ASーエンジェリック・ストラトスフィアー   作:枯田

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第102話「その胸に澱むモノ」

リオデジャネイロでの戦闘を終えた四人と四機が戻ってくると、千冬が労いの言葉をかけてきた。

余程心配していたらしく、優しい言葉までかけられて思わず固まってしまった四人である。

「失礼だろう。私だって心配するぞ」

「いや、なんていうか、意外で……」

思わずそんな言い訳をしてしまった四人である。

改めて、ブリーフィングルームに集合した四人は進化に至った簪と刀奈、そして大和撫子と対面する。

その場には千冬のみならず、虚や真耶もいた。

 

『あたいはちょー迷惑してるしぃーッ!』

 

いきなりそう叫んだのは大和撫子である。

本当に共生進化できたことは奇跡といってもいいほど、人と仲良くする気がないらしい。

「簪ちゃんと一緒だったからできたのよ」と、嬉しそうに語るのは刀奈。

「改めて、一応IS学園生徒会長自体はまだ続けるけど、名前は更識刀奈でお願いね」

「更識楯無っていいうのは偽名だったの?」

と、シャルロットやセシリア、ラウラが首を傾げる。

「イギリスならエリザベス二世っていえばわかりやすい?」

「名を残すということですの?」

セシリアの言葉は的を射ていた。

もっとも、単に名を残すというより、日本では役職名というほうが近いだろう。

「初代からずっと、うちの当主は『更識楯無』って名を継いできたのよ。私は数でいえば十七人目になるの」

歌舞伎、落語などの世界では、先代の名を襲名するということがいまだに残る。

何代目何某という言い方をすることは、たいていの人が知っているだろう。

「日本独特かしらね。先代にあやかってつけるという意味もあるけど、偉業を成した人の技や業績を名前と共に後年に伝え続けるために名乗るのかも」

「なるほど、変わった風習ですわね」

もっとも刀奈にも、簪にも今は楯無を名乗る気はない。

自分の意志で歩くことを決意した二人に、楯無の偉業は必要ないからだ。

まして、血塗られた偉業を名と共に継ぐなど真っ平だとすら思う。

「何にもないくらいがちょうどいいのかなって今は思うわ」

「私も肩書きとか、特別な環境とかはいらないかな。自分自身として戦うから」

刀奈にしても、簪にしても戦うことは忌避しない。

ただ、家や代々襲名された何かよりも、自分自身がなりたいと思ったものになる。

進化できたことでその意志は確固たるものになったのだ。

とはいえ、一緒に戦うというわけにはいかないらしい。

「更識刀奈と更識簪は基本的にはIS学園の防衛を担ってもらうことになっている」

「そうなんですか?」とラウラ。

「お前たちが全員出払ってしまうと、学園の防衛力ががた落ちしてしまうのでな」

『確かにな。今回は肝を冷やしたぞ』

と、オーステルンが口を挟むと千冬も肯く。

それだけタテナシの襲来は恐ろしいものだったのである。

さらに、と、千冬は付け加えた。

「更識刀奈は日本の防衛も担う」

ロシアには感謝すべきだなと皮肉気に笑う千冬を見て、事情を知らない四人と簪は首を傾げる。

もっとも、これには別の事情もある。刀奈が使う機体はあくまで大和撫子のオプションであり、実は自力でのエネルギー補給ができないのだ。

「大和撫子からというかたちでしかエネルギーが供給できないんです」と、ちょっと困ったような笑顔で説明したのは真耶である。

「ゆえに大和撫子から離すことができん。幸い、更識簪がIS学園にいれば、国内くらいは供給が届くということなのでな。政府とも話し合って更識刀奈に日本の防衛をしてもらう」

それならば仕方ないと鈴音、セシリア、シャルロット、ラウラの四人は納得した。

それはともかくとして、自分たちのことを改めて確認しようとセシリアが尋ねる。

「つまり、私たちはこれまでどおり、遊撃部隊ということですの?」

『基本的には一チームとして動くのでしょうか?』

と、ブルー・フェザーが付け加えた。

「ああ。お前たちと、目を覚ませば一夏と諒兵を含めた六人で行動してもらう」

タッグで行くことになっても三ヶ所に対応できるし、アメリカやドイツであれば、現地のナターシャやクラリッサと協力できるので、その分、戦力を分散させることもできると千冬は説明する。

だが、千冬の口から一夏と諒兵の名前が出て、一瞬鈴音は身を強張らせてしまった。

「どうした?」

「あっ、いえっ……」

「そういえば、弾がエネルギー供給をしてたっていってましたけど、一夏や諒兵の目覚めを早められるんですか?」

『そうなると助かるわね。やっぱり前衛が足りないわ』

すかさずフォローしたのはシャルロットだ。

一夏と諒兵がらみでは、一番弱い面もあるだけに、鈴音ではうまくごまかせないと考えたのである。

「束の話では、今のペースで続けて、せいぜい一週間ほど早められるかというところだそうだ」

「それでも十分ありがたいですわね」

「動ける人数は多いほうがいいし、五反田くんには感謝しないと」

珍しくニコニコとセシリアの言葉に続いてそう語った簪。

「うん、簪ちゃん、あんまり気を許しちゃダメよ」

すかさず刀奈が注意してきた。

どうやらお姫様抱っこは余程癇に障ったらしい。

「お嬢様、協力しましょうか?」

「いいの、虚?」

「彼には一度、喝を入れるべきではないかと思いますので」

やけに協力的な虚である。

妹を惑わしているように見えるからだと本人は語る。

そんな話題の彼がここにいないのが気になった鈴音は、ごまかす意味も含めて尋ねてみた。

「今は整備室だ。先ほど大和撫子に供給したから休んでいる。……そういえば布仏も一緒だな」

千冬が最後にそう呟くと、更識と布仏の姉二人が光のごとき速さで消えた。

「おっ、おねえちゃーんっ!」

『あたいを巻き込むなぁーっ!』

慌てて追いかける簪の姿を見て、その場にいた全員が唖然とする。

「う~ん、大丈夫かしら、弾……」

この中では一番付き合いの長い友人である鈴音は、苦笑いしながらそう呟く。

とりあえず、今後の大まかな行動指針が決まったことで、会議はお開きとなった。

 

 

深夜。

整備室に入り込んでくる影があった。

影は、月明かりを浴びて横たわる一夏と諒兵に少しだけ手を触れると、整備台の間に座り込んでしまう。

影の正体は鈴音だった。

鈴音は小さな声で呟くように話しかける。

「一夏……、今日ね、あんたを殺したいっていう子に会ったわ」

抱えてしまったものの重さに耐えかねたのか、鈴音はまどかと出会ったことを呟く。

「でもね、諒兵。その子はあんたのことを『おにいちゃん』って読んでて、しかも、あんたのお母さんのことを知ってるみたいだったのよ」

いったい何故なのか。疑問は尽きない。

だが、鈴音が一番気になる点は、丈太郎から聞いたある情報にこそあった。

まどかは亡国機業の実働部隊。

幼いころに誘拐されたまどかが実の両親のことをしっかりおぼえているとは考えにくい。

ゆえに、諒兵の母親をママと呼ぶということは、その相手は誘拐されたところにいたことになる。

つまり、亡国機業に、だ。

「ねえ、一夏、まどかってあんたと関係あるの?」

一夏は答えない。まだ、答えられる状態ではない。

「諒兵、あんた親の顔全然知らないっていってたわよね」

諒兵も答えない。声を発することすらできない状態だ。

「あんたたちって、本当は特別な生まれなの?」

どちらも答えられない。

そんなことはわかっている。

わかっていても、聞かずにはいられない。

なぜなら、それは鈴音が目を背けてきた一つのコンプレックスを刺激するからだ。

「私……、何で普通の中華料理屋の娘なのかな……」

それは恥じるようなことだろうか。

本来は、決して恥じる必要はなく、何の問題もない、『普通』の家だ。

しかし、それこそが鈴音にとってコンプレックスだった。

箒は今は辛い状況にあるが、生まれは由緒ある剣術道場であり、身内にはあの『天災』がいる。

セシリアはイギリス貴族の令嬢だ。その生まれは誇れるものといえる。

シャルロットは愛人の娘という立場といえど、れっきとした社長令嬢だ。それに実母は科学者としては一目置かれる存在である。

ラウラは試験管ベビーという境遇は辛いものかもしれない。しかし、ある意味では誰よりも特別な生まれだ。

さらに、今回進化に至った刀奈と簪は、古くからの暗部の家系。呪われた家といえど、十分以上に特別な生まれだろう。

全員が、ある意味では自分と違い、生まれながらに選ばれたような存在だと鈴音は考えてしまう。

「なんか、場違いよね、私……」

『無冠のヴァルキリー』であり、AS操縦者女性陣の中では最初に進化を果たした。

それは十分に特別だといえる。ただ、生まれではない。

ただひたすらに、がむしゃらだっただけだ。

一夏と諒兵の背中に追いつきたいという思いだけで、必死に飛び続けてきた結果だ。

本当なら、その生まれだけを考えるなら、他の仲間たちと対等に話ができるような立場ではないと思ってしまう。

もっとも、周囲の人間は、努力だけで成し遂げてきた鈴音のことを称えるだろう。

才能の助けがあったとはいえ、努力で今の立場にいるのは他の者たちにとっても良き指標となる。

ただ、それでも、自分だけがどこか浮いてしまっているような、そんな感覚が拭えないのだ。

「私って、選ぶ以前に、あんたたちに相応しいかな……?」

もし、一夏や諒兵も特別な生まれをしていて、運命によって選ばれたというのであれば自分とは違う。

違うと、思えてしまう。

ただ二人が好きだというだけの、普通の、どこにでもいそうな少女。

そんな自分が、本当に選ばれるのだろうか。

二人に本気で好きになってもらえるのだろうか。

鈴音は不安を消すことができないまま、ただ、その場に座り込んでいた。

 

 

翌日。

鈴音は刀奈に声をかけた。理由は一つ。

「模擬戦?」

「はい、時間もらえます?」

「とりあえず、今は時間あるけど……」

「昨日の戦闘で、武装の新しい形態ができたんだけど、私、それを使う技術が足りないんです」

ゆえに鍛えたいと鈴音は説明する。

一応、学園の蔵書の中に棍術の指南書も存在した。一通り目を通したので、実際に自分が使うならどうするかということを身体を動かしながら確認したいのだ。

「それなら、武道場のほうがいい?」

「んー、それも考えたけど……。そういえば、刀奈さん、機体の扱いとかもう慣れたんですか?」

「さすがに昨日の今日じゃね。武装を展開することもなかったから、確認もしてないのよ」

鈴音たちと会った後、展開して確認しようかと考えたのだが、とりあえず休めと千冬にいわれたこともあり、そのまま休んでしまっている。

結果として刀奈は自分の機体について、確認することができないでいた。

「それなら、アリーナでどうです?」

「いいわよ」

そういって、刀奈を誘った鈴音は、アリーナの空に浮かんだ。

 

鈴音は娥眉月を如意棒形態に変化させ、両の手で構える。

対して刀奈は。

「なるほど、これ、そのまま武装になったのね……」

自分の手に現れた日本のレーザーブレードに感心していた。

「その刀って、進化したときに作ったものなんですか?」

「違うわ。博士からPS用の武器として作ってもらったものなのよ」

さすがに大和撫子でも、ミステリアス・レイディの機体の再現をすることはできなかったらしい。

ゆえに進化したときに刀奈が纏っていたPSが進化することになったようである。

「じゃあ、それを取り込んじゃったんですね」

「取り込んだってほどのことでもないみたいね。博士が本気で作ったら、進化のときの負担が大きいみたいだし」

ブリーズがまさにその好例で、ブリューナクは分割した上に、元の形が翼に残ってしまっている。

本来ならば、見た目は普通の翼になり、撃つときだけ姿を現すはずだったのだ。

しかし、そうなっていないということは、刀奈の技術でもPSで扱うとなると、丈太郎としては本気でプラズマブレードを作ることはできなかったらしい。

「それでも、かなりのテクノロジーなんだけどね」

「蛮兄の性格知ってると、イマイチ信じられないんですけどね」

と、鈴音が苦笑すると、刀奈も苦笑した。

いかんせん、科学者というイメージに欠けている丈太郎である。

「とりあえず、この刀の名前は後で付けるわ。それより始めましょうか」

「お願いします」

そう答えた鈴音は、如意棒を構えて一気に刀奈に近づいた。

 

 

棍術は棍の形状から槍と似た動きをすると思われがちである。

それ自体は間違いではなく、棍術には刺突も存在する。

しかし、京劇などを見ていただけるとわかると思うが、棍とは本来、叩く武器であり、その動作は『振り回す』というほうが近い。

約二メートルほどのリーチを生かし、振り回して相手を叩く。

それが棍本来の戦い方になる。

そんなことを考えながら、刀奈は鈴音の動きを見て呆れていた。

(一日で基本動作を覚えてるなんて、とんでもないわね)

もともと我流で体術は覚えているといっていたが、棍を扱わせてもそこそこ見られる動きになっているのだ。

勘がよく、また、身体も鍛えているため、このまま戦場に出ても、それなりの働きは十分にできるとすら思える。

(天才って本当にいるのね)

刀奈も端から見れば天才といわれるだろうが、彼女は必死に努力してきた。

これまで生きてきた時間の大半は修練と勉強に費やしてきた。

そんな刀奈から見れば、わずか一日で基本動作を覚えてしまうような才能を持つ鈴音は正直にいえば妬ましい。

ゆえに、そう簡単には負けられない。

生徒会長は学園最強を名乗る。

生徒の中でもっとも強いからこそ、学園に通う生徒たちの代表ができるのだ。

ゆえに、負けられない。

両の手に持った二本のプラズマブレードを操り、鈴音の如意棒を弾き、さらに斬撃を与える。

「くぅッ!」

「棍は動作が大きくなるから、弾かれたときの対処を常に頭に入れておいたほうがいいわよ」

「いってくれますねっ!」

棍を操る以上、動作を小さくするだけでは意味がない。

一対一ならともかく、使徒との戦いでは多対一の状況になりやすいからだ。

そういう意味では棍本来の動きは今後戦っていく上で有効といえる。

そのため、刀奈は単に動作をコンパクトにまとめるといったようなアドバイスはしない。

(どうせ凰さんなら自然と覚えるだろうし)

そこに、わずかな嫉妬があることに、刀奈は少しだけ苦笑してしまった。

 

もっとも、鈴音としては、無理をしていないわけではない。

一日で覚えたというのは、ほぼ一晩中基本動作の反復を繰り返していたからだ。

昨日の夜、一夏と諒兵のもとで座り込んでいた後、せめて手に入れた力を確かなものにしようと指南書を読みながら、ずっと身体を動かしていたのである。

猫鈴のサポートによって、そこまでキツくはないが、それでも徹夜による疲労は完全には消せていない。

『リン、焦っちゃダメニャのニャ』

(焦ってないわよ。自分を鍛えたいだけだから)

猫鈴の言葉にそう答える鈴音は、それがただの言い訳に過ぎないことを理解していた。

胸の奥に言い様のないナニカがある。

それが、今の自分を突き動かしている。

自分が特別であるためには、IS操縦者として、AS操縦者として努力するしかないということを鈴音は理解してしまっているからだ。

本当だったら、平凡な女の子でしかない。

そんな自分から、とにかく逃げたかった。

一夏や諒兵の周りに集まってきている女の子たちと、せめて並び立てないと、置いていかれてしまう気がしてならないからだ。

これがもし、進化できたのが自分だけだったというのであれば、鈴音の心に焦りはなかっただろう。

それだけで十分特別だといえるからだ。

しかし、今は進化した人間もそこそこ増えてきた。

無論、共に戦う仲間として歓迎する気持ちはある。

ただ、自分が手に入れたものを、他の人たちも手に入れ始めると心のどこかに焦りが生まれてきた。

埋もれてしまう。

ただの平凡な女の子に逆戻りしてしまう。

鈴音にとって特別といえたのは、代表候補生の肩書きと、無冠のヴァルキリーといえるほどの実力があったことだ。

しかし、今は進化した者たちと同じ力を持つに過ぎない。

普通の人から見れば特別でも、進化した者たちと同じであれば、他に何もない。

強くなければ、自分には誇れるものが何もない。

そんな感情が心に渦巻く。

「くッ!」

無論のこと、そのような状態で、刀奈を相手にまともに戦えるわけがない。

刀奈はかつてはロシアの国家代表として選ばれた身である。

万全の状態で挑戦しなければならない相手だ。

結果として。

「凰さん、調子悪いのね?」

「えっ?」

「ちょっと頭冷やしなさい」

直後、二刀を使った凄まじい連撃を受けた鈴音は、地面に叩き落される。

「まっ、まだっ?!」

そういって起き上がろうとした鈴音だが、喉元に切っ先を突き付けられる。

「今のあなたに負けるほど、弱くはないつもりなんだけど?」

鈴音は唇を噛むだけで言葉を発することができなかった。

 

「一旦シャワーでも浴びてきましょ」と、そういった刀奈に鈴音は素直に従うしかできなかった。

余裕を見せられるのは癪に障るが、今の状態では鍛えるどころではないと猫鈴にも叱責されたためだ。

さっぱりした身体にバスタオルを巻いてシャワー室を出ると、ラフな格好をした刀奈がコーヒー牛乳を投げてくる。

「おねーさんのおごり♪」

「一つしか違わないじゃないですか」

「一年の差は大きいのよ?」

なんとなく自分の胸と刀奈の胸を見比べて、思わずへこんでしまう鈴音である。

いや、そんなところの差をいったわけではないことは理解しているのだが。

気を取り直し、鈴音もラフな格好に着替えると、刀奈の隣に座ってコーヒー牛乳を一口飲む。

程よく力が抜け、どこかホッとした。

「何か悩みでもあるの?」

「別に、悩みなんて……」

「動きそのものは、基本がかなり身についてると思うけど、攻撃に焦りがあった気がしたわ」

勝たねばならない。

そういう意識の攻撃は、どうしても焦る気持ちを含んでしまう。

今の刀奈であれば、そういったことがわかるのだろう。

彼女も相当に悩んできたが、簪と共に大和撫子と進化したことで、いろいろと吹っ切れたという。

余裕を持つのは重要なことだ。

焦りは必ずミスを生んでしまうからだ。

ゆえに、気持ちに余裕、ゆとりを持たなければ、何事も上手くいかないものなのである。

「口に出すだけでもだいぶ違うと思うんだけど、猫鈴はどう思う?」

『聞いてくれるだけでも助かるのニャ』

「ちょっとマオっ?!」

『一人で抱え込んじゃダメニャのニャ、リン』

でも、自分が勝手にいったりはしニャいと、猫鈴は続ける。

鈴音が自分で自分の気持ちを口に出さないと、解決に至らないからだ。

猫鈴が良いパートナーであることを実感する。

それは、刀奈にも伝わったらしく、微笑みかけてきた。

「私の機体はオプションだから、こういった話ができなくってね、ちょっと羨ましいわ」

だから素直に話してほしいという刀奈に対し、鈴音は仕方なく自分の胸の内を明かすことにしたのだった。

 

 

 

 


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