誰得かわからないけど、私の執筆スタイルを紹介
1 まずノートにある程度の流れ、アイデアなどを出す
2 それらを基に文章を作る
3 それらを繋げて、ノートに書きだす
4 書き出した文章に加筆・削除
5 ハーメルンに書き出す、途中で所々書き直す
6 完成
こんな感じです
菓子パンを、頬張る
友希那とリサの二人に再会したというものの、特に生活に変化はない
変わったことと言えば、携帯にリサと友希那の連絡先が、追加されたことだろうか
…まさか、友希那とリサが、私を覚えているのには、びっくりしたけど
特に友希那は、何で久々に会っただけなのに、私だって分かったんだろう
…とにかく、あの二人には関わらないようにしよう
私なんかのせいで、二人に迷惑を掛けるわけにはいかない
現に、あの再会から、二週間は会っていない
菓子パンを買うのも、少し遠くのコンビニにしてるから、もう会うこともない
ピンポーン
そんな事を考えながら菓子パンを頬張っていると、インターホンが鳴る
誰だろうと思いながら菓子パンを食べ終わり、画面に向かう
そこに映っていたのは、リサと友希那の顔
…何で、ここにいるんだろう
私、何処に住んでるかなんて、言った覚えないんだけど
『あれ?寝てるのかな?』
『…いいえ、起きてるわ』
『えー?なんで分かるの?』
『勘よ』
そっくりな人ではないのかと疑ってたけど、インターホン越しに聞こえる声は、紛れもなく友希那とリサの声
…取り敢えず、外で待たせるわけにはいかない
菓子パンの包装をゴミ箱に捨てて、玄関に向かい、扉を開ける
「…いらっしゃい」
「あ、銘!おはよー!」
「…おはよう」
朝から元気だなぁと思う
家族がいる人達は、皆こうなのだろうか
…羨ましい、妬ましい
「…どうしたの?二人揃って」
「いやね、ちゃんと朝ご飯食べてるかなって」
そんな邪な思いを頭から追い出しながら聞くと、リサがそう返してくる
…何で、私の事なんか、気にするんだろう
「…ちゃんと食べてるよ、ちょうど食べ終わったところ」
「菓子パンじゃないよね?」
「…」
何で、リサはこんなに鋭いんだろう
図星をつかれて黙り込む私を見て、リサが肩に手を置いてくる
「部屋、入るね?」
その顔は、なんか怖かった
笑顔だったんだけどな
何でだろう
「…どうぞ」
銘の後に続いて、部屋に入る
…扉越しでも見えたけど、やっぱり暗い
朝なのに、夜なのかと錯覚するぐらい
明かり一つないその部屋を、銘の後に続くと、リビングに辿り着く
…何もない
テレビや机どころか、椅子すらない
キッチンも、冷蔵庫と電子レンジ、炊飯器があるだけだ
特に、電子レンジと炊飯器は、一度も使われた形跡がない
「…リサ」
あまりの光景に絶句していると、友希那が声をかけてくる
声がした方向を向けば、ゴミ箱の中を覗き込んでいた友希那の姿
友希那の方に向かって同じように覗き込んでみれば、中には菓子パンの包装、それとレシートしか入っていなかった
…それに、量が少ない
この二週間色々とあって会えてなかったけど、その二週間分の量じゃない
「銘、一つ聞くけど…本当にここで生活してるの?」
「…そうだけど」
淡々と答える銘
こんな殺風景で冷たさを感じる部屋で、一人で暮らしていた?
「ご、ご飯とか、何処で食べてたの?」
「床に座ってだけど」
「寝るときは?」
「床で寝てる」
淡々と、普通の様子で答える
友希那も、表情にこそ出してないけど、強い衝撃を受けているのがわかる
「…こんな環境で、不便だとは、思わないの?」
「…不便って、何?」
その言葉に、頭が殴られたような感覚になる
…銘には、これが『普通』だと、映っているんだろう
きっと、当たり前の事なんだろうと
…この部屋も、家具が増えた
リサ達が初めて来たときは、何もない部屋だったのに、今では机やソファー、クッション、テレビとかがある
テレビとか机、ソファーや椅子とかはリサ達が選んでくれて、クッションはリサ達が持ち込んできたものだ
私は必要ないと思っていたけど、リサ達に説得されて、買うことにした
それに、毎日、リサ達がご飯を作ってくれたり、一緒に寝てくれたりする
菓子パンばかり食べていた毎日が、今では昔の話
部屋が、明るくなった気がする
何もなかった時と比べて
だけど、こんな明るさは私には似合わない
私には、こんな明るい場所にいていい資格なんて、ない
「銘ー!ご飯できたよー!」
「…今行く」
作ってくれるたものを何の対価もなく食べてもいい事、私にあるわけないのに
有名ガールズバンドに、誰かがいる
そんな噂が立ったのは、何時からだろうか
少なくとも、彼女らがメジャーデビューするころから存在した
曰く、バンドメンバーのインタビューや日常の写真に、不自然な「影」が映りこんでいる
曰く、バックステージや搬入口で、誰かを見た
曰く、バンドメンバーの控室から、明らかにメンバーではない誰かに話しかけている声が聞こえる
曰く、バックステージで、不自然な視線を感じた
他にも数え上げればキリがないのだが、業界関係者やファンの間では
『彼女らを支えている、裏方の人たちとはまた違う誰かがいる』
と、もっぱらの噂であった
しかし、バンドメンバーたちにその質問を投げかけても、答えは『いない』の一点張りである
バンドメンバーがそう言うのであれば、ファンや業界関係者は納得せざるを得ない
だが、そうでない人間もまた、存在した
彼女らの楽曲の裏には、誰かがいる
ステージ上の彼女たちの煌めきだけでは説明できない、もう一つの影
その気配を感じ取ったのは、週刊誌の記者
彼が初めてその気配を感じ取ったのは、数か月前の事
彼女らに何かないかと取材していた時、業界関係者の口が、揃いも揃って
「彼女たちは、何かに守られているようだ」
と曖昧な言葉を口にする
これらに『スクープ』の匂いを嗅ぎつけた彼は、その存在を公にしようと動き出した
業界関係者やバンド関係者に取材を重ね、ライブ後の楽屋や移動ルート、ステージ搬入口などを徹底的に張り込んだ
時には、盗聴という犯罪行為に手を染めながらも、その存在を明らかにしようと試みた
しかし、いくら取材を重ねても、誰も決して答えなかった
いくら取材しても、それらは全て噂の域を出ない
何かを知っているような態度を見せたバンド関係者も、何かに怯えるように答えをはぐらかせるだけ
ならば張り込みで証拠を得ようとするが、決まって体調を崩したり、取材メモが消えたりした
仕掛けた盗聴器で証拠を得ようにも、彼女らの会話の部分は聞こえるのに、まるで切り取られたかのように消えた部分が存在した
業を煮やした彼はガールズバンドに直接取材をする
彼女らのステージ裏にいる『もう一人』の存在、誰も顔どころか性別すら分からない人物が、貴女方の裏にいるのではないかと
しかし、取材した彼がぶつかるのは、まるで厚い壁のような否定だけだった
Roseliaの今井リサは、笑顔で、それでいてどこか冷たい視線を向けた
「えー?そんな人いるわけないじゃん?」
ステージ上で見せる笑顔と明るい声音に揺らぎはなく、記者の言葉など氷の上を滑るように弾かれて消える
しかし、その声音にはどこか氷のような冷たさが混じり、向けてくる笑顔の瞳は暗く、恐怖を覚える
まるで、こちらに向けて見えない刃物を突き付けているかのように
隣にいた湊友希那は、さらに強く釘を刺す
「根拠も示せない話に、答える義務はないわ」
その言葉はまるで告解の門を閉ざす聖職者のように冷たい
話は終わりだと背を向ける彼女らは、まるで氷点下のような冷たさを感じた
After glowに話を向ければ、Roseliaとは真逆の反応が返ってくる
美竹蘭は、怒気を隠さずに机を叩く
「ふざけんな!そんな人、いるわけないでしょ!」
彼女の声には激しい感情が乗っていた
だが彼には、その感情はどこか『触れられたくない何か』を守ろうとする必死さに見えた
上原ひまりは、涙ぐみながらこう叫ぶ
「根拠もない事言って、何がしたいの…?」
他のメンバーも口々に否定した
特に青葉モカは、普段ステージ上で見せる口調とは違う鋭い口調で
「そんな人いないって言ってんの、分かんない?」
と、切り捨てた
Pastel*Palettesの反応は、先に取材した二つのバンドと違い、異質そのものだった
白鷺千聖はステージ上でよく見せる満面の笑みを浮かべながら
「根拠のない噂は困ります」
と柔らかく返す
しかし、その柔らかい声には、鋭い棘が突き刺さっているように感じた
「記事にするなら、貴方の責任でお願いします。私たちの名前を巻き込まないでください」
明るい雰囲気を保ちながらも、否定の言葉の奥には冷ややかな拒絶が、確かに存在していた
Morfonicaの倉田ましろは、微かに震える声で
「…そんな人、知りません」
と答える
強引にいけば聞き出せると踏んだ彼はさらに畳み掛けようとする
しかし、傍らにいた八潮瑠唯が冷たく突き放す
「取材の方向性、間違ってないかしら」
その端正な声音に揺らぎはなく、記者の言葉など氷の上を滑るように弾かれる
しかし、その目にはどこか、怯えを含んでいるように見えた
しかし、その怯えを含んだ目の何処かに、言いしれる恐怖を覚え、背筋が寒かった
MyGO!!!!!の高松燈は黙り込み、視線を逸らしたまま何も答えない
椎名立希だけは声を荒げるように否定していたが、他のメンバーは高松燈と同じように「知らない」「関係ない」と、静かに否定した
だがそれらの沈黙は、真実を覆い隠すための壁のように見え、その壁は極めて強固だった
Ave Mujicaに取材したときは、さらに異様なものを感じた
『ドロリス』は薄く笑いながら彼を見つめ、言葉を投げかける
「…知りたい?本当に?」
その声音に冗談の類は一切なく、あるのはただ冷たい刃物を突き付けられているかのような殺気だけ
他のメンバーに話を振ろうとするも、その目に映るのは恐怖を抱かせるような深い闇
目を逸らすことすらできず、ただただAve Mujicaのメンバーの冷たい瞳に射抜かれるだけだった
RAISE_A_SUILENのレイヤは低く、それでいて揺ぎ無い声ではっきりと言い切る
「そんな人はいない、RASは私達五人だけです」
そのレイヤの言葉を補足するように、パレオがにこやかに笑いながら補足する
「根拠のない噂でファンを傷つけないでくださいね♪」
そう言って軽く流す声音は柔らかいが、その瞳は冷ややかだった
チュチュは机を強く叩き「デタラメ書いたら訴えてやる!」と噛みつき、ロックとマスキングは何も答えないが無言で射抜くように記者を睨み付ける
まるで「それ以上踏み込むな」と言っているようだった
Poppin'Partyの戸山香澄は彼の質問に「ホピパは五人だけですよ!」と即答し、他のメンバーも頷く
ハロー、ハッピーワールド!の弦巻まきも、「ハロハピは五人だけよ!」と即答する
他のバンドと違い、明るい否定だった
だが、それらの否定する彼女たちの笑顔は、妙に形が整いすぎていて不自然に見えた
言葉は違えど、全てのバンドが同じことを言った
「そんな人物はいない」
だがその言葉の奥にあったのは、恐ろしいまでに一致している『沈黙』
誰もがその人物の名前どころか、存在すら認めようとしない
だがその目には「確かにそこに誰かがいる」と語っていた
彼は、確信した
この業界、いや彼女たちの裏には、ステージには立たないもう一人…『誰か』がいる
理由は分からないが、彼女たちはその存在を守っているのだ
確信した彼は、その確信を世に広めようと調べを進めた
取材対象を増やし、彼女らを尾行し、時には楽屋だけでなく事務所、更には家にも盗聴器を仕掛けた
だが、そこから先は噂レベルの足跡しか残っていなかった
回収した盗聴器も、聞かせないかのようにノイズが走っている
まるで、人為的に消されているようだった
ある夜、取材帰りの彼は後ろに気配を感じた
振り返るが誰もおらず、視界に映るのは暗い路地
しかし、確実に誰かに見られている
背筋を走る冷たい感覚
彼は歩みを速めたが、気配はむしろ近づいてきていた
恐怖のあまり、彼は走り出す
しかし、気配が消えることはなく、どんどん距離を詰めてきている
パニックなった彼は、更に走る速度を上げる
次の瞬間、彼を襲ったのは高いクラクションの音と、強い衝撃だった
消えゆく意識の中、彼は見た
ステージ衣装のまま、何の感情を出すこともなく、ただただ冷たい視線を向ける彼女たちの姿を
笑顔や涙もなく、ただ氷のような沈黙と視線だけを向けて
彼は、その時になってようやく悟る
その『誰か』という存在は、触れてはならない領域に属しているのだと
彼女らは、その領域を守る者たちは、微笑みながら牙を隠す獣の群れなのだと
そして、その『誰か』の存在を知ろうとした者は、誰であっても無感情に消すことが出来る、恐怖の存在なのだと
意識が消える寸前、彼が最期に見たのは、興味が失せたと言わんばかりに背を向ける彼女らの背中に、自分の手が伸びるところであった
電気が薄っすらと灯る中、水音と艶めかしい声だけがその部屋に響く
部屋にいるのは二人
「…友希那」
「何かしら?」
「…好き」
「私もよ」
そう言って唇を重ねる友希那
重ねられた方は、息が絶え絶えになりながらも、何処か嬉しさを滲ませている
そんな相手の反応が可愛くて、舌を絡め、より深いキスをする友希那
そんな中、友希那のスマホが震えてメッセージが表示されたが、すぐに消えた
翌日も、バンドメンバーはそれぞれが掲げる音楽を届ける
ステージ上の彼女らは、さらに煌めいていた
銘の部屋には、何もなかった時と比べて色んなものが置かれている
だが、それらは全て誰かが選んだものを銘が買っただけか、誰かが持ち込んでいる物
銘の意思で選んだものは、ただの一つもない
だから、銘自身の生活力は、上がっていない
虎の尾を踏む、という諺がある
彼女らは、凶暴な虎より恐ろしい
触らぬ神に祟りなし、という諺がある
だが、その『誰か』という存在を少しでも知ってしまった以上、彼女らからは逃れられない
感想宜しく