──無駄な反感を買う可能性がある。フィクションの伝記を本物の伝記に混ぜ込むくらいなら、『第5部』の存在なんて必要ない。
ジョルノはそう言ったのだ。だが、ジョースターを信仰する現在のSPW財団はそれを認められなかった。
結局根負けしたジョルノサイドが完全監修の元、フィクションを練り上げた。ジョルノが最初からボスであるという前提の元、ブチャラティチームを主人公とし、ジョルノの側近にまで上り詰める物語。
だが……嘘は嘘だった。
ジョルノが、一般人……単なる、街を歩く『爽やかなやつ』だった期間は長い。当然、その頃のジョルノを知るものは多い。
誰もその爽やかなやつがギャングのボスだとは思わないし、そもそも漫画中の記述とも齟齬がある。
しかし嘘だとわかったからなんだと言うのか?
伝記を読む人々は、その真偽などどうでもいい。そこから人生の収穫が得られればそれでいいのだ。人間讃歌を唄えればそれでいいのだ。
*
「うっ」
ミスタの放った弾丸は、No.4の足をかすめるも、当たらない。だが、No.4の放った弾丸は、4発全てが命中する。
流血し、壁に手を置く。
「満身創痍じゃあねぇか……グイードミスタさんよォ〜〜」
「ミスタ! 大丈夫ですか!」
ジョルノの心配の声が上がる。ミスタの息も荒くなる。
「4……4か……そうだな……40の歳になる前に……ここで決着つけねぇとな。」
ミスタはその声には答えず、頭を回転させる。
「これは『試練』だ……己に打ち勝てっつー『試練』だと……俺は確かに受けとったからよォ……越えさせてもらうぜ。真の『覚悟』を見せてやる。」
ミスタの頬を、背筋を、冷や汗が伝う。今まで徹底的に避けていた『4』という数字。
ミスタはリボルバーに込めてあった弾を捨て……弾を手に出す。
そしてゆっくり一発ずつ、弾を込め……
『4』で止める。
「み、ミスタァ〜〜〜ッ!?」
「まずいぜッ、『4』を踏みに行くなんてェ〜〜〜ッ!!」
自分の鏡写しと言えるはずのスタンド、ピストルズたちまでもがその行動に驚愕する。
「気が狂ったか! ケヒヒッ、面白くなってきた! 来やがれ、グイード・ミスタァーーッ!」
まさに、気が狂ったとしか言い表せないような、破天荒な行動。『覚悟』が無いと行えないような、破天荒な行動。
「『4』の鎖を……今ここで断ち切るッ!!!」
そのままミスタは発砲する。一気に『4』発。『4』発の弾丸は蹴り返され、跳ね返り、ミスタに命中。
「まだまだ!」
『4』文字の言葉を発し……『4』発の弾丸を装填。そのまま『4』発発砲。『4』体のカルテットは、その弾丸を問題なく蹴り返す。
「ミスタ! このままだと死んでしまう! そんなことするくらいなら、僕のスタンドで──」
「いいや、ジョジョ! 俺に言っただろ、『覚悟とは暗闇の荒野に進むべき道を切り開くことだ』ってな……俺にとって『4』っつー数字がその暗闇の荒野だ! 今まで怪我してばっかりだったのはよぉ、切り開けてねぇ道に突っ込んじまったからにすぎねぇ! 俺はその道をッ! ここから切り開くッ!! 腹を括れピストルズ、一世一代の大勝負だァーーッ!!!」
──『第5部』が虚偽であっても、『結果』としてジョルノがボスで、その周りに元ブチャラティチームが存在するように。
今から起こることが嘘偽りの幻であったとしても。ミスタがNo.4に買ったという『結果』が残る。
「その『覚悟』……届いたぜ。」
その声を聞いたことが。その像を見たことが。単なる幻であったとしても──。
「な……」
「で、デケェーっ! 俺たちの4倍はあるぜーッ!!」
ピストルズが『4』を口にする。ミスタの深層心理が4を受け入れたのだろうか。
「ミスタァーッ! デコだ! コイツのおデコを見ろっ!!」
ミスタの背後に現れたその像の額。次いで全身。隅々までを見る。
「まさか……ピストルズのNo.4?」
「いかにも。」
6体いるピストルズにはそれぞれナンバリングがある。No.1~No.7。4は欠番。
その、欠けていたNo.4。
「No…………4? だとぉ……?」
困惑するは月光の、カルテット。
「ケヒヒッ……やってやるぜ、どっちが『4』に相応しいかッ!!」
No.4。ピストルズのNo.4。
四重奏。月光の
対峙し、カルテットが『覚悟』を決めた時。
決着はすでについていたのだ。
「俺の能力は『四元素』の射出……この世の全てだ。」
瞬きするうちに、カルテットは地面に突っ伏していた。冷や汗が伝う。
──ダメだ。勝てない。
カルテットの脳はそんな考えで埋められていた。
(おれのカルテットが操る弾丸は4つ……フツーのハジキの弾に、最初に使ってみせた黙らせる弾……そして敵を痺れさせる弾に、当てた位置に『マーキング』して他の弾に誘導をつける弾……俺は、完成された『4』だったんだ、負けるなんて……ッ!)
「おまえの敗因はたった一つだ。たった一つのシンプルな答えだ。」
ピストルズのNo.4は、言葉を残す。
「てめーは『4』を『越え』られなかった。」
*
──くどいようだが、ここでジョルノとミスタがみたこと、やったことが事実なのかは定かでない。だが結果として。今日この日、カルテットは再起不能。ミスタは『4』への態度がサラミ1枚分ほどわずかに軟化。ピストルズのNo.4は以降現れていない。
──ミスタは、このことをほとんど忘れた。それにより証人がジョルノ1人しか居なくなり、証明することもできない。しかし、証明など必要ないのだ。本当であろうと嘘であろうと、結果が良ければそれで良い。
この世界における『第五部』のように。
To Be Continued
書きたかっただけの回です。