次回予告執筆:居振りい人
小淵良樹容疑者は「どうしても先行登場回が書きたかったんだ」などと供述しており以下略
世界が裂かれ、混沌が荒れ狂う。
正にこの世の終わりか、という状況下で、しかしその戦士は物怖じすることもせず、ただ只管に空を見上げていた。
まるで何事もないかのように、空は青く、どこまでも広がっている。
戦士は手に握った
「──アンタは、一体」
後ろから聞こえる声。戦士が振り向くと、そこには、もう一人の少年の姿。
一体、この戦士は、何者なのか。
それを語るには、数時間ほど時を遡る必要がある。
***
その日。
そのレストランの名前はゾウゼリア。これまた諸事情で人間から追われている身である筈の彼等をも受け入れる、心の広い店である。
「ストロベリーアイスブルーハワイパフェ(1300+税)」
「……気になるのか?」
絶妙に美味しいのか美味しくないのかわからない商品名を口にした光咲を、時晴は訝しげに見つめる。そもそも追われている身で何故そこまでの金を持っているのか、一瞬だけ脳裏を掠めたその疑問を時晴はすぐに忘れることにした。気付かないほうが幸せなこともある、という訳だ。
「……これ、美味しいんですかね」
「あぁ、意外と人気なんですよ。どうです?今なら一つ、おまけしますが」
何故彼等が受け入れられているのか、その理由の一つは、この店の店長が醜人──この世界で、人間からの迫害を受けている存在──であることだろう。理由はともあれ、時晴は
「ストロベリーアイスブルーハワイパフェ二つ、毎度」
「え、まだ──」
まだ頼んでないです、と。
時晴がそう言おうとした瞬間、片方のグラスは既に、空になっていて。
つまるところ、これは──。
「……いつの間に頼んでたんだよ」
「あら、早く食べないと私が食べちゃうわよ」
最初はミステリアスキャラで売っていた筈なのにいつの間にかポンコツクソ雑ヤンデレ系少女と化していた、光咲の仕業である。
「……あの、店主さん。つかぬことをお伺いするのですが」
「はぁ、なんでしょう」
「貴方確か、
「そうですね、私こそが烏醜人です」
「じゃあ、この速度でパフェを持ってきたのって」
「私の能力ですね」
「能力の無駄遣い……!?」
ここにいる人間と醜人は、総じてアホであった。
まあ、折角運んできてくれたなら……と、時晴は一口、パフェを口にした爆発した。
「時晴!?」
「お客様!?」
否、時晴自身が爆発したのではない。
正確に言うならば、彼の座る座席を何かが貫いた、となるだろうか。
果たして、そこに座っていた時晴は。
「──パフェ冷めちゃった」
訂正。パフェが温くなった、の間違い。
兎に角、彼は運良く生き残っていたのである。
「……で、今のは一体なんです!?」
「別に外には何もいないけ、ど」
砕かれた窓の外を見やる時晴。その顔が段々と青く染まり、額には脂汗が浮かび始める。
「一体何、が……」
続いて覗いた光咲と烏醜人も同様。時晴と光咲以外に客がいなかったからこそまだ静かだが、一般の客もいたなら、瞬く間に店中がパニックに陥っていただろう。
「……取り敢えず、行くしかないか」
『Confirmation……』
懐から取り出したバックルを腰に装着した時晴は、続いてメモリのセットされたリモコンをバックルに挿入する。
『Connect in "MORCE"』
「──変身ッ!!」
仮面ライダーモース。
時晴が変身する、光の鎧を纏いし戦士。
「行ってくる」
「行ってらっしゃい」
何処かからキーを取り出したモースは、それを使い、彼専用のバイク──モースバイラーを呼び出す。それに跨った彼は、窓の外へと
「あの、店の窓……」
全力で頭を下げる光咲と、途方に暮れる烏醜人。凡そすぐ側で戦いが始まっているとは思わせない景色が、そこには広がっていた。
「──なんだよ、これ……?」
バイラーに跨るモースの直上。そこには数十メートルはあろうか、誰も見たことのない怪物が
『Burst』
先手必勝と言わんばかりに、バイラーから降り、怪物へ向けてMLKの引き金を引くモース。銃口にエネルギーが収束し、荷電粒子砲が世界を青白く染め上げる。
舞い上がる炎の旋風。並の醜傀獣──この世界に巣食う、正体不明の化物の事である──ならば一撃で消し去れるその威力をもってしても、その怪物は傷一つ負っていなかった。
「効かない!?いや……」
そもそも、掠ってすらいないのか。しかし、あの攻撃は確実に直撃した筈。
だとすれば、考えられる理由は一つ。
「アイツ、
怪物は、この空間に存在していない。次元の狭間に入り込んだのか、それともただの投影なのか。詳しい原理はわからなくとも、このままではまずい、という事だけはモースにも理解できた。
「難ス具スゑ暦茨ス鯉医縺──!」
怪物が咆哮を上げる。一体どこから生えたのか、生物的な触手がモースの眼前に迫る。
『MORCE,Final Attack!!!』
間一髪、それを足で払ったモース。赤黒い液体を撒き散らしながら地面をのたうち回る触手だったモノは、やがて静かにその動きを止める。
──攻撃が、通じた。
「なら……ッ!!」
今度は何十倍へと数を増やし、触手は再びモースへと迫りくる。しかしその時には既に遅く、彼はバイラーへと乗り直していた。
発進するバイラー。触手を全て回避し、少しでも遠くへと、怪物に背を向けて走り去っていく。やがて自らの敵ではないと感じたのか、怪物の触手は彼を追うことをやめた。
そして、その瞬間。
モースは突如バイラーを反転させ、再び怪物へと突撃する。
「──行けぇぇぇッ!!」
目前へと迫る怪物の触手。それを前にし、バイラーは
……つまるところ。彼は決して、怪物から逃げ出したのではない。
ただ、跳ぶ為に必要な距離を稼いだだけ。
中空を進み続けるバイラーは、すぐに怪物の触手へと着地する。普通のバイクならば途中でバランスを崩し落ちてしまうのだろうが、そこは流石仮面ライダーのバイク。ごく普通の道を走るかの如く、最高速度を保ったまま進み続ける。
「あれ……か!!」
本体には攻撃は効かない。しかし、触手になら攻撃が効く。
ならば、その根本を攻めれば。
「──華蓮さん……行けますねッ!?」
ここは戦場。当然ながら、誰からの返事もない。しかしその瞬間、コネクトドライバーが確かに眩く輝いた。
『──MORCE,Final Attack!!!』
先程とは比べ物にならないほどのエネルギーが彼の右足に注ぎ込まる。それが大気に何かしらの影響を及ぼしたのか、彼の周りには稲妻が走っていた。
そして、モースはバイラーから跳躍。怪物の更に上、どこまでも広がる青い空へと飛び上がる。
限界高度まで飛び上がったモースは空中で回転し、続いてその爪先を怪物へと向ける。
その瞬間、音すらも置き去りにする程の速さでモースは下降。一瞬にして怪物との距離を詰め、そして。
世界が、破裂した。
そう錯覚させるほどの轟音と、爆風が吹き荒れる。その足が怪物を貫いた瞬間、モースは、一人の戦士を見た。
その戦士は、近未来的で白銀の鎧を纏って。
腰には、煌々と輝く一本のベルトを巻き。
そしてその体とは不釣り合いな、青黒く錆びついた刀を握りしめ。
モースと戦士の目が合う。その間に一本の矛が割り込み、すぐに戦士の手へと収まる。
戦士はモースへと矛を突き立て、そして。
「──あれ」
横たわっていたのは、変身を解かれた時晴。
しかし何故か、彼の体には傷一つない。
一体、何が起きてるんだ──。時晴のその疑問は、次の瞬間に解消されることになった。
怪物の動きが、止まっている。
命を失った、気絶している、というわけではない。どちらかと言うなら、何かに
そしてそれを背に、戦士は時晴を見下ろしていた。
「アンタ、さっきの……!?」
「──君は休んでて。後は、私がやる」
戦士は時晴の返答も待たず、怪物へと飛びかかる。
その刀は錆びついたかのような見た目よりも強く、怪物の体を斬り裂いた。
「難ス具スゑ暦茨──!?」
怪物は叫ぶ。しかし、ただ叫ぶだけ。何かによって動きを止められている怪物にできることはもう、それしかなかった。
幾度となく斬り付けられ、怪物の体の彼方此方にノイズがかかる。
「……行くよ」
『SPARK』
その音声とともに、戦士の握る刀が禍々しいオーラを放つ。それを戦士が振るえば、忽ち辺りに轟音が鳴り響き、怪物の体は一瞬にして灰燼に帰す。
「……嘘、だろ」
余りに呆気のない結末。あそこまで苦戦していた筈の怪物を一瞬で倒した戦士を、時晴は尊敬とも憧れともつかない目で見つめていた。
怪物がいたはずの場所に突如浮かび上がった一本の矛。それを戦士が手に取った瞬間、世界が裂かれ、混沌が荒れ狂う。
「結局、今のって……」
「──君の、大切な人は……家族は、ちゃんと生きてるの?」
「……え」
この世の終わりのような状況で突如、戦士から投げかけられた疑問。時晴は戸惑いながらも、その質問に答える。
「生きては、いるけど……諸事情あって、会えないというか」
「……そう。いつ会えなくなるかわからないんだから、後悔だけは残さないように、ね」
そうとだけ言い残し、戦士は歩き出す。
空は青く。何事もないかのように、どこまでも続いている。戦士はそれを見つめ、矛を天高く翳した。
そして、世界の裂け目が拡大し。
戦士はその裂け目へと、歩いていく。
「──アンタは、一体」
戦士が後ろを振り向くと、吹き荒れる風に耐えながらも、決して目線を外そうとしない少年の姿。
戦士は一瞬だけ考える素振りを見せ、そして。
「仮面ライダー、かな」
今度こそ、戦士は裂け目の中へと消えていった。
途端に裂け目が消え、辺りは静寂に包まれる。
後に残されたのは、呆然と佇む時晴、ただ一人だけだった。
***
「──どうしたの?なんかあった?」
いつもの地下室に帰ってきた瞬間、光咲が時晴へ投げかけた言葉。
そこまで顔に出ていたのかと、時晴は曖昧な笑みを浮かべる。
「その、さっき──」
今まで会ったことのない仮面ライダーを見た、と言おうとして。
「──いや、やっぱなんでもない」
「え、気になるんだけど」
声質から判断するのであれば、時晴と同じ程の年齢だったであろう戦士の言葉が、時晴の中で引っかかっていた。
あの時彼女は、大切な人……家族は生きているのか、と言った。しかし何故か、時晴にはその「大切な人」というのが光咲の事を指しているように思えてならなかったのだ。
「多分俺の思い違いだろうし、別に気にしなくて良い」
「……そう、ならいいけど」
何かを感じ取ったのか、光咲は全く違う内容を話し始める。その察しの良さが、時晴にはありがたかった。
「──それで、さっきのストロベリーアイスブルーハワイパフェよ!!なんか期間限定らしいから、いつかもう一回食べに行かないと私死んでも死に切れな」
「わかったって……いやそこまで言われるとなんか食いたくなってきたな」
きっと、彼女には彼女の守りたいものがある。
自分は自分の守りたいものを守ろうと、静かに決意を固め。
「いやマジで滅茶苦茶食いたくなってきた、行ける時に行こうそうしよう」
「時晴ならそう言ってくれると信じてたわ」
だから、今は。
目の前の少女と、共に歩む。
後悔だけは、しないように。
……大切なものと、少しでも、一緒にいられるように。
白鳥夏樹「今回の次回予告の担当は俺だッ!クールにキメるぜよッ!」
白鳥夏樹「モースが危険な状態に!そんな危機を救うのは勿論俺ッ!」
白鳥夏樹「なんだかんだで俺が良い感じに色んな奴をぶっ飛ばしてしゅーりょー!」
仮面ライダーモース
~完~
次回仮面ライダーモース
「■の■■回■■界」
生きて、未来を掴み取れ!
白鳥夏樹「俺は美しいッ!」
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