ASーエンジェリック・ストラトスフィアー   作:枯田

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第101話「二振りの魔剣」

鋼鉄の蛇女と化したまどかは、見事に空を舞う。

サーヴァントが放つカノン砲のレーザーは光の雨の如く襲いかかっているが、その全てを、まるで最初からわかっているかのように避けているのだ。

「マオ、機獣同化には、勘が良くなる効果でもあるの?」

できればそうであってほしいという願いを込めて、鈴音は猫鈴に尋ねる。

だが、そんなはずはないだろうとも思う。自分たちよりも、地力が高いのだ、と。

しかし。

『あるのニャ』

「あるのっ?!」

『機獣同化は本来は人の獣性を解放するのニャ。当然、野生の勘みたいニャものも発揮されるのニャ』

意外な説明に、少しだけ安堵の息をつく。

つまり、今のまどかは強化された野生の勘でレーザーを避けているということができる。

だが、安心できることではないと猫鈴は注意してきた。

『イチカやリョウヘイが機獣同化したときと違って、あのマドカは理性、思考力が残ってるはずニャ』

「つまり……」

『強化された力を『使える』ように『考えられる』のニャ』

考えなしに暴れていた一夏と諒兵とは違うということだ。

さらにいえば、二人は今後単一仕様能力を使うときは、技として昇華し、一瞬の力として磨く必要がある。

だが、まどかが変身してから現在四分。

一瞬といえるような短さではない。

『当然、単一仕様能力を使ってくると思うのニャ。でも、それ以上に、あの状態のまま考えて行動できることこそが脅威ニャ』

「気を抜いちゃダメね」

『観察するのはけっこうですが、集中してくださいねー』

「わかってるわよ」

自分の役目は、サフィルスを撃退するため、テンペスタⅡを抑えること。

気持ちを切り替えなくてはと鈴音は集中する。

もっとも、そんな鈴音と猫鈴の会話をシャルロットはきっちり拾っていた。

敵を攻略するために必要なのが情報だ。

そして、戦術思考が身に染み付いているシャルロット。

どんなヒントが得られるかわからないので、戦闘中の会話に関してはすべて拾えるようにしているのだ。

こういったことをしていても、司令塔として動くことができる、鍛え上げたマルチタスクがシャルロットの強みである。

(野生の勘か。考えられるんだから、完全じゃないとしても、獣を捕らえる意識で対処したほうがいいかも)

『そうね。あの状態のマドカって子はそう見たほうがいいわ。ただ、単一仕様能力の威力がまだわからないわよ』

(うん、気をつけるよ)

あの変形状態が単一仕様能力を使える状態だというのであれば、できれば一発だけでも撃ってほしいと思う。

考えられるとしても、自分の獣性の影響を受けているはすだからだ。

(でも蛇ってあんまりいいイメージないよね)

『人それぞれなんだから、そこはあんまりいわないほうがいいと思うわよ?』

(そうだけど、蛇女って相当執着心とかが強そうな気がするなあ)

少し苦笑いしながら、そんなことを考えたシャルロットだった。

もっとも、この直後、彼女も含め、まどかが放った一撃を見た者すべてが、戦慄することになるのだが。

 

「ダインスレイブ」

 

よく通る声が響く。

その後、まどかの手には真っ黒な剣が現れた。

既に持っていたプラズマソードとは正反対の黒い光。

『回避ニャッ、アレは喰らっちゃマズイのニャッ!』

そう叫んだのは猫鈴だ。

しかし、その歪んだ輝きを見た全機が同様に叫んでいた。

まどかが放った黒い三日月は、襲っていた八機のサーヴァントを一撃で爆破する。

 

『己ッ、下賤な魔剣風情がッ!』

 

自分の下僕の半数を戦闘不能にされたサフィルスが悔しげな声を上げた。

辛うじて避けた鈴音、セシリア、シャルロット、ラウラはただ目を見張るだけだ。

その場にいた全員の視線を浴びながら、まどかは鋼鉄の蛇女から先ほどまでの通常のAS操縦者の状態に戻る。

肩で息をしていたが、大きく息をつくと、息を整えた。

 

「キツい……」

『いわないことではない。君はまだ使いこなせるレベルではないんだ。反省したまえ、マドカ』

「うるさい……わかってる……」

 

それが救いの言葉に聞こえるほど、まどかが放った一撃は衝撃だった。

そのことを一番理解したのは、この中ではブルー・フェザーである。

『手を貸す相手を間違えたかもしれません』

「フェザー?」

『あれは、非常に凶悪な魔剣です』

サフィルスと手を組んで、マドカとヨルムと呼ばれた機体を撃退するべきだったかもしれないと、ブルー・フェザーは驚くようなことをいう。

 

『覚えてなさいッ、貴方には無様な死を与えて差し上げてよッ!』

 

そう叫んだサフィルスは、サーヴァントと共に消え去る。

それによって自分の仕事が終わったと思ったのか、テンペスタⅡも消え去った。

しかし、猫鈴、ブルー・フェザー、ブリーズ、オーステルンは警戒態勢を解かない。

「ちょっとみんな、緊張感ハンパないんだけど……」

『まあ、仕方ありませんねー。私でも警戒する相手ですし』

鈴音の呟きに、天狼がそう答える。天狼ですら警戒する相手。

タテナシといい、男性格のISは存在するだけで危険ということなのだろうかと全員が思う。

「フェザー、いくらなんでも先ほどの言葉はありませんわ。サフィルスは敵ですわよ」

『はい。おっしゃるとおりです、セシリア様。しかしそれを差し引いても、あのASは危険です』

「……先ほど、攻撃する前に『ダインスレイブ』っていったことと関係あるの?」とシャルロット。

「確か、北欧神話にでてくる魔剣だな」

ラウラがそういうと、全機が肯定してくる。

 

ダーインスレイブ、ダインスレイフ。

北欧神話で語られる魔剣の一つであり、一度鞘から抜くと、生き血を浴びて吸い尽くすまで鞘に収まらないという『殺すための武器』としては、代表格ともいえる魔剣である。

 

『奴がもともと憑依していた武器の名だが、アレはもう武器じゃない。戦場を餌場とする魔物だ。人と共生進化したことが信じられん』

独立進化していれば、最悪の敵として人類を虐殺していた可能性もあるというオーステルンの言葉に、皆が戦慄してしまう。

しかし、そんな評価を受けているはずのヨルムと呼ばれた機体は、気さくに話しかけてきた。

『すまないが、マドカは今少々疲れているのでね。代わって挨拶しよう』

「空気読もうよ」と、シャルロットが思わず突っ込んでしまう。

『私はヨルムンガンド。私を纏う少女はマドカという。もっともマドカの名はテンロウが明かしたようだが』

まったく空気を読んでくれないヨルムンガンドである。

ただし、まどかがいっていたヨルムというのは、略称かと全員が納得した。

ヨルムンガンドとは、北欧神話に出てくる毒蛇の怪物だ。

もっとも、今はその名も納得がいってしまうが。

『サフィルスはマドカにとっても敵なので参戦させていただいた。ただ戦場に横入りしたことは詫びよう。どうにもわがままでね、私のパートナーは』

「人のせいにするな。やるからには勝てといったじゃないか」

どうやら話ができるくらい回復してきたのか、まどかがヨルムンガンドの言葉に突っ込みを入れてきた。

無用な戦いは避けたい。

そう考えた一同だが、相手がどういう性格なのかわからないため、とりあえずまどかに話しかけてみる。

しかし。

 

「お前たちには関係ない」

 

全ての問いかけに対し、これしか答えてこないのだ。

これでは相手のことなど何もわからない。

「めんどい性格してるわね、あんた」と鈴音が呆れたように呟く。

これでは今はとにかくどこかに行ってもらうしかないだろうと皆が考えたが、まどかは思い出したように鈴音を見て目を細めた。

「なに?」

「お前、あのとき織斑一夏と一緒にいた奴だな?」

「一夏を知ってるのっ?!」

関係があることは天狼から聞いていたが、まどかのほうから一夏の名が出てくるとは思わず、鈴音は聞き返してしまう。

「教えろ。お前は織斑一夏の仲間か、敵か?」

「敵なわけないじゃない」

「……なら、私の敵だ」

「えっ?」

直後、まどかは最初から持っていたほうのプラズマソードで斬りかかってきた。

慌てて娥眉月をまとめた手刀で受け止めた鈴音だが、両手持ちの剣を使うまどかの斬撃と、片手で振る娥眉月で力比べなどできるはずがない。

相手の攻撃を流し、すぐに飛び上がる。

「何すんのよっ!」

「織斑一夏の仲間ならッ、私の敵だといったはずだッ!」

『すまない、こうなると私にも抑えられん』

と、ヨルムンガンドが本当に申し訳なさそうに謝罪してくる。

鈴音の言葉が、まどかの心の琴線に触れたことは理解できた。

とはいえ、あれだけの戦闘力を見せたまどか相手に鈴音一人ではマズいと全員が動く。

しかし、そんな三人を天狼が止めてきた。

『四対一なら勝てるとジョウタロウがいったはずです。ここでマドカを不用意に傷つけると後で問題になります』

「でもっ!」

『今は被害のあった場所の復旧に手を貸してあげてくださいねー。リンもそれで。防戦に徹すれば大丈夫。簡単にやられるほど実力差があるわけじゃないですから』

「しょうがないわねっ、何とかするわよッ!」

とはいえ、鈴音一人でというわけにもいかないため、万一のときのサポートとしてラウラが残り、セシリアとシャルロットは一旦市街地に降りた。

 

 

鈴音は天狼の指示に従い、防戦に徹した。

実力差があるからではない。実は鈴音とまどかの差はそこまで大きくなかった。

単純に戦闘力を比べれば、決して追いつけない相手ではない。

だが、決定的な違いがあることに、まずラウラが気づいた。

「質か……」

『そうだ。マドカという娘の戦い方は、純粋な戦士のそれだ。相手を倒す、もしくは殺すための戦い方になる』

だが、鈴音は競技者だ。

ルール上で相手に勝てばよく、むやみやたらに傷つけるような戦い方をする必要はない。

その戦い方の質の違いが差となって現れていると、オーステルンは説明した。

そしてそれは、まどかに対して有効な戦い方ができるのは鈴音ではないという意味にもなる。

『観察しろラウラ。あの娘を止められるのは本来はお前だ』

「わかった」

正規軍人であるラウラは当然、相手を倒す、または殺すための戦い方を学んできている。

純粋な人対人の戦いができる。

ならば、まどかの戦い方を観察し、この場を凌ぎ、次の戦いでは確実に止めるのはラウラの役目といえた。

ただ、鈴音がそんなことを望むとはラウラには思えなかった。

 

まどかの斬撃を必死に受け流す。

斬撃のスピードが一夏並に速い。二刀流でようやく追いつくというレベルだった。

先刻気づいたばかりの棍術で対抗できる相手ではないことが理解できる。

しかも、下手に受け止めようとすると、娥眉月が硬さで負けてしまうのだ。

まとめた状態でそうなのだから、展開させることなどできるはずがない。

ゆえに叫ぶ。

「マオッ、如意棒のほうが硬いのッ?!」

『リンのイメージ力の問題ニャッ!』

それが事実だった。孫悟空の如意棒をイメージした先ほどの武器は、鈴音自身の持つイメージによってほぼ最高レベルの硬度を誇る。

逆に娥眉月は元は爪のイメージなので、そこまで硬くすることができていないのだ。

逆にいえば、鈴音がイメージを強く持てば、爪の状態の娥眉月でも十分に受け止めることはできる。

要は、先入観があるために、まどかのプラズマソードを受け止められる硬さにできないのだ。

『侮ってもらっては困るな』

「いきなり何よっ!」

『この剣の名はティルヴィング。そこいらの剣には負けんよ』

 

ティルヴィング。

その名もまた北欧で語られる。

持つ者の悪意の願いを三度叶えるが、反面、必ず破滅させるという魔剣である。

 

ろくでもなさでは、ダインスレイブといい勝負だろうと、ヨルムンガンドは皮肉気に語った。

「ヨルムっ、口数が多すぎるぞっ!」

と、まどかに窘められたものの、ヨルムンガンドは別に気にしていないらしい。

だが、先ほどの話から考えれば、ヨルムンガンドはかつてはダインスレイブだったはずだ。

まさかこちらの剣にも憑依したことがあるというのだろうか。

『いや、これは知人を模したものだ。彼は神話の時代が終わると、しばらく間を置いてから妖刀とやらになったがね』

『非情』のわりには人間観察が好きな変わり者だとヨルムンガンドは語る。

それで答えがわかった。

今は使徒として独立進化を果たしたタテナシがこの魔剣に憑依していたということなのだろう。

同郷だけに、それを覚えていたらしい。

どちらのISコアも非常に迷惑だと思わず呆れてしまう。

それは猫鈴も同じだったようだ。

『ホントに厄介ニャ奴ニャのニャ』

『愉快な君よりはマシだと思うがね』

『余計ニャお世話ニャ』

漫才でもしてるのかと思わず鈴音は突っ込みたくなってしまうが、まどかの猛攻がそれを許さない。

何故、一夏の仲間だというだけで、ここまで怒れるのか、不思議でしょうがない。

一夏からまどかの名前を聞いたことがないからだ。

つまり、恨んでいるとしても一方的な逆恨みとしか思えないのである。

そんな思いをぶつけると、まどかは一旦距離をとって睨みつけてくる。

「昔のことはもうどうでもいい。でも、今、あいつが『おにいちゃん』の隣にいるのは……、絶対に許せないッ!」

「おにいちゃん?」

「だからッ、あいつを殺しておにいちゃんを取り戻すッ!」

まどかがそう叫んで瞬間、凄まじい殺気が放たれてきた。

本気だ、と、鈴音は戦慄してしまう。

まどかは本気で一夏を殺すつもりなのだ、と。

まどかがここまで想う『おにいちゃん』とは誰なのか。

一夏が『おにいちゃん』の隣にいるとまどかはいう。

そう考えて、ふと脳裏に浮かんだ顔があった。

「あんたの『おにいちゃん』て誰よ」

「お前には……」

「答えなさい」

静けさすら感じるような小さな声だったのに、一瞬、まどかが、そして後ろで機会を伺っていたラウラまでもが気圧される。

しばらく逡巡していたが、まどかは鈴音を睨みつけつつ、口を開いた。

「……私の名は、『日野まどか』、おにいちゃんはママの息子で『日野諒兵』、私はママが名乗りたくても名乗れなかった苗字を受け継いだんだ」

日野、その苗字だけでも驚愕に値する。

だが、まどかの言葉にはそれ以上の驚愕があった。

まどかがママと呼ぶ者は……。

 

「冗談でしょ……、あんた、諒兵のお母さんを知ってるのッ?!」

 

諒兵の生みの母ということになるのだから。

その言葉を聞き、観察に徹していたラウラも一気に間合いを詰めてくる。

「ラウラッ!」

「もう他人事ではない。だんなさまの母君を知っているというのであれば、私の問題でもある」

「お前には関係ないッ!」

「あるッ!」

凛とした声でラウラは無い胸を張る。

「私は諒兵の妻になる身だっ、だんなさまを『おにいちゃん』というのならお前は私にとっても妹っ!」

「なにっ?!」

 

「さあっ、心置きなく『おねえちゃん』と呼ぶがいいっ!」

 

直後。

ドヤ顔を決めていたラウラは、ためらいなく脳天を狙ってきたまどかのティルヴィングを見事な真剣白羽取りで受け止めていた。

「何をする妹よっ?!」

「やかましいッ、ものすっごいムカつくぞッ、お前ッ!」

『今のはどう考えてもお前が悪いぞ、ラウラ』

見事なまでのシリアスブレイクっぷりに、オーステルンが呆れたような声を出す。

『怒槌の君、なかなか愉快なパートナーだな』

『ぶち折るぞ、血の魔剣』

ヨルムンガンドの楽しげな皮肉を受け止める余裕はさすがになかった様子のオーステルンである。

「あっ、いけない、ボケてた」

『アレはしょうがニャいのニャ』

ラウラの見事な迷言に呆気に取られていた鈴音は、ようやく気を取り直す。

だが、まどかは思いきりやる気を削がれたらしい。

「もうここに用はない、行こうヨルム」

「待ちなさいよっ、こっちは聞きたいことが山盛りなんだからっ!」

しかし、引き止める鈴音の声を無視して、まどかとヨルムンガンドは光となって消える。

 

何故、千冬に良く似た容姿をしているのか。

何故、一夏を狙うのか。

何故、諒兵を『おにいちゃん』と呼ぶのか。

何故、諒兵の生みの母を知ってるのか。

 

全部知りたいのに、何一つ知ることができなかったことが悔やまれる。

「……何か失敗しただろうか?」

落ち込む鈴音の姿に罪悪感をもったのか、ラウラがしゅんとした様子で呟く。

「あんたのせいじゃないわ。それに、あの様子ならまた会えると思うしね」

鈴音としてはそう答えるしかできなかった。

 

リオデジャネイロ市街地にて。

避難誘導や瓦礫の撤去をしていたシャルロット。

ネットワークを通じて上空の情報収集も同時にやっていたのだが、その顛末に思わず呟いてしまう。

「ラウラってときどき凄いと思うんだ……」

『まあ、凄いのは確かね』

「見事な話術で戦いを止めましたわね……」

『あれを話術というのはいささか語弊があるかと思います』

微妙に評価が上がっているような気がしないでもないラウラである。

 

 

 

 




閑話「新属性付加」

ドイツにて。
ワルキューレに進化したことで、コア・ネットワークから情報や画像を得ることができるようになったクラリッサ以下シュヴァルツェ・ハーゼ。
その上、力を分け与えたPSでも見られるので、先刻のリオデジャネイロ上空の戦いもしっかり分析していた。
クラリッサは新たに得られた情報から、すぐに隊員たちと共に会議を開く。
「……さすがは隊長ね。ワルキューレはどう思う?」
と、現在はドッグタグつきのペンダントになっているパートナー、ワルキューレに問いかける。
『見事よ。ここにきて姉属性まで身につけようとするとは……』
「待って、ホントに待って」
と、アンネリーゼが目を潤ませながら必死に突っ込む。
ぶっちゃけ泣きそうだった。
「リョウヘイ・ヒノに妹がいたとは驚きですね、クラリッサおねえさま」
「しかし、隊長はそれを見事にプラスに転化したんですね、ワルキューレおねえさま」
いつの間にやらシュヴァルツェ・ハーゼのおねえさまと化していたワルキューレである。
「隊長は本来妹キャラ。でもリョウヘイ・ヒノと出会うことで嫁キャラという属性を手に入れた」
『それだけでも強いのに、今度は外見は幼いのにおねえさまというロリ姉属性まで付加されれば、間違いなく最強よ』
最狂の間違いだろうと心の底から突っ込みたくなったアンネリーゼである。
『オーステルンがいいところで邪魔してくれたから、アングルはイマイチだけど、ドヤ顔のラウラはしっかり撮影したわ』
「おおーっ!」と、歓声が上がる。
ラウラがまどかに対して見事な迷言を告げた場面が映し出されたのだ。
その後も、様々な画像が映し出され、みんな和気藹々と楽しんでいた。

ただ一人、アンネリーゼだけは。
「味方はオーステルンだけなのね……」
それでも救いと思えるほど、周囲に味方の少ないアンネリーゼである。
そんな彼女に幸あれ。




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