Pみつプロポーズ(?)ものです。

スランプ脱却のために書きました。

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三峰がやらかす話

「じゃあ……乾杯」

「乾杯!」

 

 個室の居酒屋でプロデューサーと結華はビールジョッキを軽くぶつける。

 三峰結華、25歳。

 アンティーカのメンバーであった彼女だが23歳の時にアイドルを卒業した。霧子の医大進学のためのいち抜けもあったが、アイドルであり続けることによる将来への不安もあってモデルや女優ではなく化粧品メーカーに就職した。

 283プロの事務方として居座り続けるのも考えたしプロデューサーに追い縋れたのだが、断った。

 理由はたった1つ。結華はプロデューサーへ告白し振られて、その恋愛感情を清算するつもりだったからだ。

 しかしその企みは失敗することになる。

 

「――まさか、Pたんが三峰の告白を受けてくれるとはね」

 

 そろそろ付き合い始めて2年だ。

 告白を承諾したときはかなり驚いたしかなり嬉しかったが……娑婆への転職は断らなかった。これは職場恋愛は色々こじれる可能性もあったし、杞憂かもしれないが面倒なスキャンダルを避けるという理由もある。

 

「未だに自覚がないのか?」

「いや、まぁ流石にそろそろ2年経つし色んなことをしたりされたりしたので自覚はしておりますが……うん……やっぱり改めて考えると信じられないなぁって」

「――結華」

「あ、ごめん嫌だっ――んっ!? ……」

 

 彼は強引に結華の顎を手で捕まえてキスをした。

 アイドルからの恋愛感情に対しては鈍感なくせに、自分と彼女の恋愛に関しては強引で子供っぽいところに心がときめく。

 結華は幸せだった。

 

 

 幸せなのだが……。

 ビールをちびちびと飲みながら結華は彼の表情を窺う。

 付き合い始めてそろそろ2年。もう次のステップに行っても良いだろう。

 例えば結婚――

 

(いやいやいやいや、私まだ25だし)

 

 結華はそうやって頭を振ったがどうしても煩悩は拭えない。

 つい先日の母親からの催促の電話、元アンティーカメンバーとの恋バナ――と言うより三峰によるPたんとの惚気話とともに交わされるからかい。『283アイドルの悲願だったプロデューサーとの恋を実現したんだから、結婚する権利と義務がある』と幾度も言われた。

 結婚……

 

「――あなたは、結婚についてどう思う?」

「え?」

 

 その言葉にバンバンジーを咥えたまま彼は呆けた顔をした。

 しまった、と思った。

特に昨日摩美々とのランチで散々いつ結婚するのかと訊かれたのだが、まさかポロリと口に出してしまうとは。

 

「え、あ、ごめんね! 昨日まみみんにすっごく訊かれたから……それに他の元283アイドルのみんなに結構訊かれることもあって……それで、ちょっと――ポロって漏れてしまったといいますか………」

「………あぁ」

 

 結華はいつもよりも早口になりながら言い訳をするが、どれもしっくりもこないためどんどん言葉はフェードアウト。

 でも煮え切らない彼の唸り声に、もう少しだけ踏み込んでみたくて

 

「それで……どうかな……? 結婚について……」

「………――」

 

 追撃を加えても、彼の表情は固まったモノだ。

 どう言えばいいのか、と言わんばかりに困惑し悩み果てる彼の表情に結華は少し納得したような、しかし残念な思いが生まれる。

 

(そりゃあそうだよね……。いきなり結婚なんて、まだ考えてないよね……。それどころか――)

 

「――あー、ごめんごめん。特に深い意味はないから、だから――」

「ちょっと待ってくれ」

 

 強引に話を終わらせて話題を変えようとした結華を彼は無理やり止めた。

 その表情は恥ずかしさと緊張交じりだが、いつも以上に真剣な彼のものだ。

 

「1ヶ月。――1ヶ月後の告白記念日に……その、今はそれしか言えなくって、ごめん……」

「……――それって」

 

 彼の言葉の意味を咀嚼、吟味した結華は自分の行いとそれが引き起こした過失に気づいた。

 

「………もしかして、――いや、もしかしなくても、三峰やらかした?」

「………そう、なる……な」

「ごめん……」

 

 やってしまった。

 自己嫌悪に陥り机に突っ伏した結華に彼は少し苦笑してしまう。

 

「ちょっとPたん! 確かに三峰が悪かったけどさ、笑うことないじゃん!」

「あぁごめんごめん。お詫びとしてはなんだけど、さ」

 

 彼はいつものように、彼が結華のプロデューサーであったときに仕事を取ってきたときの満足げなキメ顔で言った。

 

「1ヶ月後は楽しみに待っててくれ」

 

 彼のその表情に、結華はとても弱かった。

 

 

 1ヶ月後。ホテルの個室レストランでのディナーとプロポーズを終えた2人は同じホテルの一室で。

 

「まさかあなたがあんなプロポーズをして来るなんて」

 

 あの時の個室の匂い、音、あなたの声色、告白の内容――一字一句覚えている。

 結華は薬指に嵌められた指輪をなでる。指輪に付いたダイヤは尖っていて少し痛い。

 

「からかわないでくれ……。じつはあの内容、2週間かけていろんな人に協力してもらって完成したものなんだ」

「そうなの? ……もしかして事務所の人や元アイドルのみんなが先に内容知ってる?」

「まさか、ある程度はぼかしてるよ」

 

 ベッドに2人並んで腰掛ける。彼の左手に嵌められたツンツンする指輪を結華の右手が撫でる。

 

「――それで? 今夜は三峰にどんなことをするのかな? ――っ」

 

 羞恥をごまかすように軽口を言った結華を彼はベッドに押し倒した。

 

「……『三峰』、じゃない」

「あ……そっか」

「………婿養子が良いのならべつに良いけど」

「そうなるとPたんも『三峰』にならない?」

「あー……まぁ、そこらへんは追々親戚一同と協議することで」

「――うん」

 

 覆いかぶさった彼の下で結華は腕を広げて彼の首に抱き着いた。

 

 




スランプ脱却用に書きましたが、脱却できていない気がします。

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