SAOエンジョイ現実還りたくない勢の話。
絶対いるでしょこういうの、って見切り発車です。
いつだって、祈っていた。
明日が来なければいいのに、なんて。
そしてその日はもう、限界だった。
会社に行くのも億劫で、だから初めて無断欠勤した。欲しいゲームを何とか買って、そして、そのまま。
『………』
空虚な赤いフードマントが沈黙し、そして赤い通知に染まる空が、夕焼けの色を取り戻す。周りから悲鳴、怒号、絶叫が聞こえ始めて、そして崩れ落ちる者まで現れていながら、おれは呆然としていた。
その正体、この
ただ赤い空を見上げ、そして息をする。
呼吸すらも空虚なものに思えて、そして。
笑みがこぼれる。
仮想世界という名の、天空の城を模した牢獄。
そこに幽閉されて、デスゲームに巻き込まれたから、
「………は、ははは……あはははは!」
笑う。
「ははははははははっ!!」
笑う。
「あははははははははははははっ!!!」
笑う。
壊れたように、感情が噴き出していく。
周りの視線が一気におれへ向けられるのが、分かる。それでも止められない感情噴出に、自分でも驚いた。こんなにも、こんなにも。
嬉しいものかと。解放感があるものかと。
………んで、落ち着いてから。
視線が凄く恥ずかしくなって、その場から逃げ去る。
そうして走る中で、はじまりの町の門を抜けて。
独り。腰の剣を抜き放ち、現れた青猪に叩きつける。
瞬間、その青猪は完全に動きを停止し、頭の上にあるHPバーが一気に減っていく。そしてその身体に硝子のような亀裂が入ると、光の欠片となって消えていく。
パシャーン、という硝子のような破砕音。
それはまるで、祝福のクラッカーのようだった。
「社畜、解放だあああああああああ!!!!」
表示された経験値と金額を示すウィンドウすらも気にならず、寧ろそれを置いていく速度で駆け抜ける。
ひたすらに、平原を、森を、迷宮を、駆ける。
そう、明日から会社に行かなくていいのだ!!!
喧しい上司もいない!!
多すぎる仕事もない!!
夜明けから夜更けまで働く必要もない!!
おれは、とんでもない幸せ者だった!!
ありがとう茅場晶彦!!
おれ
こうして、浜崎八雲こと、プレイヤー【ヤクモ】は、この世界をひたすらに走り出したのだった。
いつの間にか、攻略最前線に躍り出て。
また【騎士】なんて異名をつけられるとも知らず。