:弾力性

 

 

「どうだ?我々の復讐(Vengeance)に相応しい武器だろう?」

 

 

 

グググッ…

 

 

タイタンの胴体部で弾丸が炸裂し衝撃で怯んだが…

 

「減らず口がぁ…!!」

 

 

パカッ

 

 

突如下の車体から多連装ロケットポッドが展開された。

 

 

「!!?」

 

 

「喰らえ!そして火花となって散れェ!!」

 

ッボボボボボボボボボボボボ!

 

 

 

ドッカアアアアアアアアーーーーーーーンッ!!!!

 

 

「ぐああっ!!」

 

放たれたロケットは全弾直撃、神秘に身を焼かれ悶えるペスコフはそのまま吹き飛ばされた。

 

ドッシャン…

 

ううっ……」

 

神秘により瀕死に近い大ダメージを受けたペスコフだが、スティムパックで治療しなかった。

治療をしない代わり彼は…笑った。

しかし決して血迷っているわけではない、血濡れているのだ。

 

 

「く、くくく……そうか…これが生徒達の力か。」

「とても強力だな…素晴らしい……。」

「だがこれは生徒のモノだ………」ググッ

 

そう呟くと、彼はゆっくりと立ち上がり叫んだ。

 

 

 

決して貴様らが我が物顔で振るってよい力ではないッ!!!

 

 

目を充血させ啖呵を切ったペスコフは再びタイタンに向かって駆け出した。

 

「勇み足だな将軍。…ならもう一度喰らわせてやろう!!」

 

ッボボボボボボボボボボボボ!

 

「なんのッ!」ガコンッ

 

迫る無数のロケットを見て彼は何を思ったかミニガンの弾倉を外した。

 

 

ドッカアアアアアアアアーーーーーーーンッ!!!!

 

 

今度こそと理事が思った矢先―――。

 

 

「なっ、バカなっ!?」

 

 

カイザーはロケットが再びペスコフに全弾命中する姿を確かにこの目で見た、しかし…

 

「よぉし、リロード完了だ。」

 

負傷しているにもかかわらず、回避行動も取らずに彼は悠然とそこに立ち尽くしていた。

 

★★:弾力性

リロード中のダメージ耐性を大幅に上昇させる。

 

ペスコフはそれを利用し、あえて敵の攻撃を受けながらリロードをしていた。

 

 

「良い事を教えてやろう。」

「追い込まれた狐はジャッカルより凶暴だッ!」バッ

 

「跳んだっ!?」

 

ペスコフは負傷者とは思えない脚力で上空に跳ね上がると、ミニガンの銃身を再び回転させた。

 

「過ちは繰り返す、されど同じ轍は踏まん!」

 

 

バッ!!

 

 

ミニガンによる2度目の攻撃…しかし明らかに違った。

 

 

ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 

 

その威力は…圧倒的に桁違いだった。

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴオオオッ……

 

爆発によって生じた衝撃波がタイタンの大きく揺らした。

 

「なんだ今の火力はっ!?同じ攻撃のはずなのにぃぃいいいッ!!」

 

 

昔、血濡れの道を探求するレジデントがいた。

極限状態まで追い込められた人類が発揮する底知れぬパワー…レジデントはそこに目を付けた。

「不屈」と呼ばれるレジェンダリーMOD

 

その効果がついた防具を装備した人間が負傷すると、

ENDURANCEを除くすべてのSPECIALが増加し、身体能力が飛躍的に向上する。

 

ファウンデーション・ベンジェンスが持つ「血濡れ」の効果はこうだ。

 

HPが減少すると武器のダメージが5%増加する。

効果は最大95%まで蓄積される。

 

 

更にINTELLIGENCEのPERK「NERD RAGE!」は体力が20%まで低下すると発動される。

このPERKは効果発動時に与えるダメージが増加し、追加のダメージ耐性を獲得。

それに加えてアクションポイント*3の回復速度が上昇する。

 

ペスコフのX-01は全ての部位に不屈のレジェンダリー効果がついている。

そこにPERKにNARD RAGE!とファウンデーション・ベンジェンスの血濡れの効果…

 

ペスコフは嘗て強大な力を得る代償に命を危険に晒すためアパラチアでは禁忌とされていた装備。

 

 

不屈ビルドを使用していたッ!!

 

 

 

 

「グーンズ!今だ!!」

 

 

 

 

 

「ようやく出番が来たな!」

 

戦闘描写の割合に不満を持っていた彼もようやくターンが回り息を荒げていた。

 

「よくもペスコフを甚振ってくれたなぁ…」スチャッ

「ヤツの痛みを貴様にも味合わせてやる。」

 

彼は市街地でアパッチから奪い取ったロケットポッドを構えた。

 

「クーリングオフだ、受け取れ!!」カチッ

 

 

ボシューーーーーーーーーッ!

 

 

ドオオオオオオオオオオン!!

 

 

ジュ~~~ッ…!!

 

「うあああああああああああっ!!」

 

 

 

自分達が生徒から奪い取った力で反撃されたタイタンのダメージ装甲を通じてカイザー理事にも伝達された。

自らが生徒に与えてきた苦痛に悶え苦しみ、タイタンは動きが止まった。

この好機を逃がすまいと教師たちは躍起になった。

 

「よぉし、このまま仕上げだッ!」

「それっ!」ポイッ

 

 

その様子をターキン達は双眼鏡で眺めていた。

 

「あれ、グーンズがなんか投げたぞ?」

 

「おお!あいつもうアレ使う気なのか。」

「カイザーの野郎いい気味だな!」

 

「?」

 

ターキンがキョトンとしているとタイタンの頭上から四本の赤色レーザーが飛び出し回転し始めた。

その状況を彼らはよく知っている。

そして回転を始めたレーザー光は次第に一本の光に収縮した。

 

その僅か数秒後…

 

 

『ガイドビーコンを確認、コヴァック・マルドゥーンMk-2 軌道爆撃を開始。』

『エリア内の味方部隊は最低限の安全距離を確保してください。』

 

無線から発せられた警告音声の後、アビドスの夜空に一筋の光が灯っていた。

光は次第に大きくなり、こちらに接近した。

 

「アレか~~っ!!」

 

ターキンがその正体に合点がいった瞬間――――

 

 

 

 

ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

 

 

 

 

タイタンは大爆発した。

 

 

 

 

 

人工衛星コヴァック・マルドゥーン

 

レジデント達の故郷アパラチアを監視していたエンクレイヴの静止軌道上衛星プラットフォーム。

ビーコンのレーザー誘導によって目標を攻撃する軌道ミサイル製造施設を搭載し、衛星軌道上でロボット達が自動的に管理していたこの人工衛星を彼らはMk-2と名付けてこのキヴォトスの宇宙(そら)に打ち上げていた。

 

 

「俺が居ない間にあんなもん作ってやがったのか。」

 

「ペスコフの提案でな。」

「打ち上げの後でリンに大目玉喰らったけど。」

 

「ってかニュース見てなかったのか?」

 

「アビドスVaultの建設でてんやわんやしてた時と重なってたかも…。」

 

「道理で俺達が来てたのも知らなかった訳だ…やれやれ。」

 

相棒の鈍さに呆れているとペスコフ達から通信が入った。

 

『今がチャンスだ!!仕留めるぞっ!』

 

「サーイエッサー!」

 

「飛ばすぜターキン掴まってろ!!」

 

ブオオオオオオオオオオオオオオオッ……!!!

 

 

 

現場に着くと先程まで猛威を振るっていたタイタンは見る影もなく横たわっていた。

 

 

「へっざまあねえな。」

 

「全くだ。」

 

「さっさとヤろうぜ、日が明けちまう。」

 

「そう急ぐな。」

 

「さーってと、クズはどこかなぁっと……あっ!?」

 

 

ターキン達はぎょっとした。

その衝撃的な状況に…。

 

 

「ううぅ…クソッ!」

「こんな、こんな筈じゃなかった…!」

「計画は完璧だった筈だ…寸分の狂いもなくっ!」

「だが全部台無しになった!」

「企業の粋を集め造り上げたオートマトンも…私の財産を擲って開発したタイタンも…っ!」

 

ぐだぐだと不平不満を並べ立てている理事は、あろうことかターキンの愛機に乗り込んでいた。

タイタンは、パワーアーマーを用いて操縦されていた。

 

「あの邪魔なガキどもを片付けさえすれば、アビドスは私の物になる筈だった!」

「シャーレ…貴様らさえいなければ…私はこの地の皇帝(Kaiser)に成れたんだ……!!」バッ

 

邪悪な本性を隠す事も無く、恨みがましが滲んだ台詞をその場で吐き捨てた理事は破れかぶれにターキンに掴みかかった。

 

 

バキィッ!!

 

 

「うげぇっ!?」

 

 

しかしその手は彼に届くことはなかった。

 

「その手でブラザーに触れるな…カイザー!!」

 

グーンズはその鋼腕で理事を殴り飛ばした。

 

「おいおい、俺の愛機だぞ……。」

 

「壊れない程度に加減した。案ずるな。」

 

どのみちアーマーは洗浄したり修理しないといけないのでターキンはそれ以上何も言わなかった。

 

「ふぅむ……。」

 

ペスコフは倒れ込むカイザーの背から伸びている配線に注視した。

接続部が丁度フュージョン・コアの挿入口で繋がっているため、それが動力原に繋がっていることは容易に察しがついた。

 

「理事を抑えてろ。」

 

「わかった。」

 

「な、何をするっ!?は、放せぇっ!!」

 

「暴れても無駄だ、出力不足か貴様が非力なだけか知らんが馬力が圧倒的に足りん。」

 

藻掻く理事にペスコフは冷たく言い放つ。

 

「抵抗したところで今から尽きる寿命の先延ばしにしかならんぞ。」ブチッ

 

そして配線を引き抜いた。

それと同時に、理事の動きはパタリと止んだ。

 

常人の力では、動力がないPAを無理やり動かすのは不可能だった。

 

 

「おら、降りろ。」グルッ

 

プシューッ

 

ターキンは背中のハッチを回すとカイザーPMC理事を中から引き摺り出した。

 

「………っ!!」

 

「ようやく面出しやがったな…ええコラ?」チャッ

 

バァンッ!

 

エドワードはここぞとばかりに理事を撃った。

高威力の.454カスール弾は理事の右脚を容易に千切り飛ばした。

 

「ぐああああっ!」

「あ、脚がぁ!私の脚があああっ!!?」

 

「足一本でぎゃあぎゃあ喚くなよ、みっともねぇ。」

「それよりえぐいのを相棒は味わわされたんだぜぇ?」

「丸焦げになったんだぞ!!」

「てめーはどうだ、足一本じゃ足りねえだろうが!」

 

バキューンッ!

 

そのままもう一本も弾き飛ばした。

 

「あああああああああああっ!!」

「ぐっ、ぐあああっ……!」

 

「エドワード、その辺にしておけ。」

 

「……チッ」

 

ペスコフに制止されエドワードは舌を打つが、相棒のためにも大人しく矛を収めた。

 

「何か言い遺すことはあるか?カイザー……。」

「生徒への謝意を述べるなら聞いてやろう。」

 

消火斧を手にターキンは問い質す。

 

「ま、待ってくれ!」

「君達の強さはよ、よよよくわかった、もうアビドスにも手は出さない!」

「生徒達もか、かか開放する…だからた、たたたた助けてくれ!!」

 

助けて……理事はそう彼に声を震わせながら乞うたが

 

「タスケ………だと………。」

 

それが余計に彼を怒らせた。

 

「お前は一度でもそれに応えた事があるか?」

「多くの生徒の弱みに付け入り騙し、搾取し奪い取り!」

「嫌がる生徒の声に耳も貸さず、力を掠め取るため機械の中に無理やり押し込んで!」

「目の前で藻掻き苦しむ子供たちの悲鳴をお前は無情にも嘲笑った!」

「その分際でッ!」

「挙句にツケが自分に回るなり助けてくれ、許してくれだと!?」

「そんな手前勝手な道理が通る訳ねーだろうがッ!!」ドカッ

 

ターキンは怒りに身を委ね理事の腹を蹴り抜いた。

 

「うぐっ!?」

 

のたうち回るソレに、彼は感情もなく言う。

 

「なぁカイザー……。」

「俺が助けるのは生徒と善良な人々だ。」

「お前はどっちでもない。」

「お前は…ずっと独りだ。」

「今までも、これからも。」

 

そう言い放つ彼の目は、死体よりも冷たく……地獄の業火より熱かった。

そして……この世の者とは思えぬほどに…恐ろしかった。

とても人間に向ける視線ではなかった。

その瞳の奥底に……悪魔が居た。

 

 

 

死ねよ、お前。

 

 

 

 

 

「ひいっ………!!」

 

 

 

ザクッ

 

彼らが最後に耳にしたのは、恐怖に怯えたヤツの声だけだった。

しかし、何も響くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

待っててくれホシノ……今行く。

 

ターキンには、あの子の声しか聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

*1

*2
西部劇等でよく見かける転がってる草、“回転草”の名称

*3
所謂スタミナの数値、ダッシュやV.A.T.S.、スコープで照準中に息を止めたりしていると消耗する。当然だが休めば回復する。





遂にカイザーPMC理事が死亡。
いやー本当に清々しました。

後は要塞に押し入りホシノ達を助け出すのみ!
頑張れレジデント先生!もう少しだ!
頑張れ作者!本当にあともう少しだ!

では来年も、末永く本作をよろしくお願いします。
良いお年を!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。