割とマジで今回から無駄にグロくなります。描写力のなさ故そこまでキツくはならないと思いますが、苦手な方はご注意ください。
あとがきでいくつかお知らせがあるのでよろしく
辺りに散らばるのは無数のメモリと、嘗て醜人だったものの欠片。ただのレストランだった筈の其処は、赤黒く染まり切っていた。
「まだ生きてる……けど」
それを目にして尚、光咲は何処までも冷静だった。同族が大量に殺されたとあれば、多少の憤りこそ感じてもおかしくはない。しかし、今回ばかりは状況が違った。
「多分、敵だよね」
肉片が這うようにメモリへと集まる。それを光咲は見下ろし、そして、メモリを足で踏み砕いた。肉片が弾け、周囲に血を撒き散らして消える。砕け散ったメモリを眺め、まるでゲームのようだと、光咲は溜息を吐いた。
メモリがあれば、例えどのような状況に置かれようと生き続ける。しかしそれを壊されれば、どれだけ健康体だろうと──尤も、メモリが体内に出た時点で、臓器を失う程度の大怪我は負っているのだが──一瞬でその生命を失う。それが醜人という存在であり、彼等が人間として扱われない理由なのかもしれなかった。
「これって……種族あり、よね」
メモリの見た目は全て同じ。どの種類であろうと、種族なしであろうと、質量も、材質も、何も変わらない。しかし、それを触ることで、どのような力を持っているか──例えば、ファイアメモリであれば、その名の通り火の力を持っている、など──を理解することができる。光咲が手に取ったものは、このレストランの店長の体内にあった筈のメモリだった。
そしてそのすぐ隣には、彼女が見たことのない力を持ったメモリも落ちていた。
「あの人……最後まで、戦ったのかな」
烏醜人。ゾウゼリア──このレストランのことである。ゾウじゃなくてカラスじゃねぇか、というのは時晴の弁だ──の店長。彼は光咲の知り合いだった。だからこそ、彼女は思ったのだ。きっと突然押しかけてきた大量の醜人を相手に、彼は立ち向かったのだろう、と。
「……というか」
時晴、いなくない?
気付いたときにはもう遅かった。醜人に襲われ、それを撃退したならば、時晴はまだ此処に残っている筈。それがいない、ということは。
「まだ、戦って……ッ!?」
彼女は無意識に走り出していた。ただ只管に、時晴の元へ。
私って、こんなにアホでしたっけ……?
そんな心の叫びは、誰にも聞かれぬまま、空へと吸い込まれていった。
****
「私は貴女を殺す。貴女と……」
どちらかが飛び退いた。どちらかが距離を詰めた。
「……あの日夢見た理想のために」
白かった筈の世界が、黒く染まった。
「これは……」
「言ったでしょう? 僕は本来の変身者。プログラムを書き換えることぐらい、いくらでもできる」
それを一言で言い表すなら、闇。心が、体が、何もかもが闇に染まり、次々とコネクトドライバーのシステムが奪われていく。
「僕
「それは貴方
「忘れたとは言わせませんよ」
そこは喫茶店だった。
テーブルに身を乗り出し、俊也は華蓮の首を締め上げていた。何かが折れる音が響き渡り、辺りの景色には再びノイズがかかる。
「こんな世界、終わらせようって……確かに、言ってたじゃないですか」
その声はまるで、何かに縋っているようだった。そんな彼の様子には目もくれず、脱力していたその腕で、華蓮は彼の首を切り裂く。その姿はいつしか、
辺りの景色が、何処かの研究所へと変わっていく。
「……屍の上で廻る世界。それこそが楽園だと……そう、言うんですね」
「楽園なんて……求めてない」
首のない俊也がゆっくりと起き上がり、そして、肩を落としたかのような仕草をする。
「交渉決裂……多少は楽な殺し方をするつもりでしたが……。こうなったら、もう手段は選びません」
悪寒を感じ、華蓮はその場から飛び退いた。刹那、床が破裂し、ありとあらゆる場所から煙が吹き出し始める。
「とは言え。多少の時間稼ぎにはなったみたいですね、華蓮さん」
『Connect in "BLURS"』
砂煙が明け、俊也の手に握られていたのは、コネクトドライバーのバックル部分。そこに彼がリモコンを挿入すると、バックルからは電子音声が流れる。
「どうしてそれを……まさか、システムからコピーして……!?」
「本当はモースに変身できれば……まあ、これでも十分、ですね」
彼がそのバックルを下腹部に近付けると、その両端からベルト帯が形作られていく。それが俊也の腰に巻き付いた途端、彼の全身は紫煙に包まれた。
「……変身」
煙が闇となり、そして、俊也の体が新しいものへと形作られていく。その姿を端的に表すならば、黒いモース、となるだろうか。紫色の複眼は、まるで世界の穢れを全て背負ったかのように見えた。
仮面ライダーブラーズ。新しいその戦士を、しかし華蓮は知っている。
「この世界では、僕にも、貴女にも、肉体なんてないようなものだ。だから──」
ブラーズの拳が、華蓮の頭を砕いた。それと同時に彼の上半身も真っ二つに裂け、舞い散った鮮血が床や壁を汚す。
「──貴女の心が死ぬまで。僕は、何度でも貴女を殺し続ける」
両者の肉体は瞬時に回復した。刹那、巨大な鎌が宙に舞い、そして、切り裂かれた腸が音を立てて地面に零れる。
景色が変わった。首だけになったブラーズが華蓮の鎌に叩き割られた。
景色が変わった。目を失った華蓮の脳髄がばら撒かれた。
景色が変わった。全身を串刺しにされたブラーズが引き千切られた。
景色が変わった。上半身だけになった華蓮が破裂させられた。
その攻防は終わらない。地獄を体現したかのような光景が延々と続き、移り変わっていく景色は、数秒と経たない内に鮮血に染まる。
時晴と光咲の基地の中、両者は膝をつき、肩で息をしていた。
「いい加減……諦めてくれませんか……ねぇ!?」
「諦めるのは……貴方でしょッ!!」
拳と鎌がぶつかり合い、そして、互いに地面へと倒れ込む。変身を解かれた二人は、ただ只管に相手を睨みつけることしか出来なかった。
「戦いが長引くほど貴女は不利になる……降参するなら、今のうちですよ」
「……全く、貴方は」
互いに向き合い、ゆっくりと立ち上がる。俊也とは対象的に、華蓮の顔は、何処か穏やかだった。
「本当……甘いんだから」
俊也は拳を振りかぶった。それが華蓮の顔に直撃する直前、彼は、自分の身体にノイズが走っていることに気付いた。
「これは……まさか!?」
「貴方とはもう一度話をしたかった……けれど、こうしてドライバーを乗っ取られたら困るから。一定時間経過後に”お客”を排除する機能をつけていたわ」
その時には、もう俊也の姿はない。その場に誰もいないことを確認すると、彼女は膝から崩れ落ち、深く溜息を吐いた。
俊也は夢を見ていた。それは何処か自分と似た少年の記憶だった。
「コイツは……水上時晴、か」
まさか、俺と彼奴が同じとは、と。彼は一人自嘲する。
「やはり無理矢理入った所為か……何処かにエラーでも起きたのか……?」
兎に角、今は此処から出なくては。何か脱出の手がかりがないかと探し始めた俊也だったが、その瞬間、何かとてつもない悪寒を感じ、数年振りか、数十年ぶりか、恐怖という感情を味わった。
彼の目線の先にいたのは幼い少年だった。
その目に光は宿っておらず、右手では女の生首の髪を鷲掴みにしている。そのすぐ側には、彼の両親のものか、首のない死体と、腹を裂かれ、両目を潰された死体が転がっていた。
「なんだ……これは……」
少年の口元が歪む。景色が現実世界に近付いていく。俊也が手元に転がったワームナックル──ワームウッドが変身に使うデバイス──に気付いてから、それを少年の頭に叩き込むまでには、コンマ一秒と経っていなかっただろう。
しかし、ナックルは少年には当たらない。まるで時空が歪んだかのようにナックルの軌道が反れ、そして、地面に叩きつけられる。
それでよかった。寧ろ、それこそが俊也の狙いだった。
世界が割れ、赤黒い空間が全てを呑み込んでいく。その先に一筋の光を見つけ、俊也は力を振り絞って、手を伸ばした。
****
「時晴!!」
細い路地裏。膝をつき、項垂れるモースに光咲は駆け寄る。彼の複眼には光が灯っていない。しかし、彼がまだ死んでいないのは誰が見ても明らかだった。
とは言えど、何も異変がない、という訳では無い。その全身は細かく震え、時折、内側から何かが軋む音を響かせていた。
「取り敢えず、一旦変身解いたほうがいっか……!」
光咲はコネクトドライバーに手を伸ばす。リモコンを引き抜こうとしたその手が、何者かに握られた。
「時は──ッ!?」
何者か、ではない。それはモース自身だった。モースは光咲を勢いのまま投げ飛ばし、ゆっくりと立ち上がる。
「──ッハ」
地面に叩きつけられた光咲の肺が押し潰され、口から空気が漏れる。彼女の歪んだ視界の中で、モースの全身が、段々と黒く変わっていた。
光咲はただ只管に絶句する。彼女の心を占めるのは、痛みではない。どちらかと言うなら、それは、恐怖。殺意を向けられているわけでも、ましてや敵対しているわけでもないというのに、今までに感じたことのない程の恐怖と絶望を、彼女は感じていた。
逃げなきゃ死ぬ。なのに、足が震えて動けない。
「……いや」
それ以上に。どういう状況かはわからないが、モースの変身者が時晴であることは事実。例え彼以外の誰かが変身しようとしれも、ドライバーに弾かれる筈だ。
「じゃあ……逃げてられないじゃない……!!」
光咲は変身する。その両腕は巨大な鎌となり、モースを切り刻まんと迫る。
しかし、それだけだった。
その鎌はモースに届く寸前、まるで何かが割れるかのような音が辺りに響き渡った。同時に、ガラス片のようなものが辺りに舞い散り、光咲と、そしてモースを弾き飛ばす。
「あれ、俺……」
衝撃で変身が解かれたのか。時晴は辺りを見渡し、そして、目を見開く。
「アンタ、さっきの……!!」
「ふん……理由は全くわからないが、ナックルのお陰で助かったようだ。それで……」
時晴を見下ろし、無傷で立つ俊也。その手には、リモコンが装着された状態のコネクトドライバーのバックル。
「モースの変身ベルトは預かった訳だが……安全の保障は必要かな?」
「返せよ……それはアンタのじゃねぇ……!!」
「成る程。強気なのはいいことだが、言葉の前にまず体を動かしてみたらどうだい?」
事実、時晴は全くと言っていいほど動いていなかった。否、動けなかったのだ。
恐らく、ドライバーの力だろう。彼の負った傷は全て完治している。しかし、変身している状況で尚、惨敗した相手に恐怖を抱かないでいられるほど、時晴はまだ、壊れてはいなかった。
「さて……これで変身、できればいいんだが」
俊也はバックルを下腹部に押し当てる。その様子を見ながら、光咲は、確かに勝ちを確信していた。
『ERROR』
予想通り。ドライバーから拒絶された俊也は弾き飛ばされる。その間に、ドライバーを回収して、この場から逃げられれば──。
「──ッ!?」
しかし現実は、彼女の思惑通りには動かなかった。驚きこそしたものの、俊也は数歩後退ったのみ。その手には、しっかりとバックルが握られている。
「やはりそう簡単には行かないか……仕方ない。さっさと殺して、今から俺も帰還──」
「呼バレて飛ビ出テジャジャジャジャァァァァンッッ!!!」
彼が誰かに通信をした瞬間、颯爽と空から現れる楓夕。彼女はバイクに跨がり、数メートル先で転がる俊也を見やる。
「アレェ!? ごメンねェ、気付カなクってェ!!」
俊也はバイクに轢かれていた。余りにも誠意の感じられない謝罪に、彼は楓夕を睨みつける。
「随分と心の籠もった謝罪だこと……どうするつもりだったんだよ、これでドライバー落としてたら……」
「おマエはそんナヘマしナイだロォ? そレと……」
目にも止まらぬ速さでピストルを懐から取り出す楓夕。その銃口は火を吹き、密かに動いていた人影を正確に撃ち抜く。
「バレバレなんだヨォ、狙ってキテンの」
楓夕の声音から色が失われた。血を流す人影は、彼女を睨みつける。
「君、まダ生キテたンだァ……でモ、ちょットロースに頼リ過ギなんじゃナァイ?」
「モースだ」
その人影は光咲だった。彼女は、楓夕に気を取られた俊也を狙おうと動いていたのだ。
「生キル為の動キってのガまるデ成ッテないネェ!!」
「説教はいいが、早く帰還を……」
「こノバイクだッテ、生キ残りやスイようニボスが開発したンだゾォ!?」
「おい」
「因ミに名前はオレが考エタ!! フライング・ダッチマンって言ッテ……」
「バカバカバカバカバカ!! そんな軽いノリで機密情報を漏らすな馬鹿か!!!」
「バカって言ッタナァ!? お前を殺す」
「やれるもんならやってみろや!! 殺される前にこっちが殺……」
「人ニ殺スナンテ言ッタラ駄目ダヨネェ!!!」
「お前なんなんだよォ!!」
「全ク、コレだカラ永年ヒキニートは……」
「くっだらねぇ!! なんだよそれ!! バカバカし……あっ」
俊也の視線の先に、光咲と時晴はもういなかった。俊也と楓夕は顔を見合わせる。
「ま、まあドライバーは回収できた。任務は達成だ」
「ヤーイ、ボスの無能〜」
「もう何も言わんぞ……」
****
「っぶねぇ……なんとか、生き残ったな……」
「あれがなかったら、私達、死んでたわね……」
俊也と楓夕がそこまで面白くもない夫婦漫才をしている中、時晴と光咲は、基地へと跳び戻ってきていた。
「とは言えど、ドライバー盗まれちまったのは、ちょっとヤバくないか……?」
「ちょっと、どころじゃないわよ……まあでも、不幸中の幸いってやつね。バイラーのキーははこっちに置きっぱなしだから……」
光咲は立ち上がる。キーを手に取り、時晴を見て、そして、顔を強張らせた。
黒いモース。その姿が、時晴に重なって見えたのだ。
「時晴、あの……」
どうした? と時晴。しばし悩む素振りを見せ、結局、光咲は「なんでもない」と誤魔化した。
アレの正体はわからない。わかってしまったら、もう、戻れない。そんな気がする。だから彼女は、逃げることを選んだ。
「……本当、逃げてばっかりね」
「さっきからなんか変だけど、大丈夫か?」
「ええ、大丈夫。それより、会わせたい人がいるわ」
時晴は怪訝そうな表情を浮かべる。ドライバーが奪われたこの状況で、外出することは、即ち丸腰で戦場に躍り出るのと等しい。
「これもドライバー奪還に必要なこと……そして」
二人の間に緊張が走る。静かに空気を吸い込んだ光咲の目に、決意の火が灯った。
「『仮面ライダー』を増やす、唯一のチャンスよ」
何処かの施設の研究室。俊也は一人、物思いに耽っている。
あれは確かに、コネクトドライバーの中での出来事だった。
あの少年は恐らく、両親を殺したのだろう。あれこそ正に、怪物、或いは化け物と言われるものではないのか。
少なくともあの少年は、水上時晴ではない。俊也はそう思っている。
ドライバーを使用できた者は、俊也と彼しかいない。ならば、その二人と、そして
いや、違う。そもそも彼はモースに変身するまで、人を殺したことなどない。彼はごく一般的な男子高校生だった筈だ。それは既に俊也と、その仲間によって調べ上げられている。
「……まさか」
ドライバーは既に解析し終わった。その中には特にこれと言った異常はない。つまり、俊也と時晴以外にドライバーに侵入した者はいない、ということになる。精神世界に入り込み、一切の痕跡を残さないなど、例え人知を超えた生命体であろうと不可能なのだ。
ならば、あの少年は。
「水上時晴の中に、巣食っている……?」
また考えなければいけないことが増えた。こめかみを抑え、胃と頭が強く痛むのを感じながら、俊也は目を閉じた。
数分と経たない内に寝息が聞こえ始める。それを確認した少女は、静かにその研究室を去った。
「あんまり無理、しないでよ──」
彼女の声はか弱く、誰にも聞き取られないまま暗闇に消えていく。窓から差し込む月光を見つめ、少女──春香は、その拳を握り締めた。
「──お兄ちゃん」
この世界の終結を、今はまだ、誰も知らない。
色々とお知らせがありますわね。まずは1つ目、行ってみよう。
てな訳で1つ目。
本編の間の番外編を、不定期投稿にします。なんでかって、2つ目のお知らせも絡んできてるんですけど、何より本編との整合性の問題が出てきてしまったんですよね。
英雄の手記とか、あれもう完全に没設定になっちゃったし。
ただまあ時々投稿するかもです。ヒムンロカレン相談室とか。
2つ目。
居振りい人くんがマジで書いてくれません。てな訳で、一応合作という体は取りつつも、暫くは私一人で書くことになると思います。戻ってくるのか来ないのかは知りません。まあ合作なんてこんな終わり方が殆どだからね、仕方ないね
もしかしたら、この先最終回まで私一人で書くことになるかもです。もう完全にストーリー決めちゃったしね。なんならターマイトの設定とかも勝手に作っちゃったし。これも全部居振りい人って奴の仕業なんだ
3つ目いぇあ。
割とここ最近ずっとなんですけど、ほんっとうに書き方が安定しません。というのも、色々な方からの有り難いアドバイス(無駄に偉そうだったり、本当に感謝していますよぉ)を受け、自分の書き方ふがわっがんなくなってしまったというか。
兎に角、敏樹スタイルだとか、普通に直感のままとか、その他色々書き方が変わっていくと思いますが(ついでに設定も変わっていきます)、これからもどうぞ「仮面ライダーモース」をよろしくお願いします。
締めの挨拶をしたところで4つ目。
一応まえがきでも言ったのですが、今回から、マジで無駄にグロくなります。臓器崩壊パーリナイが苦手な方はどうぞご注意くださいませ。
てな訳で、次回からも拙作「仮面ライダーモース」をよろしくお願いします。
……日本語あってるかな
****
次回予告!!!
番外編なくしたから色々マジで内容決まってなくて笑える!!そんな時遂に現れるかもしれない幻の三号ライダー!!果たしてその正体は!?
次回、仮面ライダーモース!!
ACT8「償■な■■、で■っ■■い」
光咲さんはいつになったら変身するンゴねぇ!!!!!!!