前回のあとがき通り、美鈴戦なのですが……すみません。
先にこれだけは……今回、弾幕でてきません!
理由は本編にてご確認ください。
それでは、急展開&誤字脱字が構わないという方は本編へどうぞ!
霧の湖でチルノたちを降伏させた拓人たちは、
話をしながら紅魔館に向かって飛んでいる。
「……チルノ大丈夫かな」
先ほどの戦いでスペルを使いチルノを湖へ強引に撃ち落とした拓人だったが、
あんなに速い弾を腹にくらって大丈夫かどうか心配していた。
独り言のようにつぶやいたのが聞こえたのか、霊夢が問いかけてくる。
「どうかしたの?」
「いや、チルノが心配だなってさ」
そういうと、話を聞いていたらしい魔理沙は、ふっ、と小さく笑う。
「なんだそんなことかよ。 あいつ妖精だぜ」
「妖精だからなんなんだよ」
「妖精は、自然から生まれてくる種族だから、
自然がある限り妖精は死なないの」
「えっ……そうなのか」
原作のプレイばかりに身を投じて、
あまりキャラ設定などを知らない拓人にとっては初耳だった。
「じゃあ、妖精は死の概念を持たないってことか?」
「ええ、そのとおりよ」
「私たちも似たようなもんだよな~。
簡単にやられたりしないし」
「というより、私は強くなかったらこの仕事してないわ」
この他にもいろいろ話していたら、紅魔館まであと少しのところまできた。
チルノと戦う前にスペルカードを見てなかったことを思い出し、
たどり着く前に見ておくことにした。
ガサゴソと懐から四枚のスペルカードを取り出す。
スペルカードには、弓符「ディフュージョンアロー」 刀符「シューティングブレード」
刀符「スラッシングツーブレード」 視符「全てを見通す動眼術」とあった。
……なんだこりゃ……武道なのに刀と弓が全部「アロー」と「ブレード」とか……
最後のとか若干中二っぽい……
等々いろいろと気に入らない点を列挙しながらがっくりと肩を落としていると、
霊夢がこちらのスペルカードを覗いているのが目に入る。
「……なぁ霊夢」
「どうしたのよ、そんなに肩落として」
「なんか、スペルが気に入らない……」
「文句言わないの。
最初に手に入るスペルなんてそんなもんよ」
すると、いつの間にかこちらのカードを覗き込んでいた魔理沙まで話に加わってくる。
「そうだぜ。
ただの人間にしては多いくらいだぜ」
「そういうもんかねぇ……」
そんなこんなで紅魔館までたどり着いた。
門前に着地した拓人は門をみた後、不思議に思い辺りを見渡す。
理由はここにいるはずの門番がいないからだ。
「……あれ、おかしいな」
「そうね、門番がいないわ」
「どうせどっかで昼寝でもしてるんじゃないのか?
いっつも寝てるから、中に入って本を盗……借り放題だぜ」
先程、魔理沙の口から不審な単語が聞こえてきたので、それについて追求してみる。
「おい、盗みはよくないぞ魔理沙」
「ぬ、盗んでないんだぜ。
ちゃんと借りるぞっていってから持って帰ってるんだぜ」
「持ち主はそれを認めてるのか?」
「……いや、その、あれだぜ、うん」
この反応から、やはり盗んだとしか考えられない。
「これが終わったら本全部返しにいけ」
「ちぇ、わかったぜ……」
ふてくされる魔理沙をよそに、辺りを見渡していた霊夢に話を聞く。
「霊夢、どうだ?」
「だめね、人の気配がしないわ」
「このまま入るか?」
「ええ、そうしま……ッ!」
いきなり言葉につまり、何かに気づいたような表情を浮かべて、
視線を赤い空へと向ける。
つられて顔を向けた瞬間、何かが空から降ってきているのが目にはいる。
「下がって!」
霊夢に言われるまでも無く、すぐに離れるために大きく後ろに下がる。
一瞬遅れて空から降ってきた何かが地面に触れる。
触れた瞬間に地震でも起きたかのような地響きとともに地面がくぼみ、
辺り一面が土煙で覆いつくされる。
「げほっげほっ……一体何なんだ?」
そう言い終わると同時に土煙の中から何かが飛び出してくる。
その何かは拓人の顔をねらっていた。
「ッ!」
反射的に右手を何かの右側にあて、軌道を左にそらすと同時に顔を右に傾けて避ける。
避けるときにみると、その何かは五指をぴったりとそろえた手だった。
手が勢いよく引かれると、今度は右のわき腹辺りを狙った、
右から左へ流れる拳が飛び出してくる。
勢いよく体をくの字に曲げて避けると、
拳は左へ流れてだんだんと薄くなり見えなくなる。
見えなくなったと同時に、今度は右から顔を狙った足が飛んでくる。
体を強引に動かして体の動きに全力で逆らっていきおいよく体を反り、
よろけそうになりながらも霊力を噴かせて後方へ大きくバックダッシュする。
着地すると、長年続けてきた癖が出たのか、
自然と柔道の右自然体で構えつつ土煙を見つめるが何も起こらなかった。
しばらくすると、薄くなった土煙の中から人影が出てきた。
「私の攻撃をかわすとは、なかなかやりますね」
その人物は、赤く長い髪にチャイナドレスのような物を着ており、
帽子に付いている星の形のアクセサリのような物には「龍」とかかれた物をつけている。
そしてこの人物こそが、拓人の探していた紅魔館の門番の紅美鈴だ。
「おや、その構え……あなたも私への挑戦者ですか?」
一瞬何のことかわからなかったが、人里の腕の立つ人間が
武術の使い手である彼女に勝負を挑んでいる、と何処かで見た事を思い出した。
「いや、今回はそうじゃないんですが……
今日はそこにいる博霊の巫女と一緒にこの赤い霧を止めに来たもので。
すみませんが、通していただけませんかね」
「お~い、私のことわすれてるぞ~」
魔理沙が抗議してくるが、構っている暇も無く、
目の前の門番にいたっては完全に無視している。
「それは無理ですね。
いま、私たちの主はいそがしいので」
「やっぱりな……
どうする、霊夢……って聞くまでもないか」
「当たり前よ。 力づくでも通させてもらうわ!」
「困りましたね……では、こういうのはどうです?
そちらの方は武術の心得があるそうですし、一対一、
自らの体のみで私に勝てれば通してあげてもいいですよ」
まさか相手の方から一対一、しかも弾幕抜きで挑まれるとは思っておらず、
無意識に口が開いてしまう。
「うわ……まじかよ」
「よろしくね、拓人。 負けないでよ」
「しっかりな拓人!
今度はおもしろいところ見させろよな!」
霊夢と魔理沙から応援の声が聞こえる。
もともとまた相手にすることになると思っていたので、
今更落ち込んだりはしなかった。
「わかったよ。 邪魔するなよ」
「わかってるわよ」
そういうと、また二人はチルノの時と同じように離れて観戦を始める。
「そろそろ終わったみたいですね。
では、こちらからいきます!」
「よし、来い!」
こうして、柔道と見知らぬ武術の戦いが始まった。
私の攻撃を避けるとは……なかなか侮れませんね……
不審者への三段構えの攻撃がかわされた紅美鈴は少し驚いていた。
今まで命知らずの人間が何度か挑みに来たことはあったが、
不意打ちからの攻撃を全部かわされたのは今回が初めてだった。
余談だが、不意打ちされた人間はその時点で呆気なく気絶してしまい、
しかたなく美鈴が人里近くまで運んでいる。
ともあれ、自分の不意打ちを防ぐのではなく、避けられたのは正直驚いていた。
攻撃を防ぐというのは簡単なことである。
飛んでくると思った場所に腕や足を力を込めて置いておくだけなのだ。
対して避けるというのはかなり難しい。
攻撃を予測してから避けるのはそこまで難しくはないのだが、
見てから避けるとなると話が変わってくる。
しかも、先ほどの不審者は土煙のせいで目の前に来るまで攻撃が見えなかったのだ。
いきなり飛んでくる攻撃がどのようなものかを瞬時に考える判断力に
最初の突きを交わすときに見せた技術力。
何より、こういうことに対しての馴れもあるだろう。
これらすべてが、今まで挑んできた人間の中でも一番であり、
かなり強いと美鈴は思った。
そして闘ってみたいと思った。
これほどの相手に自分で編み出した武術が、
どれ程通じるのか試してみたいという欲求が湧いてくる。
それこそ主のためでもあるが、個人としても闘ってみたかった。
そこまで考えたところで不審者が下がった方へ歩み寄り、
だんだん姿が見え、男だと分かる。
その両隣には博霊の巫女と、いつも本を盗みにくる泥棒魔法使いの姿が見える。
両脇の二人はただこちらを見ているだけだったが、
真ん中の男は不思議な構えをしていた。
右手右足を前に、左手左足を後ろに下げ、
力の入っていない非常に穏やかな構えをしている。
見た感じ何かの武術であることはわかるが、
美鈴が知る限りそんな構えをする武術は見たことがなかった。
そんなことを考えても仕方がないのでこちらから口を開くことにした。
「おや、その構え……あなたも私への挑戦者ですか?」
男は一瞬考え事をしたあと、口を開いた。
「いや、今回はそうじゃないんですが……
今日はそこにいる博霊の巫女と一緒にこの赤い霧を止めに来たもので。
すみませんが、通していただけませんかね」
「お~い、私のことわすれてるぞ~」
泥棒魔法使いが抗議してくるが、それを無視して男に返事を返す。
「それは無理ですね。
いま、私たちの主はいそがしいので」
「やっぱりな……
どうする、霊夢……って聞くまでもないか」
「当たり前よ。
力づくでも通させてもらうわ!」
「困りましたね……」
博霊の巫女が前に出てきて言うので、何とか男と闘うための口実を考える。
……そうだ!
「では、こういうのはどうです?
そちらの方は武術の心得があるそうですし、一対一、
自らの体のみで私に勝てれば通してあげてもいいですよ」
「うわ……まじかよ」
こちらのセリフに男が唖然とする。
別の言い訳を考えようとすると、巫女が男に話しかける。
「よろしくね、拓人。 負けないでよ!」
「しっかりな拓人!
今度はおもしろいところ見させろよな!」
「わかったよ。 邪魔するなよ」
「わかってるわよ」
意外にも巫女本人から応援をかけられていた。
二人が観戦に入ったところで話を切り出す。
「そろそろ終わったみたいですね。
では、こちらからいきます!」
「よし、来い!」
男の威勢のいい声を合図に、
見慣れない武術と自己流武術の闘いが始まった。
最初の攻撃は美鈴から始まった。
先ほどと同じ突きと右からの拳。
今度は無駄な動きをせず、最小の動きで避けていく。
右から飛んでくる蹴りもぎりぎりで避け、前髪をかすり左に抜けていく。
もし当たっていれば顔の骨が粉砕されるくらいの威力が込めている、
そう感じるほどの凄まじい蹴りだった。
続いて、振った左足の勢いを殺さずに右の回し蹴りが追撃してくるが、
ここで攻撃に転じるために、回し蹴りを恐れず前にでる。
飛んでくる足を自分の体に巻くようにして威力を分散しながら懐に潜り込み、
左肩のショルダータックルを当てる。
本当は柔道技が馴れているため一番よいのだが、足で攻撃してくるというのは
柔道ではあり得ないので、とりあえずイメージだけで反撃してみたのだ。
カウンターを当てられるとは思ったなかったらしく、
驚愕の表情を浮かべるものの、さすがと言ったところかすぐに後ろに下がり距離をとる。
「……私の攻撃を避けるだけでなく反撃するとは、なかなかやりますね。
いいですよ、楽しくなってきました!」
「今のはほんのお遊び程度ですよ。
さあ、本気で来てください!」
「……お遊び、程度、ですか……
ふふっ、おもしろいです! どんどんいきますよ!」
「来い!」
そういうと、四~五メートル程あった距離を一瞬でつめてくる。
まず飛んできた右手の掌打を右足を後ろに下げかわす。
かわされるのは予想済みだったのか無駄のない動きで体をひねり、
十分に威力のこもった左手の掌打が右胸に向かってくる。
再度、拓人は大きく攻撃に転じる。
左手の服の裾をつかみ、手前に引きながら時計回りにしゃがみながら体を回し
美鈴の懐に飛び込む。
「へ?」
いきなり手を引かれた美鈴は前傾姿勢となり、
懐に飛び込んだ拓人におぶさるような形になる。
しゃがんだ状態から美鈴の手を引きながら一気に足を伸ばす。
分かりやすく言えば、左一本背負いだ。
鍛え上げた両足のバネを使って美鈴を持ち上げ、
腕の引きで背中から地面に叩き落そうとする。
「まだ!」
地面に落ちる寸前に両足を地面につけ、ブリッジで倒れるのを回避される。
そして、体の向きをなおしながら右足で強烈な足払いをかけてくるが、
なんとか両足を後ろにずらし、足払いを避ける。
避けている間に手の方が疎かになったのか、気がついたときには袖が振り払われていた。
体を反時計回りに回転させながら放ってくる左の裏拳を
かわしつつ左手を右に流し、強引に美鈴と向き合うような形にする。
すぐさま拓人は左手で相手の右手の裾を持ち、
左手で右襟を持つという柔道で言う右の組み方をする。
「ッ!」
美鈴が逃げようと右足を後ろに下げるが、組むときに
拓人が右足を相手の右足の後ろにかける小内刈りをかけていたため
下げることが出来ず、後ろに傾いてしまう。
なんとかかけられた足をほどき右足を大きく後ろに下げ、
左足も下げようとする美鈴だが、今度は右足を左足の後ろにかける大内刈りをかけ、
またもや大きく後ろに傾く。
何とか倒れまいと美鈴は体重を前にかけるが、それが拓人の狙いだった。
拓人は裾を持ったまま手を引き、足をクロスさせ反時計回りに半回転すると、
体重を前にかけていた美鈴は成す術なく拓人に引っ張られる。
拓人は、右足を大きく横に出すと少し膝を曲げ、
膝の内側に美鈴のそろった両膝が拓人の膝の内側にあたると、
勢いよく右足をのばし、美鈴が体ごと回転しながら勢いよく宙に舞う。
いわゆる『体落とし』という技である。
体が宙に浮いた時点でこの状況を打破することは不可能であり、
背中から地面へ思いっきり叩きつける。
「カハッ!」
衝撃で肺の空気が抜けたのか、乾いた悲鳴を上げながら両目を見開く美鈴に追撃をかける。
美鈴を投げたすぐ後に自分も美鈴に回転しながら倒れ込みながら勢いをつけ、
裏拳ならぬ裏肘を顔にかける。
このまま当てれば、たとえ妖怪であろうと鼻の骨ぐらいは折れる程の勢いをつけたが、
まさか本当に当てる訳にもいかず、直前で腕を止める。
止めた後も身動き一つしないので、首をひねって失礼ながらも顔を覗いてみると、
目を閉じて何かに耐えているような表情をしている。
そのまま固まっていると、ゆっくりと目を開け始めた。
何が起こっているのかわからない様子でこちらを見つめてくるので、
話を進めることにする。
「……どうです?
降参してくれますか?」
拓人がそう声をかけると、美鈴は全身の力を抜き、ふぅ~と息を吐いた。
「……わかりました。 私の負けです。
どうぞお通りください」
「それはよかった」
拓人が美鈴の降参を聞くと、霊夢たちにもう終わったと両手で仕草をすると、
地面に降りて駆け寄ってきた。
「すごいじゃない拓人!
あなたそんなことも出来たのね!」
「いや~すごかったぜ!
これで私は大満足だ。見れてよかったぜ~」
「ありがとな。
それじゃ、先に行こうか」
「ええ、そうね」
そう言って門から入ろうとすると、後ろから声がかかってくる。
「ま、待ってください!」
「どうしました?」
「あの……お名前聞かせてもらってもいいですか?」
「ええ、いいですよ。 私の名前は五十嵐拓人。
普通の人間です。 そちらの名前は?」
「あぁ、申し遅れました。
私、紅美鈴と申します……あの……」
すると美鈴は少し顔を赤くし、もじもじとしながら何か口ごもっている。
不思議に思いながらも話を促してみる。
「どうしました?」
「あの……強かったです。 また、手合わせ願えませんか?」
なんだそんなことか、と思い軽く返事を返す。
「ええ、この一件が終わりましたらいつでも」
すると、ぱっと顔を明るくしうれしそうに返事を返してくる。
「ありがとうございます!」
「それでは、このへんで。
行こう、霊夢、魔理沙」
「ええ」「おう!」
そういうと、拓人たちは門をくぐって中に入り、美鈴から見えない位置まで歩いていった。
一方、門前に一人残された美鈴は、独り言を言いながら地面に寝そべる。
「……強かったな、拓人って人。
またやってみたいな……」
不思議と負けたというのに美鈴は悔しさを感じなかった。
顔を赤らめていることも自覚せずにそのまま目を閉じる。
「疲れたな……寝ましょうか」
そして、美鈴はさして時間もかからずに夢の中へと落ちていった。
門をくぐった拓人たち三人は広大な館を前に、簡単な作戦会議をしていた。
「広いな……どうする霊夢?」
「う~~ん、そうねぇ……」
「広いんだったらさ、三人で手分けして探せばいいんじゃないか?
私もパチュリーに会って話したい事もあるしさ」
「おいおい、敵と会ったらどうするんだよ」
「それは、がんばって倒すってことで」
「まじかよ、俺もう疲れたよ……」
肩を落としながら小さくつぶやくが、霊夢には聞こえていたらしく、
呆れ顔で肩に手を置いてきた。
「男が泣き言いわないの。 それじゃ、決まりね。
私は正面から、魔理沙は左、拓人は右ね」
「わかったんだぜ」「……了解」
魔理沙と霊夢に強引に決められ、各自別行動を取ることとなった。
とりあえず、霊夢と魔理沙から離れぐるっと館を右回りに見ていく。
「しっかし、どうやって入れって言うんだよ……」
窓はすべてきちんとしまっており、入れる隙間等はいっさいなかった。
その後何分か見て回ったが、やはり結果は鼠一匹すら入る隙間がない、ということになり、
あきらめて窓を破ってはいることにした。
「住居不法侵入とか初めてだぞ俺……」
初めての行為に多少冷や汗を流しながら、窓をできるだけ静かにはずしていく。
窓を破るといっても、ついている鍵を壊すだけなのだが。
ちなみに使っているのは能力プラス霊力で作った超極細の切断性のあるワイヤーだ。
苦労して小さな隙間に通し、昔風の窓の鍵をギーコギーコと切っていく。
端から見ると十八の少年が空に浮かんで窓相手に何かをしている姿はかなりシュールであるが、
そんなことを自覚している暇はないので、黙々と鍵を切断していく。
すると、十秒くらいで窓の鍵は切れ内側に音もなく開く。
館の中に降りたった拓人はあたりを見渡すが、
日の光がないためかすごく暗く、目の前すらもほとんど見えない。
自分の能力のことなどすっかり忘れ、壁伝いに歩こうとまっすぐに歩き出す。
一歩、二歩、三歩と歩いていくが壁にはたどり着かず、
ようやく十歩程歩いたところで壁に手が着く。
「ふぅ、やっと壁につ」
いた、の言葉は直前で飲み込まれた。
理由は、踏み出した足が見事に空を切ったからだ。
「んなバカなぁ~~~!!!」
そこは階段になっていたらしく、自分が空を飛べるということも忘れ階段を落ちていく。
ガンッ、ゴンッ、と音を出しながら、グハッ、グエッと悲鳴を上げながら転がり落ちていく。
なかなか止まらずに、結局最後は鉄で作られているであろう壁にゴンッ、
と鈍い音を出して頭をぶつけ、どれほどあるか分からない階段に木霊しながらもやっと止まる。
「痛っててて……」
最後に打った頭をさすりながら立ち上がる。
「どこまで落ちたんだ俺……仕方ない、戻るか」
そう思い、元来たならぬ元落ちてきた階段を上がろうとしたその時。
『……誰?』
と扉の方から声が聞こえてきた。
……あぁ、終わったな俺……
そう思ったとたんに扉が開き中から人が出てくる。
恐る恐る出てきた人を確認し、拓人は絶望した。
そこにいたのは、紅魔郷Exボス、悪魔の妹という二つ名を持つ、
フランドール・スカーレットだった。
美鈴戦、一応長くしてみましたがいかがだったでしょう。
バトルの途中から地の文が拓人君の視点と美鈴の視点が混じってしまいました。
申し訳ございません! (現在、編集によって直した……つもりです)
これからは、文章力を上げてこういうことが無いようにしていきたいです。
次回は……分かる人にはこの先の展開が分かるかも?
それでは、次回お楽しみに!