ヤーナムから来たアイリーン先生   作:照喜名 是空

37 / 37
後始末は次への始まり

 狩りは終わった……

 後始末はかなり大変だった。まずアリウス生たちを救護騎士団に預け、徹底的に消毒、洗浄。

 これには温泉同好会を巻き込んで簡易温泉を作る必要があったが。

 まあ……そのへんはゲヘナがうまくやったさ。

 

 あとはもう栄養ある食事とたっぷりの休養で免疫力を上げるしかない。

 そしてアリウス生を風呂に入れている間にバシリカはもちろん、アリウスの地下街すべてを焼き払い、最終的には埋め立てた。

 獣の病や『姿なきオドン』の影響を考えるとね……かけらも残しておきたくないんだよ。

 

 アリウス生は……結局うちで引き取ることになった。

 軍隊で生きてきた子をいきなり社会には放り出せないからね。

 サオリ以外のスクワッドの子たちはアビドスのリゾートでバイトしていたようだけど、一目でも会ってこいとアヤネあたりに喝を入れられて、サオリと再会していた。

 

「サッちゃん……生きてて、よかった……!」

「姫も、みんなも無事か……」

「リーダー、それで戦いの果てに答えは見つかった?」

 

 アツコとサオリは抱き合って再会を喜び合ったが、ミサキの静かな問いに、サオリは首を振った。

 

「……マダムの言葉は、全部ウソだった。わかったのは、それだけだ……なにもわからない。これからどうすればいいのかも……」

「ふええ……それは、辛いですね、苦しいですね……全部ですか……それってどこからどこまで……?」

「……マダムはヴァニタスの教義すら信じていなかった」

「うわぁん! そこからですかぁ!?」

「ああ……アビドスはどうだ? つらい目にあっていないか?」

 

 サオリの顔色は迷いがあったが、しかしどこか吹っ切れたような穏やかさがあった。

 そこからスクワッドたちは近況を話し合い、お互いさほど悪くない生活をしていると安心していた。

 

「……まあ、そんな感じで貧乏なりに楽しくやってるよ。元ヘルメット団とかといっしょにリゾート開発をしてる。アビドスの人たちもいい人だし」

「サッちゃん……ミグラントは大丈夫そう?」

「訓練はまだ参加していない。キヴォトスの生活になれるための勉強ばかりだが……暮らしは悪くはない」

「そっか……サオリのしたいようにしなよ。もう、アリウスはないんだからさ」

「私のしたいように、か……ありがとう、みんな。もう少しミグラントでがんばってみる」

 

 まあ、うまく行ったようで何よりだよ。

 もう少しキヴォトスの生活になれたら、アビドス治安維持支援部隊とか適当に名目をつけて送るとするかね。

 今は広い世界を知って生き方を探すのもいいさ……

 

 ちなみにアリウス生がおとがめなしなのはベアトリーチェに全部の責任をおっかぶせてやったからだ。

 キヴォトス一の有名人になれたんだ、あの女も本望だろう。見栄っ張りにふさわしいよ。

 実際の手続きは三大校の法務部が本気を出したからね。

 ゲヘナが悪辣な法の穴を見つけ、トリニティが狡猾な解釈をして、ミレニアムのロジックが無茶を通した。

 連邦生徒会には悪いけども、もらい事故とでも思っとくれ。

 

 

 アリウス関連が一通り落ち着いたころ、その報告は私の耳に入った。

 

「先生、これヤバいやつなんじゃないかー?」

「なんだい白栗。これは……」

 

 白栗がアリウス生からの証言をまとめていたら目にした一文。

 

『カイザーに支援を受ける見返りに輸血液を送った』

 

 あの女、やってくれるね……! 

 




この場を借りて恐縮ですが、今まで更新がなかった理由をご説明します。
「魔族でも美味しく酒が飲める魔法」を一次創作化して完結まで書ききってました。
もし需要があるなら、投稿したいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

極夜に囚われたセリカ(作者:時空未知)(原作:ブルーアーカイブ)

酷く長く、夢を見ていた。▼深く、深く。暗く、暗く。どろりと濁った悪夢。▼何度狂ったか、何度壊れたかわからない。▼かつての記憶は血煙の内に霞み、代わりに[何か]の啓蒙が精神を侵した。▼あの日の選択を後悔しなかった日はない。▼バイト帰りに見つけた不思議と霧の立ち込めた暗闇の裏路地。▼あの場所に何故か惹かれて入って、そこで[何か]に見初められた。▼先輩たちの言うに…


総合評価:6364/評価:8.8/連載:73話/更新日時:2025年06月25日(水) 00:00 小説情報

光のギャル、終わりました。(作者:クレナイハルハ)(原作:ブルーアーカイブ)

ずっと身近でサポートしてくれた陽キャでオタクに優しいギャル生徒が実は陰キャで、急に元に戻ったら周りが曇り出したお話。


総合評価:8600/評価:7.9/完結:19話/更新日時:2025年06月07日(土) 07:19 小説情報

空崎ヒナは幸せでなければならない(作者:rilu)(原作:ブルーアーカイブ)

『空崎ヒナを幸せにする』それだけが私の存在意義。▼だったら幸せにした後、私はどうすればいいの?▼ヒナちゃんの頭の中に居る姉がヒナちゃんを幸せにした後のお話。▼独自設定、独自解釈が多分に含まれます。▼メインストーリー等々諸々が終わった後の世界を想定しています。▼設定だったり展開に齟齬が起きてても許して。


総合評価:869/評価:7.68/完結:29話/更新日時:2026年04月22日(水) 00:46 小説情報

正義…?そこに無ければ無いですね(作者:うにうにうにう。)(原作:ブルーアーカイブ)

正義?▼あー、なんだっけそれ……▼そこに無ければ無いと思いますよ。


総合評価:9123/評価:8.46/連載:28話/更新日時:2025年06月02日(月) 17:13 小説情報

見たまえ!青ざめた血のアーカイブだ!(作者:めろんムーン)(原作:ブルーアーカイブ)

n番煎じ。なんか唐突に【ビルゲンワース啓蒙学院】とかいうパワーワードを脳に授けられたので初投稿です。▼小説漁りとは、感心しないな……▼だが、分かるよ…▼創作は難しいものだ……だからこそ、高評価と感想が必要なのさ……▼愚かな語彙力を、忘れるようなね……▼3章のみブルアカではなくBloodborneメインです▼序章:ヤーナム自治区編 完結▼1章:エデン条約編『補…


総合評価:17402/評価:9.01/連載:94話/更新日時:2026年04月29日(水) 10:10 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>