東方探偵目録 ー第1章・現実異変編ー   作:りんごジュース

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この話から説明の視点をその人物にしました。 
その方が書きやすいし読みやすいと思います。


Ⅱ 疑う2人の珍道中

 

 

 

とりあえず俺達はおやっさんに言われた通り事務所に向かうことにした。

さっき異世界がどうとか言ってた‘射命丸 文’を後ろに乗せることは少し気が引けるが仕方ない。

おやっさんも何でかそんな話を信じてるみたいだし……あっでも怪奇事件を担当してると別世界とかも信じるようになるのかな? 

因みに、何で俺がこんな無駄な事を考えているかというと……

 

 

「えっとさ……とりあえずアンタを事務所まで連れて行くからバイクに乗ってくれない?」

 

「バイク……って言うんですかこれは?これに乗ると言うとどのようにすれば……」

 

 

なんで道にあるもの全部「あれは何ですか?」「これは何ですか?」って聞いて来るんだよ!! 

というか何でその歳(俺の中では20ぐらい)なのにバイクを知らないんだよありえないだろ!! 

 

それどころかコイツは「こっちの世界は何だか空気が濁ってますねぇ……あなたは平気なんですか?」とか真顔で聞いてくるし!!

演技にしても中2病とかその他諸々拗らせすぎだろ!!

 

 

「あのな、俺は出来る限り早く事務所にアンタを送り届けたいんだよ……ここに来るまでは我慢してたけどいい加減その演技も止めて欲しいんだけど!!」

 

「演技って……何が演技なんですか?」

 

「その歳でバイクを知らないのはおかしいだろ!!どんな田舎で育てばバイクを見ずに成長するんだよ!!」

 

「だから私は幻想郷から来たからこの世界の事は全然分からないって先ほどから……」

 

「幻想郷って……じゃあ仮にそんな世界があったとしてアンタは何でこの世界に来たんだよ?」

 

「……話しても信じてもらえない人には話しません!!先ほどの志木神さんという方にお話します」

 

「なっ…!!」

 

コイツさっきから訳の分からない事を……!! 

だが落ち着け俺、ここで取り乱しては完全に俺の負けだ!!何に負けるかは分からないけど俺の負けだ!! 

 

 

「ゴホンッ……分かった、俺が悪かった。だからとりあえず事務所には向かおうぜ?バイクの乗り方は俺が教えるから」

 

「まあ……そうですね、私も大人気なかったです」

 

「うし!!じゃあ良いか、バイクって言うのは……」

 

 

とりあえず俺はバイクについての一般常識を教えた。どのように乗るのか。乗ったらどうなるのか。

一通り教えて射命丸から帰ってきた言葉は…… 

 

 

「これに乗ると自動で移動できるのですか!?こちらの世界も侮れませんね……早速乗ってみましょう!!」

 

「おっおう……急に目の色が変わったな……」

 

 

そう言って射命丸を後ろに乗せて俺はバイクに乗った。

そういえば女とバイクでツーリング何てしたこと無かったな……こんな形で初体験かよ。

 

 

「しっかり摑まってないと落ちるぞ?俺の腰に腕を回して……」

 

「大丈夫バッチリです!!さあ早く出発してください!!」

 

「おう、じゃあ行くぜ!!」

 

 

そう言って俺達はバイクで事務所に向かった。

ちょうど昼を過ぎた頃の道は空いていて、そこそこの爽快感を味わう事が出来た。

 

 

「どうだ?初めてのバイクは?結構気持ちいいっしょ?」

 

「そこそこ早いですけど……私が飛んだ方が何倍も早いですね」

 

「……は?」

 

「まあ自分の力を使わなくていいという点を含めればこの速度には納得できますね!!でもやっぱりこちらの世界は空気が汚れていますね……」

 

「あっあまりの酷評に頭がおかしくなりそうだぜ……っ!!」

 

「まあ話には少し聞いてましたけど、こちらの世界の人は本当にみんな空を飛べないんですか?」

 

「はぁ!?」

 

 

いきなりコイツは何を言い出すんだ!?

人間が空を飛べるわけ無いだろ!?飛行機とかそう言うの込みって感じの口ぶりじゃないし…… 

……色々聞いてボロを出させてみるか。どこまでコイツの設定が凝っているのか気になるし。

 

 

「……えっと幻想郷だっけ?そこの人たちはみんな空を飛べたりするの?」

 

「一部の人達は飛べませんけど……少しでも力のある人や妖怪、妖精なんかは空を飛べますよ」

 

「よっ妖怪……妖精……じゃあ因みにアンタは飛べたりするのか?」

 

「もちろん当たり前です!!これでも幻想郷最速の異名を持っているんですよ!!」

 

「そっそうですか……ならお前は飛んで移動すれば良いんじゃないか?」

 

「いえ……こちらの世界に来てから私の力が使えなくなってしまって……原因は分からないんですけど……」

 

なるほどそう来るか……‘こっちに来たら自分にもわからないが何故か力が使えなくなった’……確かにこれなら納得の出来る理由になる。……ってなるかああああああ!! 

そんな中学生の時に誰でも思いつきそうな設定で納得できるわけないだろうに!!あれですか「この世界では力が制御されてしまう……」みたいなノリの奴ですか!?

 

 

「えっと……じゃあ射命丸さんも相当力の強い?人間なんですねェ……どんな事ができたりするのかなぁーなんて……」

 

「一応‘風を操る程度の能力’って呼ばれてたんですけどね……あと私は人間じゃありませんよ?」

 

「はい?」

 

「私は鴉天狗、文々。新聞の清く正しく真実を伝える射命丸文です!!」

 

「……駄目だ、そろそろ限界かも」

 

 

てっ天狗ねぇ……こんな可愛らしい天狗が居たら妖怪の存在意義を疑うわ。

まとめるとこうか?射命丸は幻想郷で新聞を書いている天狗で風を操る力と最速で空を飛ぶ力を持っていた。だけどこちらの世界に来たらその力が消えてしまったと…… 

確かに本当なら面白い話だ。だが……

 

 

「駄目だな、信じる要素が1つもない」

 

「なっ何でですか!?」

 

「アンタの話を信用するに値する証明が無いしそもそも俺はアンタが何でこっちの世界とやらに来たのかまだ聞いてない、ちゃんと目的があるならまだ信じられなくも無い話なんだがな……」

 

「……こちらの世界に来た理由を話せば納得してくれるんですか?」

 

「まあ……場合によってはな、おやっさんの仕事上そう言う話にも慣れているんだよ」

 

「おやっさんと言うと……先ほどの志木神という男性ですか?」

 

「そう、身寄りの無い俺を育ててくれた俺の自慢の父親だよ」

 

そうこう言っている間に俺達は志木神探偵事務所に辿り着いてしまった。 

長いようで短かったバイクでの移動で、俺は最初バカらしいと思っていた幻想郷の話に少しだけ興味が出てきてしまった。 

別に射命丸の言っている事を信じている訳ではない。ただもし本当にそんな世界があるのならこの世の中で起きている怪奇事件の何割かと関係性があるのではないかと思ったからだ。 

 

 

「ここが俺とおやっさんの家であり事務所、志木神探偵事務所だ」

 

「あやや……やはりこの世界の建物はスゴイですね……何と言うか完成されています」

 

「はあ?……とりあえず中に入って待ってようぜ、おやっさんが来るまでに俺もアンタの話とか聞きたいし」

 

「私は構いませんよ!!別に幻想郷の事を話してはいけないと注意された訳じゃありませんし、この世界だと1人じゃ何も出来ませんしね」

 

おやっさんが信じてた異世界の存在。まさか本当に?

俺は半信半疑で射命丸と共に事務所へと入っていった。

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