お仕事で沙季さんのファッションショーを見ていると、ふと思いつきました。

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白石千紗の絶叫

 その日は、いつものように小鳥の鳴く声と共に目覚めた朝だった。

 

 しっかり者のお姉ちゃんの負担にならないように、と始めた早起きもいつの間にかすっかり習慣がついてしまい、ここ東京の寮の中でも朝は早い方だという自覚がある。

 

 私は洗面所で顔を洗い、髪を整えると一人リビングへと向かう。

 

「あら、千紗ちゃん今日は休みなのに早起きね。おはよう」

 

「目が覚めちゃって……おはようございます。遥子さん」

 

 リビングには私より先に起きていたらしい遥子さんが朝食の準備をしていた。最近はサニーピースの活動もあってこういって皆で同時に休みを取れる日は久しぶりだ。

 

 できればお姉ちゃんも一緒に居られたらよかったななんて思っていると、ふと、テーブルの上にメモ書きの紙が置かれていることに気が付いた。

 

「遥子さん、これは?」

 

「うん?あ、それはね、今日沙季ちゃんが海外のファッションショーに出るでしょう?テレビにも映るみたいだから忘れないようにメモに残しておいたの」

 

 改めてメモを覗けば確かにそこには時刻が書かれている。現在の時刻と照らし出すと、もうすぐ始まるみたいだ。

 

 なんでこんな大事なことを忘れていたんだろう。

 

「て、テレビつけていい?」

 

「いいわよ。まだ寝ている子もいるから音量は小さめにね」

 

「うん」

 

 私は慌ててテレビをつけ、チャンネルをそれに合わせる。

 

 少しすると、テレビの中の映像が立派なお洒落な会場とランウェイを映し出した。

 

 そこから姿を現すのはこれまた立派で美しい女性の姿。体の線は細く、お尻は大きく、ウエストはくびれている。長い脚で堂々とした姿はとてもかっこいいと思える。

 

 そんな女性を更に彩っているのはその衣装だ。胸元をぱっくりと開いたその衣装は恥ずかしくなってくるが、黒のレースで仕立てられたその服はただでさえかっこいい女性を更に引き立てている。

 

「わー!」

 

 思わず声が出てしまう。私が憧れた可愛いモデルとは違うが、かっこいい女性とかっこいいファッションは同じ女性として尊敬の念を持ってしまう。

 

 こんどfranさんにお話を……でも私一人だとちょっと怖いし、お話聞いてくれるのかな…。

 

 そんなことを考えているうちにファッションショーは徐々に進んでいく。

 

 お姉ちゃんはいつ出るのか楽しみにしながら、同時にちょっとだけ不安を抱えながら見ているといよいよその時が来た。

 

「え」

 

 見慣れたベージュの縦ロールに紫の瞳。身長やその体付きはテレビの中でもわかるくらい間違いなくお姉ちゃんのものだ。

 

 そしてもう一つ、見覚えのある服装。

 

 場違いなまでに真っ黄色なミニワンピースにグレーのショートパンツ。ここまでは、ここまではまだ大丈夫。まだなんとか見れるものではあった。

 

 テレビの中の映像がランウェイを歩き始めたお姉ちゃんにズームされる。

 

 その胸元から肩にかかるライン。そこに赤い糸で刺繍されていたのは、謎の猫のような生き物。

 

「あ…あっ……」

 

 ランウェイという輝かしいステージにいるのは大好きで憧れな自慢のお姉ちゃん。でも、そのお姉ちゃんを彩っているのは謎猫。

 

「あっ…あぁ……」

 

 中心とその左右。見事に三つも描かれ、無邪気なまでに邪悪な笑顔を見せるそれらを前に、私は思わず声があふれ出た。

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 白石千紗。ホラー映画が好きな彼女が上げた、過去最高の絶叫だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「千紗ちゃん大丈夫かな?心配だよ…」

 

「夢見が悪かっただけとは聞きましたが、確かに心配ですね…」

 

「そうだ!気分転換に皆でお買い物に行かない?」

 

「それはいいですね!ふふ、今日は私から千紗にお洋服買ってあげようかしら」

 

 


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