酔っ払い拾ったらロックに出会った。   作:西ローランドゴリラ

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主人公の両親が病院に来てる描写が無いのは正しい情報を聞いて爆笑してほっといてるからです。

前回までざっくりおさらい。
刃物を持った通り魔からワラビを守った主人公、刃物は腹筋で防いだが、あまりの腹筋の強さに下痢で弱ったケツが耐えれず出血。
勘違いした人に救急車を呼ばれ、なんか周りにも勘違いされたまま心配されてるよ。


95話

 

「ごめ……ごめんなさい……私のせいで……」

 

「違うよ、あくまで悪いのは通り魔でお姉さんじゃない」

 

「それでも……ミナピは私を庇ってこんな事に……」

 

 ミナピ?と全員の頭に疑問が浮かんだがシリアスな空気の中でスルーするしかない。

 

「だったら余計に責められないです。湊が守った人だから」

 

 目の端に涙を溜めながら、それでもなお毅然とした態度で湊の意思を尊重するヨヨコの強さに、自分より若い子の強さと、罰されないならどうやって許されていいかわからない罪悪感にワラビは涙する。

 

「とにかく、私たちが暗い顔してても仕方ないからね、落ち込んでる湊に何をしてあげたいか考えよう」

 

 志麻の提案に真っ先に幽々が手を上げた。

 

「幽々がいい感じに慰めて、ドロドロに依存した湊さんと退廃的な生活する……とかよくないですか〜?」

 

「よくない、却下。ヨヨコもちょっといいかもみたいな顔をしない」

 

「してません!……してませんから!」

 

 ヨヨコの発言は誰にも信じてもらえずスルーされた。次に手を上げたのはリョウだった。

 

「お見舞いの品グランプリ開催、誰が何を持ってきたか当ててもらう。これなら動画のネタになるはず」

 

「院内で撮影はできないだろ」

 

 マイペースな二人の空気から徐々にいつもの空気に変わっていき、皆やりたい事を発表していく。

 

「皆好き勝手言い過ぎでしょ、普通に湊くんに何してほしいか聞こうよ」

 

「ミナピがして欲しい事ならなんでもする!」

 

「湊さん、弱みにつけこんでお願いとかしないタイプっすから、難しいっすね」

 

「フンッあんた達にはそうかもしれないけど、私は大丈夫よ。なぜなら湊に信頼されてるから」

 

「ドヤ顔してますけど、無茶振りされてヨヨコ先輩対応できるんですか?」

 

「なんだってやるわよ!ねえ!幽々!」

 

「巻き込まないでくださ〜い、幽々は大事にされてるので〜」

 

「私が雑に扱われてるみたいな言い方やめなさいよ!」

 

 来る時に比べれば、湊の無事がわかっただけでも良かったと冷静に気づき、楽しい話で空気が和らいだ頃を見計らって、改めて湊の病室へ一同は移動する。

 

「さ、行こうか。誰が咲良ちゃんから一番無茶なお願いされるかを決めに」

 

 先陣を切るのは廣井きくり。

 何気に湊とヨヨコからの尊敬を糧に生きているので、無茶振りされたい、なんならちょっと無理矢理にでも無茶振りを引き出そうと病室へ急いだ。

 

 そして病室へ入った瞬間、PAさんと星歌に甘やかされ、満足そうな湊の顔を見て、この勝負の厳しさに冷や汗を流した。

 

 

 

 先生が出ていって少しした頃、パタパタと動きにくい服ながら急ぐ足音が部屋の前で止まるのと「病院で走るな」と聞き慣れた声が聞こえたと同時、扉が開かれた。

 

「湊くんっ!」

 

 体を起こして、こちらが何かを言う前に駆け込んできたPAさんに抱きしめられた。

 

「思ったより平気そうだな」

 

 少し安心したような表情で星歌さんに声をかけられた。

 

「ですね、傷は大したことないです」

 

 人前で盛大に痔が爆散した事と、未確認ライオットに出れなさそうな事でメンタルはやばいけど。

 

「傷は……か……」

 

 俺の言葉で大人二人は察してくれたのか、PAさんはさらに強く俺のことを抱きしめ、星歌さんも頭を撫でてくれた。

 二人の暖かさと優しさが伝わって心地良い。

 

「ま、感染る病気とかじゃないなら見舞いに来てやるよ」

 

 あ、病気と勘違いされてる……訂正しようとしたところでまたも扉が開いた。

 

 最初に入ってきたのは姐さん。

 冷や汗をかいてなんとも言い表し辛い表情をしてるのは……当然だ。プロとして体調管理ができずに大事な舞台を逃してしまったんだから。

 きっと無事を喜ぶ気持ちと叱らないといけないのとで悩んでいるんだろう。そんな気苦労をかけたのも申し訳ない。

 

 次に駆け込んできたのはイライザさん。

 

「湊ー!」

 

 続く言葉も見当たらずに駆け込んできて、ベッドに飛び乗るとPAさんに抱きしめられて残った部分、要は頭を抱きしめてワンワン泣き出した。

 

「こらっイライザ!飛び乗るな!傷が開いたらどうする!」

 

 実際危ないけどここ普通病棟だし、傷浅いし、イライザさんの胸の中で話せないので右腕でOKのジェスチャーをして志麻さんを宥めた。

 その右腕も優しく絡め取られ、強く抱きしめられる。

 

「幽々が優先されるべきだと思います〜」

 

 濡れる肩に、幽々ちゃんもどれだけ心配してくれたかが伝わってくる。

 そして一切の身動きが封じられて、イライザさんの胸で窒息しそうな事が誰かに伝わってほしい。

 

 流石に俺の窒息に慣れてる志麻さんと銀ちゃんがイライザさんを剥がしてくれ、皆の前だからと少し落ち着いてからPAさんと幽々ちゃんも落ち着いたらメイクを整えると席を外した。

 

 少し落ち着いたと思うと、今度はヨヨコ先輩が近くまで来て、頭の方に手を伸ばしてきた。いつものように叩かれるのかと頭を差し出すと、優しく撫でられた。

 

「んぇ?」

 

 顔を上げた途端、額にわずかな痛み。

 

「……おバカ、次はもっとうまくやりなさい」

 

 デコピンとお叱り。

 ども、同じ状況で見過ごしたりはできない俺のことをわかってくれているヨヨコ先輩の優しさが染みる。

 

「任せてください、次は完璧に被害0にしてみせますから」

 

「よろしい、それじゃあ約束と人助けにご褒美はあげないとよね」

 

 先輩に取られた手はそのまま先輩の胸に引き寄せられる。

 

「私にできる事ならなんでも願い事を叶えてあげるわ、なんでも」

 

 先輩の出す妖しい空気と大好きな胸の感触に騙されそうになるけど、二人きりの時には割とよく当たる。耐えろ、おっぱいに流されるな、俺。

 二人きりなら耐えられなくても仕方ないけどここは皆の目がある!

 

「はいはーい!お姉さんも頑張った咲良ちゃんになんでもしてあげまーす!」

 

 姐さんが続き、イライザさんが続き、次第に皆がなんでもしてあげると言ってくれた。

 状況が謎なだけに冷静になれる。

 このメンツにしてほしいこと、そんなのは音楽関係に決まっている。

 

 願いを伝えると銀ちゃんがSICK HACKを連れ帰り、SIDEROSと結束バンドは練習へ、スタジオを貸すため星歌さんとPAさんも出て行った。

 誰もいなくなった病室の扉が開けられる。

 

「大丈夫、スケジュール確保したよ」

 

「ありがとうございます。それじゃ、これからよろしくお願いします」

 

「まっかせて、身の回りのお世話でもなんでもするし」

 

「いらねっす」

 

「えー、私これでも美人で通ってるんだけどなー」

 

「求めてるのは美声の方ですから、頼みますよ」

 

「それこそ任せてよ」

 

 腹に力を入れることを止められた俺の代わりの声になってくれるワラビさん、相棒とグータッチを交わした。





投稿遅くなってすみません。
仕事の忙しさやらなんやらで気付けば時間が経ってました。

ぼざろ二期とかぼっちちゃんの誕生日とか、めでてー!!

てか二期!二期ですよ!
ヨヨコ先輩!幽々ちゃん!
SIDEROSが!動く!
うっひょー!!!ヨヨコせんぱーい!!
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