なんとなーく案が浮かんだので書きました。
一応変換とかも使っていますが、漏れとかあるかもです。
「はぁ………」
深く、長く、溜息を吐く。そうする事で、現実から逃れられる気がしたから。
「そない溜息えずいたら、幸せが逃げるでぇ……そも依頼受ける羽目になったんは、ミツルはんの落ち度やろぅにぃ自業自得やねぇ」
正論ではあるが、それだけにムカつく。しかし、今コレに怒った所で何も変わりはしない。
「はぁ…」
再び溜息を吐き、独りごちる。
「どうすりゃぁいいんだ…」
今私が頭を悩まされているのは、ここ最近の低気圧による不調でも、冷え性による肩こりでも、仕事をしない
先の依頼によるものであった。
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静謐な事務所内で、雨風が窓を叩く音と、TVから流れるクソ程も面白くも無いワイドショーをBGMに書類を片付ける。
そんな最中、TVを横目に
「暇やねぇ〜こないに暇やとあきまへんわぁ近場でテロルでも起きんやろか」
こいつ、全然仕事をしない癖に、言うに事欠いて暇だと?鼻の穴から脳味噌引きずり出して、奥歯ガタガタ言わせてやろうか?と言うか、そうそうテロなんて起きてたまるかよ。
などと思いつつそんな事をおくびにも出さず、柔和な笑み作って言う。
「暇していると言うのなら、私の書類仕事を少しは手伝ってくれても良いんじゃぁないかな?マコト君??」
私のちょっとした文句にマコト君は豪速球で返して来た。
「いややわぁミツルはん。そん仕事はミツルはんの仕事でしょうにぃウチに押し付けんといてぇな」
「そもそも、最初からそないな契約やったでしょ?忘れたんどすかぁ?もしかして、若年性アルツハイマーってやつ?まだ若いのに、大変やねぇ」
……なんでこいつは、こうも一言多いのだろうか?人の神経を逆撫でしないと気が済まないのだろうか??思わず笑みが崩れそうになるが、それをどうにか取り繕って、一言。
「ソウカ、ソレハソウダ、ゴメン、ゴメン」
「わかったらええんよぉわかったら」
「あぁ〜それはそうと、笑顔、作れてへんよぉ〜こめかみがピクピクしてますわぁ〜まぁた小皺が増えそうやなぁ〜」
……これは、もう怒っても許されるよな?しばき倒したるこのゴミムシが
「がぁぁぁぁ!おうごら馬糞がよぉコッチが下手に出てりゃぁつけあがりやがって…いい加減にしろよテメェ」
「今からその人を煽るしか出来ん舌、喉から引き抜いてネクタイに仕立ててやっから覚悟しろよクソゴミムシがよぉ」
「怖い怖い、かんにんやわぁ」
ピンポ~ン
まさに一発触発と言ったその刹那、事務所のチャイムが鳴らされた。
「…お客はんみたいやねぇ、こないに天気悪うのに」
「フゥゥゥ……まぁそんな事もあるだろう。とりあえず、お茶を淹れといてくれ」
深呼吸と共に怒りを吐き出し、来客を迎える指示をする。しかし、自分でこんな事もあるだろうとは言ったが、こんな雨風吹く日に来客などやはり珍しい物だ。
面倒事で無ければ良いが…そんな事を思いながら、扉を開けて、言う。
「ようこそ甲鳥探偵事務所へ!今晩のオカズから浮気調査、アジテートに人探し、私刑手伝いに、ボディガード等、なんでも承っております!是非、所長たるこの甲鳥ミツルになんでもお申し付けください!」
扉の先に居た女性は、唖然とした様子でポカンと突っ立っていた。
「……うち、前から思っとったけど、そのフレーズやめた方がええと思うわぁ」
…うるせぇやい
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依頼人である、
彼女はえらく憔悴しており、化粧で誤魔化してはいるが目元に隈も見て取れた。正直に言って、この天気の中でよくここまで来れたなと感心する状態であった。
彼女のそんな様子を見ていると、今すぐに安静にしていた方が良いのではないかとすら感じた。
しかし、こんな状態でここまで来たのだから余程大切な依頼なのだろう。ならば、早く依頼内容を聞いて、受けるにしろ受けないにしろ、彼女には早く帰って休んで貰おうと思い直し、問いかける事とした。
「それで…えぇと、依頼の方を聞かせて貰っても?」
「はい…」
彼女のか細い声からその内容が語られた。
いわく、半年前から行方不明になっている娘さんを探して欲しいとの事だった。娘さんは
当時、娘さんは携帯を持っていたが携帯は繋がらず、携帯にはGPSも付いていたが、ある地点を指し示して直ぐに反応が途切れてしまったと言う。
ここまでなら警察の管轄なので、そっちに話を回してくれと言うのだが、なんでも警察に捜索願を出しても一向に捜索している気配が見られないのだと言う。
「それは…それはおかしいですね…成人済みの場合等は、碌に捜索されない…と言った場合はあります。ですが未成年、ましてや6歳の女の子をと言うのは流石におかしすぎる…」
「甲鳥さんもそう思いますよね?だから私、警察に何回も抗議しに行ったんです。ですけど、まともに対応して貰えなくて…それで、他に探偵さんに依頼を出したりもしたんですけど…」
「みなさん、娘のGPSが途切れた場所を聞いたら、断られてしまって…」
そこで彼女は少し言い淀む。先を聞かない事には話が進まないので促すが、私は少し、いやかなり嫌な予感がしていた。
「…それは…何処なので…?」
「…………幸福実現党の、第13支部です」
予感的中。
「………幸福実現党…って、あの、幸福実現党ですか?」
念の為、自分の想像通りの場所なのかを聞いてみる。
決して現実逃避とかではない。
「はい。あの、幸福実現党です…」
現実は非情であった。
幸福実現党。ここ数年、確か4〜5年前くらいに設立されたにも関わらず、莫大な人気を持って一気に野党筆頭の1党にまで上り詰めた政党だ。その人気の程は凄まじく、ある種カルト的と言ってもいい。
その事から、まことしやかにではあるが、バックに宗教団体が付いてるだの、宇宙人が付いてるだの、爬虫人類がメンバーに居るだの、大成功したヨウム神理教だのと色々言われている。
個人的には、この党は絶対にヤバイ。関わったらいけない雰囲気がプンプンすると感が言っている。名前も胡散臭いし。
彼女には申し訳ないが、あまり関わりたくはない。さて、どう断ったものか…
私の断る理由探しの雰囲気を鋭敏に感じ取ったのか、彼女はこちらに掴みかからんとする勢いを持って、懇願してきた。
「お願いします!警察も信用出来ず、他の所にも断られて、もう甲鳥さんの所しか無いんです…お願い…します…!」
「いや、しかしですね…」
彼女は鞄から分厚い封筒を取り出し、言った。
「お金ですか!お金ですね!!お金ですよね!!!料金は500万程用意しました!これで受けて頂けないでしょうか?!」
ヤバいな…凄く興奮してる…これは、取り敢えず落ち着かせないと不味いか…?
「取り敢えず、落ち着いて…」
「500万では不満ですか?!なら、これは取り敢えず手付金という事で、料金の方は言い値で払います。ですので、どうか、どうかお願いします…」
テンションの落差が激しいな…何か患っているのか…?いやまぁ無理もないか。娘さんが行方知れず何だものな。
しかし、どうしたものかとマコト君に視線を向けるも、我関せずといった感じで、先程から会話にも入ってこない。マジで使えねぇな、コイツ。
……思案する。まず、相手の依頼料は言い値で良いとは言われたが、前金を合わせても700〜1000程度が限度だろう。その程度で、あそことやり合う可能性のある仕事は些か割に合わない。
それに、警察が動かないと言うのが気にかかる。もし、党の力が警察内部にまで及んでいるのだとしたら、本当に割に合わない仕事だ。ハイリスクローリターンすぎる…そんな仕事はいくら積まれてもやらない。やりたくない。
………受ける理由が無い。
「…………」
ちらりと布子さんを見る。不安からか身体を震わせながらも、こちらをじっと凝視している。目がイってる。怖い。
……そうして暫く考えていると、ふと、こんな思考がまろび出てきた。
そういえば今月の事務所の家賃、払ったっけ?
一度思考を始めると、もう止まらない。止められない。あれ?払って無くね?確か先月分も待って貰ってるよな?ん?ヤバくね?ヤバいよな?てか期限何時までだっけ?明日までだっけ?今日だったか?今日だったな?口座に金残ってたか?残ってないかも??え?マズイな?追い出されるな?冷や汗と共に、そんな思考が一気に駆け巡り、視界がキュッと狭まると錯覚する。
期限、今日
金、無い
待っては、貰えない
ゲームセット。詰みです。
いや、まだ救いの道は残っている。地獄への片道切符かも知れないが…まぁ最悪、途中で投げても大丈夫だろ。
そんな思考を一瞬で終えて、私はとびっきりの笑顔を作ってこう宣言する。
「須具士さん、その依頼お受けします」
「………あっありがとうございます!」
須具士さんは何度も頭を下げてくる。そんな彼女を落ち着かせる為に私は続ける。
「落ち着いてください。まだ、依頼を達成達成出来た訳では無いんです。そういうのは、娘さんが見つかるまで取っておきましょう」
それを聞いて須具士さんは感極まったのか、遂に泣き出してしまった。私はそんな彼女の介抱をし、マコト君はそんな私を白けた様な目で見る。
そして、私は漠然と思う。
やっべぇ……やっぱ、早まったかも…と。
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溜息を吐き現実逃避に没頭していた所、マコト君に声をかけられる。
「そないに溜息えずいとらんで、外出て調査しまひょ?ちょうど雨もやんだ所やし」
業腹な事に言っている事はもっともだし、やらなくてはならない事もあるので頷いて外出の支度を始める。
「そうだな…家賃も振り込まないといけないしなぁ」
しまった…余計な事を言った。
「やっぱり、それが依頼受けた理由だったんやねぇ。ほんま、先が見れん人は嫌やわぁ」
何故余計な一言を付け加えるのか、それが本当にわからない。誰がこいつをこんな風に教育したのだろう?そいつの顔が見てみたいものだ。
「じゃかぁしい。事務所追い出されて困るのは君も一緒だろう。それと、依頼料の1/3くらいは君の食費に消えてるんだからな??そこら辺、よく理解したまえよ???」
「そんなん知らへんわぁ」
コイツ…
まぁこんな所で言い争っても時間と体力の無駄なので、さっさと外に出る。流石私、賢い。
外に出て、身震いを一つ。まだ秋の初めだが、雨が降ってか随分と気温が下がっている。そして空を仰ぎ見るも、空は未だ分厚い雲に覆われていていた。雨は止んだが生憎な事に、澄み切った蒼穹と光り輝くお天道様を拝む事は出来なかった。大仕事の初めにしてはあまり幸先が良いとは言えないが、まぁ別に良いだろう。
さてと、最初は何処に行くべきか…
「…まずはATMだな。振込みを終わらせないと、明日からの仕事も危うい…そんで次に、例の第13支部とやらに行ってみるかな……」
征き先は決まった。目指すはATM。そこが第一目標だ。
「大仕事やぁいうんに、なぁんか締まらんよなぁ」クスクス…
マコト君の言葉を無視して歩を進める。背後で微かに、クスクスなんて笑い声が聞こえた様な気がしたが、それは直ぐに風に溶けて消えてしまった。きっと気のせいだろう。
クスクス…
クスクス…
クスクス…
名前
肩書き 甲鳥探偵事務所所長
出身 東京
趣味 本の蒐集、ガラクタ漁り
嫌いな物 魚、漁村、会話の通じない奴、磯の香り
名前
肩書き 甲鳥探偵事務所所長補佐
出身 漁村?
趣味 読書(学術書や図鑑、写真集等を好む)、TVやDVD鑑賞(ドキュメンタリー等を好む)
嫌いな物 魚、田舎(特に漁村)、エラのある顔の人