ミカ、誕生日おめでとう!

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前々から準備してたのにギリギリなのはなぜ…?
ミカは曇らせが似合う、なんて言葉もありますが、やはり私としては笑顔が一番ですね。
笑った顔なんて、ほんとにお姫様みたいなんだから


聖園ミカの誕生日

ピピッピピッピピッ…

 

「ん…うぅん…」

 

トンッ

 

「ふぁ…もう朝かぁ…」

 

軽く体を伸ばしつつ、スマホを確認する。

 

目に留まるのは、何件もの通知。

 

『ミカさん、お誕生日おめでとうございます』

 

『ミカ、誕生日おめでとう』

 

――そう、今日は私の誕生日だ。

 

年に一度の、主役と言っても過言ではない日。

 

頬を緩ませつつ、いつもと違ってゆっくりとパジャマから着替える。

 

ナギちゃんとセイアちゃんからは、今日はティーパーティーの仕事を休んでもいいと許可を貰っているし、何をしよう?

 

真っ先に浮かぶのは、白い制服を着た、優しい顔をした一人の大人の顔だ。

 

私を救ってくれて、私を褒めてくれて、私を叱ってくれて、

私を見てくれる、私の大好きな人。

 

「うーん…できれば先生と一緒にいたいけど、いつも忙しそうにしてるからなぁ…」

 

先生は普段からこのキヴォトス全体を駆け回っている。

 

だから、中々時間がないのだが…

 

「一応、聞くだけ聞いてみようかな」

 

そう思い、モモトークを確認する。

 

『ミカ、誕生日おめでとう!』

 

「…ふふっ♪」

 

先生なら送ってくれているとは思っていたが、実際に見ると、つい飛び跳ねてしまいそうになるほどうれしいものだ。

 

『ありがと♪

ねぇ先生、先生さえよければ、今日シャーレに遊びに行ってもいい?』

 

「よーし…勇気を出して送信、っと」

 

そうして私は、先生からの返信を待ちながら、朝ごはんを準備するのだった。

 

 

~~~

 

 

「~♪」

 

鼻歌を歌いながら、上機嫌に街を歩く。

 

先生からの、『ちょっと立て込んでるから、3時くらいまで待ってもらえると嬉しいな』という返信。これには思わずガッツポーズ。

 

しかし、3時まではあと5時間以上もある。

ナギちゃんたちはティーパーティーの業務が忙しいだろうし、他の友達もみんな予定が入っているらしい。

 

とりあえず、自室にいてもやることがないので外に出てみたわけだが…

 

 

 

「あら、ミカさんじゃありませんか」

 

「これはこれは、奇遇ですね?」

 

「…げ」

 

…どうやら、私の判断は間違っていたらしい。

 

「おかしな顔をしていますが、体調でも悪いのですか?」

 

「いや?ただちょっと間違えちゃったかな~って思ってただけだよ♪」

 

「それなら良かった…いえ、心配は必要なかったですね。

ミカさん、風邪とかひかなそうですし」

 

…それ、遠回しに馬鹿って言ってる?

 

「話はそれだけ?悪いけど、私行きたいところあるからさ」

 

「そう急がないでくださいよ。余裕を持つことは大事ですよ?」

 

「えー、だって貴女達と話したいことなんてないしな~?」

 

「行きたいところ、というのはやはりシャーレの先生のところですか?」

 

この子達の耳には都合のいい言葉しか聞こえないのだろうか?

 

「だとしたら何?」

 

「いえ、先生も大変だな、と思っただけですよ。

まぁあの人のことです。こういったことを体よく断るのには慣れているでしょうね」

 

「…何それ、まるで先生が私のことを面倒くさがってるみたいじゃん?」

 

「当たり前じゃないですか、あなたのような人と喜んでかかわる人なんてそういないのですから」

 

「…あははっ♪」

 

「…何がおかしいんですか?」

 

「いや?

貴女達、先生のこと、何も知らないんだな~って思って」

 

「それはどういう――」

 

「先生は、わたしみたいな面倒な子と喜んでかかわるような、ちょっとおかしい人なんだよ?」

 

「なっ…」

 

「それじゃあ私は行くね♪」

 

そう言って、私は振り返り歩き出す。

 

後ろから何か言ってきているようだが、すべて無視することにしよう。

 

「せっかくの誕生日だもん、少しくらい無駄遣いしちゃってもいいよね♪」

 

 

〜〜〜

 

 

「う〜ん…」

 

無事ショッピングモールでの散財を終えた私は、シャーレのエントランス前で唸っていた。

 

先生に会いたいがあまり、少し…というかかなり早く来てしまった。

 

ここに着いてから既に10分ほどだったが、現在時刻は2時40分、まだ20分もある。

 

買ったアレコレを眺めたり、私がいない分、必死に業務を処理しているであろう二人に思いを馳せたりして時間を潰しているが…

 

――頭をよぎるのは、先程の彼女達の言葉

 

『あなたのような人とかかわりたいと思う人なんていない』

 

さっきはああ返したが、それでも全く気にしないでいられるほど、私は強くはない。

 

先生はそんな人ではない、それは分かっている。

 

しかし、一度浮かんだ不安はなかなか消えてくれない。

 

私なんかが…という考えで、頭の中がいっぱいになってしまいそうだ。

 

…だから

 

「えいっ!」

 

パチンッ!

 

両手で思いっきり頬を叩く。

 

「いったぁ…」

 

頬がじんじんする。鏡で見れば赤くなっているかもしれない。

 

…少しくらい加減すればよかった。

 

「とにかく…!」

 

これでマイナスな思考とはさよならだ。

 

今の私できることは、先生に会うのを楽しみに待つだけ――

 

「あれ、もう来ちゃってたの!?」

 

「ひぁっ!?

って、先生!?どうしてここに!?」

 

急いでスマホで時間を確認する。

 

まだ2時50分のはずなのだが…

 

「私は準備…じゃなくて!仕事が早めに片付いたから、ここでミカを待ってようと思ってたんだけど…もしかして、結構待たせちゃった?」

 

「そ、そんなことないよ!

元はと言えば、早く来すぎちゃった私が悪いんだしさ!」

 

まさか迎えに来てくれるなんて…!

 

「それでも待たせちゃってたことには変わらないわけだし…」

 

「だいじょーぶ!ほら、とりあえず中に入ろ?」

 

「そうしよっか。あ、少しエンジェル24によってもいいかな?」

 

「もちろんいいよ〜」

 

「ありがとね、すぐ終わるから!」

 

 

〜〜〜

 

 

「先生、何買ったの?」

 

「よ、予備の栄養ドリンクを少々…」

 

「少々って言うのは多くない?」

 

「うっ…」

 

先生の持っている袋の中にはかなりの量の瓶が入っていた。

 

「もー、そんなんじゃ体壊しちゃうよ?」

 

「だ、大丈夫!

最近はちゃんと寝れてるから!」

 

「ホントに〜?」

 

「そ、そんなことより!

ミカは何か買った?」

 

あ、露骨に話変えた

 

「ううん、さっきショッピングモール色々買いすぎちゃってさ〜。

あ、でもお菓子くらいは買えばよかったかも」

 

「…それなら心配いらないんじゃないかな?」

 

「え?」

 

「っと、着いたね」

 

「あれ、ここ休憩スペースじゃ?」

 

「いいからいいから。

ほら、開けて?」

 

「う、うん…」

 

ガチャ…

 

「「「ミカ(さん)、お誕生日おめでとう(ございます)!!!」」」

 

パンパンパンッ!

 

「…え?」

 

「私からも、ミカ、お誕生日おめでとう」

 

パンッ!

 

「…ちょ、ちょっと待って!

な、なんでナギちゃんとセイアちゃんが…

二人とも、ティーパーティーの仕事はどうしたの?」

 

「ミカ、最近やけに忙しくなかったかい?」

 

「そういえば…あ、まさか」

 

「はい、今日の仕事は先日から少しずつ終わらせていたんです」

 

「なるほどね…」

 

「じゃあ、みんなが今日は忙しいって言ってたのは…」

 

「うん!パーティーの準備のためだよ!」

 

因みに企画したのは私だよ!と自慢げに語る子。

 

それに対抗するように次々とやってくれたことを話すみんな。

 

…ほんとにいい友達だなぁ

 

「そして、補習授業部のみんなもいるんだね」

 

「アズサが参加したいって言ったんだよね」

 

「アズサちゃんが?」

 

「うん。まだ言えてないことがあったから。

ミカ、アツコ達を助けてくれてありがとう。」

 

「…!」

 

「先生からみんな元気だって聞いた。

それは、ミカのおかげだから」

 

…そっか、サオリ達も元気でやれてるんだね。

 

「あはっ♪

まぁ、どういたしましてかな♪」

 

「わ、私も…!

あの時、聖堂で助けてもらって、ありがとうございました!」

 

「コハルちゃん…

私もコハルちゃんに助けてもらってるからね♪」

 

「そ、そうなんですか…?」

 

「うんっ!」

 

「っと、それじゃあそろそろ、ミカの誕生日パーティー、始めちゃおっか!」

 

 

~~~

 

 

「ミカさん、誕生日ケーキですよ。」

 

「って、またロールケーキ?

私いつも食べてるんだけどー…あれ?」

 

「どうかしましたか?」

 

「いや、いつものよりなんだか不格好っていうか」

 

「ぶ、不格好とは…」

 

「あ、もしかしてこれ、セイアちゃんが作ってくれたの?」

 

「あぁ、正確にはナギサと二人で、だがね」

 

「…正直セイアさんはあまり力になりませんでしたが」ボソッ

 

「ナギサ!?」

 

「いやー、キッチンが爆発したときは流石に驚いたよね~」

 

「先生!それは言わない約束だろう!?」

 

「ごめんごめん…つい、ね?」

 

「…ありがとね、二人とも!

大好きだよ!」

 

「だっ…!?」

 

「…まったく、あいかわらず君はそういう事を恥ずかしげもなく…!」

 

「あははっ♪」

 

「そうだ、ミカ。

私からも誕生日プレゼントを」

 

そういって先生は箱を渡してきた。

 

「これって…羽飾り?」

 

それは、星型の羽飾りだった。

 

「うん、何かないかなって探してたらビビッてきてね。

ほら、つけてあげるよ」

 

「あ、うん…」

 

カチャカチャ…

 

「はい、どうかな?」

 

「…うん、すっごくきれい!」

 

「えぇ、似合ってますよ」

 

「そうだね。先生、なかなかいいセンスしてるじゃないか」

 

「よかった~」

 

「…先生、ありがとうっ!」

 

「どういたしまして、ミカ。

これからもよろしくね?」

 

「うんっ♪」

 

今日は、人生で最高の日だ。

 

そして、これからもきっと、人生で最高の日は更新されていくんだろうな。

 

なんとなく、そう思ったのだった。




これからも、ミカが笑顔でいられますようにと祈りをこめて

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