ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
キラからフリーダムをアスランに託したという報告を受けて、ユウナは笑みを深めながら軍本部にて、いくつかの命令を兵士たちに下してゆく。
「でも、思っていたより早く動きましたね」
「僕からしたら遅すぎるくらいさ。男なら好きな相手にはさっさと想いを伝えないとね。奪われてから泣くなんて情けない事この上無いよ」
「なるほど。キラお姉ちゃんの事で出遅れた事を考えると確かにそうですね」
「ぐっ」
「冗談ですよ。ごめんなさい。ちょっと意地悪言っちゃいました」
「い、いや、構わないさ」
どう考えても構わないという顔ではないが、ユウナは引きつりながらも、笑顔で頷く。
「それで、プラントの方はどうだい?」
「問題ありませんよ。デュランダル議長は承諾して下さいました」
「そうか。食えない男だねぇ。ギルバート・デュランダル」
「え? でも、オーブの協力に感謝すると」
「そりゃあ利用価値も高いからね。前大戦の英雄アークエンジェルと自軍の艦が肩を並べるってのはさ。でも、今回の件は要求しようと思えば色々と言えたはずだ。オーブが助けを求めている様に見せかけたからね。しかし、何も言わない。分かってるんだろうさ。こっちが別に困ってるわけじゃないって事を」
「……なるほど」
「まぁ、政治の世界なんてのは僕も苦手だからさ。ただの勘だけどね」
「いえいえ。きっと当たっていると思いますよ」
「そりゃ災難だ。これからもオーブは苦しい立場になりそうだね。女神様の祝福が欲しいくらいだよ」
「女神様の祝福ですか? どういう物でしょう?」
「そりゃあこう可愛い女の子が頬に口づけしてくれるとかね」
「なるほど」
ユウナが軍本部の中央に堂々と置いた椅子に座りながら語った言葉に、セナが頷いているのを見て、感情を抑えるのが限界になった将校の一人がユウナの傍に立っていたセナをユウナから遠い場所へと引き離す。
「おいおい。何をしてるんだよ」
「いえ。セナ様を害虫から守ろうかと」
「誰が害虫だ!」
「ユウナ様です」
「誰が素直に言えと言ったか!」
「ハッ! 軍本部に特注の椅子をわざわざ置いている邪魔な司令官殿であります!」
「遠回しに言えば良いと言った覚えはないぞ!!」
ユウナは肩ではぁはぁと息をしながら、怒るが、そんな二人のやり取りにセナが笑い、周囲の軍人たちも笑う。
「まったく。しょうがない連中だ。とにかく! 後は頼んだよ。僕はこれから結婚式に行かないといけないからね!」
「ハッ! アスラン殿の鉄拳を期待しております」
「んなモン期待するな!」
ユウナは出ていく瞬間まで叫んでおり、セナもその姿を見送りながら自分も準備をしてゆく。
そして、ユウナはカガリの待つカガリの家に向かうと、カガリを連れて車に乗り込むのだった。
「マスコミも呼んだし。国民にもしっかりと伝えたからねぇ。楽しみだねぇ。カガリぃ」
「……あぁ、そうだな」
「ならもっと楽しそうな顔をしたらどうだい?」
「誰がお前なんかとの結婚で楽しいものか。これが終わったらちゃんとセナとキラを解放しろよ」
「分かってるさ。安心してくれよ」
「フン!」
カガリはユウナから目を逸らして、反対側の窓から車を見送る国民を見据える。
何よりもカガリが守りたい者たちであり、彼らの幸せを守り続ける事がカガリの使命であった。
故に、こうして国民が皆喜んでいる姿を見ると、カガリの中でこれが正しい事の様に思えてくる。
「……アスラン」
例え心の中では、この二年間いつも一緒に居た男の事を想っていても、頭ではこれが最も良い選択だと理解しているのだ。
だから、そのズレがカガリの心を揺らし、涙となって溢れてしまった。
何とかその涙は、ハウメアの祭壇に着いた時には止まっていたが、それでも心は晴れない。
沼の中を歩いている様な感覚で、一歩一歩が酷く重かった。
「今日、ここに婚儀を報告し、またハウメアの許しを得んと、この祭壇の前に進みたる者の名は、ユウナ・ロマ・セイラン。そしてカガリ・ユラ・アスハか?」
「はい」
「……はい」
声がハッキリと出ない。
多くの国民に見守られている中だというのに、カガリは今すぐ逃げ出したい気持ちを抱え、何とかそれを理性で抑え込んでいた。
ここから逃げてしまえば、オーブが分断されてしまうと。
セナが苦しみの中に囚われてしまうと。
だから、必死に堪えていたというのに。
「駄目です! 軍本部からの追撃、間に合いません!」
「ぇ?」
「避難を!」
「なんだ? どうした!?」
「カガリ様! 避難を! MSが」
「MS……?」
カガリは警備兵の言葉に、空を見上げ、その蒼い大気を切り裂いて飛んできた機体に目を見開いた。
「……! あれは、フリーダム!? キラ!?」
頭の中で疑問が飛び回り、上手く働かない。
自分の背後に隠れているユウナが気にならない程に。
そして、フリーダムが現れた事で逃げ出してゆく人々を見ながら、カガリは真っすぐにフリーダムを見据えた。
「どういうつもりだ! キラ!!」
『悪いが、俺はキラじゃない!』
「……この声! アスラン!?」
フリーダムを地面に着地させると、ちょうど祭壇の高さにあるコックピットからアスランが飛び出してきて、ユウナからカガリを奪い、抱きしめる。
「こんな結婚は、俺が認めない!! 花嫁は俺が貰い受ける!!」
「ちょっ!? アスラン!! 何言ってるんだよ! キラとセナが!」
「大丈夫だ。昨日の内にキラはセナと共に脱出した」
「しかし、オーブは」
「そうさ! 僕との契約を忘れた訳じゃないだろう!? カガリ、アレックス! この国を守る為には力が……!」
「俺はアレックスじゃない。アスラン。アスラン・ザラだ!!」
「っ!」
「必要であれば父の名も使おう! オーブを守る力が必要だというのであれば手を尽くそう! 俺はカガリと共にある為ならば、俺が持っている力の全てを使って、カガリとカガリが愛するこの国を守る!!」
ユウナはそのアスランの宣言とアスランに抱き着いて泣きながら喜ぶカガリをオーブ全域に中継出来た事を笑いつつ、二人が乗って飛び去ってゆくフリーダムを見送った。
「ふっ、完璧な作戦だったな」
「ユ、ユウナ! これはどういう事だ!!」
「どうもこうもありませんよ。父上。これからオーブはより発展してゆくという事です。ナチュラルとコーディネーターが互いに手を取り合う国へと。カガリの理想の通りにね」
「なっ、な……!」
「さて。お約束通り。セイラン家の全ては僕が貰っていきますよ。父上はどうぞ。そのまま隠居されて、優雅な余生をお過ごしください」
「お前!! ここまで育ててやった恩も忘れて!」
「んー。いいセリフですよ。父上。これまでの鬱屈とした感情が消えてゆく様です。では、連れていけ。丁重にな」
「ユウナぁぁあああ!!」
祭壇の上に一人立つユウナは既に見えなくなったフリーダムの飛び去った空を見ながらふっと軽く息を吐いた。
「さて。これから忙しくなるな」
「では、そんなユウナさんに女神様の祝福です。私で申し訳ないですが」
「ん?」
腰に手を当てながら、笑っていたユウナの傍に聞こえた声にユウナは間抜けな顔を晒したが、直後頬に何か柔らかい物が当たる感触がして、そちらを振り向くと、どこから持ってきたのか、簡易の台に乗り、いたずらっぽく笑いながら唇を指で押さえて笑っているセナが居た。
その表情に、ユウナは固まる。
「では、私たちも行きますね。……お姉ちゃん!」
『うん。行こう』
セナはミラージュコロイドを解除して現れたホープに乗り込むと、そのままフリーダムが飛び去った空に向けて飛んで行くのだった。
ユウナはそんなホープを見送り、深く息を吐いた。
「やはり、君は僕の天使……「失礼します!!」あだっ!?」
ユウナがセナを想いながら言葉を呟いた瞬間、駆け寄ってきたオーブ軍人にユウナは殴り倒された。
「な、何をする! 貴様ぁ! 減給だぞ!!」
「おい! みんな! 今なら給料を減らすだけでユウナ様を殴れるらしいぞ!!」
「何ィ!?」
「失礼します!」
「ぐぇー!」
「よくもセナ様の唇を!!」
「この野郎!! どんな感触だったー!?」
「や、やめろ! やめろー!」
その後、フリーダムは出航していたアークエンジェルに合流し、ミネルバと共にオーブの領海から離脱して行くのだった。
新たな未来へと進むために。
はい。
わちゃわちゃ回です。
ユウナが実に楽しそうで良いですね。
前回から引き続き。
ちなみに、この話の裏側……というか、国民サイドの話を外伝に上げてます。
https://syosetu.org/novel/346500/7.html
アスランとアークエンジェルがミネルバの仲間になりました!(テレレッテレーン