ヤーナムから来たアイリーン先生   作:照喜名 是空

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後始末は次への始まり

 狩りは終わった……

 後始末はかなり大変だった。まずアリウス生たちを救護騎士団に預け、徹底的に消毒、洗浄。

 これには温泉同好会を巻き込んで簡易温泉を作る必要があったが。

 まあ……そのへんはゲヘナがうまくやったさ。

 

 あとはもう栄養ある食事とたっぷりの休養で免疫力を上げるしかない。

 そしてアリウス生を風呂に入れている間にバシリカはもちろん、アリウスの地下街すべてを焼き払い、最終的には埋め立てた。

 獣の病や『姿なきオドン』の影響を考えるとね……かけらも残しておきたくないんだよ。

 

 アリウス生は……結局うちで引き取ることになった。

 軍隊で生きてきた子をいきなり社会には放り出せないからね。

 サオリ以外のスクワッドの子たちはアビドスのリゾートでバイトしていたようだけど、一目でも会ってこいとアヤネあたりに喝を入れられて、サオリと再会していた。

 

「サッちゃん……生きてて、よかった……!」

「姫も、みんなも無事か……」

「リーダー、それで戦いの果てに答えは見つかった?」

 

 アツコとサオリは抱き合って再会を喜び合ったが、ミサキの静かな問いに、サオリは首を振った。

 

「……マダムの言葉は、全部ウソだった。わかったのは、それだけだ……なにもわからない。これからどうすればいいのかも……」

「ふええ……それは、辛いですね、苦しいですね……全部ですか……それってどこからどこまで……?」

「……マダムはヴァニタスの教義すら信じていなかった」

「うわぁん! そこからですかぁ!?」

「ああ……アビドスはどうだ? つらい目にあっていないか?」

 

 サオリの顔色は迷いがあったが、しかしどこか吹っ切れたような穏やかさがあった。

 そこからスクワッドたちは近況を話し合い、お互いさほど悪くない生活をしていると安心していた。

 

「……まあ、そんな感じで貧乏なりに楽しくやってるよ。元ヘルメット団とかといっしょにリゾート開発をしてる。アビドスの人たちもいい人だし」

「サッちゃん……ミグラントは大丈夫そう?」

「訓練はまだ参加していない。キヴォトスの生活になれるための勉強ばかりだが……暮らしは悪くはない」

「そっか……サオリのしたいようにしなよ。もう、アリウスはないんだからさ」

「私のしたいように、か……ありがとう、みんな。もう少しミグラントでがんばってみる」

 

 まあ、うまく行ったようで何よりだよ。

 もう少しキヴォトスの生活になれたら、アビドス治安維持支援部隊とか適当に名目をつけて送るとするかね。

 今は広い世界を知って生き方を探すのもいいさ……

 

 ちなみにアリウス生がおとがめなしなのはベアトリーチェに全部の責任をおっかぶせてやったからだ。

 キヴォトス一の有名人になれたんだ、あの女も本望だろう。見栄っ張りにふさわしいよ。

 実際の手続きは三大校の法務部が本気を出したからね。

 ゲヘナが悪辣な法の穴を見つけ、トリニティが狡猾な解釈をして、ミレニアムのロジックが無茶を通した。

 連邦生徒会には悪いけども、もらい事故とでも思っとくれ。

 

 

 アリウス関連が一通り落ち着いたころ、その報告は私の耳に入った。

 

「先生、これヤバいやつなんじゃないかー?」

「なんだい白栗。これは……」

 

 白栗がアリウス生からの証言をまとめていたら目にした一文。

 

『カイザーに支援を受ける見返りに輸血液を送った』

 

 あの女、やってくれるね……! 

 




この場を借りて恐縮ですが、今まで更新がなかった理由をご説明します。
「魔族でも美味しく酒が飲める魔法」を一次創作化して完結まで書ききってました。
もし需要があるなら、投稿したいです。
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