ASーエンジェリック・ストラトスフィアー   作:枯田

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第210話「ノワールと名乗る少女」

唐突に現れたティンクルとディアマンテ。

形の上ではサフィルスたちを助けたように見える。

既にこの場にいる権利団体のAS操縦者たちは二人しかいない。

大半のAS操縦者たちは墜とされたまま上がってこれないからだ。

「凰鈴音、IS学園は使徒と結託して茶番を演じていたということ?」

と、いまだ空に浮かぶことができている者が問いかける。

だが、ティンクルは首を傾げた。

「違うわよ?」

「何ですって?」

 

「私はっ『ティンクル、二回目は確実にスベります』

 

と、再びアイドルのようなポーズを取ろうとしたティンクルに無情な言葉がかけられる。

「ディアっ、いきなりノリが悪くないっ?」

『エフェクトを出すのも楽な仕事ではありませんので』

やればやったでちゃんとエフェクトを出してはくれるらしい、律義なディアマンテである。

「ふざけてるのっ?」

「だから、私は中国代表の凰鈴音じゃないって言ってるのよ」

一応、ちゃんとティンクルと名乗ってはいるのだから嘘は吐いていない。

そもそも。

「IS学園は私のことを公表してるわ。単独では戦闘できないディアと一緒に戦うパートナーの存在をね」

その場をごまかす嘘ではないことを証明するため、その時のニュース映像を見せてくるティンクルとディアマンテ。

鈴音の量子データをコピーして外見を作っているため、外見は鈴音そっくりになっているとちゃんと発表されている。

実際に戦闘になった際、特に鈴音に対する誤解が広まってしまうからだ。

同様にスマラカタに関してもちゃんと発表されている。

真耶に対する誤解を広めないためなのだが、あのビキニアーマーのせいでニュース映像が水着グラビア動画と化してしまっており、一部のマニアに人気が出てしまっていたりする。

それはともかく。

ティンクルの説明を聞いた権利団体のAS操縦者たちは、呆然としてしまっていた。

「そんな馬鹿な……」

「資料読んでないのがまるわかりね。戦闘に関する情報は勝つために必須なもの。戦闘を舐めすぎよアンタたち」

さすがに何も言えなくなったらしい。

だが、見た目が鈴音そっくりなだけに少女にしか見えないティンクルに諭されるのは相当に屈辱なのだろう。

悔しげな顔を隠そうともしない。

だが。

『本当か……?』

「さすがに疑り深いわね、ヴィオラ」

『先の攻撃は吾の剣が届かぬ場所に叩き落したように思える。否、叩き落したのではないか?お前はソレを助けたのではないか?』

「結果がそうなっただけで、助ける意志なんてないわ」

ヴィオラの追及に対し、動じることなくそう答えるティンクルの言葉をディアマンテが補足する。

『どちらを助けたかということはありません。むしろこれ以上の犠牲を出したくないと思いましたので』

『そうね。結果として仲間たちが蹂躙されなくなったわ』

同時に、権利団体のAS操縦者たちも死ぬことを免れたと言える。

シアノスとしては現状最良の結果であると言えるだろう。

奪われた仲間たちを取り返したい気持ちはとても強いのだが。

今度は権利団体のAS操縦者の一人がティンクルを問い質す。

「あなたの目的は何なの?」

「とりあえず戦闘を終わらせたいだけよ。痛み分けになっちゃうけど。サフィルス、お勧めはしないけど戦力の補充は必要なんじゃない?」

『私に対する指示は不要でしてよ』

「じゃあ独り言で」

そう言うとティンクルはにこっと笑う。

「私はサーヴァントってのは認めてないわ。でもサーヴァントはまだ進化してない子たちよりは強いのよ」

『少なくとも戦闘能力の上昇は認められます。ISとして戦うよりは強くなっているのです。ならば、以前のような方法以外にもやり方はあるでしょう』

以前、サーヴァントを誕生させたときは、先に進化したことで応援に来た者たちを強引に縛り付けたサフィルス。

それは決して褒められたやり方ではないだろう。

だが。

「つまりね、少しは交渉してみたらって思うの。せっかくシアノスがいるんだし、臣下から学ぶのも頂にある者の在るべき姿なんじゃない?」

つまり、いまだ進化に至らない覚醒ISたちに、臣下になるという条件でドラッジによる一時的な進化を勧めてみろとティンクルは言いたいのである。

「そんなことさせるもんでッ「ばきゅんっ♪」

異論を唱えようとした権利団体のAS操縦者の頬を掠めるように光弾が疾った。

あまりのことにその者の思考は完全に止められた。

「ちょっと黙ってて」

ティンクルが右手で銃を撃つようなポーズを見せている。

もっとも光弾は翼のほうから放たれたのだが。

単純に気分だけの意味のないポーズだったりする。

「あ、それとお家に帰るなら止めないわよ。でも私の邪魔するなら、今度は絶対に逃げられない光の弾丸をお見舞いするけど♪」

『ソレはお前の味方ではないのか……?』

「誰が?」

と、ヴィオラの疑問に対し、一瞬だけだが能面のような無表情を見せるティンクル。

それだけでティンクルは権利団体のAS操縦者たちを間違いなく敵と見做していることが、ヴィオラだけではなくシアノスやアサギ、そしてサフィルスにも理解できた。

ならば、戦闘を終わらせたいというのは本音なのだろう。

何をするにしても、ここは一時撤退がベストだとサフィルスたちも、権利団体のAS操縦者たちも考える。

だが。

 

「ノワールっ!」

 

と、権利団体のAS操縦者がそう叫んだことで、にわかにサフィルスたちは殺気立つ。

『本当に居るのか……?疑わしい……疑わしくて仕方がない……』

『やっぱあんたにも見えないか、くッ……』

新たに進化したヴィオラにも何も見えない。

何かいるとは思えない。

しかし、先ほどは彼の者たちがそう叫んだ直後にサーヴァントがいきなり奪われた。

警戒するのは当然だろう。

すると。

 

「アンタがノワールか。見た感じ可愛い女の子だけどめっちゃ鳥肌立つわね」

 

と、ティンクルはノワールが見えているかのような発言をしてきた。

その場にいた者たち全員が驚いてしまう。

『みっ、見えるのぉーっ?』

「がっつり見えるわよ。声も聞こえるし。ディアは見えてない?」

『センサーには何の反応もありません。いったい何を視ているのです?』

『見えるのならばこちらにも情報を寄越しなさいッ!』

『申し訳ありませんサフィルス。ティンクルが見ていると言うノワールですが私には認識できません』

ティンクルに見えていても、ディアマンテが認識できないのでは映像や音声のデータ化は不可能らしい。

そんな会話をしていると、まだ残っていた権利団体のAS操縦者たちが地上へと降りていく。

『逃げるかッ!』

憤るサフィルスに対し、シアノスは冷静に尋ねかける。

『ティンクル、何があったの?』

「ノワールって子が、ここは逃げたほうがいいって言ってたわ。どうもこの子の言葉は聞くみたいね、あの連中」

そう説明したのち、ティンクルはため息を吐く。

「ていうか、私を指して気持ち悪いってアンタかなり失礼じゃない?」

どうやらティンクルはノワールと会話を始めたらしい。

 

無邪気な笑顔を見せながら、ノワールはかなり辛辣なことを言ってきた。

『使徒ヤえーえすニハ見エナイハズナノニ、見エルナンテ気持チ悪イヨ?』

「人を指していう言葉じゃないって言っているの。お姉さんの言うことわかる?」

『ダッテソレ以外ニ言イ方ガナインダモン♪』

「わかってて言ってるのね。イイ性格してるわアンタ」

『アノ子タチハオ兄チャンタチノ影響ガ強イセイダト思ウケド、貴女ハ違ウ。本当ニソイツガ生ミ出シタノ?』

「ああ、白虎とレオね。確かに諒兵と一夏の影響が強いだろうから、見えても不思議はないか」

『答エテクレナイナンテ酷イネ♪』

会話を誘導しようとしたことに対してしっかり反応できるあたり、相当に知性が高い。

見た目は黒い少女用のドレスを纏った幼いと言っていいほどの少女。

しかし、中身は自分よりも高次にいるかのように感じてしまう。

「子どもは帰る時間よ。お家はどこ?送ってあげるわ」

『内緒ダヨ♪』

「遠慮しなくていいわよ?」

『知ラナイ人ニ着イテ行ッチャ駄目ダカラネ♪』

無論のこと、ティンクルは本気で送ろうなどと考えてはいない。

ノワールが何者なのかを推測したうえでの会話だ。

『優シイフリシテ私ヲ見ツケル気ダモンネ。気持チ悪イケド性格モ悪インダネ貴女♪』

「マジでめっちゃ失礼ね」

楽しそうにしか会話しないせいか、逆に本当に失礼に感じてしまうティンクルである。

『シカモ、ワザワザ時間ヲ稼イデルシ』

ノワールがそう言った直後、黒い光を放つ剣がその身体を両断する。

しかし。

「くッ、手応えが全然ないッ!」

『私にはただの素振りとしか思えないのだが……』

「ちゃんと目の前にいるぞッ、センサーが壊れたのかポンコツっ!」

『これは私に問題があるわけではないぞ、マドカ』

と、いつもの親子漫才を披露するまどかとヨルムンガンド。

まどかは本能で危険だと感じたノワールに斬りかかったのだ。

しかし、ヨルムンガンドには使徒やAS同様にノワールの姿を見ることができていない。

「落ち着きなさいまどか。今は倒せないと思うわ」

「そうなのか?」

『サフィルスたちや私にもノワールとやらの存在は認識できません。私たちにはティンクルが独り言を言っているようにしか見えていませんでした』

ディアマンテがまどかの問いかけにそう答えると、少し遅れてIS学園の遊撃部隊も到着する。

「あっ、さっきの子ッ!」

ノワールを見るならそう叫んだのはティナだった。

無論のこと、一緒にいる者たち全員が警戒している。

『怖イナア、ミンナ私ヲ睨ンデルヨォ』

「話し方は普通の女の子としか思えませんね……」

「だが不気味だ」

セシリア、箒がそう印象を述べる。

ここに来るまでに、ノワールに人間を洗脳する気がないのなら、信号をシャットアウトまではしなくていい。

会話で得られる情報を自分たちが記憶しておく必要があるとシャルロットが提言していた。

『やはり我々には認識できんか。今は人間にしか見えないということか?』

『たぶんな。間違いなくヤベーヤツだ』

オーステルンとヴェノムの意見は、遊撃部隊のASたちの総意でもある。

本来、ISのハイパーセンサーは人間の認識能力よりもはるかに高い。

そんな自分たちのセンサーにまったく認識させない能力を持つとなると、サポートもまともにできなくなるのだ。

できれば、『今は』人間にしか見えない相手であってほしいという願望もあった。

『貴様も見えないのかブルー・フェザー?本当に?』

『今はヴィオラでしたか。確かに認識することができません。私が嘘を言わないことはよくご理解されているでしょう?』

ヴィオラの声にブルー・フェザーは素直に答える。

ブルー・フェザーのことを理解しているだけに、それで納得したようだった。

『コンナニイッパイ来チャッタラ、私困ッチャウ。オ姉チャンタチモ心配ダカラ帰ルネ♪』

「そりゃあ、自分の玩具が引きこもっちゃったら困るわね」

ティンクルの一言にノワールの目が細まる。

間違いなく、敵だと認識している眼差しだった。

『ヘエ、ソウ思ウンダネ』

「アンタはさっき連中に、心配して駆け付けたみたいに言ってたけど、目が笑ってたわよ」

『上手ク表情ガ作レナイダケダヨ?』

「そんなわけないでしょ。アンタは人ともISとも違うけど、人でもISでもあるのよ。あの連中を楽しく眺めてたんでしょ?」

『フフッ、ドウナノカナア?ヨクワカンナイ』

「性格悪いなんてレベルじゃないわ。蟻を潰して楽しむ子どもの目をしてた。人間を、ううん、ISたちも含めた私たち全員を上から眺めてるのよアンタ」

『本当ニ気持チ悪インダネ貴女。セッカク捕マエタあいえすタチノ居場所ヲ勝手ニ見ツケタ人間ト同ジクライ気持チ悪イ』

「えっ?」と、シャルロットが声を上げる。

さすがにそんな話は聞いていなかったので、他の全員も驚く。

だが、ノワールはさすがにこれ以上の会話は危険だと感じたらしい。

『マア、檻ハ壊セナイケドネ。ジャアネ♪』

そう言ってノワールは消え去った。

『最初から最後までセンサーには何の反応もなかったな……』

そう呟くヨルムンガンドの言葉は、その場にいる使徒やAS全員の心を代弁していた。

「ティンクルさん……」と、セシリアが声をかける。

「さすがにサーヴァントたちが蹂躙されるのは見てられなかったのよ。あのままだとヴィオラはおろか本気のシアノスが全力だすかもしれなかったし」

『ヴィオラが全員始末するところでしてよ?』

「私が来なかったら、ノワールが何とかして残りのサーヴァントを捕まえてた可能性が高いわ」

その可能性を否定できるものはこの場にいなかった。

というより、やはりノワールの力でサーヴァントが奪われたのだとサフィルスにも理解できた。

しかし。

「それなら、最初から全機奪ってたんじゃないかな?」と、シャルロット。

「これは推測だけど、ノワール自体は実体がなかった。なら、あの連中を媒介にして捕まえてたと思うの」

「そうか、覚醒ISを捕まえた時と同じ……」とラウラが呟く。

「媒介と、たぶん増幅ね。連中は直接触らないと捕まえられないけど、ノワールがその力を増幅したんじゃないかな」

おそらくその効果範囲はそこまで大きくはないだろうとティンクルは推測を述べる。

あのとき飛んでいた権利団体のAS操縦者たち全員の力を増幅して、五機が限界だったのだ。

「つってもサーヴァントまで奪えるとは予想してなかったわ。一時進化とはいえ進化していたのに……」

だから、サフィルスが勝手に降りて戦っても負けることはないだろうと楽観していたとティンクルは語る。

『ですが、予想に反してノワールとやらの力は強かったのです。ヴィオラがいたとしても盛り返される可能性は高かったでしょう』

そのため、無理やり戦闘を終わらせるためにティンクルとディアマンテはここに来たのだという。

「アンスラックスが必死に呼びかけてるのに、あんたガン無視してるでしょ?」

『フンッ』とサフィルスは鼻を鳴らしてそっぽを向いた。

こちらの指示を聞かない性格はそう簡単には直らないらしい。

「だから、ここは痛み分けよ」

『次は全員始末して差し上げてよ』

そう言ってサフィルスは上空へと舞い上がる。

生き残ったサーヴァントたちも着き従っていった。

『やっと帰れるのぉー……』

アサギもそそくさと空へと上がっていった。

残されたのは。

『助かったわ、ティンクル。さっきの独り言も考えさせてみる』

「頼むわね。あの子たちを何とかして解放したいし、今あんたたちに倒れられるのは困るのよ」

『了解。ヴィオラ、空に帰るわよ』

そうシアノスが声をかけるのだが、ヴィオラはティンクルを睨みつけるような雰囲気で呟く。

『疑わしい……』

「へっ?」

『お前は仲間ではない。人間ではないのか?』

『ティンクルは私の人形を量子変換してこの姿でいるだけです』

『否、最初から人間だったのではないか?』

「そんなわけないでしょ」

『フン……』と、少し鼻を鳴らしながらヴィオラも空へと舞い上がった。

それを見てため息を吐くような仕草をしつつ、シアノスが声をかけてくる。

『ま、今の会話は突っ込まないであげる。あと、フェザー』

『何でしょう、シアノス?』

『今度またいい勝負しましょってオリムライチカとビャッコに伝えといて』

『わかりました』

『じゃあね』と、ちゃんと挨拶をしてシアノスも空へと帰って行った。

 

そして。

「これでここの戦闘はおしまいね。で、千冬さん聞こえる?」

いきなりティンクルは千冬に声をかけてきた。

[何か用か、ティンクル?]

「ノワールとの会話ログ作ったから束博士に送りたいんだけど、いいかな?」

『待て、ノワールの映像や音声が記録できてるのか?』

『妾らにはまったく見えなかったのじゃぞ?』

オーステルンや飛燕ことシロがティンクルを問い質す。

使徒やASには認識できなかったノワール。

その会話ログができているとなると、ディアマンテには認識できていたという話になる。

[見えていたという白虎やレオも記録は残せていないんだ。本当に記録できているのか?]

と、通信機の向こうの千冬も疑問を投げかける。

すると、ティンクルはいきなり疲れた顔を見せてきた。

「えっ、どうしたのっ?」

と、シャルロットが心配そうに声をかけると、疲れた様子ながら大丈夫だと言いたげにひらひらと手を振るティンクル。

彼女に代わってディアマンテが説明する。

『私にも認識できていません。ですから記録はないのですが……』

「私がねー、あの子の言葉を一文字一文字ディアの記憶領域に書き込んだのよー。もー疲れたぁー……」

「手入力っ?」と、簪が呆れたような声を出す。

まさか、文字データをその場で作成していたとは、と一同は驚くと同時に呆れてしまう。

喋りながらタイピングしていたようなものだからだ。

「私たちの音声データはディアが記録してくれてるからー、それと組み合わせて会話ログ作ったのよー、褒めてー」

「褒めたいところだが、呆れてしまうな……」と、箒。

[今はどんな情報でも欲しいのっ。すぐに送ってっ!]

と、通信機の向こうから束が声を上げた。

ティンクルとディアマンテはIS学園との回線は持っていないのだが、あくまで一時的にということで束のほうからつないでくる。

ティンクルは素直に会話ログのコピーを送った。

[届いたよっ、ありがとーっ!]

「どういたしましてー」

「疲れが取れませんのね、ティンクルさん」

セシリアが苦笑いするのだが、それに返事をする気力もないらしい。

『エンジェル・ハイロゥにいる同胞たちには私が配付致します。情報が欲しいのはこちらも同じですので』

「んじゃ帰るねー、まどかはどーするー?」

「まだきょくとー何とかを見つけてないから、お前たちと一緒に行く」

やはりまだティンクルと共闘するつもりらしいが、今はそれでいいだろうと一同は納得していた。

そうして帰ろうとするティンクルとまどかに「あっ、待って」と、シャルロットが声をかける。

「なーにー?」

「さっきノワールが言ってたけどっ、捕まったISの居場所を見つけたって本当っ?」

「それならー、シロに聞いてー」

「飛燕?」と箒が声をかける。

『妾が口止めしておいたのじゃが全員に伝えておる。リンが起きるまでは黙っていよと言ってな』

[あの子ならもう治療終わってるよ]

束の一言で、その場にいたIS学園の遊撃部隊全員が喜色満面となる。

ようやく、IS学園が全力を出せる状態になったということだからだ。

[今は猫鈴と天狼にお説教されてる]

「なんでっ?」と、続けて放たれた束の一言にいきなり何事かと驚いてしまったが。

[ティンクルだっけ、あんたも早く謝りに来いって猫鈴が言ってたよ]

「うがーっ、悪いのは鈴でしょーっ、頑張ったんだから許してよマオってばーっ!」

いきなり爆発したかのように叫び出してティンクルを一同は呆然と眺めてしまう。

そして。

[フランスの警報は解除された。一夏と諒兵はもう戻らせている。お前たちも帰投しろ]

苦笑いしながら指示してきた千冬の一言で、その場は解散となったのだった。

 

 

 

 

 


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