聖書の神なら立川で鳩サブレ食ってるぞ   作:夜月工房

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53.成し遂げたよ!

さて、明日は天界へ向かって『システム』を弄くり回す予定があり、念のため先回りできる仕事を数日分だけでも潰しておこうと手掛けてたわけだが。

 

――当世界における目標、冥界の開拓について条件の達成を確認しました。おめでとうございます。

 

なんか脳内にこんなアナウンスが響いたわけだ。旧魔王派の領地を併合する書類が処理され終わったんかね。

 

――おめでとうございます、お姉ちゃん!

――めでたいっす

――さすがね……

――おめでとうでやんす

――あー、具体的な数字が出てねェから実感も達成感もまるでねェが、ありがとな。

 

どうやら今のが聞こえてたらしく、ダンまち時代から付き合いのある面々から祝いの言葉が届く。なんかえらく久々に出てきた気もするな。

 

――お~い、今のって何だったわけ?

――まぁ大体の察しはつくけれど

 

次いで、リゼヴィムとリリスからの念話。どうやら魂の繋がりがある面子には届いてたっぽい。

 

――まー、アレだ。黒幕共の設定したお題をクリアしたらしい。詳しくは生ハムに聞きゃわかるだろ。

 

恐らくはアナウンスが直接アレにも届いてるか、そうでなくとも別の黒幕連中から連絡がいってるだろう。

とはいえ話題が話題だけに直接対面して確認したいものの、明日の予定があるからこの地を離れなきゃなのがなぁ。地味にそこらを飛び回ってるのはこっちもあっちも変わらんし、時代背景含めた技術的な配慮で通信手段が映像中継ありの固定電話レベルなんよね。なんなら貴族とか上層陣でも手紙が現役バリバリっていう。

要は緊急連絡が緊急になってない。しかも明日の要件が影響デカめな以上、結果次第じゃ今回の慶事が吹っ飛びかねないっていう。

 

「そんな油断しているルカちゃんに直接訪問(ダイレクト)アタック!」

「あべしっ!?」

 

なんて事を思ってたら奇襲されたよね。そういやコイツほぼ自分限定だけど瞬間移動持ちだったわ。

 

「いやー、まずはおめでとうございます。無事に目標達成となりましたよぅ」

「嘘臭ェ」

「ところがどっこい……夢じゃありません!」

「へー」

 

つまり現時点でクリアデータがセーブされて次の夢に転生する際はそれが適用される感じか。行きたくねぇなーコズミック・イラ。

 

「あ、この夢はこの夢でダンまち世界と同様ちゃんと続いていくのでご安心を。原作の続きやスピンオフの数は少ないですが生えてき(あかされ)た設定もありますし、お楽しみにどうぞ」

「放置したら世界滅亡するような案件が増えても困るンだがなァ」

「はっはっはっ」

 

ちっ、否定しやがらねぇ。いやまぁ世界なんて大袈裟に言っても人類圏とほぼ等しいから宇宙進出してない物語じゃ惑星規模の話でしかないのがアレだが。次周(ガンダム)でも太陽系が精々だし。

案外、異世界なんて言っても種を明かせば同じ宇宙のどこかで偶然にもほぼ同じ道を辿った別の惑星系だったりしてな。《広さを売り文句にしたゲームのマップただし風景はほぼコピペ》みたいなっ!

まーそもそもトライヘキサ対策で地球上の戦力が減ったところに異世界からの侵略で世界がヤバい中で天下一武道会(トーナメント)開いてる呑気極まりねぇ原作を考えたらこれ以上ヤバい事態なんてあるのかって話なんだが。

確かグレートレッドがあっさりナレ死し(ころされ)てるんだろ。でも夢幻(がいねん)相手に正攻法(ぶつり)で倒しましたーって、普通に考えたらやってません(やったか!?)フラグなんよね。実力的な意味だけじゃなく討伐したら世界にどんな影響があるかわからんって理由もあって放置されてるわけだし。

まー身も蓋もない話をするなら、この世界そのものが生ハム御一行の創り出した仮想世界(ゆめ)なわけだし。下手するとEだのFだのって異世界が未実装の可能性まであるんで、考えても無駄な気がしなくもない。だからって対策を怠っていい話でもねぇが。ここに生まれ暮らす命にとっては十分に現実で、こっちとしてもソイツらに泣かれたり死なれたりは困る。感情的にも払ったコスト的にも。

 

「まァ、これからも続いてくってンなら変わらずに手を抜かずやってくしかねェわな」

「その辺はお任せしますの。個人的には、気が変わって暴君なり世界の敵なりになるのも楽しいんじゃないかなーと思いますよぅ?」

「それもう気が変わったじゃなく気が触れたの間違いだろ」

「そうとも言います」

 

とりあえず、ゲームでいうメインストーリークリアに相当する状態になったのは間違いないらしい。時系列で見るとHSDD原作開始前な点からは全力で目を背ける所存。

いや、ホラ、外伝のSLASHDOGには突入してるからセーフっしょ。無自覚に介入してあった部分から内容が破綻して一部は哀れな事になってるけど。いうて鬼いさん時空が混じってる時点で五大家やら虚蟬機関やらの野望は潰える事が決定してたようなもんだろ。誤差よ、誤差。

 

「ちなみに明日は天界で『システム』の修理をする予定なンだが、変なちょっかい掛けるのは勘弁してくれよ?」

「では、そのように」

 

生ハムは恐ろしく素直に一礼し、そのまま流れで帰っていった。まぁ、あっちはあっちでやる事あるんだろうな。野良転生者のケアとかサトルツインズの接待とか。難易度だけならこっちよりよっぽど高そうだぁな。

 

 

 

で、天界の『システム』はクラフトチートでサクッとナレ死させ(なおし)て来た。これにはミカエルもにっこり……いや呆然としてたわ。反応なかったからそのまま請求書だけ置いてルキフグス領まで戻ってきたのが今現在。

 

ただ、問題がないわけじゃなかった。

 

「なンで天界でまでマンセマット扱いが定着してンだよ……!」

「お労しやお姉ちゃん……ぷぷっ」

「ちくせう」

 

そう、結構前に立川の聖人から依頼を受けたんで聖剣計画とかを潰すために小競合いを起こしたら何でか教会勢力がマンセマット扱いし始めたわけだが、それがまさかの天界にまで普及してた。なんならセラフ連中も普通にそう扱ってきた。本物と面識あるだろ普通に考えて。神は死んだとはこの事か。

 

『でも修理の時に天使が揃ってポカンとしてたのは面白かったっす』

「まーな」

 

代わりってのも変だが、長年頭を悩ませてきただろう『システム』の問題が外部(あくま)のしかも個人(わかぞう)にあっさりと解決されちまうって現実を受け止めきれなかったらしい連中の間抜け面を眺めるのはそこそこ溜飲を下げる結果になった。もちろん撮影しといたんで初代ルシファーやアザゼルといった周囲にばら撒きつつ直接対面する際は一生擦っていく所存。

 

『でも『システム(あれ)』実際はどうだったんでやんすか?』

「ルー語を更に酷くしたような多言語スパゲッティで、どこがどう動くのかやエラーの内容なんかも全くわからんレベルだったな。不具合出しながらとはいえアレが破綻しきらずに現役で動作してンのは、仮にも全知全能って言われるだけはあるンでねーかな」

 

いやマジで。よその神話由来の、その言語だからこそ力を持つ単語や言い回し(フレーズ)ツギハギ(ちゃんぽん)しちゃってるもんだから、分かりやすいよう全文日本語に翻訳〜とかしちゃうと動かんくなるの。

一応、意訳の仕方によっては効果が弱くなる程度で済ませられるけど、正常な動作は期待できないし。まぁそっちは付与される神器(セイクリッド・ギア)の出力を抑える事で抵抗力が低くて云々って症状の予防に一役買いそうな感じはあったんで、時間があったら定期メンテの名目で調整したくもあり。

 

 

「とりま、アレだ。鬼灯様やハーデス様に連絡だァな」

 

直したとは言ったが、各神話における死後の世界に敷かれたルールを無視して転生させるクソ仕様はデフォルトなんよね。そこだけ確率を限りなく低く、実質ゼロにしといた……完全にゼロにしたらエラー吐きやがるっぽかったからな。

ここでその限りなく低い率を引いちまうのがお約束といえばお約束なんで怖くはあるが、そこはまぁ妥協するしかない。元より改善できる見込みがないものとして受け入れ(あきらめ)てたらしいし、ここだけの話って前置きされた上で転生って何度も繰り返すもんだから一度や二度の問題は誤差扱いされてるとか説明されたくらいだし。

つーか、これ言ったら叱られるだろうけど、仏教系だと転生先が人間って確定してる分だけ救いの一種とすら見なせるんじゃなかろうか。元人間の感性してるならカンガルーや土ボタルとかよりマシだべ。

 

 

 

「そういったわけで悲劇の数は減る見込みです」

「わかりました。わざわざ連絡頂いてありがとうございます」

「いえ、聖書勢力(こちら)のやらかしに関係していますから。ただ、現時点では力及ばず確率がゼロにできたわけではなく」

「まずは動いてもらえた事実が重要ですから。それも十分に早く。これで問題視していた方々を宥める言葉に説得力が生まれたので助かります」

「そう言って頂けると心が軽くなります。引き続き進展がありましたらご連絡させて頂きますので今後ともよろしくお願い致します」

「えぇ、それでは」

 

はい、やりきった! いやー緊張したわー。手汗びっしょり。

いやね、鬼灯様はこっちが成人した後じゃないと動けないだろうなって長い目で見てたらしいんで文句を言われる可能性は考えなくて大丈夫だったけど、それはそれとして何かしらツッコミが来るんじゃないかって心配はあったんよね。例えば修正内容とかの説明しろとかは機密情報になるからさすがに断らなきゃだし。

だがそれらも杞憂に終わった。この世界における課題も達成したし、一旦落ち着いてもいいんじゃねぇかな。

 

 

 

「まぁそんな風に油断することを期待していたんですがね女性一同(みなさん)は」

「形式上は正妻だし、子供を作るのは大事よね」

「悪魔は子供ができにくいから数でカバーしないとにゃあ♪」

「どうしてこうなった」

 

はい、あれから数日が経過し、本日は真顔のイニーや笑顔の黒歌に見下されながら朝を迎えました。その背後には妙に気合の入ったアーシアや耳をペタンと倒し恥ずかしそうにしている白音の姿も。ついでに言うなら四肢をベッドに縛り付けられております。少し離れた場所からやれやれだぜって感じにハードボイルドな雰囲気のリリが割とレアでお得感。

こっちが燃え尽き症候群までいかんでも仄かなやり遂げた感に包まれながらのんびり過ごしてたらご覧の有様だよ。いやまぁトライヘキサの一件から房中術をキャンセルしてたし物寂しさもあったのかもしれんが。

 

「つーかコレ何よ。完全に動きが封じられてンだが?」

「ほうほう、それは良い事を聞いたわねん♪」

「わざわざ北欧神話からグレイプニールのレプリカを取り寄せた甲斐があったわねぇ」

リリ(ブルータ)スゥぅぅぅ!」

 

どうやらこの事態にはリリだけじゃなくリリスも関与してたらしい。むしろこの場にいないだけでリゼヴィムやエイジャ達も協力してそうな。とりあえずリゼヴィムは後でシバこう。

 

「みなさんバールドさんにお相手してもらえなくて寂しかったんですよ?」

「……ちゃんと責任は取るべきだと思います」

「だからって縛る必要ある?」

「「「あります」」」

 

領の良心たるアーシアに言われちゃ流されるしかないかなーと思いつつ、せめて身体の自由は確保したいので疑問をぶつけるも、返ってきたのは綺麗に揃った鋼の意志(こうてい)だった。頭を抱えたくなったのに縛られて無理って言うね。

 

「そんなバールドちゃんに良い事を教えてあげるわ」

「なンだよ」

「偉い人は言ったわ、『神は死んだ』って」

 

要は諦めて受け入れろと言いたいだろうリリスの台詞に、アタシはせめてもの抵抗と思い現在の様子(マジレス)を口にした。

 

「聖書の神なら立川で鳩サブレ食ってるぞ」

 

何の効果もなくこのあと滅茶苦茶搾られた。




知っているかね、今年のゴールデンウィークは4/29から5/10までの長期休暇だった者もいる事を。そう……私の同僚の話だ。ちな、私は5/3から5/5まででした。ただの三連休! ついでに5/9が振替休日の穴埋めとして通常営業日。いや5/6出てんだけど。
そんな気持ちをぶつけて書き上げました。鬼いさん時空、立川時空とわちゃわちゃするのに時系列あんまり関係ないなって気付いちゃったのでサクッと本編終了になります。ありがとうございました。
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