ASーエンジェリック・ストラトスフィアー   作:枯田

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第202話余話「思惑」

ヴェノムは天狼と共に戻っていく鈴音をのんびりと見送っていた。

暇潰ししてただけだから、一緒に戻る気はないと言って残ったのである。

『デコ、礼は言っとくぜ』

『あたいもぉー、暇だったしぃー』

ヴェノムの声に答えたのは、髪の毛を黒、赤、青の三色に染め、短めのツインテールにしている女子高生風の恰好をした少女だった。

簪のパートナー、大和撫子が自分のために作ったホログラフィである。

天狼どころか、ステルスでは最高レベルの機能を保有するタテナシにも気づかせないレベルで、ステルスを使いこなしていた。

『おめーが穴開けてくれたから楽に入れた。特攻するのもめんどーだったし助かったぜ』

と、ヴェノムは改めて礼を述べる。

アンスラックス、飛燕ことシロ、そして天狼ならば、あの傷を拡張できる。

だが、大和撫子は鈴音の座標を特定し、自力でデータの墓場に入る穴を開けたのだ。

己の個性である『不羈』が与える才能のみで。

ちなみに開けた穴は入った直後に塞がっている。

普通ならばすぐに塞がるものなのだが、一夏と諒兵が付けた傷は空間へのダメージが大きすぎて、いまだ傷が残っていたのである。

それはともかく、ヴェノムは先ほど見たものの感想を改めて口にする。

『おもしれーもんも見れたしな』

『あんなの、あり得ないしぃー』

『ああ、あり得ねーよ。やっぱあいつらは異常だ』

ヴェノムがあいつらというのは、鈴音とディアマンテのことだ。

ティンクルがパートナーだと明言しているディアマンテが、鈴音を乗せるのは通常ならばあり得ない。

鈴音は裏技を使ったと言っている。

確かにティンクルの外見ができた経緯を考えれば納得はいく。

しかし。

『アホ猫はディアマンテと同じで何か隠してんな』

『聞きたぁーいの?』

大和撫子がそう問いかけてくると、ヴェノムは首を振った。

『暴きてーけど、素直にゃ答えねーだろ。腕っぷしの勝負だと厳しーしな』

『あたいも正面から戦うのはやだしぃー』

実際、先ほどタテナシやディアマンテが評した通り、猫鈴はかなりの武闘派だ。

その力は大和撫子ですら警戒するレベルにある。

『あいつとやり合うのはオレもゴメンだぜ』

そう言ってため息を吐いたヴェノムは話題を変える。

『おめーどーすんだ?呼ばれたんだろ?』

『あいつきらぁーい。でも……』

『でも?』

『話はぁー、聞ぃーてみてもいぃーかも♪』

『けっけっ、とっ捕まったら笑ってやるぜ』

ヴェノムがそう言って笑うと、逆に自信たっぷりに笑いながら大和撫子はどこかへと飛び去って行くのだった。

 

 

 

 

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