5部メンバーとオーグチームとの間柄は、四部メンバーとは対照的な、ビジネスライクな関係性を意識しています。
カルテットの襲撃は、ジョルノたちが絵画のスタンド調査しに行く時だった。
この事実を重く受け止めた財団は、急遽責任者でもあるオーグをイタリアへ出向。状況確認と共に、解決に向けて歩み始めた。
「調査でわかったことを報告します。」
オーグはジョルノらパッショーネと会し、説明を始めるのだった。
「絵画のスタンド使いは、ミリ・ネイト、リン・カーミラの二名が接触して以降目撃されていません。現地にはこの二名の絵画があり、二名が攻撃を受けた際なんらかの手段で絵画のスタンド使いを撤退させたと考えられます。」
現場の写真が貼られ、説明は続く。
「現場には片方だけの手袋が落ちていました。この手袋は、ミリ・ネイトのスタンド『クロス・ゲーム』の発動条件となる手袋に酷似しています。」
説明者はオーグ・ディム。普段の態度からは想像もつかないような口調で、『モブ』に徹する。
「つまり、『クロス・ゲーム』の発動は失敗。本体は絵画になり手袋だけが残っている……つまりミリは敗北したというのが財団の見解です。」
「どうかな。」
なんてことない一言。その一言が、オーグを凍てつかせる。
「そこまでの話はもう聞きました。ミリが敗北したというのも、状況から見て明らかでしょう。必要なのは『クロス・ゲーム』の詳細、それ以外は無駄だ。」
「詳細……ですか」
*
「さて、ミスタ。絵画のスタンドと戦うにあたって……『何』が大切か。わかりますか。」
「そりゃあ……先手必勝! とかじゃあねぇか?」
「正解です。生命力を維持したまま絵画にするスタンド……『死』が絡まない分、発動条件は緩いでしょう。」
いつの間にか仕掛けられていた『トーキング・ヘッド』。そのスタンド使いは遠くに潜んでいた。絵画のスタンドにも、同じようなことが出来る可能性がある。
「今のうちに作戦は立てておくべきです。そして……彼のスタンドがなぜ発動せず、手袋だけは残っているのか。普通、本体が無力化されたなら手袋も消えるはず。ピストルズのように人格を持つスタンドならまだしも、人格を持たない手袋が残されているのは不自然だ。」
「確かにそうだ──でもよぉ、手袋がスタンドの一部とは限らないんじゃあねぇか? ミリとかってのがオシャレなヤツかも。」
「はは、良い視点ですね。ですがその可能性は考えないことにしましょう。彼とは一度会っていますが、その時には手袋を付けていませんでしたからね。」
そして、目的地の路地が見えてくる。2人は口をつぐむ。
通行の止められた道路。路地に入る壁に背を預け、横目に確認する。絵画を確認。手袋も、そこにあるだろう。
素人であれば息が詰まってしまうような緊張。2人は気にも留めない。
──やがて、誰もいないはずの路地に、足音が響く。
標的がいるということを、察知する。
戦いという言葉を知らず、芸術を追い求めるのみの、堂々とした足音。
足音が…‥止まる。
ついに飛び出した2人。同時に、銃声。立ち止まった対象の頭を瞬時に把握し、発砲。
銃弾は音速を超える速度で、その男の頭蓋を撃ち抜く──。
「……仕留めた。」
「いや、どうやらハズレだったようです。」
──絵画は、解放されないまま。
「ミスタは警戒を。」
言いながら、ジョルノは件の絵画と手袋を見る。
「財団の情報では手袋を投げることで決闘に持ち込むスタンド……しかし、なぜ手袋を『両方』脱いでいるのか……」
絵画には、ミリのスタンドの帽子こそ描かれているものの、手袋が描かれていない。素手が描かれている。ここにある手袋は一つだけ。
「……まさか。」
ジョルノは手袋を掴む。何も、起こらない。
「決闘には相手が……自らと相手の2名が必要。しかし、ミリは絵画になり、絵画のスタンド使いはスタンドの条件を知らなかった……なら、『対戦相手だけがコートに上がる』こともありうる。つまりは……」
その推論を確かめるために。
──ジョルノは手袋に指を通した。
目の前が、光に包まれる。
そして……白いだけの空間に、1人の男が佇んでいた。死んだかのように一点を見つめ、木のように立っている。
「あんた……誰です?」
「対……戦……相……手……か……」
掠れた声が紡がれるのは遅く、いつぶりかの発話である事を思わせる。
「早……く……終わらせ……て……くれ……」
名前くらいは知っておきたい。と考えたジョルノは辺りを見渡す。
果てしなく白い空間だと思ったその場所には、マットが敷かれたように、段差のある部分が存在した。バトルコートだ。
「長い長方形のマット……もしかして、彼の『クロス・ゲーム』はフェンシングのようなスタンドなのか? だとしたら……そうだ、これが競技だと考えれば……『対戦表』があるはず!」
できて当然。あって突然。その思いに、手袋が。クロス・ゲームのスタンドが応える。
「────エイドス、それが彼の名前ですか。」
得られた名前は、シンプルな者だった。家名はなく、『本質』という意味の哲学用語、エイドス。それが名前だった。
しかし、ジョルノは確信に至る。
「あんた……画家ですね。それもあの場にいた……画家だ。」
エイドスの服装。本質という名前。この場所にいる理由。それを全て合わせて、ジョルノは彼こそが問題の画家であることを見抜く。
「ああ……そう……だ……だから……」
そして掠れた声は、縋り付くように続ける。
「──終わらせてくれ……」
「『
クロスゲームの号令が鳴り響く。コートに上がったジョルノは、ゴールド・エクスペリエンスを出す。レクイエムではなく、そのままで。
「『
ジョルノは拳を引く。振りかぶる。
──この技には技術が必要。初めて使った時に起こったあの『偶然』を再現する……!
小指の立ったG・Eの拳は、エイドスの腹を貫く。
「──!?」
「お前を楽に死なせることはできない……突然絵画にされ、時間を奪われた者たちの分な苦しみをゆっくり味わいながら……ゆっくり『終わって』いけ……」
こうして、エイドスと絵画の事件は──
──『終わり』を迎えるのであった。
クロスゲームが作り出した空間の中は、現実と時間がズレています。エイドスは白いだけの部屋で1ヶ月は過ごしてます。
対戦が一瞬で終わるのはミリの剣術がすごいってのももちろんありますが、空間の中の時間がズレてるってのもあります。
***
スタンド名 -『キュ・ビ・ビ・ビ・ビ・ビ』
本体 -『エイドス』
【破壊力 - E / スピード - A / 射程距離 - B / 持続力 - A / 精密動作性 - A / 成長性 - A】
①:本体と一直線上に居る相手へ、『比率を測る動作』つまりグッジョブのようなハンドサインを向けることで、相手を複数の立方体に分割する。立方体は床や壁に触れると染み込み、キュビズム絵画になる。立方体は、手を向けた状態なら、浮かせて運ぶことができる。
②:スタンド自体に致死性は無く、絵にされている間は意識も失った状態となるようだ。