東方壊命録   作:鼠返し

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 どうも、鼠返しです。

 タイトルの通り、今回は十六夜咲夜さんが登場します。

 ノリで書いていたら前回の後書き通りにはできませんでした、ごめんなさい!
 
 今回は、ただ咲夜さんと話がしたかった……それだけの話です。

 最初にもしかしたら少し残酷な描写が含まれるかもしれません。

 それでもよろしければ本編へどうぞ。


第九話 紅魔館のメイド

 気が付けば、拓人はベッドに横たわっていた。

 

 目を開けると視界一杯に赤が入ってくるので、

どうやらここは紅魔館のどこかであると推測する。

 

 体には真っ白で綺麗な掛け布団がしてある。

 

 とりあえず起きようと頭をあげるが、

貧血にも似た目眩が襲い、頭をあげるまでには至らない。

 

 やれやれと右手を顔に当てながら左手をベッドに突いて体を起こそうとするが、

左手を突こうとすると慣れない感覚が襲い、左腕の二の腕辺りが

ベッドに突いたとたんに激痛が走る。

 

「ッ痛!」

 

 左腕を見ようと顔を向けるとそこには左腕はなかった。

 

 半ばから無くなっている左腕を見ると同時に今までのことを思い出す。

 

  そうか……フランに腕やられたんだっけ……

  それから霊夢と部屋を出てそれから……霊夢?

 

「……そうだ、霊夢は!?」

 

 一気に思い出した拓人は懲りもせず体を跳ね起こす。

 

 頭から血がすう~、と引いていき、膝の上に額を乗せて血が頭に回るまで待つ。

 

 先程から頻発している貧血は腕をいきなり一本分も失ったものだと推測できる。

 

 元から貧血持ちの拓人は腕一本分の血液を失ってしまい、

こうして今も苦しんでいるわけだ。

 

 やがて頭に血が回ると、体をずらしベッドから両足をついてゆっくりと立ち上がり、

広い部屋を三メートル程歩きドアまで辿り着く。

 

 ドアノブに手をかけようとした途端に、コンコンとドアをノックする音が聞こえ、

外から見知らぬ女性の声が聞こえてくる。

 

『すみません、拓人様。 

 入ってもよろしいでしょうか』

 

 なぜ名前を知っているのか、と不信感を覚えながら、

ドアから三歩程下がって少し間を置いてから返事をする。

 

「……ええ、どうぞ」

 

『失礼します』

 

 ドアが外側に開き、一人の女性が入ってくる。

 

 綺麗な銀色の髪に、魔理沙の似たようなものではない本物のメイド服。

 

 拓人の目の前にいるのは間違いなく紅魔館のメイド、

後に完全で瀟洒な従者と呼ばれることとなる東方紅魔郷五面ボス、十六夜咲夜である。

 

「もう起きてられても大丈夫なのですか?」

 

「ええ、何とか大丈夫ですが……あなたは?」

 

「申し遅れました。

 私、紅魔館でレミリアお嬢様にお仕えしております、十六夜咲夜と申します。

 五十嵐拓人様でよろしかったでしょうか?」

 

「はい、そうです」

 

「その傷で一体どこに?」

 

 咲夜に言われて霊夢のところに行こうとしていたことを思い出し、

無意識に何かに急かされるような表情を浮かべながら問いかける。

 

「そ、そうだ!

 霊夢は今どこに?」

 

 少し叫んだためか小さな目眩が拓人を襲い、その場にふらつくが、

咲夜が持っていた道具を片手で持ち、空いた手で体を支えてもらって何とか立ちなおす。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「そう焦らないでください。

 後で案内しますから、傷の治療も兼ねて少し休んでいきませんか?」

 

 そう言われて咲夜が両手に治療に使うであろう道具を抱えているのが目に入る。

 

 ついでと自分の半分以下の長さになった腕に巻かれている包帯を見ると、

少しばかり血がにじんでおり、取り替え頃だと言うことに従う。

 

「分かりました。 お願いします」

 

 座るところがなかったのでベッドに咲夜と一緒に腰掛ける。

 

「では、失礼します」

 

 こちらを気遣ってか痛くないようにゆっくりと包帯を外してくれるが、

流石に痛みが全くないというわけではなく、少し声が漏れてしまう。

 

「い、いっつつ」

 

「すみません、痛かったでしょうか?」

 

「いえ、大丈夫です。 続けてください」

 

「わかりました」

 

 ペリペリと傷口の包帯を外していく。

 

 外す時にやはり痛かったがここで男として二度も失態を晒すわけにはいくまい、

と強く唇に力を入れて我慢する。

 

 全て外し終わり傷口が姿を現す。

 

 血はいくらか止まっているが、腕を吹き飛ばされた時と同じように、

えぐれた肉とへし折られたような骨が見える。

 

 すると、咲夜はすこし目を見開き驚いたような表情をする。

 

「こんなに腕残ってましたっけ?……」

 

 咲夜につられ左腕を見ると、フランにやられたときは

肩からごっそりとなくなっていたのだが、能力のおかげか、

二の腕の半ばあたりまで再生している。

 

「ああ、それ私の能力です」

 

「拓人様は能力を持ってらっしゃるんですね」

 

「ええ、さながら反則並みの能力ですが。

 説明すると長くなるのでまた今度で」

 

「わかりました。 それでは、続けさせてもらいます」

 

 持ってきた道具の中から消毒液であろう液体を紙に湿らせ傷口に当てる。

 

 その時に情けない悲鳴を上げ、少しだけ咲夜に笑われたのは別の話である。

 

 包帯を巻き終え、咲夜と一緒に部屋を出て霊夢のところに案内してもらい、

その道中に話をすることになった。

 

「拓人様は外来人だとお聞きしましたが、本当ですか?」

 

「なぜそれを?」

 

「先に巫女から拓人様のことについて話を聞きました」

 

 名前を知っていたことについて納得がいき、心の中で合点を打ちながら話を続ける。

 

「そうでしたか。 霊夢の様子はどうでしたか?」

 

「すごく元気ですよ。 

 先程からずっと拓人様に会わせろとうるさいですが」

 

「……そうか、よかった」

 

 拓人が安堵の息をもらすと、咲夜は少し表情を暗くしてこちらに話しかける。

 

「……拓人様は妹様と会ったそうですね」

 

「妹様……フランのことですか?」

 

「ええ、そうです。

 妹様がご迷惑をおかけしてすみませんでした」

 

「いえ、とんでもない。

 勝手にこの館に入ったのはこちらですし……」

 

「なかなかお強いですね。

 中国だけではなく、妹様とも会って生きて帰ってこられるなんて」

 

「ちゅう……ごく?」

 

 え~っとなんだったかな~、と頭の中を探っていると、咲夜が訂正をいれる。

 

「門番ですよ。

 あの子、武術には結構自信があったらしいけど……

 あの子も拓人様に会いたいと言ってましたよ」

 

「そうですか」

 

 そうこう話している内に霊夢のいる部屋に到着したようで咲夜が足を止める。

 

「着きましたよ」

 

 コンコンとノックをし、中に入っていくので後に続き部屋に入っていく。

 

「ちょっと、返事くらい待ちなさいよ」

 

 そこには椅子に座り紅茶を飲んでいる霊夢と魔理沙がいた。

 

 二人はこちらに気がつくとガタッ、と音を立てて立ち上がり、

こちらの方へ駆け寄ってくる。

 

「拓人! あんた大丈夫!?」

 

「まあ、なんとかな」

 

「うわ、本当に腕が無いんだぜ……」

 

 魔理沙はこういうグロテスクな物にあまり耐性がないようで顔をひきつらせている。

 

「大丈夫だって。

 一週間もすれば元通りになるよ」

 

「一週間で勝手に腕が治るなんて……

 やっぱり人間やめたんじゃない?」

 

「言わないでくれ。 俺も気にしてるんだから……」

 

「わかったわ。 あと……その…………ご、ごめんなさい!」

 

 いきなり霊夢が頭を下げて謝り始めた。

 

 謝られるようなことをされた自覚がないので、驚いてしまう。

 

「ちょ、ちょっと、いきなりどうしたんだよ」

 

「あのとき私がいなかったら、怪我してなかったんでしょ?

 そう考えたら、なんか悪い事したなって、その……謝りたくて……」

 

「いや、案外そうでもないよ。

 俺、勝てないかもって思ってたからさ……

 それと、大丈夫だったか?」

 

「まぁ、大丈夫だった……けど……」

 

 何故か顔を赤らめながらうつむいてしまったが、対して気にせず、

手を顎にあてフランとの戦いを思い出す。

 

 実際、フランには勝てないだろうと拓人は自覚していた。

 

 あの「きゅっとしてドカーン」を、出来るのかどうかは分からないが、

もし連発されでもしたら拓人の体は腕だけにとどまらず、

全身が跡形もなく消えてしまっていただろう。

 

「話はそこらへんにしてさ、拓人」

 

 魔理沙がいつもの笑顔を取り戻し、拓人に話しかける。

 

「ん、どうした?」

 

「少し食べた方がいいんじゃないか?

 結構寝てたみたいだし……」

 

「結構って……」

 

 部屋にある窓から外を見ると、いつのまにか赤い霧は消え去り、

外の世界の都会ではほとんど見られない綺麗な星空が拝めた。

 

 この館に入ったのは遅くても十時半頃だったと思い出す。

 

  そっから階段から落ちて、フランと会って遊ぶのに三十分くらい……

  それで二十分くらい戦って霊夢をつれて……って大体十一時半くらいかよ!

 

 今を仮に日没を六時とすると、階段を上りきってぶっ倒れてから、

約五時間半は寝ていることになる。

 

 ぶっ倒れたのは腕一本分の血を失ったことによる貧血が原因であることは、

起きてからの貧血である程度予想がついた。

 

  まさか、貧血で五時間も寝続けるとは……

 

 自分の体の貧弱さにため息をつきながら右手を顔に当てると、

胃が自分とは別の意識を持ったように腹の虫を鳴らすので、

片腕を胸の前で組みつつ素直に言葉を放つ。

 

「そうだな、腹減ったよ」

 

「では、お食事を用意いたします」

 

 咲夜がそういうと、世界がいきなり色彩を失った。

 

 それと同時に霊夢も魔理沙も固まり、なんとか体を動かそうと試みるが

動かせたのは顔と首が限度だった。

 

 驚愕の表情を浮かべ一体何があったのか、と周りの様子を見ると、

咲夜にだけ色があった。

 

「咲夜さん、これ、どうなってるんです?……」

 

「え、あ、嘘!?」

 

 咲夜は目を一杯に見開きこちらと同じく驚愕の表情を浮かべこちらを見ている。

 

「私のこと分かるんですか?」

 

「ええ、わかりますよ。

 それより、どうなってるんです? 顔と首以外動かないんですが……」

 

「それも拓人様の能力なんですかね……」

 

 小言でこちらに聞こえないようにしゃべるとすぐさまこちらに向き直る。

 

「ここは、私が能力で時間を止めた世界です」

 

「時間を止めた?……」

 

 はっと息をのみ思い出す。

 

 十六夜咲夜の能力は「時を操る程度の能力」だったことを。

 

 原作でもこの能力を使ったスペルの中に、

こうやって時間を止めて数えきれないほどのナイフを投げつけてきた時の事を思い出し、

この状態はその時の画面の様子に似ている、と推測する。

 

 数秒考えごとをして、何かを思いつくと口だけで合点を打つ。

 

「ああ、なるほど」

 

「何が、なるほど、なんですか?」

 

「こうやって私がこの世界で一部だけですが体を動かせたりするのが、

 私の能力のおかげというわけです」

 

「一体どういう能力か見当も付きませんが……」

 

「いい機会ですし少しお話しましょう。

 まず私の能力ですが、『想像を具現化する程度の能力』といいます」

 

「想像を、具現化?」

 

 あまりピンとこないようなので、分かりやすく注釈を入れる。

 

「ええ、そうです。

 分かりやすく言えば、思ったことを事実にするということです。

 手の中に皿がある、と思えば皿が出てくるし、木の枝が落ちる、と思えば落ちる。

 そんな感じの能力です」

 

 理解できたようで、何度か頷いてくれる。

 

 そして、すぐさま間をほとんど開けずに質問してくる。

 

「では、左腕が少し長くなったのは?」

 

「これはまだ推測にすぎないのですが、私の能力はいつでも発動しています。

 人は誰でも当たり前と思っている事があります。

 それは咲夜さんも例外ではないはずです」

 

「ええ、確かに」

 

「当たり前と思っていることは無意識の中でも思っている、

 ということにあまり変わりはありません。

 それに私は、思っていることを私の意思とは関係なく事実に置き換えれます。

 寝ている間ははっきりとした夢でも見ない限り、

 怪我をしているなんて思ったりはしないはずです」

 

 結構長い話をしているが、しっかりと聞いてくれているようで、

頷きつつ聞いてくれている。

 

 話している相手が霊夢や魔理沙だったらとっくにキレられているだろうが。

 

「私は、自分の体が『五体満足にある』事が当たり前だと思っているので、

 寝ている間に少しずつですが腕が再生したというわけです」

 

「なるほど、ではこうして時を止められても動けるのは、拓人様が

 『時間は流れ続ける』といったような事が当たり前だと思っているからということですか?」

 

「鋭いですね。 

 私もあまり詳しいことは分かっていませんが、さしずめそういった所でしょう」

 

 いつもあまり使わない喉を長く使ったせいか、少し疲れてきた。

 

 それが顔に現れていたのか咲夜がこちらを気遣うような視線を向け、話の方向を変える。

 

「では、そろそろお食事を取りにいきませんと」

 

 そういうと能力を解除したのか周りの景色の色彩が一気に戻り、

元の目が痛くなるような赤で覆い尽くされ、体の自由も戻ってきた。

 

 咲夜が一瞬考え事をした後に、歩いて部屋から出ていこうとするのを呼び止める。

 

「咲夜さん」

 

「はい、何でしょうか」

 

「あの、能力使ってもいいですよ」

 

「でもそれでは拓人様が……」

 

「大丈夫ですよ。 こちらで何とかします」

 

「でも……」

 

 口ごもる咲夜に、大丈夫、とありったけの思いを込めた視線をぶつける。

 

 少し考え事をしたが、どうやら分かってくれたらしくうなずいてくれた。

 

「すみません。 お気遣いありがとうございます」

 

「いえいえ、これぐらいなんてことないですよ。

 少し待っててください」

 

 そういって、拓人は目を閉じ集中する。

 

 能力で自分の能力を制限できるかどうか試してみることにした。

 

 自分は咲夜の能力には干渉しない、と。

 

 博麗神社で検証をした後にわかったことだが、

言葉をイメージするだけでもある程度は具現化出来る。

 

 成功したかはどうか分からないが、それは咲夜が能力を使ってからではないと分からないので、

半分程賭けの実験である。

 

 もし失敗すれば、時間が止まった世界で数分、

下手すれば十分ほど待たされることになってしまう。

 

 だが、他人に迷惑をかけるよりはましだと思ったので、

たとえ失敗してもその時は自分が耐えればよい、と考えを完結させる。

 

 約三秒程かけて集中すると、目を開き咲夜と向き合う。

 

「たぶんこれで大丈夫です」

 

「ありがとうございます」

 

 そういうと咲夜は部屋から出ていった。

 

 すると、一秒も経たない内にドアが開き外から食事を銀の盆に乗せた咲夜が入ってきた。

 

 どうやら成功だったようだ。

 

 その事に胸を撫で下ろし、ほっ、と息をつく。

 

「拓人様、どうでした?」

 

「大丈夫でしたよ」

 

「そうですか。 さ、しっかりと食べてください」

 

 そういうと食事を長い長方形のテーブルに並べ食べ始める。

 

 食べ始めた直後、霊夢と魔理沙が食事をねだってきて、

咲夜が少し嫌そうな顔をしたのは気のせいであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ~、腹一杯だぜ~」

 

「こんなにお腹一杯に食べたのは久しぶりだわ」

 

「この味、プロなんてレベルじゃない。 美味すぎる」

 

 咲夜が用意したであろう食事はとても豪華で美味しかった。

 

 食べている間は三人が味に舌包みを打つのに精一杯で、

誰もしゃべろうとしない程美味しかったのだ。

 

 それぞれが食事の感想を思い思いに言っていると、ドアがコンコン、

とノックされ声が聞こえてくる。

 

「咲夜です。 入ってもよろしいでしょうか」

 

「ええ、どうぞ」

 

「失礼します」

 

 咲夜が部屋に入りテーブルの前に立ちこちらに向かって話始める。

 

「お下げしてもよろしいでしょうか」

 

「ええ、大丈夫です」

 

「わかりました」

 

 そういうと、器用に三人分の皿を持ち部屋から出ていき、

一瞬後にまた戻って来た。

 

「咲夜さん、とても美味しかったです」

 

「ありがとうございます」

 

 クスッ、と笑みを浮かべこちらを見てくる咲夜に、

女性対話スキルが低すぎる、というよりゼロに等しい拓人は少し顔を赤くしてしまう。

 

 すると、すかさず魔理沙が割り込んできた。

 

「お、拓人も顔赤くすることなんてあるんだな。 意外だぜ」

 

「俺だって顔赤くすることぐらいあるさ」

 

「どうした? 一目惚れでもしたんじゃないのか?」

 

 いきなりの魔理沙のセリフに、

まるで図星だと言わんばかりにさらに顔を赤くしてしまう。

 

「ち、違っ、一目惚れとか、そういうことじゃなくてだな……」

 

「ひ、一目惚れ、ですか……」

 

 何故か咲夜は髪を手でいじりながらもじもじとしてしまう。

 

 少し顔を赤らめながら咲夜はこちらを向くと、

今まで無かったが、つっかえながら話しかけてくる。

 

「あ、あの……拓人、様?」

 

「は、はい、あの、な、なんでしょうか?」

 

 状況が状況なのでこちらもつっかえてしまう。

 

 いつしか拓人の心臓は今にも弾けそうなほど膨張と収縮を繰り返していた。

 

 先ほども述べたとおり、こういった経験や耐性はほぼゼロだからである。

 

「あの……私のこと、どう思いますか?」

 

 どう答えたものかといつもなら考えるが、そんなことまで頭が回る状態ではなかったため、

思っていることを素直に話してしまう。

 

「あ、え~っと……とても素敵な、女性だなって……」

 

「う、嬉しいです……」

 

 咲夜が顔を更に赤らめうつむくと二人の間に、

気まずいような気まずくないような沈黙が訪れる。

 

 野次馬である霊夢や魔理沙が「なんなの、あの二人」だとか「お~、熱いんだぜ~」等と

いろいろと言ってくるが、拓人の耳には一切届かなかった。

 

 どう切り出せばいいものか、とあれこれ考えていたが、

先にこの沈黙を破ったのは咲夜の方だった。

 

「……そ、そういえば!」

 

「は、はい!」

 

 どんな言葉がくるかと内心身構えていたのだが、

顔をあげた咲夜の口から出てきたのは予想外の言葉だった。

 

「実は、レミリアお嬢様が拓人様と会いたいとおっしゃっているのですが」

 

  ……は? なんでレミリアが俺に?

 

 そんな思いを汲み取ったかのように咲夜は答える。

 

「なんでも、話をしたいとのことです」

 

 拓人はさっきまで心臓をバクバクさせていたが、何事もなかったかのように、

心臓は元の安定したペースで動き、拓人は考えていた。

 

 できることなら断りたかったが、生憎こちらには断る理由がないため、

話に乗ることにした。

 

「ええ、いいですよ。 それでいつですか?」

 

「できることなら今日が良いとのことです」

 

「わかりました。 今からいきましょう」

 

 そういうと、話を聞いていたらしい霊夢と魔理沙がこちらに近寄って、

話に割り込んでくる。

 

「拓人、体は大丈夫なの?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「眠くないのか?」

 

「いや、二~三時間位前に起きたばっかりだからな。 それも大丈夫だ」

 

「ふ~ん。 なら、私たちもいこうかしら」

 

「おいおい、家に帰らなくてもいいのか?」

 

「帰っても暇なんだよ私たち」

 

 頭の後ろで腕を組みつつ話す魔理沙に、咲夜が呆れたように口を開く。

 

「どうせついてくるだろうから、とお二人の許可も出ています」

 

「まあ、咲夜さんがそう言うなら……」

 

「それじゃ、決まりね」

 

 面倒なことになった、と肩を落としながら咲夜に案内を求める。

 

「はぁ~……それでは、案内お願いします」

 

「畏まりました」

 

 そういうと、拓人たちは部屋を後にした。




 こんなわけで、やっと次回はレミリアさんとご対面です。

 一話を投稿する前から話が決まってたこの場面。

 早めに投稿できればと思っております。

 それでは、今回はこのへんで。 次回もお楽しみに!
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