日本の土を踏みに来た理由
此処は某日本最大のターミナル。取引先に向かうサラリーマンに旅行に向かう家族連れ、新婚旅行の話題に花を咲かせるカップル。そんな多種多様な人々が行き乱れる場所で、一人の少年が出口に向かってキャリーバックを引きずっていた。
「・・・8年振りの日本だ。フー
そう呟く人形のような綺麗な顔立ちをした少年の名は、リリー・テイラー。この物語の主人公である。彼が日本に降り立った訳は数ヶ月前に遡る・・・
※ ※ ※ ※
数ヶ月前、リリーは自室で自らが大学で研究している分野についての卒業レポートを纏めていた。
「んんー・・・。よし、あとはこれを教授に提出するだけだ。徹夜した甲斐があったよ〜。
そう言ってリリーがピザに手を伸ばしたとき・・・
「リリー、入るわよー。」
扉の向こうで、リリーの名を呼ぶ声が聞こえた。
「入って良いよ。ママ。」
リリーがそう言うと、一人の美しい女性が中に入ってきた。彼女の名はユキ・テイラー。名前だけでは分からないが、黒髪に黒い瞳をしたれっきとした日本人である。
「どうしたのママ?まだdinnerの時間じゃないけれど?」
「そうじゃないのよ。少しお父さんが、リリーに話があるって。」
「僕に?」
「結構大事な話らしいの。だからリビングに来てちょうだい。」
「分かった。教授に卒業レポートを送ったら行くよ。」
そう言うと、リリーは自らのレポートをピザを咥えながら教授に送信したのだった。
※ ※ ※ ※
「ママーパパー、卒業レポート送れたよー。それで、どうしたのパパ?大事な話って。」
リビングに降りたリリーが座った机に向かって座っていたのは、筋骨隆々でスキンヘッドの
「まぁ、座れ。・・・大学はどうだ?卒業は出来そうなのか?」
「うん!教授と相談しながら作ったし、卒業は問題なく出来そうだよ。」
「そうか・・・、卒業したあとはどうする気だ。」
「大学を卒業したあとか〜、・・・旅行したいかな、最近勉強漬けだったし。」
そうリリーが言った瞬間、デッカードは待ってましたと言わんばかりに
「そうか!旅行がしたいのか!」
「う、うん。何か・・・企んでる?」
「いやいや、そういう訳ではなくてだな。留学してみないか?日本の高校に。」
その瞬間リリーは、宇宙猫状態になっていた。
(留学?Why!?僕もう大学卒業するんだよ?そりゃあJapanで言うと、まだjunior high school studentだよ?というか、何でjunior high schoolをすっ飛ばしてhigh schoolに?こう言うのを日本のネットスラングではspace catになるって言うんだっけ。あれ?違った?)
「あなた・・・いきなり留学してみないかなんて言うもんじゃないわよ。混乱してるじゃない。リリー、大丈夫?」
「え、あ。うん。別に留学は大丈夫だけど・・・転校先の高校は、飛び級の僕を受け入れて大丈夫なの?日本は飛び級を認めて無い高校が多いけど・・・。それに住まいはどうするのさ。」
リリーが不安そうな顔をしながら言うと、デッカードは大きく頷きながらこう言い放った。
「安心しろ!留学先の高校の理事長とは話を付けてある!!それに、住まいは日本に投資の為に買った
「boy・・・?もしかして、フー兄の事?」
「そうだ!!すでにイサナリには、世話に成るかもしれないとメールで送ってある!!」
しかし、リリーはそう自慢げな父に
「折角だから、行ってみなさい。それに貴方、風太郎の事大好きでしょ?」
「パパの
そうして、アメリカの某有名大学を飛び級且つ首席で卒業した12歳の少年は、勉強尽くしで味わう事の出来なかった青春を謳歌する為に日本に飛び立つことを決めたのだった。
(
ほくそ笑む父親の顔には気付かずに・・・。
風太郎達は次回出すかもです。