今回私情でいろいろ忙しく、
また、途中の所で行き詰まってしまい更新が遅れました。
申し訳ありません!
次回からは何とかこういうことが起こらないように気をつけて
キーボードを叩いていきたいです。
いつもより薄く、急展開な内容になっていると思います。
それでも構わない方は本編へお進みください。
しばらく頭をフランの頭を撫でていると規則正しい寝息が聞こえてきた。
「すぅ……すぅ……」
寝顔を見てみると、吸血鬼などではなく普通の幼い女の子の顔が見える。
「……そろそろ戻らないとな」
その場の勢いで部屋を飛び出てからかなりの時間が経っている。
とりあえず時間を確かめようと腕時計をしていた左の手首を見るが、
視線の先には腕時計はなかった。
「あっ……そうかあの時か……」
初めてフランと戦ったときに左腕を吹き飛ばされたときに腕時計も落ちてしまったのだろう、
と推測して部屋を見渡すと、扉の近くに落ちているのを見つける。
しかし取りに行こうにも、両腕を胴体に巻かれた状態であまり身動きが取れない。
なんとかフランを起こさないようにそっと腕を解こうとする。
「い、やぁ……」
フランが声を漏らしながら服をぎゅっと離さないように握ってくる。
……やばい、可愛い…………はっ! 俺は何を考えてるんだ!
おかしな方向へ考えがいかない内に頭を横にぶんぶんと振って、考えるのを無理矢理止める。
仕方がないのでフランを抱っこして立ち上がり、腕時計を拾ってから部屋を出た。
「……遅いわね」
「まったくだぜ。 拓人はいつまで私達を待たせるつもりなんだ?」
拓人が部屋を出てから約二十五分程が経ち、二人が愚痴をこぼす。
レミリアが泣き崩れた後、咲夜のいうことに従い夕食を食べた部屋まで来てから
拓人が帰ってくるのをずっと待っているのだが、なかなか帰ってこない。
もしかして何かあったんじゃないかと心配する霊夢に魔理沙が話しかける。
「フランドール、とかいったかな?
いろいろおっかない奴だよな……」
「確かにそうだけど……それも当然だと私は思うわ」
「へ? それまたなんで?」
「だって考えてもみなさい。
物心つく前から周りの人からずっと避けられてるのよ。
私なら耐えられないわ」
「そうか?……霊夢はしぶといからな。
周りに誰もいなくなっても一人で生きていけそうだぜ」
「ちょっと、それどういう意味よ」
「さあな、どういう意味だろうな~」
「はぁ……それにしても、拓人大丈夫かしら」
霊夢が話の方向を変えると、途端に魔理沙の表情が暗くなる。
いつも前向きな考えを持っている魔理沙でもさすがに心配するようだ。
「……変なこと言うなよ」
「でも、あの話を聞いた後だとね……ちょっと心配だわ」
「心配、か……私、ちょっくら見てくるんだぜ!」
座っていた椅子をガタンと音をたてて立ち上がる。
「ちょっと待ちなさいよ、場所わかるの?」
「それは問題ないんだぜ……おーい、咲夜ーーー」
魔理沙が叫ぶと、部屋の扉が開き咲夜が入ってくる。
「呼んだかしら」
「気になったんだけどさ、
拓人の時とは話し方が違うのはどういうことだ?」
「あなた達に敬語を使う必要はないと思った。 それだけよ」
「へぇ、拓人は別ってわけか」
「えぇ、あなた達と違って優しいですし。
それで、まさかそれが用事って訳じゃないでしょう?」
「あぁ、拓人の所まで案内してもらうぜ!」
魔理沙が用事を伝えると、咲夜が訝しげな表情を浮かべる。
「行ってどうするのよ」
「心配だから見に行くってだけだ」
「見に行ってもなにもできないわよ。
妹様はあなた達なんか比べ物にならないくらい強いわ」
「じゃあ、なんで拓人を行かせたんだ?」
そう魔理沙が問うと、咲夜は顎に手を当てて考え始める。
「そうね……わからないわ」
「なんだぜそれ……」
魔理沙が呆れたようにため息を吐く。
話がなかなか進まずにいらいらしてきたので、割り込む為に口を開く。
「あぁもう、話が進まないわ!
それで、案内してくれるんでしょうね!」
「霊夢も来てくれるのか!」
「まぁ、私も心配だったしね」
「さすがだぜ!」
「どこがさすがなのか分からないけど……
分かったわ、案内するから付いてきなさい二人とも」
そういって咲夜が部屋から出て行くので二人が後を追って付いていく。
移動中はしゃべることが無く、三人とも口を開かずに歩き続ける。
かなりの距離を歩いたはずだが、なかなか止まる気配を見せない咲夜に
しびれを切らしたのか魔理沙が半分呆れたような顔で問いかける。
「なぁ、まだなのか?」
「あともう少しよ。 我慢しなさい」
「ちぇ、無駄に広いよなこの館……」
魔理沙の愚痴に顔色一つ変えずに、咲夜は前へ歩き続ける。
さらに歩くこと一分ほどが経ち、周りとは色合いが違う階段が視界に入ってくる。
「……ここなの?」
「えぇ、そうよ。 この階段の下にあるのが、妹様のお部屋よ」
「暗くて先がよく見えないんだぜ……」
魔理沙の言葉につられて階段を見下ろしてみる。
確かに、光があまり入ってこないせいか十五段くらい先までしか見えない。
しばらく目を凝らしていると咲夜から声がかかる。
「それで、これからどうするの?」
「とりあえず、降りてみるしかないだろ……」
「まあ、確かにそうね」
咲夜を置いて霊夢と魔理沙が足を踏み出そうとすると、
コツコツと音を出しながら奥にうっすらと人影が見えてくる。
不審に思い霊夢と魔理沙が足を止め、人影をじっと見つめる。
やがてその人影は窓から差し込んだ月明かりに照らされ姿が見え、
咲夜を含める三人が驚愕した。
「た、拓人!?」
そこには、何故か見知らぬ少女を抱きかかえた拓人がいた。
「た、拓人!?」
階段を上ると、そこには霊夢と魔理沙と咲夜が驚愕の表情を浮かべて立っていた。
「ん? なんで皆ここに?」
「いや、心配だから見に来たんだが……それより、そいつは誰なんだぜ?」
魔理沙が抱っこしているフランを指差しながら質問してくる。
それに答えたのは咲夜だった。
「妹……様……!?」
「妹……っておい!? そいつ、フランドールってやつじゃないのか!?」
魔理沙は足を引きながら、わざとかと思うほどの反応を見せる。
「あぁ、そうだけど。 それがどうした?」
首を傾げて質問すると、霊夢が答えになっていない返事を返してくる。
「い、いや、あんた……治せたの?」
「ん~、まあ一応な」
一応というのは、まだ完全には二重人格は治っていないからだ。
今は別の人格を抑えただけに過ぎないため、改めて治す必要があるだろう。
そこまでを考えた所で、フランを抱きかかえたままのことに気付く。
「そうだ、咲夜さん。
フランを寝かせたいのですが、空いてる部屋ってあります?」
「え、えぇ、あります。 付いてきてください」
少し戸惑いながらも歩き出す咲夜に拓人たちも続く。
歩き始めたところで霊夢と魔理沙に両方から挟まれ質問を受ける。
「ちょっと、これどういうことよ?」
寝ているフランを指差しながら質問してくる霊夢に適当に返事を返す。
「こういうことだ。 見ればわかるだろ?」
「見てわからないから聞いてるんじゃないの……」
「怪我は無かったか、拓人?」
一方気遣ってくれる魔理沙には丁寧に返事を返す。
「大丈夫だ。 心配してくれてありがとうな、魔理沙」
「どういたしましてなんだぜ」
にへへ、と笑う魔理沙を見て少しイラついたのか霊夢が話に割り込んでくる。
「魔理沙と私とのこの扱いの差はなんなのよ!」
「魔理沙のほうが優しいからだ。 それ以外に理由はない」
「だとさ霊夢。 諦めて優しくなれるよう頑張ったらどうだ?」
「魔理沙……あんた調子乗ってんじゃないわよ……」
「さっそくおっかないんだぜ……」
こうして色々と話をしながら歩くこと五分ぐらいが経ち、
咲夜が立ち止まって部屋の扉を開けて手で中に入るように促す。
「どうぞ、こちらです」
部屋に入ると、そこには人一人が寝るのに十分な大きさのベッドがあった。
「ありがとうございます」
そう言ってからしがみついたフランを寝かせようと、体に回されている腕を解き始める。
しかし、フランの部屋でやったときと同じくなかなか離れない。
どうしたものかとフランの頭を撫でながら考えていると、
だんだんと胴に回されている腕から力が抜けていく。
この時を逃さずに頭を撫で続けながら体から離し、ベッドに横にする。
体が軽くなり、ふう~、と息を吐いていると魔理沙から声がかかる。
「随分懐かれてるな……そうか、拓人は変態だったのか」
「どうしてそうなる。 あと前言撤回だ、魔理沙は全然優しくない」
「うわ、拓人ひどいぜ……」
はあ~、とため息をつきながら拓人はやるべきことを思い出した。
「あ、そうだ。 咲夜さん」
「はい、なんでございますか?」
「レミリアさんに会えますか? 少し話しておきたいことがあるので」
「分かりました。 少しお待ちください」
そう言うと、能力を使ったのか一瞬で咲夜の姿が掻き消える。
十五秒ほど待つと、先ほどと同じ位置に咲夜がいきなり現れる。
「お待たせしました」
「どうでした?」
「勝手にしなさい、とおっしゃっていますがどういたしますか?」
「もちろん行きますよ、今から」
すると、近くで話を聞いていた魔理沙が口を開く。
「なあ、私たちも付いて行っていいか?」
いつもなら付いてきてもいいかな、と思うがこの話題はレミリアと二人だけで話したかった。
「悪いな、今回は二人だけで話したいからさ。
魔理沙はここで待っててくれるか?」
「ふ~ん、まあいいけどな。 暇なだけだし」
「できるだけすぐ戻ってくるからさ、二人共待っててくれよ」
「拓人が行ってる間私たち暇なんだけど、何かすることある?」
「そうだな……フランの傍に居てくれるか?」
「うわ、いきなりすごいのが来たな……」
「大丈夫だよ、一応おとなしい方の人格が出るはずだから」
「……まあ、拓人がそう言うなら、やってもいいんだぜ……」
渋々と納得した魔理沙を見てから咲夜に向き直る。
「すみませんが、案内お願いします」
「畏まりました」
「できるだけ早く帰ってくるのよ」
「わかってるよ」
そして拓人と咲夜は部屋から出てレミリアの部屋へ歩き始めた。
「話って……なんなのよ……」
暗い部屋の一際大きなベッドの枕に顔をうずめながらレミリアは考えていた。
会って本当に間もないただの人間に怒り、怒られた。
人間のくせに何百年も続いているこちらの事情に首を突っ込んできた。
あの妹を人間ごときでどうにかしようとした自分は愚かだ。
たとえ順調に事が進んだとしても、すぐに殺されるのが目に見えていたのに、
なぜ自分は幸運で生き残った人間に希望を見つけたのだろう。
……絶対に生きて帰ってこれない……そう思っていたのに……
あの人間が妹に殺されて何とかしたいと悩む、同じ時間の繰り返しが待っている。
そう思っていたが、実際は生きて帰ってきた。
生きていると知ったとき、不思議な感覚が自分の体を包み込んだ。
今の自分では言葉にできない感情が体の底から湧き上がったのだ。
歓喜? そんなのじゃない……
悲観? それでもない……
安堵? そんなことはありえない!……
思い浮かんだどの感情も、今のレミリアの心情には当てはまらなかった。
いつまで悩んでいたかもう分からなくなってきた頃、部屋の扉がコンコンとノックされる。
「……誰?」
『咲夜です。 拓人様を連れてきました』
メソメソしている自分を見られたくなくてベッドに腰掛けてから返事をする。
「……いいわ、入って」
『失礼します』
ガチャリ、と音を立てて咲夜と人間が入ってくる。
何を話されるかは分からないが話ぐらいは聞いてやろう。
いつもの自分らしくない考えに少し驚きながらも、
レミリアは近づいてくる人間の話に集中することにした。
「失礼します」
咲夜に続いて部屋に入る。
全体的に暗く部屋が広いのか壁までは見通せず、大きなベッドが見える以外は
目立ったものは見つからない。
咲夜が横にずれ、レミリアと顔を合わせる。
その顔は最初に会った時のような年齢の分からないような顔ではなく、
容姿相応の幼い女の子のような顔だった。
「どうも、レミリアさん」
「……話って何よ」
何故かは分からないが声は幾分か沈んでいた。
「お察ししているでしょうが、フランと話をつけてきました」
「…………」
何の反応も見せないので、話を続ける。
「それでですね、フランを地下室ではない部屋で寝かせています」
「ッ! 地下室から出したの!?」
ベッドから勢いよく立ち上がるレミリアを手で制して、
改めて座りなおしたのを確認して続きを話す。
「待ってください。 寝かせているといったはずです」
「寝かせている?……どういうことかしら」
「フランと戦った後にいろいろとありましてね」
「それで、あなたは二重人格を治せたのかしら?」
「いいえ、今はまだ抑えている状態で、完全に治ったとは言えません」
「じゃあ何で出したの!? 目が覚めたら見境無く暴れまわるかもしれないのよ!?」
レミリアは再度立ち上がって拓人に歩み寄り、胸倉を掴み自分の顔に寄せる。
「グッ」
「言ったでしょ!? あの子はもう誰も殺したくないのよ!
もうあんな辛い思いはさせたくないの!」
「分かって……ますよ、それ、ぐらい」
胸倉を掴まれているため話しづらく、少しつっかえてしまう。
「じゃあなに? あの子を治す算段はついてるって言うの?」
早く言わないと絞め殺すと言わんばかりに、掴んでいる手に力を込めてくる。
「えぇ、もちろん、ですよ。 ゲホッ、ゲホッ!」
あまりに苦しく咳き込んだところで力を入れすぎていたことに気づいたのか、
少し驚いたような表情をした後に手が服から離れ、呼吸が楽になる。
何回か深呼吸している途中にもレミリアは問いかけてくる。
「それで、どうやって治すの?」
「はぁ、はぁ……もちろん、私の能力を使うんですよ」
「……あなた、能力持ってたのね」
「え? 聞いてませんでしたか?」
自分の能力をレミリアは知っていると思っていたため驚いてしまう。
咲夜がはっ、と何かに気づき口を開く。
「すみません、まだお話ししてませんでした」
「そうですか、そういうことなら……」
そして、レミリアに自分の能力について知っている事全てを話した。
さすが吸血鬼といったところか、かなり頭が切れるようで、
一回話すだけでレミリアはほとんどを覚えたようだった。
「……なるほどね。 それで、能力をつかってどうするのよ」
「さすがに人格を消すのは難しそうですので、
『フランが人格を抑えられる』ようにします」
「なるほどね、悪くないわ。 なら早くそれをしなさいよ」
確かに、思いついた瞬間にでもすればすぐに実行できただろう。
だがフランはこう言っていた。
『お姉様は、私を見捨てた! もう私なんか、いらないのよ!』と。
能力を使えば人格を抑えるのは簡単だろう。
しかし、それだけでは駄目だと拓人は思った。
フランの心を傷つけているのはフラン自身の力だけではなく、
レミリアの行動そのものだと。
レミリアは知らず知らずのうちにフランという存在を遠ざけて生きており、
それがフランにとっては『見捨てられた』と感じたのだろう。
それが間違っていると思わせなければ、人格を抑えたとしても
フランの心は傷ついたままである。
あんな悲しい心を持ったままにさせる事は、拓人にとって到底無理な話である。
「……その前に、やってもらいたい事があります」
「何よ、言ってみなさい」
「フランと会って、話をしてください」
言われたことが予想外だったのか、少し驚いた表情を見せる。
「話? 何を話すのよ?」
「フランの気持ちを理解して欲しい、といえば通じますか?」
「気持ち? そんなの、とっくの昔に理解してるわ」
「果たして、本当にそうでしょうか?」
挑発ともとれる言い方をされてむかついたのか、眉をひそめてこちらを睨んでくる。
「……何が言いたいの?」
「あなたはフランの気持ちを何一つ理解していない、ということです」
「なんでそんな事が分かるのかしら」
「フランからありったけの気持ちを聞いたからですよ。
あなたも、話してみれば自ずと分かるはずです」
「……分かったわよ。 行けばいいのでしょう」
「ええ、そうです。
今は寝ているので、明日にでも話してもらえれば……」
と話しているそのときだった。
部屋の扉が勝手に開き、外から誰かが入ってくる。
「おい拓人、いるか!?」
振り返って見ると、そこには魔理沙が立っていた。
「魔理沙!? なんでここに?」
「説明は後だ!
フランドールが起きたと思ったらいきなりお前の名前叫びながら泣き始めて大変なんだ!」
「ちょっと待て、一体何が何やら……」
いきなり早口で話し始める魔理沙に圧倒され話が即座に理解できずにいると、
魔理沙が歩み寄ってきて、有無を言わせぬ力で腕掴まれ引っ張られる。
「ちょ、ちょっと待てよ!」
「とりあえず来てくれ!」
「あ、ちょ、ちょっと待てって!」
すばやく掴まれた腕を引き魔理沙から離れると、レミリアと顔を合わせてから口を開く。
「ということなので、今すぐに来てください」
「……仕方ないわね……」
レミリアがそういうと、またもや魔理沙に腕を掴まれ引っ張られる。
「ほら、早く!」
「分かった、分かったから!」
そして、魔理沙に無理矢理引っ張られながら部屋を飛び出したのだった。
はい、こんな感じの十二話でした。
本当はこんな終わり方にする予定は無かったんですが、
なんか書いてたらこんなことになってしまいました……
基本、その場のノリで書いているもので、
どうしても考えていた内容と違ってくるのが私の悪い癖です……
それと、この小説を読んでくれている友人から、
「もっと短く切って毎日投稿しろよ!」
なんて言われました。
数少ない読者様の中にもそういう方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、私には短く区切る力は無いのです。
気長に待っていただければありがたいです……すみません……
長々とした後書きでしたが、今回はこのへんで。
十三話、なるべく早く投稿できるように頑張ります!