TSネコ少女おじさんは百合の間に挟まらない(叶わぬ願い)   作:TSの聖地(性地)ハーメルン巡礼者N

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2-12 『覚醒』と『ありがとう』の間に挟まる話

 

 

「クロ、コ……?」

 

 アタシは目の前の光景を受け入れることができなかった。

 

「す、すごい魔力がクロちゃんから溢(あふ)れてる……! これならっ!」

 

「ウソだろ……黒い魔力、可視化された高純度の魔力がこんなバカげた勢いで……!? こ、こんなの野良の魔法使いがやっていい芸当じゃねぇぞ!!」

 

 それはクーねぇたちのようにクロコが放出している魔力に驚いて、ではない。

 確かにこれでクーねぇの魔力問題は解決、レンドたちには脅威でしょうよ。

 でもね、アイツの非常識っぷりと規格外さに毎回毎回つきあわされてきたアタシは、今更この程度で動揺したりしないわ。

 

「クロコさん、やはり貴女……いえ、貴女様は――」

 

 何かを知っているらしきレオーネちゃん。彼女にはクーねぇのこととかでいろいろ聞きたいけど……なんだろう、その眼鏡の隙間から覗く瞳に宿る感情が何故か気に食わない。

 うまく言葉にまとめられないけど、アイツはそ(・)ん(・)な(・)ん(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)んだ!

 

 

『────』

 

 

 …………クロコ。

 

 この1ヶ月の間に編み出した数々のキャメルクラッチ(オシオキ技の1つ)を執行していたアタシを優しく退(ど)かし、今も魔力嵐を発生させているアイツを見る。

 パッと見いつもどおりの目隠れ無表情。だけど、なんでだろ。アタシにはその表情がい(・)つ(・)も(・)と(・)は(・)ま(・)る(・)で(・)違(・)う(・)ように見えるし……どうしてか震えが止まらない。

 

 

『────』

 

 

「クロちゃ――ッ!」「な、速(はえ)ぇ!?」

 

 

『――パペット操作(コントロール)――パペット操霊術(ネクロマンシー)』

 

 

 とてつもない速さでクーねぇに近づいて契約を結び、さらにはゴブリンも喚び出すクロコ。

 最近の姿からは想像すらできないことだけど、クロコの身体能力は高い。でも、それは今みたいに高位冒険者の目すら置き去りにするほどではなかった。

 そして、なにより信じがたいのが――

 

「か、身体が勝手に……!」

 

「あぶねッ!? テ、テメェ、クーニュ! 緋刃で斬りかかってくるなんて、今の避けられなきゃ死んでたぞ――ってウォイまたかよクソがああ!!」

 

「チッ、今度はゴブリン闘士(ファイター)かよ。たが、所詮は甘ちゃんなガキが操って――ッ! ぐおぇっ!?」

 

「相棒!? オ、オイしっかりしろ……オイって!」

 

 簡単に。そして、当然のように人を傷つけていること……!

 それは直接的なものだけじゃない。クーねぇの自由意思を奪うなんて、今までのアイツだったら絶対の絶対にしなかったわ。

 

 わかんない……いったい何が起こってるってのよ。

 

「こ、これはいったい……」

 

「カスヤネンか! 見ての通り「レンド避けて!」――うおっ!? こっちはもう長くは保たねぇ! なんとかしやがれっあっぶねええぇ!?」

 

「くっ……こっちはまだ痛みが引いてないというのに人使いの荒いことで。まあ、良いです。そこの2人!」

 

 応急処置を終えたらしきカスヤネンが、比較的離れた場所にいた射手2人に指示を出そうとしている。

 

「クーニュさんの家に向かい子どもたちを人じt……コホン、遊(・)ん(・)で(・)あ(・)げ(・)て(・)ください。年長組の全員がここにいる以上、防犯に不安があるでしょうしねぇ?」

 

「な!?」

 

 ふ、ふざケロあんのバカオヤジィィ!

 なぁにが “遊ぶ” よ。この騒ぎに気づいて集まってきた村の人たちの耳があるから濁してたけど、要は人質にするってことじゃない。陰険にもほどがあるでしょうが!

 ……でも、悔しいけどアタシたちにとっては厄介極まりない手だわ。クーねぇとクロコは絶対にこの場に必要だし、アタシとレオーネちゃんが行っても人質が増えるだけ。

 可能性があるとしたら――

 

「ちょっとバカアニキ、あの2人をなんとかしなさいよ!」

 

「無茶言うなオイィ!?」

 

 いや、咄嗟に口に出したアタシですら言ってる途中で無理だと思ったけどさぁ……でも、このままじゃ皆がっ!

 こ、こうなりゃアタシが 『――その必要はにャいわ』 ……クロコ?

 

 思わず目を向けると、シャフ度(名状しがたき角度)でコチラを見ている黒猫。どうでもいいけどその体勢、腰と首を痛めるわよ。

 でも、どういうこと? だって、このままじゃ……あぁ、もう冒険者2人が見えなくなっちゃったわ。

 

 だけど、その数秒後――突如として轟音が響き渡る。

 

「うお!? って、な、なんだあの火柱……いや、竜巻か?」

 

 打撃音らしき音の発生源付近から上がる “炎の竜巻” 、アタシはアレを知っている。

 そうか! アタシたちにはクロコの命令には逆らえない奥の手がいるんだった!

 

「マッタク、ワレラマデヒッパリダサレルトハナ。アイカワラズ、ゴブリンヅカイノアライコトダ」

 

「久しぶりに暴れられると思ったのになー(ゴブゴボゴッブリー)、コイツらには手加減しろとかそりゃないよー(ゴブブリゴッブー)」

 

 不貞腐れたように歩いてくるゴブリンウィッチとゴブリンジャイアント(デカブツ)。

 デカブツの手には件の冒険者2人が抱えられている。ところどころ焦げてたり打撲痕があってボロボロだけど、ちゃんと生きているようだ。証拠に投げ捨てられた時、「ぐぇっ」って聞こえたし。

 

 でも、これで形勢は再逆転どころか勝ち確……という単純な話だったら良かったのだけれど。

 

「2メートル半(その巨体)に鳴き声……ゴブリンジャイアントじゃねーか! オイオイ、ゴブリンの死体を操るならまだしもよぉ」

 

「無国民どもが国民である私に損害を与えるだけでも大問題だというのに、ゴブリンなんかと暮らす村が2国の大商人たる私にこのようなマネをぉ……! 村も貴女方もタダでは済みませんよ!」

 

 一応マントとフードで全身を覆ってるけど、まあバレるわよね。

 うぅん、流石にこのことが外の人間――それも国の庇護下にあるヤツに知られたのがマズイってのはアタシでもわかるわ。最悪、この村自体が討伐対象になりかねないもの。しかも、どこにも助けを求められない。

 

 その事実に思い至った、アタシたちも含めた村の人たちが顔色を悪くするなかでも平然としているのがクロコとレオーネちゃん。

 ……いや、違うわね。クロコの方はなんというか、興(・)味(・)が(・)無(・)さ(・)そ(・)う(・)な感じ? 無表情なのは普段と同じのハズなのに、なんでこうも冷たい印象が拭えないの……?

 

「……さて、各々(おのおの)方で言いたいこともあるでしょうが、ひとまずこの場を収めなくてはなりません」

 

 未だにギャーギャー騒いでいたカスヤネンたちと、不安に駆られた村の人たち。収拾がつかなくなる恐れからか、レオーネちゃんがパンと手を打ち鳴らす。

 

「社会的な事情は置いておき、この場における敗者への沙汰の決定権は勝者であるクロコ様にあります。――どうなさいますか?」

 

 ………… “様” ぁぁ!?

 え、なに、どうしちゃったのレオーネちゃん。アナタの敬語がデフォなのは知っているけど、アイツに必要以上に謙(へりくだ)る必要なんてないのよ?

 

 ――だって、ア(・)イ(・)ツ(・)な(・)ら(・)そ(・)の(・)方(・)が(・)き(・)っ(・)と(・)喜(・)ぶ(・)か(・)ら(・)。

 

 

『────』(チラッ)

 

 

「え(ゴ)、ミーがやっていいの(ビーブゴッベ)? やったー(ブィー)!」

 

「チッ、ワレモヤリタカッタノニ」

 

 目線を向けることでデカブツになんらかの合図を出したクロコ。それを受けてか、デカブツが先ほどとは正反対の軽やかな足取りでカスヤネンのもとへ歩いていく。

 

「な、なんです!? もしや、私を殺そうとでも……い、いや、そんなことできるわけがない。殺せるわけがないですよねぇ!」

 

 

『────』

 

 

「私は選ばれし国民! お前らは弱者たる無国民! 命の価値が違う「バカ、避けろ!」――のわっ!?」

 

 

ぐちゃぁ

 

 

 特大の破砕音の中に交じる、嫌に耳に残る肉が潰された生々しい音。こんな音までも聞き取ってしまう長耳が忌々しい。

 まあ、そんな音も直後に上がった複数の悲鳴に掻き消されたけどね。

 

 って、あぁもう! 今のデカブツの振り下ろし攻撃、レンドの呼びかけで咄嗟に後ろに後退(さ)がらなければ死んでたわよ。それでも、手に続いて片足も潰れちゃったけれど。

 にしても、ホントどうしちゃったのよアイツは……。

 

「あれ~(ゴ~)? なんかイマイチ(ブンシャカ)……」

 

「キサマノ繰り人形(クリニンギョウ)ガ、クロネコノヒダリテニアルカラダナ。ミギテナラ、サケラレルマモナクツブセテタダロウ」

 

 あ、そうか。近接特大バフ(右手)はクーねぇのパペットがあるから。そのおかげでカスヤネンは九死に一生を得られたわけね。

 

「ま、いーや(ゴーブ)。次こそはしくじらないもんねー(ゴバブリンブー)」

 

「ネコモドキヨ、ワレガこんがり焼いた(コンガリヤイタ)ホウガ確実(カクジツ)ダゾ? ナ? ナ?」

 

 

『──────』

 

 

「ホウ?」「それは面白いね(コブゴゴ)ー」

 

「ッ!? このイヤな感覚……! それ以上はダメよクロちゃ――きゃあ!? う、動けない……!」

 

「クーねぇ!」「クーニュさん!」

 

 久しぶりに見るゴブリンどものゲスい表情。それと冒険者としての経験から悪意でも感じ取ったのでしょうね。クーねぇがクロコのもとへ向かおうとするが、その途中でビタッと動きが止まる。『余計なことはするな』、そういう意思表示なのだろう。

 その意思は確実に周囲に伝わり、誰もが固唾を呑んで見守るなか……ゴブリンたちが動いた。

 

「ヨイナ、デカブツ。ココカラサキハ、ハヤイモノガチダゾ」

 

「おっけ~負けるもんか(ビゥ~ゴンブリ)。合図よろしくね、ご主猫ちゃん(ゴブヌ、ゴッベン)」

 

 

『────』(コクン)

 

 

「ひっ、ひぃぃ……もぅ……やめてくれぇぇ」

 

 デカブツが血の付いた武器を構え、ウィッチは杖の先をカスヤネンに向ける。そして、その杖の先に魔力が集まっていくのがアタシには見えた。

 また、クロコの方は左手のゴブリンジャイアントパペットをしまい、手頃な石ころを拾って――ゴミでも捨てるかのように適当に放り投げたのだ。

 

 “早いもの勝ち” とウィッチは言っていた。状況から察するに……そ(・)う(・)い(・)う(・)こ(・)と(・)なんでしょうね。

 カスヤネン(獲物、あるいは玩具)も己の未来に訪れる絶対の死を察し、片手片足で必死に逃げようとしている。地面に這いつくばり、涙と涎(よだれ)を垂れ流しながら。だが、それでも生きようとする姿は良くも悪くもアタシたちの感情を揺さぶった。

 

 それでもクロコだけは無表情で……その表情から、何の感情も抱いていないことをアタシに伝えてきたのだ。

 『無表情なんだから当たり前だろ』、そう思うヤツはアイツのことを何もわかっていないわ。

 アイツは……クロコは! 今までにこんな表情をしたことはない! 自分の提案や行動が他者に危害を加えると知っていて、何の感情も抱かないヤツなんかじゃないのよ!

 

 

 だから今のアイツは────アタシの知ってるクロコじゃない!!

 

 

「ファイアボール!」「くたばれ(ゴブゲ)ー!」

 

「ギャアアア!? くるなくるなくるなあああ!!」

 

 “ボト” ――クロコ(?)が放り捨てた石ころが地面に落ち、命を奪う合図にしてはあまりにチンケな音を出す。しかし、それをキッカケに放たれたのは人間1人を殺すにはあまりに過剰な暴力で。

 ウィッチがカスヤネンに火球を放つ。デカブツが地面を蹴り、凶悪な武器を振り上げカスヤネンに迫る。

 

「クソッ、カスヤネ「レンド!!」って、なんで止めるんだクーニュ! このままじゃアイツが死んじまうんだぞ!」

 

「クロちゃんやめてぇっ! お願いだから私をもう操らないで……っ!」

 

 カスヤネンを助けようとしたレンドだったが、割って入ったクーねぇに止められる。

 その止めた方のアタシの大事な人は……泣いていた。

 

 他の冒険者たちの中にマトモに動ける人はもういない。

 ロトムはガタガタ震えてるだけだし、村の人たちは現状把握すらできていないだろう。

 レオーネちゃんは青ざめた顔で呆然としているし……恐らく、今の状況は彼女ですら想定外。声を上げることすらできていない。

 

「…………クロ、コ」

 

 ――ということは、よ。

 

 

 

「……クロコ!」

 

 アタシが止めてやるしかないじゃない!

 

 

 

 

 

「止まりなさいよ!! こンのアホネコオオオオオ!!!!!」

 

 石ころが落ちる前から走り出していたアタシは、ギリギリのところでカスヤネンの前に立ちふさがる。

 だが、それが意味するのは――アタシの目と鼻の先まで “絶対の死” が迫っているということに他ならなかった。

 

 

 

 

 

 

~~(視点変更・クロコ(?))~~

 

 

 

 

 

 

 ――百合の間に挟まる・挟まろうとする男には “死” あるのみ

 

 

 これが俺(ボく)の根幹、“俺”(パパ) から設定さ(与えら)れた俺(ボく)の絶対。だから、カスヤネンとレンド(そこのニンゲンども)は殺す。これも絶対。

 止められるヤツはいない。ニンゲンに例えれば呼吸を止める――いや、心臓を止めるようなものだから。

 そう、止められるハズも――止まるハズもない。

 そのハズ――だったのに────

 

「止まりなさいよ!! こンのアホネコオオオオオ!!!!!」

 

 ニンゲンは普段、呼吸や心臓の動きを意識しない――で、合ってる? ────合ってるんだ。えへ、ありがとパパ。

 そんなわけで、同じように俺(ボく)もゴブリンたちに指示を出した後はほぼ興味を失くした。まあ、邪魔が入らないように周囲の確認くらいはしてたけど。証拠にクーニュさん(デカパイ)の動きにはちゃんと気がついたでしょ?

 

 ――だから(なのに)、俺(ボく)はラーナたん(世話係)の動きに気づくことができた(けなかった)。

 

 ビックリし、そして焦った。だって、このままじゃボくが世話係を殺してしまう。パパを悲しませる。

 ヒヤッとしたが、予想はしていた。殺させはしない。俺はスチルやCG回収以外でバッドエンドは踏まない主義だ。ただし、鬱ゲー等のソレ前提のゲームは除く。

 

 即座に両手をポケットに突っ込む。そして、ゴブリンたちのパペットに付け替え2匹に強制介入。デカブツ(おっきいの)は停止させ、既に発射されていた火球は逸らさせる。セーフ。あの2匹との再契約は必要ないから助かった。

 

「無事!? ラーナちゃん!!」

 

「ラーナさん、なんという無茶を……いえ、今のもやはり……」

 

 皆の心配の声(ニンゲンうるさい)。いや、それよりラーナたん(世話係)は――うん、身体的な損傷は無さそう。安心、良かった(代わりを探さないで済む)。

 

「はぁ、はぁ…………っ、クロコ……」

 

 

『────』

 

 

 でも、やっぱり(なんでか)怒ってるっぽい?

 

「別に怒ってるわけじゃないわ。聞きたいことがあるだけよ。ねぇ――ア(・)ナ(・)タ(・)、いったい誰なの?」

 

「え……ラ、ラーナさん?」

 

「どういう意味……かしら~」

 

 俺(ボく)はクロコちゃん(パパ)、それ以外のナニモノでもない。

 そんなことより、そこ退いて。害虫駆除の邪魔。

 

 

『────』

 

 

「いいえ、退かないわ。なんとなくだけどね、今(・)の(・)ア(・)ナ(・)タ(・)には殺させちゃいけないような気がするのよ」

 

 ――? 意味がわからない。

 男が百合の間に挟まろうとした。それだけで殺す理由も殺される理由も十分。あらゆる世界と宇宙の真理。

 

 

『──────』

 

 

「ふん、ほら見なさい。やっばりアナタは殺すことを望んでない――いえ、正確にはア(・)ン(・)タ(・)は(・)そ(・)の(・)娘(・)に(・)殺(・)さ(・)せ(・)る(・)こ(・)と(・)を(・)望(・)ん(・)で(・)な(・)い(・)わ」

 

 

『────────』

 

 

 違う、そんなハズが――

 

「まだ気づかないの? さっきからアンタ────一言も言葉を発していないのよ」

 

 

『――ッ』

 

 

「アンタは大事なことや絶対に伝えたいことは必ず口を開くわ。……あと変なこと言う時も。まあ? 声ちっちゃすぎて誰にも聞き取ってもらえないことも多い、本末転倒で変な拘(こだわ)りだけどね」

 

 やめて(くれ)、その言葉は俺(パパ)に効く。

 

「それに、言いたいことがあるのならキチンと目を合わせなさい。目が隠れてようとアタシにはわかるし、普段のアンタならできてることよ」

 

 ――なにを言っている? さっきから目は合って――

 

「ああ、言い方が悪かったわね。アタシが言いたいのはね、ちゃんとアタシたちを見ろってことよ」

 

 ――え

 

「……わからない? ハァ……アンタって娘はホントにもう。いい? アタシの知るクロコはね、バカで抜けてて面倒くさがりで奇行ばっかでアホで怖がりで頼りなくてマヌケで寝坊ばっかで野菜が苦手で猫舌でバカで子どもより手がかかってエッチですぐ逃げ出してワガママでバカでバカの中のバカでもね――」

 

 一息でそこまで出てくる? もう俺(パパ)のHPはゼロよ。

 

「でもね、アンタはどんな時でもアタシたちをちゃんと見ていた。……百合願望(妙な邪念)が混ざってたような気がするのは置いといて、ね。」

 

 

『────』

 

 

「だから、どうしても退いてほしいなら声に出しなさい。それから……ア、アタシを…………アタシを見て、よ………………っ~~~~!?」

 

 ――そっか、ボく────

 

「あーもうっ! と・も・か・く! アンタの口でちゃんと言うことができたら大人しく退いてあげるわ。でも、お願い。いつものアンタに――バカだけど優しいクロコに戻って……!」

 

 ――いや、俺は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――お兄ちゃんどいてそいつ殺せにャい「ていっ」――に゙ャ゙ッ゙!?」

 

 

⚡️げ ん⚡️

⚡️こ つ⚡️

 

 

「この流れでホントに言うヤツいるぅ? あと、お姉ちゃんならともかく誰が男なのよ。このアホ、バカネコ」

 

 ぐおぉぉ、一瞬でデカイたんこぶが……!

 それより見た? ついにウソを吐いたばかりか、言論を暴力で封殺しようとしましたよこの美少女……って、あらやだ顔がいい♡ 許す♡ 無罪♡ 世界で2番目にかわいいゾ♡♡

 

「キッモォ……こっち見ないでくれる?」

 

 見ろって言ってたじゃん!?!?

 ねぇ、今回も俺がんばったよね。逆に、ラーナたんほとんど活躍してなかったよねぇ? それでこの仕打ちはひどくない?

 理不尽系暴力ヒロインとか今どき流行らないし、人権ないんだよ??

 

 まあ、それでも――

 

「────あり」

 

 止めてくれてありがとう、ラーナたん。

 

「…………ん」

 

 俺の言葉にソッポを向く彼女だが、その耳は先まで赤くなっていたのだった。

 

 

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