アホリズム-孤独な箱-   作:悠士

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3話外典 宴(うたげ)

 どんなに逆さてるてる坊主を作ろうが、どんなに神に雨を降るように祈ろうが世界ってのは常に非情である、まさに今日のような散歩日和とも言えるような天気ように

 だけど楢鹿高校の生徒はそんな呑気なことは思えなかった

 

 そして今日も蝕が来る---そのとき

 

 空の島から正確にはわからないが島から「何か」が校庭に落ちてきた

 

「来たっ!!」

 

「今日は何っ!?」

 

「と・・・取り合えず外に・・・」

 

 教室の中が騒がしくなったころ黒峰は窓の外、落下物を見ると「それ」は目を疑う光景が広がっていた

 

 快活な笑い声

 

「それそれもっと飲め飲め、酔いがさめてしまうぞ」

 

「おいこりゃ(から)だよ、それを取ってくれい」

 

「あいよぉ」

 

 なんとも楽しげな雰囲気(ふんいき)で酒を煽っている

 

 日向に続いて校庭に出たが

 

「・・・・はい?」

 

 校庭に出たみんな、恐らく校舎の中の生徒もぽかーんとしているだろう。黒峰は唖然とした「こんな蝕もあるのかと」

 

 すると日向が能力を発動して該当する文字を探すていくと一つの文字にたどり着く

 

「・・・・『宴』か?」

 

 頭を掻いて悩む日向に六道が向かった

 

「日向くん日向くん!!!あれ何!?なんて言うの!?」

 

「んーーー・・あーーーーだからなぁ・・・いいか!!!オレは物知り博士じゃねぇんだ!!!そんなになんでもかんでも聞くな!!!」

 

「つまり今日の日向は無能・・って事ッスね!」

 

「なんだとぉ!!!」

 

 黒峰が親指を立てながら言うと拳を上げながら振り返った

 

「もしかして・・・・それってつまり『初めて見る敵だから対策がない』とか・・・・?」

 

「・・・・言い得て妙だな」

 

 人差し指を立てて答えた

 

「えぇっ!?じゃどうするの!?」

 

「・・・・・そうだな、袴田くんちょっと来てくれ」

 

「・・・・・は、なんだよ・・・!?」

 

 このとき黒峰は悟った、日向は袴田をぎs・・・調査員としてあの蝕に当たって砕けて来いと、文字通りの意味で

 確かに袴田の文字は「蘇」、死んでも何度でも生き返るから不明な蝕を調べるのに丁度いいって訳だ

 

「君の犠牲によってみんなが救われるわけだから・・・そこら辺わかれ」

 

「ああ!!?」

 

 日向が説得していると六道が割り込んできた

 

「ちょ・・ちょっと待って・・・ダメだよそんなの!!!こう見えても袴田くん小心者なんだから!!!」

 

「ぶっっ!!!---っくっくっく!!」

 

「てめーが言うな!!!それに黒峰笑うんじゃねぇよ!!!」

 

 六道の言葉に日向が反論を開始する、六道のフォローになっていない言葉に流石に笑うなって言う方が無理だった

 

「よく考えろよ!!!じゃあなんの為の袴田なんだ!!!」

 

「どういう事だそりゃあ!!!オレはリトマス紙か!?」

 

「ぶっっっ!!!----っくっくっく!!!」

 

「おい!!黒峰てめぇーはいつまでオレを笑えば気が済むんだ!!!?」

 

 同類の共感を持った六道のセリフや袴田の最後の一言で黒峰は数分笑い続けた、おかげでお腹が痛い

 

「だぁーーーーーーーーーー!!!っせんだよ!!!こぞって何も思いつきゃしねぇクセに!!!おまえらは!!!黙って!!!オレに!!!従やいいんだよ!!!」

 

 日向は実は気が短いのかついに本音をぶちまけた

 

「本音かますなって」

 

 長い付き合いの美濃はやっぱりかーと呆れていた、「宴」と思われる蝕をじっと見つめる女子が何を思ったのか突然比良坂の腕を引っ張った

 

「わ・・」

 

「ねっねっ行ってみましょうよ!!!あの方々絶対いい人ですよ!!!」

 

(はっ!!?いい人!?絶対!!?・・どこから来るんだその自信!!?)

 

 そのまま比良坂を引っ張りながら蝕に向かって行った

 そしてさっきまで口論していた集団はみんな袴田を無言で見つめ、それに耐えかねたのかやっと動き出した

 

「行きゃいいんだろうがよぉ・・・」

 

 先に行った比良坂と正田(しょうだ)エコはなぜか酌をしている

 頭がはげて髭が伸びている爺は酌をしている嫌がる女子を無理やり近寄らせている

 

「やめろエロじじい!!!」

 

 袴田は蹴りを一発入れると今度はさっきまで騒がしいほど酒を飲んで楽しんでいた者たちは急に静かになった

 

「酒の味も分からん小僧っ子が・・・小癪なマネをしおって・・・・・」

 

 帽子を被って立派なあごひげを生やしている爺が怒りを露にするといっせいに周りの者も袴田を見た

 その目は人間の白い目とは違い悪魔や怪物なんかの目と同じ黒い目に変わっていた

 

 次の瞬間、見られた袴田は頭を吹っ飛ばされた、首と頭が分かれたのではなく文字通り頭自体が爆発したのだ

 そのまま体だけになった袴田は勢いに従い離れた位置にいた日向たちのところまで飛んでいった

 それを見た黒峰は犬が目上の犬に本能的に従うようにあの人たちに本能的に従うしか選択肢が浮かばなかった

 

「さぁさぁいらっしゃいな!!!」

 

「ほーれ、そこの(おのこ)らもこっちへ来て酌をせんかい」

 

 袴田(ごみ)がいなくなったことで酒を再開し始め、黒峰たちまで酌をするように誘ってきた

 

「------六道、黒峰・・・・酌しに行くかぁ」

 

 六道は啄木鳥(きつつき)みたいに首を立てに振った、何故か姿は部屋の鍵につけてるペン太くんになってた、それから酌をしては酒を飲んだりなど言われるがまま従った

 

 すると中央に文字が出現して何かのブザー音を鳴らした

 

「なんじゃもうお開きか、早いのぉ・・・」

 

 お開き、つまり終了ってことで安心していると絨毯が体を通過しながら浮いて空へ向かっていった

 見上げるとそれは船になっていた

 

「船ーーーーー!?」

 

 空の島が太陽からずれると船は透けてきて最後には消えた

 

「・・なんだったの?」

 

 ペン太くんから人間に戻った六道は当然の疑問を漏らした

 

「さぁーな」

 

「しかも・・・全然参加してない人とかもいたけど・・・え?何この蝕・・・こんなんでいいの?」

 

「い・・・いいんじゃないッスか?・・取り合えず今日の蝕も終わったんスから」

 

「たまーーーにあるんだよ、ああいう・・・意味のわかんねぇの・・・」

 

「そもそも試練でもなんでもないよね・・・」

 

「・・・今日の六道は冴えてるな」

 

「---そんなの嬉しくないよ」

 

 

【この人生きてます 1組】

 

 現在再生中の袴田の横に立て札を立てている

 もう殆ど直っていて、すると

 

「うわっ!!あせった!!!今頭が吹っ飛んだかと思った」

 

 起き上がった袴田は両手で頭を触り確かにあることを確認した

 

(いや・・映画のCG以上にグロかったよ・・ピーーーが見えていたし・・・)

 

 黒峰は慌てる袴田にそんなことを思った、頭を吹き飛ばされた部分はトラウマものだった、その日の食事は肉類をすべて避けて野菜しか食べなかった

 

 

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