見にきてくれてかんしゃあ
主人公はモブ
「ねぇ、あの子もう誘うのやめない?」
「うちらの誘い、だいたい断られてるしね」
「ていうかシスターフッドが怪しいじゃん、裏で何してるんだか」
─私がそれを聞いたのは偶然でした。
偶然、シスターフッドの活動がお休みになり。
偶然、買い物を思い出して普段とは別の道を通り。
偶然、その道で友人を見かけた。
…もちろん、盗み聞きなどするつもりはありませんでした。
決して褒められる行為ではありませんし、それをする理由もありませんから。
けれど…彼女たちに話しかけようと近づいたとき聞こえてきた言葉が信じがたく…つい聞き入ってしまいました。
…よく考えたら、偶然でもないのかもしれません。
すぐにあの場から立ち去っていれば…
そもそも私がもっと友人を大切にしていれば。
考えがまとまらず、帰路に着くことさえ足取りが重かった私は気が付けば大聖堂に立ち寄っていました。
主を信じ、幾度となく祈りを捧げてきました。
友人たちのために祈ったことだって何度もあります。
主への祈りが届かなかったのでしょうか?…いえ、これ以上友人を疎かにしては本末転倒です。
では…主は私を救ってはくれないのでしょうか?
…このように疑ってしまう悪い子だから、なのかもしれません。
…彼女たちとの仲を修復するのは不可能なのでしょうか?
明日からどんな顔をすればいいのか…
悪い考えばかりが頭によぎってしまい、ステンドグラスから入ってくる月光に照らされても私の心は晴れません。
「…あら?こんな時間まで祈っておられるのは珍しいですね」
「…サ、サクラコさま…!?すみません、すぐに帰りますので…」
「い、いえ!そういう意味では…!ただ、暗い顔をされていたので心配で…!」
「あ…」
「…よければ、聞かせていただけますか?他者に打ち明けるだけでも少しは楽になるものですよ」
こんな相談をしてもご迷惑をかけるだけかもしれません。
けれどほとんど顔を合わせたこともない見習いシスターにも優しくしてくださるサクラコさまに、弱い私は一度だけ甘えたいと思ってしまいました。
「実は…」
─
「なるほど、そのようなことが…。話して下さってありがとうございます。実は…私も似たような経験があって、聞きながら共感してしまいました」
「サクラコさまも…?」
…いえ、考えてみれば当然です。私より責任も立場も比べられないほど大きいのですから。そんな方に私の悩みを話してしまうだなんて…
「ええ、ですが幸運にも私の想いや…背負っているものを受け入れてくれる方がおりますから、今は苦ではないのですよ」
受け入れてくれる方…
「ですが、私には…」
「…一度、面と向かってそのご友人と話してみるのもいいかもしれません。理解をしてもらえるかは分かりませんが、伝えることそのものに意味があると思うのです」
確かに、まだ直接話したわけではありません。
暗い考えばかりに支配されて、道を見失っていたのですね。
「ありがとうございます、サクラコさま…気持ちが軽くなったように思います」
「ええ、またいつでもお話しを聞かせてください」
その後、サクラコさまの持つ燭台のろうそくに照らされながら私たちは大聖堂を出たのでした。
─
「え?昨日カフェテラスで話してたこと…?あー、あんたを誘うのやめるかーって話?…え?違う違う!忙しそうだから遊びに誘ったら申し訳ないなって!」
「そうだよ!毎回辛そうに断らせるのも悪いっていうか…」
「…ふふっ、ふふふ。そうだったのですね。すみません、昨日声をかければよかったです」
「ほんとだよー。あ、でもさ、シスターフッドってなんか怪しくない?特にリーダーの…サクラコ先輩だっけ?何か企んでそうで…」
…いけません。あの優しく聡明なサクラコさまをそのように…!
これは説明が必要なようですね。
「…え?なんか顔怖くない?ちょ、力強っ!?」
「ふふ…今日の放課後はサクラコさまの良さを分かっていただくまで帰しませんから!」
この後主人公は連邦生徒会の大人と親しげにわっぴーを交わすサクラコを見て脳が破壊されました
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