早くも初投稿から一ヶ月が経過しました。
時の流れとは速いものですね……
もっと時間が欲しいですね。
前置きが少し長くなりましたが、
急展開・誤字脱字が大丈夫!な方は本編へどうぞ。
第六話 三対一
幻想入りしてから四日目の朝。
今日は少し遅れて、昇りきった朝日がまぶしい時間帯に目が覚めた。
昨日と同じく運動をこなしてから、今は朝御飯を食べているところである。
ここに来てから四日程経過するが、目の前で味噌汁をすすっている
今いる神社の巫女が巫女らしき仕事をしている姿を見た覚えが無い。
話すことがなかったので、仕事のことについて聞いてみる。
「そういえばさ霊夢」
「なに?」
「霊夢ってどんな仕事してるんだ?」
「そうねぇ、だいたいこの神社の掃除とか、
目のつく範囲で村の保護、悪い妖怪退治ぐらいかしら」
少ない、非常に少なかった。
正直、巫女というぐらいだから、
もう少し仕事があるもんだとばかり思っていたのだ。
「そっか……今日さ、霊夢に付いていっていいか?」
「手伝ってくれるの?」
「まぁな、巫女の仕事にも興味があったし、どうせここに居ても暇だからさ。
もちろん、足手まといになるならやめとくけど」
「もう飛べるんだし、そんなことはないわよ。
それじゃ、今日はよろしくね」
「ああ、わかった」
そんなことで、今日は霊夢についていくことにした。
すると、庭から白黒の服を着た例の魔法使いが姿を現す。
今日はかなりご機嫌な様子だ。
「よぉ霊夢、遊びにきたぜ!」
「残念ながら、今日は普通に仕事するのよ」
「仕事? 霊夢っていっつもここでお茶すすってるか
ここの掃除してばっかりで、仕事なんてこれっぽっちもしてないじゃないか」
先程の話とは真逆のことをぺらぺらと口に出す魔理沙。
真実を見極めるために本人尋問を始めてみる。
「おい、その話本当か?」
「い、いえ、そのね。
いつもはしてるんだけど、たまに、たま~に、こういう日もあるって話よ」
声がいくらか弱くなっており、それは魔理沙の言うことが正しいことを示している。
「はぁ……巫女の名が泣いてるぞ」
「あぁ、全くそのとうりだぜ」
「う、うるさいわね。
いいのよ、これが私なんだから」
無理矢理に話を区切ると、霊夢は一気に味噌汁を飲み干した。
そんなこんなで話をしていると、朝日がかなり昇ってしまった。
いつも重宝している腕時計も八時三十分を指している。
そして、霊夢が立ち上がりながら口を開く。
「それじゃ、そろそろ出ましょうか」
霊夢につられ、重い腰を上げる。
「そうだな」
「なぁ、私もついていっていいか?」
「邪魔しないならいいわよ」
「邪魔なんてしないんだぜ」
にっしっし、と子供っぽい笑い方をして、庭まで三人揃って部屋を出ていく。
そして、そろそろ飛ぼうと思ったその時だった。
「……なんなんだぜ、あれ」
魔理沙が空を指差している。
指差した先にあったのは、真っ赤に染まった霧のようなものが見えている。
しかも、目に見える早さで広がっている。
「あそこって、紅魔館の辺りよね」
「ちょっと見てみるんだぜ」
そういうと、魔理沙は箒にまたがって飛び、どんどん上に上がっていく。
すると、魔理沙が目を凝らし、何かを見つけたような顔をして口を開く。
「間違いない、紅魔館からだ!」
「あの吸血鬼、一体なに考えてんだか」
霊夢と魔理沙が話している間、拓人は考えていた。
あぁ、紅霧異変か……関わりたくないな……
紅魔館メンバー、特にあの吸血鬼姉妹……
もし会ったらすぐにピチュってしまうという情けない自信が拓人にはあった。
原作プレイ時に何度苦しめられたことか、と考えていると、
赤い霧は空のほとんどを覆い尽くしてしまう。
「仕方ないわね……拓人、魔理沙、行くわよ」
「え、今からか?」
「ええそうよ。
どうせ里の方からどうにかしてくれっていってくるだろうし。
こういうのは、早めに解決しておいて損はないのよ」
「まぁ、私も暇だったし、ちょうどいい暇潰しだ。
さっさと解決しようぜ拓人」
このままの流れでは自分も連れていかれそうで、
異変に全面的に関わりたくない考えの拓人は一つの提案をする。
「あの、さ、霊夢」
「ん? どうしたの?」
「いや、あんなこといった後で悪いんだが、俺家に残ってていいか?」
「ダメよ」「ダメなんだぜ」
二人同時に提案を却下され、少し縮こまる。
「今日は私についてくるんでしょ。
男が一度言ったことを覆すの?」
「ウグッ」
「そうなんだぜ。
それになんか面白そうじゃんか」
いや、この先のことを知ってるから行きたくないんだよ……
等と口にするわけにもいかず、しぶしぶ了解する。
「わかったよ。 いけばいいんだろ?」
「ええ、そうよ」
「さすが拓人なんだぜ」
そして三人は紅魔館へ向かうべく、体を宙に浮かせた。
「……霧が濃いな」
「霧の湖だな」
「ここはいっつもこうなのよ」
拓人たちは霧の湖の上を飛んでいる。
回りを見渡しても数十メートル先の風景がぼんやり見えるだけで、
あまり視界がいいとは言えない。
そんななかを霊夢と魔理沙に必死に見失うわないようについていく。
数十分くらい飛んでいるとだんだん霧が晴れ、
紅魔館と思われる館が目にはいってくる。
「ここが、紅魔館……」
「えぇ、そうよ」
「赤いよなぁ、ここ。
目がチカチカするぜ」
紅魔館は赤いと覚えていた拓人だったが、あまりの赤さに驚いていた。
どこからどう見ても、赤以外の色が見当たらないのだ。
驚きフリーズしている拓人をよそに、霊夢と魔理沙が話し始める。
「しかし、妖精が見えなかったな」
「そうね。
あいつらいたずらばっかりするんだもの。
てっきり邪魔しにくるかと思ったわ」
「あいつなんかがさ『ここを通りたかったら、あたいと勝負よ!』
とかいってさ」
「そうそう」
二人仲良く話しているのをよそに、フリーズから立ち直った拓人は安堵していた。
原作の東方紅魔郷では、紅魔館にたどり着くまでに
ルーミアや大妖精、チルノと一対一で撃破していたと記憶している。
つまり、ここに来た時点で一度も戦闘を行わずに、
紅魔郷二面までをクリアしたことになる。
しかし、これより強い連中がこの先にいるためあまり意味は無いのだが。
「さ、ちゃっちゃと吸血鬼にこれやめさせて、早く帰りましょ」
それもそうだな、と思いそれぞれが紅魔館に向かおうとした。
すると、すぐそばの茂みからガサガサと聞こえてくる。
それに気づいた三人は茂みを注目し、耳を傾ける。
ガサガサという音は聞こえなくり、今度はヒソヒソ声が聞こえてくるが、
肝心の声が小さく、内容は聞き取れない。
おかしいと思ったのか、霊夢がお払い棒、
魔理沙が片手に弾を身構えて茂みの方に注目する。
対する拓人は茂みに隠れている人物が誰なのか予想がついていた。
あぁ、チルノだな……
霧の湖で出てくるキャラといえばチルノであり、
多くてプラス大妖精ぐらいだと推測した考えだ。
しばらく茂みを見つめていると人影が三つ出てきた。
三つ?……チルノと大妖精と……あと誰だ?
その問いに答えるかのように、人影は立ちふさがるように横一列に並ぶ。
左から、ルーミア、チルノ、大妖精といった並びだ。
「おい、そこの人間たち!」
「なぁんだ、あんただったの」
霊夢は呆れながら、ほぼ完全に警戒を解いて構えていたお払い棒をおろす。
「ま、予想はついてたけどな」
「な、さいきょーのあたいのすることがわかってたの!?」
「まぁ、チルノちゃんだしね……」
「そーなのかー」
皆が話している間、拓人は考え込んでいた。
三人だ!? ちょっと待てよ……霊夢からなんか擦り付けられそうな予感が……
ダメだ! 勝てるわけがない!
持ち前のネガティブ思考がはたらいたせいか一瞬でそこまでたどり着き、
頭を押さえていると霊夢に首を傾げられる。
「どうしたの?」
「……いや、なんでもない」
嫌な考えを払拭しようと頭をふって、チルノの方に注目したところで
魔理沙がチルノにはなし始める。
「なぁチルノ。
私たちは紅魔館に行きたいんだがそこを通らせてくれないか?」
「ダメよ!
面白そうだもん、ここはとおさせないわよ!
ここを通りたかったら、あたいと勝負よ!」
「ブフッ」「クスッ」「ふっ、アッハッハ!」
先ほどの魔理沙の言ったセリフと完全に一致していたので、
三人が同時に吹き出してしまう。
最後の豪快な笑いは魔理沙のものだ。
「な、なにがおもしろいのよ!」
チルノが怒ってくるが、無視して話を続ける。
「だそうだ、どうする霊夢?」
「こらー、無視するなー!」
「そうねぇ……」
霊夢は顎に手をあて考え始める。
すると、なにかをひらめいたか少し目を開き、こちらを見てニヤニヤ笑ってきた。
ま、まさか……
「めんどくさいから拓人よろしく」
こちらの先ほどの考えを実行に移したかのようなセリフをくらい、
ガックリと頭を垂れる。
「……はぁ、なんでこうなるんだ……」
「どうしたんだぜ?」
無言で霊夢の顔を見るが、「やれ」としか言ってなかった。
「わかったよ、やればいいんだろ、やれば」
「ふふっ、ありがと」
そういうと、霊夢は懐から白紙の紙のようなものを四枚ほど渡してくる。
「これは……スペルカード?」
「前に渡したやつも使って頑張りなさい。
先に霊力を流していつでも使えるようにしておくといいわ」
「そりゃどうも」
そういうと、霊夢と魔理沙が離れ見学し始める。
霊夢に言われたとおり、この前もらったやつも合わせた五枚の
白紙のスペルカードに霊力を流す。
すると、一瞬スペルカードが強く光って次々に文字が刻まれていくが、
じっくり読んでいる暇はないので、文字が刻まれたのを確認すると同時に懐にしまう。
「そろそろいい?
え~っと、あんた誰?」
「人間の五十嵐拓人だ。
拓人って呼んでくれ」
「私がここのさいきょーのチルノ。
それで、こっちが大ちゃんで、こっちがルーミア」
紹介された大妖精が頭を礼儀正しくペコリと下げる。
「はじめまして。 私、大妖精と言うものです。
みんなからは大ちゃんと呼ばれています。
拓人さんも大ちゃんで構いません」
大妖精こと大ちゃんの意外なまでの礼儀正しさに感服し、
こちらもペコリと頭を下げ、敬語で返事を返す。
「ど、どうもはじめまして。 それではお言葉に甘えて……
それで、そっちがルーミアでいいのかな?」
「そーなのだー。 よろしくー、わはは」
一方、子供らしい天真爛漫な挨拶をしてきたルーミアに心をいやされつつ、
チルノの方に向き直る。
「それじゃ、そろそろやろうか、チルノ」
「望むところよ!
大ちゃん、ルーミア、いくよ!」
「え、えぇ!? 私もやるの!?」
「三人でとめるっていったじゃない!」
「そーなのかー」
三対一って……勝ち目薄すぎだろおい……
そんな思いはチルノには通じず、右手で弾幕を作り始める。
対するこちらも、弾幕をつくりチルノが放つより先に飛ばす。
放った弾は、最初に魔理沙に当てたのと同じでものすごい速さで突っ込んでいく。
たぶん、初見での回避は難しいだろう。
そして、予想通りにチルノに命中する。
「いたっ! 人間のくせにやるじゃない拓人!」
ルーミア、あれでいくよ!」
「わかったのだー」
そういうと、ルーミアが弾幕をつくろうともせずにこちらに近づいてくる。
一体何をするつもりなのかと思ったが、これは拓人にとって都合がよかった。
魔理沙との弾幕ごっこが終わった後、
自分なりの弾幕を考えていたときにひらめいたアイデアがある。
霊力で近接武器を作ってしまえばいいのではないか、と。
もともと拓人が身に着けていた武道のうち、
二つは簡単に言ってしまえば近接格闘である。
ならば、相手の懐に飛び込んで近接武器をぶち当てればいいのではないか
と思いついたのだ。
そして、今のところ一番馴染み深かった刀を使うことにしたのだ。
拓人は、こっそり練習しておいた成果を発揮し、
霊力で作った刀を作り、ルーミアに向かって中段に構えて突きを放つ。
もちろん相手に怪我をさせないよう、相手に被弾させた瞬間に霊力を拡散して
能力で刀を消すようにしてある。
「セェイ!」
すでにルーミアはすぐそばまで近づいており、
回避するために動いたとしても簡単に追随でき、回避は不可能だ。
すると、いきなり目の前が真っ暗になった。
なんだ!?と思いながらもとりあえず真っ直ぐ突きを放ちルーミアに当てようとする。
だが、突きは見事に何もない空間を突いた。
そして、今頃になってルーミアの能力を思い出す。
……そうか、『闇を操る程度の能力』……!
ルーミアのこの能力は、原作で使われることは無かったが、
自分の周りを闇で覆って太陽光などの光を遮断するものだ。
中では松明などの光も闇で覆ってしまうため、完全な闇となってしまう。
実はルーミア自身も能力を使っているときは見えないらしいのだが、
今はルーミア以外にもいるのであまり関係ない。
この闇の中では周りの状況が一切判断できず、
視覚以外に頼る他ない状況に陥ってしまった。
むやみに動き回るわけにもいかないが、
静止しているところを集中狙いされることもありえる。
そして、その考えは実行に移された。
「いまだ! 一気にいくよー!
雪符『ダイアモンドブリザード』!」
「え、え~っと……すみません、拓人さん!」
チルノと大妖精のいる方向からかなりの数の弾が飛んでくるのが分かるが、
周りが闇に閉ざされており、数も大きさも大雑把にしか分からない。
そこで、拓人はあることに気づいた。
ルーミアの能力は自分の周りを闇でおおう能力だ。
ならば、その闇の中から離れればいいと考えた。
それをすぐさま行動におこし、真上に急上昇する。
ものの数秒で闇から抜け、赤い霧で覆われた空が目にはいる。
すると、下から青色のチルノの弾と緑色の大妖精の無数の弾が飛んでくる。
ここで気合い避けで回避しながらじわじわ追い詰めようと考えたが、
自由に動ける大妖精やルーミアもいる。
できるだけ早く倒してしまわないと段々とこちらにとって不利になると考え、
懐から適当なスペルカード一枚を抜き出して書かれている文字を叫ぶ。
「頼むぜ……弓符『ファステストアロー』!」
スペル詠唱をするとカードが消え、
代わりにいつも使っているものと同じ二メートル越えの弓が現れる。
迷うことなく矢をつがえずに弦を引くと、一本の長い矢が右手に現れる。
チルノと大妖精の弾幕を避けつつ、狙いも付けながら十分に引き絞り、
限界まできたところで放つ。
すると、まるでライフルでも撃ったかのような音が鳴り、
一瞬の残像を残してチルノにものすごい速さでまっすぐ向かっていき、
「グエッ!」
「チ、チルノちゃん!?」
見事にお腹をとらえ、命中した。
矢の速度が速く、チルノも一緒になって落ちていき、
湖にドッバーン、と大きな音と水柱をたてた。
「……ふぅ、これでいいかな。
どうする、大ちゃん、ルーミア」
「い、いいえ……やめておきます……」
「……強いのだー」
二人の降伏宣言を聞いたところで霊夢と魔理沙の方に体を向ける。
そして、二人は唖然としていた。
「は、速いわね……」
「目で追えなかったんだぜ……」
……まぁ、
と思いながらも二人の元へ近づく。
「どうだったかな?」
「えぇ、まあまあね」
「きびしいなぁ……魔理沙はどう?」
「私としてはもうちょっとみたかったな~。
次の相手もよろしく頼むぜ」
「えっ、次も!?」
「あら、いい考えね」
「霊夢、助けてくれよ……」
そんなわけで、次も相手することが決まってしまった。
次の相手は華人小娘こと紅美鈴である。
第三面のボスであり、色とりどりのきれいな弾幕を放ってくることぐらいしか
拓人は知らないが、一応武術の達人であるとどこかでみた覚えがある。
戦ってみたいのは山々だが、相手は妖怪なのに対してこちらは人間。
ふつうに戦っても勝ち目がなさそうとしか思えない拓人だったが、
……ま、何とかなるだろ。
俺がダメなら霊夢と魔理沙もいるし。
と安易な考えを頭の中で展開した。
生憎その時のことはその時に考えるという主義であり、あまり深く考えなかった。
そして、拓人たちは赤い霧の出現位置である紅魔館へと向かった。
ノリで書いていたらバトルが薄くなってしまいました……
次は居眠り門b……華人小娘こと紅美鈴です。
読み方はホン・メイリンだそうで。
最初、東方を知ったばかりの作者は読み方がわからずに苦労しました……
皆さんは間違えたり忘れたりしないようにご注意を。
なんとかバトルを長くしなければ……
それでは次回、お楽しみに!