次からは視点が現実世界なら蓮次に、幻想郷なら霊夢か紫となります。
「うっ……ここは……」
少女は見知らぬ場所で目を覚ました。
つい先ほどまで自分が何をしていたのかすら思い出せないほどの頭痛。
一番新しい記憶を掘り返してもこのような場所に行った記憶は無く、久々のペット達との再開に心を躍らせていたはずだった事を思い出す。
「地霊殿……じゃないわよね……」
頭痛は治まり思考能力が戻ってきた。
ここはどこかの一室のようだけれどとても埃っぽいし暗い。地霊殿にはこんな場所は存在しないし、旧地獄のどこかかしら?―――と少女は最初は楽観的に考えていた。
だがそんな楽観視を粉々に砕くような人物がすぐそこに居る事に気がついてしまう。
「明かりが差し込んでる……あっちが出口なのかしら?」
少女は明かりの差し込んでいる方へと歩を進めた。ドアへ近づくにつれて耳には聞きなれない声が聞こえてきた。
それと同時に感じる謎の悪寒。まるで自分が自ら諸悪へと向かっているのではないかと錯覚させるほどの悪寒が体に警報をならしていた。
ドアの目の前まで来てそっと外がどうなっているのかを確認してみる。
「誰か……いるの?」
誰かは居た。自分が知らない人間のようだが確かに誰か居た。
初老のようだが男性に見える。少女は自らの能力である‘第三の眼’を使用して男性の心を読み取ろうと試みる。だが……
「ふっふふふふ……ハハハハハハハハハハッハハハハハッ!!何かが紛れ込んだみたいだが成功だ……成功だ成功だ成功だセイコウダ!!やっと……始められる!!私の……私の……!!」
「なっなんなのあれ!?心の中がぐちゃぐちゃ過ぎて……何を考えているのか……」
彼女の ‘第三の眼’は心があればどんな人間の心でも読み解くことが出来る。
だが今外に居る男からは感情は感じられなかった。ひたすら黒。まるで邪念という邪念をかき集めて血と肉で固めたかのような光景が写る。
当然そこに感情など一切見えない。本当に人間なのかを疑うレベルだった。
「うっ……何コレ……見ているだけで気持ち悪くなってくる……こんな感情見たこと無い……っ!!」
少女はあまりの衝撃の光景に地に足をついてしまう。
口を手で押さえ、出来る限り目の前の光景を見ぬように下を向く。
「おっと、起きていたのか……」
「……っ!?」
「抵抗はしないことだな覚の妖怪よ。心を読めるなら私の考えている事ぐらいわかるであろう?」
男は少女のもとへとゆっくりと近づいてくる。嫌らしいぐらいゆっくり丁寧に、その姿からは余裕の表れと逃げても無駄だと思わせる自身に満ち溢れていた。
とにかくここから離れなくちゃ……少女はフラフラの足と途切れそうな思考を必死に奮い立たせ部屋へと戻り、ほかの出口を探し始める。
幸いにも長い間この暗闇に居たおかげか目は冴えてきていた。
そして自分の居た場所の反対側の奥のほうにもう1つの扉がある事に気がつく。
「とっとにかくあの人からは逃げなきゃ……っ!!よく分からないけどあんな心を持つ人間は危険に決まってる……」
ゆっくりと歩を進めていた足は次第に加速していき、フラフラながらも走り出す。
「逃がさんよ……古名地さとり……」
男は彼女の名前を口にすると後を付けていく。
1話が終わった後ぐらいに人物紹介を載せようと思っております。