キィィーーーン……飛行機の中は、エンジンの音が鳴り響いていた。プライベートジェット。アルビンに代表される研究員が稼いでるおかげか、財団も随分潤ったものだ。
「行動を確認する。12人──残り11人の被験者の捕獲ないしは抹殺を目的とした今作戦。本部では『
杜王町。数奇な因果で、スタンド使いが多く集まっている場所。
「数名とは具体的に誰を指していますか。」
ミリは、メモ帳を取り出して几帳面にメモを取り始める。
「広瀬康一。彼は窓口でもある。まずは彼に接触し、杜王町のスタンド使いの協力を仰ぐ。」
「協力を仰ぐ? アポを取っていない?」
「ああ。イライジャ、財団内での杜王町の扱いを知らないのか。」
「えぇまぁ、縁もなかったですし。」
財団内でのスタンド使いは、基本的には特殊な名札を身につけた上で、通常の研究員と同じように研究をするか、傘下企業に勤務する。名札には機能があり、そのひとつが財団からの緊急連絡の受信。
だが、杜王町のスタンド使いにはその機能はない。共通して位置情報の発信はあるが、定期連絡、緊急連絡ともに無いのだ。
「──それも、空条承太郎が彼らの『日常』を邪魔しないようにと計らったものらしい。まぁ私からすれば、ミスター承太郎とはいえなんと面倒なことをしてくれたのやら。そのせいで私たちがいちいち広瀬康一を通じなくてはならないのだからな。」
「財団内部のスタンド使いは使えねぇのか。アルビン・ジャーニーとか居るだろ。」
発されたのは、知る者からすれば常識知らずなセリフだ。
「説明が必要か? ミスターアルビンはまず多忙だ。戦闘向きのスタンドでもない、今回の任務には全く向かない。それに、どうやらお前はスタンド使いが財団内に沢山いるとでも思っているのか? スタンドの矢はイタリアの財団協力組織であるパッショーネに全て預けてある。全てだ。お前のようにらスタンド使いが確認され次第財団に取り込んでは居るが……」
オーグは、やはり少しアツくなってまくし立てた。適当にアルビンの名前を出したのがいけなかったのだろうか。
アルビン・ジャーニー。年齢は推定30代で、男性。未婚。SPW財団の表舞台での活躍を支えた立役者である。
SPW財団の事業には、石油産業の他にも製薬部門、育児・介護部門などがある。
アルビンは製薬部門に身を置きながら、育児・介護分野に規定される開発品を発表、部門の首席研究員を優に凌ぐ成績を残す。当然製薬部門でも多様な新薬の開発に従事し、いずれも多大なる功績を収めている。
その研究は表舞台に大々的に発表され、結果としてSPW財団という存在を市井の一般人へ良いイメージで定着させることに成功した。財団の影響力にも多大なる貢献を果たしている人物である。
そんなアルビン・ジャーニーへスタンド使いとして戦う義務を被せようとしたとも見られるイオの発言は、確かにオーグの神経を逆撫でしたと言う他ないだろう。
「人手不足なんだな……財団。そういえば研究対象12人は全員スタンド使いだったんだよな。なんの研究をしてたんだ?」
「研究内容は任務には関係ない……そもそも私には伝えられていない。」
「スタンド能力は全員分把握してるんですよね?」
「あぁ、全員能力は無かった……研究所に居た時点ではな。だが殻割れが確認されてはあてにならん。」
精神の殻が割れることによるスタンド能力の覚醒……オーグは少し頭を抱える。
そこに、物音。
ガン!
「……おい、揺れてるぞ!?」
「操縦士!」
「コントロールが……効きません! なにかに取り付かれたッ!」
リン・カーミラ、口を開く。
「ジョセフ・ジョースターの自叙伝、読んでないんだ……飛行機なんて、落ちるに決まってるでしょ。バカども。」
「ああ! クソがッ!」
「エンジンまで止まりやがった!?」
慌てふためく事態。
「うん、パラシュートで脱出しよう!」
「そんなこと言ったってよォ〜、イライジャ! 下は海だァァッ!!」
「《ザ・ラァァァァーーーッシュ》!!!!」
イライジャのスタンドが繰り出される。近接パワー型。それはラッシュを繰り出す。窓に居る、その敵スタンドに。
「ケキァッ!」
声を上げて、スタンドが離れる。だが──
「吸い込まれるぞォーーッ!!」
窓が、壁が割れたことにより、風が吹き込む。
「名札だけは死守しろッ!」
オーグの怒鳴り声。
「パラシュートは付けたね! 行くよォォーッ!!」
状況と対照的に楽しげな、イライジャの声。5人……操縦士も含めて6人は飛び出し、パラシュートを展開して降下する。海へ。
「……《アイアン・ロータス》」
「わっ……蓮の葉?」
リンのスタンドが出される。それは、蓮の葉の見た目をして海に浮かび、パラシュートの着地地点となる。
「助かった!」
「前……見ろ。」
どちらが前か分からないが、リンが指した方向には、スタンドが浮かんでいた。
「迎えに来たエコーズ……じゃあないな」
白色の、エコーズACT1のような見た目をした遠隔操作型スタンド。
「No.3の刻印……シャンソンか」
そのスタンドの肩にあたる部位には、No.3と刻印がある。そこから割り出したのだろう。スタンドの名前は、シャンソン。
「ハァ……本っ当に……最低な場所だよ、財団。私みたいな子供に戦わせるなんて……」
リンは呟くと、目を閉じる。
「ウスノロのバカども……知らない……みんな死んじゃえばいいんだ!《アイアン・ロータス》!!」
リン・カーミラ
スタンド:《アイアン・ロータス》
注意事項:スタンドを発現した場合破壊衝動の制御が効かなくなる 状況により処分も考慮に入れること
余談
アルビンジャーニーは私が別サイトで投稿していた過去作から引っ張り出してきたキャラです。