ASーエンジェリック・ストラトスフィアー   作:枯田

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第40話「エンジェル・ハイロゥ」

一夏は一人、金色の草原を歩き続けていた。

どこまでいっても草原と青い空が続くだけだ。

これだけ広いと孤独を感じるはずなのに、なぜか不思議とそういった感覚はなかった。

「なんでだ?」と首を傾げるものの答える者がいないため、とりあえず適当に歩き続けていた。

 

 

そして部屋の中では丈太郎の話が続いていた。

「まぁ、とりあえず話ぃ聞いててくれや。思い出話になっちまうがな」

と、丈太郎は苦笑しつつ、続きを話し始めた。

 

 

 

天狼と出会い、飛行テストを終えた丈太郎が飛行スーツを脱ごうとすると、いきなり光を放って鎧が消えた。

「どういうこった?」

 

首ですよ、く、び

 

そういわれて鏡を見ると、自分の首に銀色の首輪が巻きついている。

なるほど、量子変換できるのかと納得した丈太郎だが、こんな形態になるとは想像しておらず、驚いた。

天狼と話してみると、自分も想像していなかったが、脱ごうとしたので、とりあえず自分の身体を仕舞おうとしたらこうなったという。

「別に脱ぐのは問題ねぇぞ?」

 

いやです

 

「んぁ?」

 

離れたくありません

 

自分は人と共生することで生きているようなものなので、せっかくの相手から離れたくないという。

そういわれて丈太郎が首輪をチェックしてみると、つなぎ目がない。

文字通り巻きついているだけで、いわゆるペットの首輪とは違っていた。

「これじゃ、機体のチェックができねぇんだ。外れてくんねぇか?」

 

い、や、で、すー

 

困ったな、と思っているとチェックそのものは可能だという。単純に端子を首輪に貼りつければいいだけだ。

鎧を展開していれば、各部のチェックもできるので問題ないと天狼はいってきた。

というより、意地でも外れないと駄々をこねた。

「わがままだなぁ、おめぇ」

 

あなたと添い遂げますよ、ぽっ♪

 

「ふざけてんのか、鎧の癖に」

思わず突っ込みたくなった丈太郎だったが、天狼に外れる意思は一切ないという。

「このままやるしかねぇのか」

 

意地でも外したいのなら、首を切ってください

 

「こえぇこというない」

つまりは死なない限り、外れないということかと丈太郎はため息をつく。

まさかこんなかたちで伴侶もどきを見つけることになるとは思わなかったのだ。

「こりゃぁ、一生独身か」

意地でも外れない鎧つきでは相手も見つからないだろうと少しばかりたそがれる丈太郎だった。

 

いえいえ、私、幽霊みたいなものですし

 

同属のメスとつがいになる邪魔などする気はないと天狼はいう。

「メスとかいうない。てかよ、男か女かどっちなんだおめぇ?」

 

性別はありませんよ。女性格とはいえますけど。

 

まず知るべきはどういうものなのかということだと丈太郎は判断し、仕方なく首輪に端子を接続してモニターを覗き込んだ。

 

 

「なんというか、本当にのんきな方ですわね、天狼……」

「話してっと突っ込み疲れ起こすくれぇにな」

と、丈太郎が苦笑いするのは既に慣れてしまっているせいだろう。

「それで、さっき考えるプラズマエネルギーっていってましたけど……」と、シャルロットが尋ねる。

丈太郎は一つ肯くと、説明してきた。

「正確に言やぁ、高密度の情報を保持したまま循環する電気エネルギー体だ。実んとこ、こいつ単体じゃあまり考えられねぇらしい」

「そうなんですか?」

「物質化できるくれぇだからひどかぁねぇが、どうしてもエネルギーが霧散しちまうんだよ」

個体を持たない存在は希薄化してしまう。

水を考えてもらえばいい。

氷、水、そして水蒸気となるほど、存在は希薄化していく。

天狼は電気でできた同様の存在なのである。

「こいつは大量の情報を持った電気エネルギーの集合体の中の個性の一つだ。元はこいつのさらに数万倍のでかさのエネルギー体でな」

「数万倍っ?」

「そして、そのエネルギー体は輪を形成してんだ」

「なるほど」と、納得したのはシャルロットくらいだった。

常に循環し続けるために最も効率のいい形が輪、すなわち円形だ。

一方から一方へと移動していればエネルギーは霧散してしまう。

そうしないために形成されたかたちということができる。

そして。

「それが『天聖光輪(エンジェル・ハイロゥ)』……」

「そういうこった」と、セシリアの呟きに丈太郎は肯いた。

「しかし、単体ではあまり考えられないというのなら、個性などないのではないか、博士?」

「いったぜ、『情報』の集合体ってな」

「ラウラ、『人格』や『個性』も情報になり得るぞ」

「あっ!」と、千冬のアドバイスにラウラは理解する。

要は天狼の本体は『人格』や『個性』という情報も保持していたということだ。

「そうか。その『人格』や『個性』の情報の一つが個体であるコアに入り込んだってコトなんですね」

と、シャルロットが確認するように尋ねかけると、丈太郎は肯いた。

要は実体を持たない電気エネルギーでできた『個性』を含めた様々な情報の集合体が、蓄電性質と情報記憶装置の性質を併せ持った物質に入り込んだことで、より強く思考できる思念体へと進化したのだ。

思考するためには一方向のみに情報が向かっていては難しい。

幼いころの記憶を思いだすのにわざわざ一日ごとに遡ったり、生まれたときから一つ一つ思いだす者はいないだろう。

そのときの記憶に直結させるのが普通だ。

そういった形で可逆的に情報同士を接続させることで、人は思考することができる。

輪を形成し、同じ方向に循環し続けていた電気エネルギー体が、コアという個体に入り込むことで、より複雑に動けるようになり、進化した。

それがASであるということだ。

「あぁ。わかってきたみてぇな」

肯く丈太郎を見ながら、実のところ、既に置いてきぼりの諒兵は、とりあえず話を聞くだけに集中していた。

ただ、もう少し『レオ』と話ができればとは思う。

 

もうすぐですから

 

そんな声を感じ、苦笑しながらとりあえず話を聞き続けることにしていた。

 

 

高密度のプラズマエネルギー、膨大な量の情報を持った電気エネルギー体の一部、それが『天狼』であると理解した丈太郎はいったいどんなことができるのかということを調べ始めた。

「ハッ、まさかこんなスピードで飛べるたぁなっ!」

 

楽しいですねえ♪

 

自分の本体ともいえる存在は、天狼にしてみれば漂っているだけなので、こうして飛べることは楽しいらしい。

さらに。

「俺のイメージでか?」

 

固めればいいだけですし。私が合わせますよ

 

そうしてイメージしたのは巨大な光の拳。

一撃で地面に大穴が開いてしまい、慌てて埋め戻した丈太郎である。

高密度のプラズマエネルギーをもとにした攻撃力は、想像以上にすさまじいものであった。

既存の兵器がかわいそうになるレベルの戦闘力まで天狼は保持していたのだ。

そんな風に、一通り楽しんでラボに戻ってきた丈太郎は、天狼と話し合う。

「おめぇの本体ってなぁ、どこにある?」

 

見てみたいんですか?

 

というより、天狼に仲間を作ってやりたい、そう思ったのだ。

一つであったころより、別々に分けて話ができるほうが楽しいだろうと考えたのである。

「コアに分けりゃぁいろんな個性に分かれるはずだ。みんなと話してみたかねぇか?」

 

いいですねえっ、話してみたいですっ!

 

大喜びする天狼に、思わず苦笑いしてしまう。

同時に丈太郎はこう思っていた。

新たな生命体ともいえる『天狼』たちとの触れ合いはきっと人類を成長させる。

人類の未来は希望に満ちているのだと丈太郎は思ったのだ。

そして。

「これが……」

 

はいっ、私の本体ですよっ♪

 

眼下に空の青が見える場所に、その巨大な輪はあった。

おそらく下に見えるのは赤道だろう。そこに添った形で地球をぐるりと回っていた。

光を放つプラズマエネルギーの輪は、間違いなく光速で回転している。さらにこうしていても感じられるのは、とてつもなく膨大な量の情報だ。

「すげぇ。天狼、ちょっと触ってみてもいいか?」

 

はい、危ないと思ったら私が止めますよ

 

その言葉を信じ、丈太郎は光の輪に触れる。

とたん、情報の大群が襲いかかってきた。

それどころか、自分の中で複雑に絡み合い、さまざまな知識が生まれてくる。

情報の集合体が、丈太郎の身体の中で考え始めていることを感じる。

「んがッ!」と、声を出し、丈太郎はいったん光の輪から離れた。

 

大丈夫ですかジョウタロウッ!

 

「心配すんない。ちょっとびっくりしただけだ」

そう答える丈太郎は興奮していた。

この光の輪は確実に人類を進化させる。

世界が変わる。それも劇的に。

人は空を超え、宇宙の果てまで飛んでいける。

「こいつと人が触れ合えば……」と、そこまで考えて丈太郎の思考は止まった。

 

(どうなる?)

 

このすさまじいほどの膨大な知識、そして力の塊と人間が触れ合うことになったらどうなる?

これほどのものを欲しがらない人間などいない。

入り込んだ情報の中には、人類の歴史まであった。

すなわち、闘争と戦争の歴史。

知識と力を求めて始まるのは進化ではない。奪い合いだ。

世界を滅ぼしてでも、これを手に入れて神にならんとするものが出てきてもおかしくない。

丈太郎には、そんなことを認めることなどできなかった。

「すまねぇ、すまねぇ天狼……」

気づけば、丈太郎は涙を流していた。

楽しそうに仲間を求めていた天狼に孤独を強いらねばならないことが辛かった。

「おめぇに、仲間は作ってやれねぇ……」

 

いいんですよ

 

「天狼?」

 

自分が選んだことを間違いだなんて思わないでください

 

寂しさを感じさせるその声に、無理をしているのではないかと思う。

それでも、天狼は優しい声で伝えてきた。

 

人を想ってあなたが選んだ道です。一緒に歩きましょ?

 

「あぁ、いつかおめぇらと一緒に生きていけるように、俺の人生をおめぇらのために懸ける」

 

はい、私もです。あなたの伴侶ですし♪

 

それが、神の力に触れてしまった蛮場丈太郎の選択だった。

 

 

「俺ぁ、人を信じきることができなかった。世界を変えちまうことを恐れた。そのために、力を求めた争いが起こらねぇはずがねぇってな」

「だから封印しているのか、博士」と、ラウラ。

「ASを、いや天狼たちの存在を人のダチ、パートナーだとわかってくれるやつがたくさん増えるまで。そう思ってな」

実のところ今でも、天狼とはたまに一緒に飛ぶくらいしかしていないと丈太郎は語る。

「蛮兄、そんな思いしてたのね……」

「でも、その選択は間違いではないと思いますわ」

と、鈴音やセシリアは呟く。

シャルロットはただ黙っていた。だが思っていることは同じだ。

ラウラにとってはISで人生を狂わされたと思っていた時期もあり、むしろ丈太郎の選択を誇らしく思う。

そして諒兵は。

「そういう悩みぐらいいえよな。みずくせえよ」

「あのころ、おめぇはまだガキだったからな」と、根はお人好しの弟分の言葉に丈太郎は苦笑した。

「でも」と、シャルロットが口を開く。

「世界にはISが現れた。博士とは何の関係もないんですか?」

「俺ぁてめぇのことを天才たぁ思ってねぇ。ただ、似たような考えをしたのが、『天災』だっただけでな」

「つまり」

「完全な偶然だ。初めてISを見たとき、俺ぁ作ったやつは天才だと思った。同時に、何らかの形で輪にアクセスしちまってる可能性があるとも思ったんだ」

「やはり……」と、千冬は呟く。

束の異常な頭脳は、今ならそう考えるのが一番納得がいくのだ。

人間の脳で思考するためには、微弱ながら電気エネルギーが必要とは前述している。

その、思考するための電気を外部から情報ごと取り込むことができるものがいるとしたら、まごうことなき天才といえるだろう。

束の頭脳にはその可能性があると考えられるのだ。

「博士は輪に触れたことで才能に目覚められたんですのね?」

「あぁ。そういう意味じゃ、俺が最初に作ったのぁ、ISとは比べもんになんねぇよ」

セシリアの言葉に丈太郎はそういって肯いた。

実際、最初の状態で白騎士と戦闘することになれば、あっさり落とされただろう。

ただ、コアが非常に似ていたというだけの話だと丈太郎は語る。

とはいえ、ISコアには天狼と同じものが憑依しているので、こんな形で仲間ができるとは思わなかったと天狼自身は喜んだそうだが。

「問題は篠ノ之束ぁ信じるものに対しちゃぁ、ある意味盲目的だったってこった」

「どういうことですか?」とシャルロット。

「好きな人を基準に人類全体を考えた。だから、ISを世に出して世界を変えることを選択したんだろな」

自分にとって面白い世界は、自分の好きな人たちにとっでも面白いはずだと信じたのが篠ノ之束という人間である。

その結果はおそらく予想外だったはずだ。

そうでなければ。

「消えたりゃぁしねぇよ」

「えっ?」

「ISで変わった世界が、篠ノ之束にとっちゃぁ面白くねぇ世界だった。人類全体は、あいつが考えるより成長しなかったと思ってんじゃねぇか?」

束は自分についてきてほしいのだ。

『天災』ゆえに、束にとって人間としての世界は狭い。

つながりの少なさが、どうしようもなく孤独を感じさせているはずなのだ。

丈太郎にいわせれば、束を理解できるのは天狼たちのような存在だ。

今の彼女にとって理解者といえるのはISコアだけなのかもしれない、と。

そんな丈太郎の話を聞き、束本人を見て近づくことをやめたセシリアが問いかける。

「篠ノ之博士は他者を拒絶しているわけではない、と?」

「山の頂にしかいらんねぇやつが、山の麓からの人の声なんざ聞こえるはずねぇわな」

ある意味、全員が納得する例えだった。

要するに他の人間は束のいる場所にいけず、束は逆にそこから動けない。

それではコミュニケーションなど成り立たないのだ。

その点を考えると、箒がしたことは最悪だといえる。

何とかコミュニケーションをとろうと必死に声を拾ったのに、彼女の目的は束を利用して一夏の傍にいることだったのだから。

「紅椿が離反しなくても、そのうち妹自身にゃぁ興味を失くしてただろ。紅椿が成長すりゃぁなおさらだ」

「悲しいことですが、おそらくそうでしょうね」と、千冬も同意した。

その点で考えるなら紅椿の離反は二人にとって本当の意味で姉妹になるチャンスでもあった。

 

それはともかく。

「ISが出たとき、博士はどうして何もしなかったんですか?」と、シャルロットが尋ねる。

「どうなるか興味が湧いちまってな。幸い、ISは力ぁあるがコアと人間の対話がやりにくくなってた。うめぇと思ったよ」

対話するためには操縦者自身、つまり人類が成長する必要があったのだ。

もしかしたら天狼たちと生きていけるのはそう遠い未来の話ではない。丈太郎はそう考えたのである。

「ただ、まさか男が乗れなくなるたぁ思わなくってな。それでも半分が成長すりゃぁ、自然ともう半分も成長するしかねぇ。そう思って見守ることにしたんだ」

「博士にとっても男性が乗れなくなったのは予想外なんですの?」

セシリアの問いに答えたのは千冬だった。

「束がいうには、最初のISコアが何らかの意思で制限したらしい」

「あぁ、俺もそう考えてる。ただ、その最初のISコアがえれぇ頑固で何にもいいやしねぇ」

散々コンタクトを試みてるし、天狼にも頼んで話を聞いてもらおうとしているのだが、完全に無視しているという。

「そうしながら、軍事バランスを考えて、各国に兵器のアドバイスをして回ってんだ」

「一国に注力しないのはそのためか、博士」

というラウラの問いに肯いた。

要はISを利用して、人類自身が成長するように活動しているということだ。

 

そしてここからが本題だと丈太郎は諒兵に声をかけた。

「ゴスペルを止めてやれ。あいつぁ俺らと同じになろうとしてんだ」

「そりゃ、マズいことなのかよ?」

「操縦者のナターシャ・ファイルスはゴスペルを強奪しようとした連中のコア・ネットワークからの攻撃で昏睡状態になっちまっててな。このままだとゴスペルにゃぁ選択肢がねぇ」

「選択肢?」と千冬以外の全員が首を傾げた。

丈太郎の天狼や一夏の白虎、そして諒兵のレオは操縦者に意識があったために共生することを選択することができた。それが今の状態だ。

もっとも正確には一夏と諒兵は共生といえるまでにいけていないのだが。

しかし、意識のない人間と進化するはめになったゴスペルは融合するしか手がない。

「自分を進化させる心が今ぁ傍にねぇからな」

その一言にセシリアが反応した。

「待ってください。進化はどのようにしておきますの?」

「あぁ、すまねぇ。いってなかったな。元が情報体だから……」

「人の心の情報を読み取るんですね?」と、シャルロットが後をとると、丈太郎は肯いた。

情報体である天狼たちにとって、情報こそが命であり進化の鍵である。

そしてこの世でもっとも複雑な情報は『人の心』だ。

その心とつながったとき、天狼たちは進化するのである。

それを聞き、諒兵は尋ねた。

「今の状態で進化するとどうなるんだよ?」

「ファイルスとゴスペルぁ融合して文字通りの天使になる。つまり人間でもASでもなくなっちまう」

前もって聞いていた千冬を除いた全員が驚愕してしまう。

文字通りに、人類の進化を目の当たりにする可能性があるということだ。

「はっきりいやぁ自殺だ。ファイルスとゴスペルが消えて、まったく新しい生命体が生まれっちまうことになる」

「ゴスペル単独じゃ進化できねえのかよッ!」

「できる。けどな、ファイルスが乗ったままじゃぁ、一緒に進化するしかねぇ」

「つまり、そのナターシャさんをゴスペルから降ろせばいいの?」と、口を挟んできた鈴音に丈太郎は肯いた。

「そうすりゃぁ、おそらく進化ぁ止まるはずだ。こんなこともあろうかと細工しといた」

シールドエネルギーをゼロにするか、コアに直接ダメージを与えればいいと丈太郎は説明する。

ただ、シルバリオ・ゴスペルは軍用機なので、シールドエネルギーの量が多い。

コアにダメージを与えるほうが手っ取り早いという。

「コアの場所なんてわかんねえぞッ!」

「レオがわかる」

 

ええ、わかります

 

固い意志を感じる声に、諒兵は安堵の息をつく。

「つまり、最終的にはその女もゴスペルも助けろってことか?」

「できねぇか?」

「やる」

はっきりと告げた諒兵の顔には、今までのようなためらいはなかった。

戦うことがどっちも助けることになるのなら、やらないという選択肢を選ぶ気など諒兵にはないのだ。

「ありがとよ。ゴスペルにゃぁ凍結案が出ちまってるが、俺が抑える。また飛べるようにな。ASについての残りの話は明日にでもしてやらぁ」

「頼んだぜ、兄貴」

「後、一夏も起きりゃぁすぐに行くはずだ」

「終わったころにこいっていっといてくれ」

いつもの調子を取り戻した諒兵の姿を見て、鈴音、セシリア、シャルロット、ラウラはようやく安心できたのだった。

 

 

 

 


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