TSホビアニ転生:悪のTCG組織で実験体やってたけど、いつの間にか滅んだらしい 作:WhatSoon
目前で繰り広げられるバトルに、僕は釘付けになっていた。
ニーナとセレナさんの戦い。
その勝負……側から見れば、セレナさんが有利だ。
セレナさんは、手札の枚数を増やしつつ、コンボパーツを揃え、隙を見てワン・ショット・キルするつもりなのだろう。
対してニーナは、そのセレナさんが繰り出すシステム・クリーチャーに対抗すべく妨害をする。
攻めているセレナさんと、受け身のニーナ。
一見、拮抗している勝負。
しかし、状況は芳しくない。
セレナさんのデッキは僕のデッキとは異なり、複数の勝ち筋を用意している。
何度止められても、次の勝ち筋へと繋げればいい。
そして、ニーナのデッキには妨害用のカードは少ない。
それはハイランダーという性質上仕方のない事だ。
使いやすい打ち消し
そこまでしても、純粋なカウンター
いつか、破綻する。
緩やかに締め付けられているだけに過ぎない。
「私は、手札から『デーモンの詐欺師』を召喚する」
>ニーナ:手札4→3
>ニーナ:マナ7→4
────────────────
③デーモンの詐欺師
クリーチャー・カード
種族:デーモン
召喚時:お互いのプレイヤーは、カードを2枚引く。
パワー2/タフネス2
────────────────
……しかし、何故だろう。
ニーナはこの状況で、耐える事を選んでいるように見える。
クリーチャーを展開して勝負を決めに行かない。
有利を取る為の能動的な動きをしない。
今はただ、ドロー効果を持つ『デーモンの詐欺師』を使い回して、手札を補充している。
「その効果により、互いにカードを2枚引く」
>ニーナ:手札3→5
「ええ、私もカードを引きますわ」
>セレナ:手札9→11
しかし、『デーモンの詐欺師』は相手にもカードを引かせてしまうデメリット効果がある。
相手のフィニッシャーを止められる『受け札』を探すためにドローしても、相手に新たなフィニッシャーを引かせてしまっては意味がない。
セレナさんの手札枚数……11枚。
これだけあれば、ニーナの受け札を貫通する準備が整うかもしれない。
リソース勝負になれば敗北は免れない。
なのに、何故?
耐えても、耐えても、勝ち筋なんてない筈だ。
そんな事は僕でも分かる。
そして、僕でも分かる事を彼女は気付いている筈だ。
いったい、何を……どうやって、勝つつもりなんだ?
僕は手に汗を握りながら、試合を眺めていた。
◇◆◇
目の前にいるニーナから、手元の手札に視線を落としますわ。
11枚……これだけあれば、『豪風の天使』によるワン・ショット・キルは容易ですわ。
「そして、私は手札から
>ニーナ:手札5→4
>ニーナ:マナ4→0
ふむ、さらに
「その効果は2つ。まず1つ、相手は手札を選んで捨てる」
……セルフ・ハンデス。
相手の手札を覗いて捨てさせる、ピーピング・ハンデス。
無作為に選んで捨てさせる、ランダム・ハンデス。
相手が自分で選んで捨てる、セルフ・ハンデス。
前者に行くほど強力であり、後者にいくほど効力が落ちますわ。
理由は簡単。
ピーピングならば手札の有力なカードを抜かれる可能性が高く、ランダムならば運次第で抜かれてしまう……そして、セルフならば要らないカードを捨てればいいだけのこと。
ここは……そうですわね、手札は十分ですし──
「私は手札を1枚捨てますわ」
>セレナ:手札11→10
手札から捨てたのは『奇跡の祈り手』。
手札の枚数は十分、もうドロー効果を持つシステム・クリーチャーは不要ですわ。
「『愚者の選択』の追加効果。相手の手札が6枚以上の場合、マナを4つ回復する」
>ニーナ:マナ0→4
────────────────
④愚者の選択
呪文カード
相手プレイヤーは手札からカードを1枚、選んで破棄させる。
その後、相手プレイヤーの手札枚数が6枚以上の場合、マナを4つ回復する。
────────────────
「ふむ……」
実質マナ消費はなし。
この為に『デーモンの詐欺師』でドローさせた……と考えた方がいいですわね。
しかし、あまり有効な使い方とは思えませんわ。
私の手札は11枚……から、1枚捨てて10枚。
ですが、彼女の手札は手札から
消費は1枚、破棄させたのも1枚。
しかし、この1枚の重みは全く異なりますわ。
手札の枚数は、手数……プレイングの選択肢に直結しますわ。
5つの選択肢から4つになるのと、11の選択肢が10になるのとでは『重み』が違う。
……苦し紛れの一手。
そう考えれば良いのでしょう……か。
「私はこれでターンを終了する」
「……私のターンですわ。カードを引いて、1枚マナへ」
>セレナ:ターン7
>セレナ:手札10→10
>セレナ:マナゾーン6→7
手札に視線を落とす。
プレイ数に応じて
場には
『大天使 リコリス』によるコスト軽減+『豪風の天使』による高打点速攻。
これでフィニッシュしたいですわね。
しかし、『豪風の天使』1枚で20点を削るのは難しいですわ。
19枚カードをプレイしなければなりませんもの。
ならば2枚……『豪風の天使』を2回通さなければなりませんわ。
しかし、『大天使 リコリス』は4コスト、そこに3コストである『豪風の天使』が2枚となれば……必要なマナは10。
マナが起き上がる『小回復』を組み合わせるとしても、9マナは必要ですわ。
ならば、早くてもリーサルは2ターン後。
……そこまで、彼女を好き勝手にさせるのは怖い。
得体の知れなさがありますもの……可能な限り、早く息の根を止めたいですわ。
ならばここは、妨害されても後続がある『豪風の天使』をプレイし、この7ターン目に十分削り……8ターン目に追撃して削り切るのが得策。
ワンショットキルではなく、分割リーサル。
ええ、これを狙うのが一番良いですわ。
幸いにも『豪風の天使』は3枚ありますもの……妨害されたって構いませんわ。
「私は手札から『豪風の天使』を召喚しますわ!」
>セレナ:手札10→9
>セレナ:マナ7→4
────────────────
③豪風の天使
クリーチャー・カード
種族:セイクリッド
速攻(「速攻」を持つクリーチャーは、場に出たターンから攻撃できる)
呪文カードがプレイされた時:+1/+0の修正を受ける。
パワー1/タフネス2
────────────────
まずは一撃──
「その瞬間、私は手札から
>ニーナ:手札4→3
>ニーナ:マナ4→0
っ、やはり妨害用の
平然なまま、彼女へ視線を向けますわ。
「その効果は、自分の場のクリーチャーを破壊し、そのコスト以下のクリーチャーを
────────────────
④蛮行・すり替え
高速呪文カード
自分の場に存在するクリーチャー1体を破壊する。
その後、破壊したクリーチャー以下のコストを持つ、墓場に存在するクリーチャー1体を場に戻す。
────────────────
場に存在するメガネをかけた悪魔が砕けた。
「あら……?」
打ち消しではなく、
「そして、私が
しかし、それなら問題はありませんわ。
3コストである『デーモンの詐欺師』を自壊させても、出てくるのは3コスト……彼女の
「セレナの
「なっ……何を考えてますの!?」
『蛮行・すり替え』は後者!
『奇跡の祈り手』は私のクリーチャー!
ならば、その効果処理は──
私の場に『奇跡の祈り手』が蘇りますわ。
その効果処理に不可解さを感じながら、彼女へと視線を向ける。
「敵に塩を贈るつもりですの……!?」
「塩……まぁ、確かに塩かな。うん、そうだね」
どういう意図で……!?
これで私の場に『奇跡の祈り手』が2体!
その効果は
どんな
何のためにこんな事を!
まさか既に敗北を確信して、こんな──
視線が、私を貫く。
彼女の目が。
正気のある、闘争心に満ち溢れた目。
敗北する気なんて少しも考えてない目ですわ。
では、何故?
どうして、私に盤面と手札アドバンテージを与えるような真似を──
手札を……。
手札を?
手札が増えるという事は……つまり、それだけ、カードを引いているということ。
どこから?
それは勿論、デッキからですわ。
デッキからカードを引く……引けば、どうなる?
デッキの枚数が、減りますわ。
では、私のデッキ……残りの、枚数は?
最初は50枚……初期手札で45枚……毎ターンカードを引いて43……32……20、18……そして、先ほどのターン開始時で──
17枚。
それが、私のデッキに残されたカードの枚数。
背筋が冷える。
点と点が線で繋がる感覚。
互いにカードを引かせるクリーチャーの効果も、互いのデッキトップを破棄させるクリーチャーの効果も……盤面に存在する『奇跡の祈り手』を除去しないプレイングも。
全てが、この、勝ち筋のために……!
今、理解しましたわ。
彼女が狙っている事……それは、つまり──
◇◆◇
『
1つ、ライフを0にされる。
最もオーソドックスな敗北条件だ。
クリーチャーでのビートダウンか、カード効果によるバーンか。
殆どのデッキの勝ち筋は、この『ライフを0にする』となっている。
そして、もう1つ。
私はその敗北条件をセレナへ満たさせるために、行動していた。
即ち、『ライブラリ・アウト』。
デッキ切れによる敗北だ。
『
殆どのTCGで採用されているルールと同様だ。
そして、『
その為に私は行動していた。
気付かれないように、ゆっくりと……そう『塩を贈る』とはよく言ったものだ。
カードをドローさせるなんて、普通は相手プレイヤーの利益にしかならない。
しかし、『塩』を過剰に接種してしまえば……身体に害を為す『毒』となる。
彼女の場には
その効果は強制効果……プレイヤーの意図とは関係なく、
即ち、彼女は1つ
彼女のデッキの残り枚数は17。
つまり、9回
彼女の持つフィニッシャー『豪風の天使』の打点上昇は
つまり、最大でも8点までしか上昇できない。
2体『豪風の天使』を並べても、本来の
2体並べて、2倍で18点。
場に残った『奇跡の祈り手』による打点で確かに20点は取れるだろう。
だがしかし、それは私が全く妨害しなかった場合に限る。
勿論、私は妨害を行う。
さぁ、ここからが読み合いだ。
デッキの残り枚数に怯えるセレナ。
その打点を受け流して見せよう。
「っ……!私は『奇跡の祈り手』と『豪風の天使』で、相手プレイヤーへ直接攻撃しますわ!」
>奇跡の祈り手 (1/3)
>豪風の
どうやら、気付いたようだ。
ここは余計にデッキを削らずに、次ターンへ繋ぐ……その判断は正しい。
「…………」
>ニーナ:ライフ19→17
「……これで私はターンを終了しますわ」
残り、17点。
しかし、余裕はない。
場の『奇跡の祈り手』2体で2点余分にあると考えれば……15点の余裕しかない。
であれば、
彼女のデッキの残り枚数は17枚……つまり、次ターンのドローを考慮しても8回は
彼女ならば、それが出来る。
今、このタイミングで……手遅れになる寸前に、私の意図に気づけた彼女ならば。
そう、確信できる。
「……ふっ」
楽しくなってきた。
これぞカードバトル、これぞ真剣勝負だ。
「……っ、何が、何がおかしいですの!」
直後、セレナが私を睨んだ。
「バカにしてる訳じゃない。ただ、この戦いが楽しいだけ」
「それが……それがバカにしてっ……!」
「セレナは楽しくないの?」
「……ふ、ふざけた事を……ペラペラと!」
不思議に思う。
これだけ、カードバトルが上手いのだ。
どれだけの研鑽を積んだのか。
どれだけの実践を積んだのか。
それは、カードが好きでなければ出来ない筈だ。
「否定しないのは、少なからず楽しんでいるから……違う?つまらないなら、つまらないって言えばいい」
「っ……ほんっとうにムカつく奴ですわね!」
……どうやら怒らせてしまったらしい。
だが、それでも彼女は否定しなかった。
さぁ、ここからが正念場だ。
私も、彼女のプレイに全力で応えよう。
◇◆◇
このカードバトルが楽しいか……なんて!
そんなのっ……!
『
カードバトルは!
欲しいものを手に入れるための力!
手段にしか過ぎない!
なのに、この女は……!
私は安東院 セレナ!
安東院家の跡取り娘!
勝つべくして、勝つべく者として生まれた女!
欲しいものを全て手に入れるために、強く生まれて、強く生きてきましたの!
欲しいものは……!
すべてっ……!
この、手で…………!!
「私のターン。カードを引いて、1枚をマナへ」
>ニーナ:ターン8
>ニーナ:手札3→3
>ニーナ:マナゾーン7→8
その為にも、この女は邪魔!
確実に屠らなければなりませんわ!
心の奥底から真っ黒な、コールタールのような何かが……満ちていく。
それはほんの少しの不快感と共に、強烈な闘争心と全能感に変わっていく。
少しずつ、昂っていた感情が冷めていく。
しかし、それは怒りが収まった訳ではありませんわ。
激情は冷徹へと変わっていく。
本能的な怒りは、理性的な殺意へと。
「私は手札から『病魔のドレイク』を召喚する」
>ニーナ:手札3→2
>ニーナ:マナ8→2
場に黒い靄……疫病を振り撒く風を纏ったドラゴンが現れた。
────────────────
⑥病魔のドレイク
クリーチャー・カード
種族:テラー・ドラゴン
防衛(「防衛」がフィールドに存在する場合、相手は防衛を持たないキャラクターに攻撃できない)
召喚時:場のクリーチャー1体に3ダメージ。
パワー3/タフネス6
────────────────
キーワード『防衛』を持つクリーチャー……!
私の速攻クリーチャーを受け止めるつもりですわね!
「その効果により、『豪風の天使』に3ダメージを与える」
>豪風の天使 (1/2)→(1/0)
『豪風の天使』は処理されてしまいましたか……しかし!
「そして、私はターンを終了する」
「では、私のターンですわね!カードを引いて、1枚をマナへ!」
>セレナ:ターン8
>セレナ:手札9→9
>セレナ:マナゾーン7→8
ですが、それは失策ですわ!
『病魔のドレイク』の
つまり!
「『奇跡の祈り手』で『病魔のドレイク』を攻撃しますわ!」
>奇跡の祈り手 (1/3)
この私を縛ろうとする『奇跡の祈り手』が、自壊できるということ!
これで使用可能な
「その瞬間、私は手札から
>ニーナ:手札2→1
>ニーナ:マナ2→0
「なっ……!」
この瞬間に、
「その効果は、場のクリーチャー1体の
────────────────
②理力の変換
高速呪文カード
場のクリーチャー1体は、ターン終了時まで-5/+0の修正を受ける。
その後、対象としたクリーチャーの持ち主はカードを1枚引く。
────────────────
しまっ──
「対象は『病魔のドレイク』。対象の
>病魔のドレイク(3/6)→(0/6)
>ニーナ:手札1→2
『病魔のドレイク』と『奇跡の祈り手』が衝突する。
しかし、『奇跡の祈り手』は無傷のままだ。
>奇跡の祈り手 (1/3)→(1/3)
>病魔のドレイク(0/6)→(0→5)
場を見渡す。
彼女の場には、
私の場には、呪文使用時にカードを引いてしまう、『奇跡の祈り手』が2体。
その内、1体は攻撃済み。
そして、残りのデッキ枚数は……16。
「……そんな……」
まだ、私のデッキに眠っている
その効果は、手札コストの減少、
────────────────
⑥天使長 セラ
レジェンド・クリーチャー・カード
種族:セイクリッド
召喚時:ターン終了時まで、自分の手札に存在するカードのコストはー1される。
呪文カードがプレイされた時:相手プレイヤーに1ダメージ、自分プレイヤーを1回復。
その後、+1/+1の修正を受ける。
パワー5/タフネス5
────────────────
これから引きに行った所で……この、残りのデッキ枚数では解決できない。
効果を発揮して、相手を削り切る前に……私のデッキが底をつく。
詰み……ですの?
私の、負け……?
「…………ぁ」
口の中が乾く。
私は彼女に『負けた方が勝った方の命令を1つ聞く』という賭けをしかけた。
その賭けは私からしかけたもの。
それを反故にする事は出来ない。
何を言われるか。
私は……私は、嫌われている自覚はありますわ。
ええ、そうでしょうとも。
このクラス対抗戦、決して私は……褒められる立ち回りではありませんでしたわ。
だからきっと……嫌われて、いる……。
嫌ですわ。
嫌ですわ、嫌ですわ!
こんな所で、失いたくない!
負けたら全てを失ってしまう!
勝たなければ、勝たなければ!
そして、この女を排除しなければ!
どんな手を使っても……!
疼く。
疼く、疼く、疼く。
身体の一部のように感じられる、バトルディスクが疼く。
バトルディスクにセットされた、私のデッキが……まるで、生き物のように疼く。
カードを引けと、そう、言っている。
「……………」
引いても何も解決しない。
それどころか、敗北へと自ら足を進めるだけ。
その筈なのに……。
なのに。
私には分かりますわ。
この『カード』を引けば『彼女に勝てる』と。
「……私は、手札から『真言』を発動しますわ。対象は『奇跡の祈り手』」
>セレナ:手札9→8
>セレナ:マナ8→8
>奇跡の祈り手 (1/3)→(1/5)
────────────────
⓪真言
高速呪文カード
場のクリーチャー1体は、+0/+2の修正を受ける。
────────────────
「…………?」
目の前の、彼女は困惑した目を向けていますわ。
ええ、そうでしょうとも。
ですが、私には確信がありますの。
「そして『奇跡の祈り手』の効果により、私はカードを2枚引きますわ」
指をデッキに乗せる。
まずは1枚──
>セレナ:手札8→9
引いたカードは……『新緑の回廊』。
今、最も不要なカードですわね。
────────────────
①新緑の回廊
呪文カード
カードを1枚引く。
────────────────
そして、もう1枚──
>セレナ:手札9→10
それは……決定的な『何か』。
私の中にある黒く、歪んだ……『何か』。
それが形を成した『カード』となって、私の手に握られていた。
こんなカード……デッキに入れた覚えはない。
そもそも、見た事すらない。
その効果すらも……。
しかし、使い方は分かっている。
だから、私は──
「私は手札から
>セレナ:手札10→9
>セレナ:マナ8→1
躊躇いなく、その『カード』をプレイした。
◇◆◇
セレナの場に、巨大な……赤黒い『何か』で作られた門が現れた。
大型の
セレナのデッキは小型の
いや、そんな事よりも──
何だ、この気色悪い感触は?
何だ、この不快感は?
空気が軋む。
強烈な威圧感。
肌を舐められるかのような、不快感。
それらが全て、あの巨大な門から放たれている。
「『
っ……!?
私は、自身のバトルディスクへ目を向けた。
そこには彼女が発動したカードの情報が表示されている。
────────────────
⑦
レジェンド・オーナメント・カード
場に出た時:自分の場のクリーチャー全てを、コストが同一の「カオス」クリーチャーへ、エクストラ・ゾーンから重ねて進化する。
自分がクリーチャーを召喚した時:そのクリーチャーを、コストが同一の「カオス」クリーチャーへ、エクストラ・ゾーンから重ねて進化する。
────────────────
……なんだ、このカードは?
レジェンドカード……?
これが彼女の……?
デッキタイプと相反するこんなカードが……?
「私の場に存在する2体の『奇跡の祈り手』を進化させますわ……!」
彼女の場に存在する『奇跡の祈り手』……それらの胸元から、赤い宝石のような棘が生えた。
それはクリーチャーを内部から貫き、異形へと姿を変える。
「『
可憐な少女達の姿はもうない。
そこにあるのは……赤黒い宝石の鎧……いや、鎧のような結晶に身を包んだ騎士だった。
────────────────
③
エクストラ・クリーチャー・カード
種族:カオス
進化元:種族「カオス」以外のクリーチャー
突撃(「突撃」を持つクリーチャーは、場に出たターンからクリーチャーに攻撃できる)
死亡時:このクリーチャーを自身のエクストラ・ゾーンに戻す。
パワー5/タフネス5
────────────────
目を見開く。
5/5の突撃クリーチャー……!
デッキ切れを起こす利敵クリーチャーを、強力な高
「『
>
っ、しまった!
『病魔のドレイク』の
赤い宝石の騎士が、私の『病魔のドレイク』を貫いた。
>
>病魔のドレイク (0/5)→(0/0)
瞬間、激痛が腕に走った。
「く、ぅっ……!」
衝撃がフィードバックして、私は一歩、後退る。
……おかしい。
今の……反動、変だ。
自身の手に目を向ける。
……痺れるような感触。
確かに、本当の痛みを感じていた。
バトルディスクのフィードバック機能……ではない?
じゃあ、これはいったい……何の?
「ふふ、ふふふっ!いい気味ですわね……!これで私はターンを終了しますわ!」
視線を、対戦相手であるセレナへ目を向ける。
様子がおかしい。
確証は持てないが、何かがおかしい。
確かに感じている違和感。
そして感じている不快感。
だが、それだけではない。
どこかで感じている……この、感覚。
私はこの感覚を知っている?
この威圧感も、不快感も……知っている?
息を深く、深く吐いた。
そして、拳を握りしめる。
手の痺れはもうない。
……今、このカードバトルを中断してはならない。
何故か、そう確信できる。
そして、この勝負に負ければ……私は、決定的な何かを失うという事も。
ならば──
負けられない。
「ふ……」
……ふと、笑みを浮かべた。
負けられないのは最初っからそうだ。
勝たなければらないのも最初っからそうだ。
このカードバトルに何を付与されたとしても、私のやるべき事は変わらない。
「……私のターン!」
戦って、勝つ。
ただ、それだけだ。
私はカードを、デッキから引いた。
────────────────────────────────────
本日、我々が下した決断についてと、その反省についてお伝えしなければならない事があります。
『既視の予知』は、デザインに失敗しました。
────────────────
①既視の予知
呪文カード
自身の墓場に同名カードが存在する呪文カードを1枚、手札に戻す。
────────────────
こちらのカードは、複数の呪文カードを連打する事で大きくアドバンテージを得るデッキで採用される予定のカードでした。
多くは呪文カードを主軸としたウィザード・デッキが火力呪文を回収する為に採用したり、打ち消しを複数採用したパーミッション・デッキで妨害札を増やす為に採用されていました。
それは我々、バトル・バランス調整班でも想定された使用用途でした。
しかし、皆さんもご存知の通り前回のチャンピオン・バトル・カップによって想定外の使用をされてしまいました。
それは『既視の予知』が墓場に2枚存在する状態で、手札からプレイした場合、『既視の予知』で『既視の予知』を回収できるというループでした。
こちらのループに関して、バトル・バランス調整班は当初から想定していましたが、成功率の低さ、安定感の低さから問題なしとしていました。
しかし、デッキから呪文を手札に加えるカードを大量に採用することで安定感を増し、『大天使 リコリス』といったコスト軽減カードにより早期に再現できる事が発覚しました。
────────────────
④大天使 リコリス
クリーチャー・カード
種族:セイクリッド
自分の手札に存在する呪文カードは、コストがー1される。
パワー3/タフネス3
────────────────
『既視の予知』を無限回数ループし、
────────────────
②マスカット弾
呪文カード
相手プレイヤーにXダメージ(Xはこのターン、自分がプレイした呪文カードの枚数に等しい)
────────────────
チャンピオン・バトル・カップでは上位8名の内、6名がこの『既知OTK』を使用していました。
このデッキの問題点は対策が難しい事、そして何より、手番が揃えば5マナで20点のダメージを出せる事になります。
下準備の間は相手プレイヤーと干渉しない時間が続くため、楽しくもなく、対策も難しいため過剰なストレスとなりえます。
プロシーンでの高い勝率、そして今後のカードプールに影響を及ぼし、プレイヤーを不快にさせてしまうこの『既視の予知』はデザインに失敗したと言っていいでしょう。
これらの理由より『既視の予知』は禁止カードとさせていただきます。
大変、申し訳ありませんでした。
カードバトル要素を
-
増やした方がいい
-
このままでいい
-
減らして欲しい
-
(アンケート結果だけ見たい)