便利屋チェイテと愉快な仲間たち   作:鮪薙

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サブタイトルが浮かばないのでSessionでお茶を濁すスタイル


No.191『あっちこっち文化祭Session1』

 お化け屋敷【心霊迷宮】、果たしてどんな感じなのかと来てみたんだけど思ったよりも本格的じゃない、正直舐めてたわ。

 

 まだ入口だけど本気で客を怖がらせるという気概を感じることが出来るっていうのは中々に出せるものじゃないもの、士気が高いとは聞いてたけどここまでとはねぇ。

 

「バートリー?」

 

「ん? あら、心操じゃない」

 

「……こ、こんにちは」

 

「こんにちはっていうか、えっと?」

 

 多分、客引きか何かで教室から出てきた心操に挨拶をしつつ、そう言えば壊理の事は話してなかったなと思い出す。まぁ機会がなかったから仕方がないと言えばそうなんだけど。

 

 丁度良いタイミングなので心操にも彼女を紹介しておく、まさかだと思うけど私の妹だとか隠し子だとか思われても面倒だしって自分で思っておいてなんだけど後者の勘違いは絶対に発生するわけ無いわよね。

 

「この娘は壊理、まぁちょっと事情があってウチで預かってるのよ」

 

「あぁ、なるほど。えと、心操人使、バートリーとはまぁ知り合いだ」

 

「壊理です」

 

 私の知り合いと分かれば壊理の人見知りも収まるみたいで普通に挨拶を交わす、互いに挨拶を終えたので丁度いいから心操に出し物について聞いてみる。

 

 曰くヒーロー科に負けるわけには行かないと本気で研究し準備したお化け屋敷とのことで、既にそれなりの人数が体験したらしいが怖すぎて完走者がまだ出てないレベルらしい、やりすぎでは?

 

「俺もそう思ったんだが、まぁ水を差すのも悪いかな思って何も言わなかったんだよ」

 

「だからってこの時間まで完走者無しのお化け屋敷は文化祭で出して良い代物じゃないでしょうよ」

 

「けどこれが結構反響が良いらしくてな、口コミでご覧のとおりだったりする」

 

 まぁ人が絶えず入っていくのを見れば納得するけど、どうする壊理、なんか思った以上っぽいけど? え、寧ろ初めてだから楽しみだって、それはそれは奇遇ね私もよ。

 

「マジか、あれ見てそれ言えるのかこの二人?」

 

「あ、おーい! 心操の奴が彼女連れてきたぞ! しかも子持ちだ!」

 

「マジかよ!!」

 

「ちげーよ!?」

 

 何やら盛り上がってるのを気にしないで私と壊理は心操のクラスの自信作であるお化け屋敷へと足を踏み入れる。さてさて、どんな物がお目にかかれるかしらねぇ。

 

 数十分、教室を迷宮にしたお化け屋敷という事で中々なボリュームの出し物に素直に私は感心した。素晴らしい、お化け屋敷のセオリーをきちんとおさえつつ〝個性〟を利用して独自性を生み出していてそれでいてバランスは崩れていない。

 

 とてもこれを素人が作り上げたとは思わないわ、執念とも言える完成度じゃない、これは舐めてかかった客がリタイアするのは納得しかしないわ。

 

「お姉ちゃん、凄く面白かったね!」

 

「えぇ、正直言ってA組に発破を掛けてなかったら確実に話題は食われてたわねこれは」

 

「……絶賛してくれるのは良いんだけど、あの二人全くビビらなかったんだけど」

 

 失礼ね、驚いたりの反応はしたじゃないの。私が驚くっていうのは本当にレアな反応なのよ? え、そうじゃない? ヒーロー科の人間が怖がるのを見たかった? なるほどなるほど。

 

 しかも壊理も怖がらなかったとなれば自信もなくなるわね、分かるわ。ともすれば、ちょっと手伝ってあげるわ、例えばこうやって。

 

「スマホ取り出して何したんだ?」

 

「A組の連中に教えてあげたのよ〝心操のクラスのお化け屋敷、壊理も絶賛するほどに面白かった〟って」

 

「お、おう、いや、嘘は言ってないなうん。でもそれだと壊理ちゃんが楽しめるくらいには怖くないって勘違いされ……あっ」

 

「悪い顔してる~」

 

 悪い顔なんてそんな、ただちょっと耳郎達の反応を想像したら面白くなっちゃっただけよ。さて、ここも楽しんだし次を周りましょうか壊理、そうねぇサポート科なんてどうかしら。

 

 あ、そうだ心操、悪いんだけど後で来るはずのA組の対応お願いね、絶対に私に対してクレーム入れてくると思うから。

 

「分かってるんだったらやらなきゃ良いんじゃ、いや、まぁ、あぁ、うん、任せておけ」

 

「じゃあね、みんな!」

 

「じゃ、よろしくね」

 

「ばいばーい、壊理ちゃん。にしても心操、バートリーさんに弱いじゃん」

 

「うるせぇ」

 

 因みになんだけど、あの連絡を受けてA組がぞろぞろ来たらしいということを心操から聞かされてとても反響が良かったらしいわ、えぇ、なにせ耳郎から直々にアンタ本当に良い性格してる女だよと言う感想を頂いたほどだもの。

 

 ま、そんな本の少し先の未来の余談はおいておき心操のクラスをあとにしたサポート科を目指しつつ道中で買食いなんてものもしておく、被身子曰く祭りはそういうものらしい。それに丁度時間が時間だから壊理も小腹が空いてそうだったしというのもあったりするけど。

 

「美味しいかしら?」

 

「うん、美味しい」

 

「ふふっ」

 

 もう普通に笑えるようになってる壊理に私もつい笑みがこぼれる。長かったって訳じゃないし、ずっと笑えないなんてことも考えてなかったがそれでも心配はしてたからこうやって笑ってくれる彼女を見れば自然と嬉しくなってしまうものである。

 

「そう言えばお姉ちゃん、サポート科ってどういうところなの?」

 

「ん? そうねぇ、賑やかなところなのは確かだわ、ただ今日は大丈夫だと思いたいけど基本的には爆発が日常な所でもあるから一人では行っちゃ駄目よ」

 

 爆発を引き起こすのは該当者一人だけなのだけどという声が聴こえた気がするけど気の所為だわ、えぇ、そもそも距離がまだあるのにパワーローダー先生の声が聴こえるわけ無いじゃないの。

 

 そんなこんなで壊理が気になるものをちょいちょいと寄り道しながらもサポート科に到着。文化祭という事でここも一般公開され、物珍しさから中々賑わっているらしいと言うことが入口から分かると言うか

 

「思ったよりも人が多いわね。壊理、逸れないようにしなさい」

 

「うん、でもなんだか楽しそうな音が聞こえるね」

 

「ふふっ、中にはきっともっと面白いものがあるわよ」

 

 私が告げた言葉に壊理は目を輝かして早く行こうという表情に変わるのを見てもうそこまで感情の蓋が外れていたのねと驚いてしまった。

 

 考えられるとすればライブで笑顔を出せるようになったからこその変化と言えるかもしれない。この調子ならば思ったよりも早く精神面の安定早いかもしれない、嬉しい誤算というものだわっと。

 

「久し振りね、発目にパワーローダー先生」

 

「やぁ本当に久し振りだね。元気そうで何よりだよ」

 

「ん? おや、バートリーさんじゃないですか! それと……? 妹さんですか? 居るなんて聞いたことないですけど」

 

「残念だけど妹が私に居るって話は聞いたこと無いわね。紹介しておくわ、この娘はちょっとした事情で家で保護した娘、壊理よ」

 

「はじめまして、壊理です」

 

 私の関係者だからかもしれないけど発目から壊理に触れてくるのはちょっと想定外だったわ。まぁそうじゃなくても紹介するつもりだったけど、それにしてもサポート科はどんな出し物を?

 

「見ての通り、サポート科そのものの紹介と安全な作品の体験が主だね。やはり雄英とは言えヒーロー科以外はあまり知られていないから知ってもらうほうが重点してるよ」

 

「その流れで興味を持ってここに入学してくれるのを狙ってるってわけね。実際、ヒーロー科だけに人が偏ってサポート科とか経営科に人が来ないってことになるのは正直よろしくないし」

 

「そうなの、お姉ちゃん?」

 

 この手の話題に興味を持ったとなればふむ、折角の機会だしその辺りも壊理に簡単に教えるのも悪くないかもしれない。

 

「そうよ、今の社会はヒーローだけが持て囃されてるけど彼らが動くにもサポート科や経営科、警察や公安などの協力が絶対に必要なの」

 

 寧ろなんでヒーローだけで物事が回ってると思ってるのかしらと疑問にしか思えないがまぁ何も知らない一般人からすればそうとしか見えないのかもしれない。

 

 宣伝不足と言われればその通りだし、一部ヒーローがなんかこう意図的にその辺りを喋ってないのも更に原因でもあるのよね、多分そいつは馬鹿なのよ。

 

「じゃあ、便利屋もそうなの?」

 

「私たち便利屋も依頼がないと動けないし、依頼によっては警察とかの協力も必要ね。それに私たちが使ってるアイテムなんかはここ、サポート科のやつだしね」

 

「くけけ、中々にいいお客様でウチは助かってるよ」

 

「私のベイビー達を使って改良案まで出してもらえて感謝したりませんよ」

 

 ここ最近、私はあまり顔を出せてないけど仁達の試作サポートアイテムなんかでよく通ってるしお陰で改良に改良を重ねて今や完成品に近いものになってるとかなんとか。

 

 後は光学迷彩マントなんかも改良が加えられてバッテリーの容量が増えたり迷彩自体の性能が上がって注視しても気付かれないほどになってたりと便利屋としても頭が上がらない存在になってるのよね。

 

「っととそんな話をするつもり無かったんだわ、壊理でも安全に触ることが出来る作品ってない?」

 

「ふむ、ならば今話題に出た光学迷彩マント何かが丁度いいかな」

 

「では持ってきますね!」

 

「光学迷彩って透明になるやつだよね?」

 

「葉隠を思い出してくれれば大体それよって……」

 

 懐のスマホが着信を告げる、時計を見てみれば私たちが普通科を出てからそれなりに時間、つまりはA組が普通科のアトラクションことお化け屋敷を楽しむには十分な時間だということを針が指し示していた。

 

 ともすればこの着信の相手は見るまでもないだろうと思いつつスマホの画面を見れば予想通りの名前、耳郎響香が表示されているのを確認してから通話ボタンを押してから

 

「はぁい耳郎、なにか用かしら?」

 

《バートリー、アンタ本当に良い性格してる女だよ》

 

「ふふっ、結構楽しかったでしょ?」

 

《詐欺だよあれは!!! レミィ、私絶対に詐欺罪で訴えるからね!!!》

 

 スピーカー状態で話してるらしく芦戸のなんとも可愛らしい訴えを聞き流す、詐欺も何も嘘は言ってないじゃないと返せば嘘は言ってないけど本当も言ってないじゃんという最もな反論が飛んできた。

 

《バートリーはまだしもこれで壊理ちゃんもビビった様子を見せなかったって嘘でしょ……いや、証人が居るから嘘じゃないのは分かってんだけど》

 

「環境が環境だったっていうのが大きいでしょうね、あれ男子は?」

 

《オイラはお前に謝罪を要求する、具体的には土下座、ぜんr……》

 

《すまん今のは忘れてくれ》

 

 全員が来たわけじゃないか、爆豪あたりとか面白い反応してくれるかもとか思ったんだけどまぁ良いか。あと峰田は後で覚えておきなさい、とりあえず今日の記憶がなくなるくらいの一撃は与えるから。

 

《多分それは死ぬと思うんだけど……?》

 

《とりあえずさ、今日の夜覚悟してほしいかなバートリー》

 

 どうやら今から追い回すんじゃなくて確実性を選んだらしい、その頃には被身子たちにも話が行くでしょうし逃げ場はないわねこれ、仕方がないので分かったと素直に答えてから

 

「じゃ、まだ壊理とあっちこっち楽しんでるから便利屋の出し物までには体育館に戻るからよろしくね」

 

《はいはい、んじゃね》

 

 通話が切れたのを確認してからスマホを仕舞い壊理はどうしてるかと見れば光学迷彩マントを纏い身体が消えてることに驚いてた。

 

 その後もサポート科の安全な作品を楽しむ壊理を眺めつつ今度は何処に行こうかしらとパンフレットを眺める、射的とかあるのねとか思いながら。




A組女子全員と一部男子はしっかりとレイミィのオススメで心操のクラスのお化け屋敷で餌食になりました。
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