5月とは思えない気温、突如とした豪雨。
二人のデートの行方は...!
「あぁ〜、あっつ。」
シャツの首元をパタパタさせる。
まだ今年は5月なのにも関わらず、夏かと思わせるほどの気温だ。
道端のベンチが目に入る。ちょうど日陰にあり、運が良かった。
ベンチに腰をかける。
ポケットからスマホを取り出すと、マネージャーから連絡が来ていた。
『ごめん、色々あって遅れちゃう!』
「もう…なにしてんのよ。」
ふふっと笑みがこぼれてしまう。
またかと呆れつつ、マネージャーが来るのが待ち遠しかった。
スマホの壁紙を眺める。
マネージャーとのツーショット写真。みんなには秘密にしているが、まほろはマネージャーと付き合っている。
今までのデートの写真を眺めることで、時間を潰していた。
数分後、こちらへと向かう足音が近づいてくる。
ふと、顔を見上げるとマネージャーがいた。
「もう、いつまで待たせるのよ。」
「ごめん。買い物してたら遅れちゃって...。」
マネージャーは袋からペットボトルの水を取り出す。
「はい、これ。」
まほろへとそれを差し伸べる。
「あ、ありがと。」
水は喉を素直に通った。
水は少しだけ、温かった。
「じゃ、行こ。マネージャー。」
マネージャーの手を強引につかむ。指と指を絡ませ、恋人つなぎにしていく。
マネージャーの手は大きくて、硬くて、男の人だと改めて思った。
「えっと、今日はなにするんだっけ?」
「ん?今日は古本見に行くの。昨日言わなかった?」
「そっか、また新しい買うんだ。今度また貸してよ。」
「しょうがないわね...。」
通りへと足を運びながら、会話を進めていく。
いつもは仕事関係の話ばかりだが、今日のような日は、そんなことは忘れたい。
二人で肩を並べながら、本を眺める。一緒に手に取り、話し、楽しんだ。
お互いの読みたいものについても話した。今度、交換会をすることになって、すごく楽しみな気持ち。
お昼時になり、少し栄えてる場所へと移った。
駅の近くにある有名なスイーツを食べに来た。
スイーツを待つ間、同様に趣味等の話をした。意外とまだまだマネージャーの知らない所は多かった。
パラソルの下、風が少しだけ涼しく感じた。ほんの少しだけ。
つい、会話が途切れてしまい、マネージャーの顔を見つめてしまっていた。
「な、なにまほろ?私の顔になにか付いてる?」
「いや、なんでもない。ただ...」
コトっとテーブルにスイーツが置かれる。
有名なこともあり、前々から一緒に来てみたかったのだ。
「ほら、マネージャー!写真撮るよ!」
スイーツと一緒にツーショット写真を撮る。新しい壁紙にしよう。
二人で一緒にスイーツを食べる中、マネージャーが口を開いた。
「まほろ、さっき言おうとしてたのはなに?」
「それは...うーん。後で言う。今は言いたくない。」
「そっか。あとが楽しみだな。」
「そういえば、マネージャー。さっき買った本の...」
再び先ほどの話を続けながら、スイーツを食べ進めた。
食後、再び歩み始めると空が曇り始めていた。
駅からは離れてしまい、すぐには戻れそうにはなかった。
スマホで確認すると、そろそろ雨が降り始め、激しくなってしまうらしい。
数分後、雨が降り始めた。予報通り激しくなり、まほろたちは目についたとあるホテルに入った。
部屋に入ってからあることを思い出した。
「ねぇ、マネージャー。ここってさ。」
「ごめん、言わなくていい...。雨が止むまでここにいよう。」
「そうね...。」
雰囲気も相まって、沈黙が続いていた。
こういう場所でやることはひとつ...でも、心の準備が...!
ふと、マネージャーに目をやると耳が赤く、気まずそうにしていた。
「ねぇ、マネージャー...。まほろ、大丈夫だよ。」
「いや、でもやっちゃいけない。恋人ではあるけど、マネージャーでもあるんだ。私にはできない...。」
「そう...。まぁ、仕方ないか。」
ベッドの上に置いたスマホが目に入った。
ある通知が来ている。
「あ、雨やんだって。」
「そっか。よかった。じゃあ出ようか。」
ものすごく気まずかったけど、少し期待した自分もいた。
マネージャーの隣から小走りに前へ行く。
振り向いて、マネージャーに告げる。
「ねぇ、マネージャーがマネージャーじゃなくなったら、また来ようね?まぁ、そのときにはまほろも声優やめちゃってるだろうけど。」
「それって...。プロポーズ?」
「そうよ!まほろにそこまで言わせないでよ...。ずっと一緒にいてくれる?」
マネージャーは深くうなずく。
「もちろん。」
その言葉は今まで以上に胸に響いた。
御読了ありがとうございます。
作者の麻歌論です。
長らく書いてなかったのですが、気分が乗ったので書きました。
恐らくまた長期間書かない場合もありますし、また直近のうちにあげる可能性もあります。
そこらへんは私自身の調子にもよるので、以後お見知りおきを。