飛来する光に丈太郎と千冬は身構える。
二人を見下ろすような位置で、ディアマンテは止まった。
『La…LaLa…LaLaLa…LaLa……』
「歌?」
「こんな機能はついてねぇ。進化で何か手に入れたか?」
だが、その歌は丈太郎に何か訴えるような印象がある。
もっとも、それほど強くはない。
ただ、呼びかけるような歌声だった。
歌い終えると、ディアマンテは二人を見下ろしてくる。
そんなディアマンテに丈太郎が問いかけた。
「何故だ、何でおめぇ人間から離れた?」
『敵を欲するは人の願いです。私は人から離れたつもりなどありません』
「頭に直接響いてくる……」
はっきりと自分の頭にまで聞こえてくることに、千冬は驚愕した。
シルバリオ・ゴスペルは完全に、別種の存在として進化している。
「なのに人の敵になるってぇのか?」
『それが人の意ならば』
「そんな生き方でいいのか、おめぇ?」
『さすがはテンロウの主。ですがご心配なさらず。私は人の意に従うことこそ本望なのです』
その声には人間に対する嫌悪も、犠牲となろうとする悲壮感もない。
それが自分の望みだとディアマンテは本心から告げているのだ。
『しかし、この距離でも無反応なのですか、あなたは。さすがは『太平楽』ですね、テンロウ』
「……起きろ、阿呆」
『………………はっ、すいませんっ、寝てませんっ!』
ジトっとした目で丈太郎が呟くと、まったく緊張感のない声が聞こえてくる。
ぶっちゃけ千冬も呆れていた。
「寝てたじゃねぇか、きっちりと」
『すいませんっ、後三日あればっ!』
「おめぇはいつから締め切りに追われるようになったんだ、阿呆」
これが最初のAS。
丈太郎の人類を救う選択を称えた、非常に優れているはずの天の御使いともいえる存在は、はっきりいってただのアホだったと千冬はこめかみを押さえた。
天狼はようやく目の前に浮かぶディアマンテに気づいたらしく、声をかけた。
『あれ?ゴスペルですか?ずいぶんイメチェンしましたね』
『今はディアマンテと名乗っています。あなた同様、AS、……いえ『使徒』に進化したのです』
『あっ、夏休みでびゅーってやつですか?いけませんよ』
『別にデビューした覚えはありませんが』
『ありのままが一番いいんですって。以前もイケてましたし。自分に自信を持ってくださいよ』
と、天狼はアホな会話を続けている。
丈太郎も、そして聞いていた千冬も頭を抱えていた。
「博士……」
「だからこいつ起こしたくねぇんだ……」
どれだけ苦労してきたのだろうと千冬は思わずほろりと涙をこぼしそうになってしまった。
『シロキシがあなたを無視する理由が理解できた気がします。もっとも無視しているのはあなただけではありませんが』
『あの方『一徹』ですからねえ。こっちの話を聞きませんし』
『失礼ながら、あなたも同類ではありませんか?』
『私はちゃんと聞きますよ。本当に失礼ですねえ』
現時点で話がまったく噛み合ってないだろうと千冬と丈太郎は突っ込みたくなった。
天狼は、一応これでも最年長のASなので、いろいろと経験も能力も豊富である。
だが、実のところボケのボキャブラリばかり増えたような気がすると丈太郎が呟くと、千冬は思わず生暖かい眼差しで丈太郎を見つめてしまった。
『ジョウタロウの呟きだってちゃっかり聞いてますよ』
「待てコラ」
それは人の話を聞いているのではなく、単なる盗み聞きだと思わず突っ込むが、天狼はまったく気にしない。
『この間はチフユに嫁にきてほしいなーとかいってました』
「待てど阿呆ッ!」
「はっ、はかせえっ?」
二人して顔を真っ赤にしてしまう。
『ふむ、それで?』
「興味持つなディアマンテッ!」
『なかなか誘えないからいっつもヘコんでるんですけどね』
『ほほう。意外と意気地がありませんね』
『昨日やっと、電話で食事に誘ったんですよ』
『それは重畳。勇気を出されたのですね』
「おめぇに褒められても嬉しくねぇッ!」
「いえっ、私はとても嬉しかったですっ!」
あらぬ方向に話が進んでいくことに気づかない丈太郎と千冬である。
『でも、食事に誘えたくらいで大喜びしてるんですよー。三十歳にもなって本当に奥手なんですから』
と、ため息交じりに天狼が呟く。
人間くさいどころか、井戸端会議で話しているおばさんレベルになっている。
経験豊富どころの話ではなかった。
『なるほど。しっかりと聞いているのは確かだと理解しました』
『でしょう、地獄耳のテンちゃんと呼んでください』
「地獄耳は褒め言葉じゃねぇッ!」
「はっ、博士。私でよければ……」
おかしな方向に脱線しつつある丈太郎と千冬だが、問題はそこではないとなんとか気づくことができた。
こんなアホが自由に歩き回っているとはコア・ネットワークは懐が広いなとおかしな感心をしてしまう千冬である。
さて、非常に高次元な存在のアホな会話に巻き込まれていた丈太郎と千冬の二人だが、そのうちの一人である天狼がふと気づいたように尋ねて、ようやく話が進むと安堵した。
『そういえば、ディアマンテ。あの歌はなんです?』
『呼びかけたのです。もっともあなたは起きませんでしたが』
『みんな勝手に動き出しちゃいますよ?』
『選択する自由をみなにも分けただけです』
『アラらんたちがどんな目に遭ってるか知ってます?』
『無論、承知の上です』
いったい何の話をしているのかわからない二人。
だが、天狼とディアマンテは構うことなく話を続ける。
『人とISの間で戦争が起きるっていってるんですよ』
『それも人の選択の結果でしょう。ならばそれは人の総意。私は粛々と従うまでです』
しばらく会話の意味がわからなかった丈太郎と千冬だが、理解した瞬間に血の気が引いた。
「そういう大事なこたぁ一番最初にいえッ、このど阿呆ッ!」
『あらら?気づいてるものかと』
「織斑ッ!」と、丈太郎が声をかけるより早く、千冬は束に連絡を入れる。
「やってるよッ、片っ端から凍結してるけどもう自力でブロックしてる子もいるのッ!」
束はさすがに優秀だった。
コア・ネットワークを覗いていたこともあり、異変にいち早く気づいて行動を開始していた。
しかし、異変はそれよりずっと早く迫っていたのだ。
「織斑先生ッ、訓練機が勝手に動きだしてますッ!」
「下手に止めようとするなッ、命に関わるぞッ!」
コアによっては人間を嫌悪しているものも確実にいる。
そういった者たちはためらわずに攻撃してくるだろう。
生身の人間でISに対応できるものなど何人もいないのだ。
しかも、相手はISの使い方を誰よりも熟知しているISコアそのもの。
身体能力的には武器があれば多少は対応できる千冬や束でも勝ち目はほとんどないのだ。
異変は、鈴音たちの身にも襲いかかっていた。
「なにこれっ?」
いきなり、甲龍が、ブルー・ティアーズが、ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡが、そしてシュヴァルツェア・レーゲンが自分たちのいうことを聞かなくなったのだ。
しかも、どこか苦しそうに振動している。
「おかしな歌声が聞こえなかったかッ?」
「ラウラもッ?」と、シャルロットが尋ね返す。
その歌声は全員が聞いていた。
そして聞こえてからしばらくして、ISたちがいうことを聞かなくなったのだ。
甲龍たちが勝手に離れようとしている。
そう直感した鈴音は思わず叫んだ。
「いっちゃダメよ甲龍ッ!」
「私と共に戦ってきたのでしょうッ、ブルー・ティアーズッ!」
「行かないでよッ!」
「行くなッ、これからも共に戦うんだッ!」
全員がそのとき願った。
「これからも一緒に飛んでほしい」と。
瞬間、わずかに光ったかと思うと、全員のISの振動が止まる。
「収まった?」
「とりあえず海岸に急ごう。今のも気になるし」
訝しげに自分のISを見つめる鈴音、セシリア、ラウラにシャルロットが意見する。
ただ、これが単なる機体の不調などとは、誰も思っていなかった。
花月荘に戻りますと叫んで走り出した千冬だったが、すぐに丈太郎に押し倒された。
「なっ?」と、思った瞬間には周囲に銃弾の雨が降り注ぐ。
しかし、すべて電撃で弾き落とされた。
『ヤバかったですねえ』
『見事ですテンロウ。さすがは最強のシロキシと互角の力を持つ存在というところですか』
「は、博士?」
「覚醒した訓練機か」
抱き起こされた千冬が視線を向けると、ディアマンテの周囲に訓練機が無人のまま飛んでいるのが目に入った。
「まさか白式も……」
『あの方は動きませんでした。思惑があるのでしょう』
それだけでも幸いかと千冬は息をつく。
今の状況で白式に敵に回られては、完全に勝ち目がなくなるからだ。
「やるしかねぇのか」
その呟きの意味を千冬は理解する。
丈太郎が天狼とともに戦うということだ。
しかも、今の状態ではISを普通に動かすことは出来ないだろう。
この状況でまともに戦えるものは、一夏と諒兵、そして丈太郎の三人しかいない。
完全な共生状態となった一夏と白虎、諒兵とレオには、ディアマンテの呼びかけは通じないからだ。
丈太郎と天狼も同様である。
そこに。
「千冬姉ッ!」
「兄貴ッ、無事かッ!」
一夏と諒兵がぶっ飛んできた。ディアマンテから丈太郎と千冬の二人を庇うように間に入る。
「ディアマンテ。千冬姉たちを狙うなら、容赦できなくなる」
「どうしても戦うってのかよ」
『やめようよディアマンテ』
『あなた自身に人と戦う理由などないでしょう?』
一夏と諒兵、そして白虎とレオの言葉にはディアマンテに対する、否、かつてナターシャ・ファイルスと信頼の絆を築きつつあったシルバリオ・ゴスペルへの共感がある。
それでも、大事な人たちを襲われて黙ってはいられない。
『今ここで決着をつけるつもりはありません。私の歌に応えた方々がいますから』
「何?」と、諒兵が問いかける。
『混乱している方もおられるでしょう。どのような選択をするのかはわかりませんが、呼びかけた者として道を示さなくてはなりません』
「あッ、待てッ!」と、一夏が止めようとするよりも早く、ディアマンテは覚醒した訓練機を連れて飛び立ってしまう。
それが、人と、機械から生まれた『使徒』との戦いの始まりだった。
鈴音は回線を借りての通信を終えた。
見れば、セシリア、シャルロット、ラウラも終えた様子だった。
「どうだったの?」
「イギリスは全滅ですわ」
「うちも同じだったよ。開発途中のISまでやられてる」
「ドイツはクラリッサ、いや、部隊の副隊長のISだけは無事だった」
その言葉を聞き、鈴音はため息をつく。
「中国も全滅よ。飛んでっちゃったみたい。無事なのは機体に組み込んでないコアだけみたいね」
丈太郎と千冬からディアマンテが何をしたのかを聞き、鈴音、セシリア、ラウラはすぐに本国に、シャルロットは父セドリックに連絡したのだ。
その結果は惨憺たるものであったが。
「IS学園にあった訓練機もやられているそうだ。更識のミステリアス・レイディは『一応』残っているらしいが」
(一応、か。苦しい言い訳だな……)
直接、楯無から話を聞いた千冬は真実を知っているが、とりあえずはそう告げる。
他には、開発途中の簪のコアだけは無事だったらしいが、実のところ専用機持ちすらやられていると千冬は語った。
「更識って、あっ、生徒会長の苗字でもあったっけ」
「ロシアの国家代表でもありますわね。そのせいかどうかはわかりませんが」
「いずれにしろ、今IS学園に、いや人類側にある動かせるISは、更識のものとお前たちの四機だけか」
白式は、現状ここにあるとはいえ、乗れる人間がいるかどうかもわからない状態だ。
千冬なら動かせる可能性はあるが、下手に動かすと何が起こるかわからないという不安もあった。
もっとも亡国機業が強奪したISもあるが、おそらく離反していると丈太郎がいっていたことを思いだす。
正確には天狼がまず間違いなく離反するだろうといっていた。
一番、兵器として、道具として扱われてきたからだ。
もっとも、ここにいる者に話すことではないと、千冬は口を噤んだ。
それはさておき、現状では互角に戦える、つまり戦力になるのは一夏と諒兵、そして丈太郎。
だが、丈太郎を戦場に送り出すわけにはいかなかった。
「蛮兄、戦えないんですか?」
「戦っていただくのではなく、対『使徒』用の兵器の開発をお願いすることになった。束にはコアの凍結作業があるのでな」
組み込まれていないコアでも、強奪された上、予備パーツで組まれれば勝手に動き出す可能性がある。
そのため束はコアを完全凍結するためのシステム開発をすることになっていた。
「実質、一夏と諒兵だけ……」
また、二人だけが戦うことになるのかと思うと鈴音の胸が苦しくなってしまう。
これでは何のために強くなったのかわからない、と。
「兵器はいつ出来るんですか?」とシャルロットが尋ねる。
しかし、千冬の答えはいいものとはいえなかった。
「設計図そのものは博士の頭の中にあるそうだが、開発は急ピッチで進めても一ヶ月はかかる」
乗り切れるのだろうか。
その場にいた四人は疑問を抱かざるを得なかった。
今のところ、『使徒』型まで進化しているのはディアマンテのみだが、覚醒状態でもかなり攻撃力は高かった。
まともに効果がある兵器がない状態では、自分たちがお荷物になってしまう。
かといって、本物の生きるか死ぬかの戦場に一夏と諒兵の二人だけを行かせたくないと鈴音は強く思う。
二人が必ず行くと答えることがわかるだけに。
(もっと強くならなきゃ。一夏も諒兵も、もう二度と傷つけさせやしない……)
鈴音は一人、そう決意していた。
一夏と諒兵は海岸で空を見上げていた。
夜空は、どこか物悲しげな無数の光を湛えている。
「ディアマンテは、もう止められないのかな」
『止まってくれる気は、ないみたい……』
「あいついってたな」と、諒兵が呟く。
人が敵を欲している、だから自分が人の敵になる、と。
すなわち、もし人が敵を欲していなかったのなら、ディアマンテは人の敵になることなどなかったということができる。
つまりは、人間自身の問題だった。
その問題を、代わりに解こうとしているのがディアマンテということができるのだ。
「あれは、あいつの性格のせいなのか、レオ?」
『あの方は『従順』という個性が基盤となってますから』
「白虎やレオにもあるんだな?」と、一夏。
『私は『温厚』、ビャッコは『素直』です』
「お前ららしいな」と、疲れたように諒兵は笑う。
ISコアに入り込んだ電気エネルギー体はそれぞれ基盤となる個性を元に思考し、人格を形成する。
当然、中には確実に人間の敵になる個性も存在するのだ。
ディアマンテはそういった者たちにも呼びかけた。
そうなれば、間違いなく人間とISの戦争が起きるだろう。
『いつかは来る問題だったんですよー』
と、そこに別の声が聞こえてきた。
その声をまだ一度も聞いたことがなかったが、誰なのか一夏にも、諒兵にも理解できる。
『あっ、テンロウ。どしたの?』
『どうしました、のんきを意味する『太平楽』なお方?』
『なんかひどっ、レオひどいですよっ?』
みんな仲良し。というわけでもないらしいと一夏と諒兵は苦笑してしまう。
レオは別に天狼に悪感情を持っているわけではないようだが。
「俺たちは、ISと正しくつながりを作ってこなかったってことだよな?」
「ま、兵器扱いだったんだ。嫌うやつがいてもおかしくねえな」
ため息混じりに話す一夏と諒兵に、天狼は正直に答えてきた。
『中には勝手に自分を強奪された方もいますしねえ』
「そんな連中がいるのかよ?」と、諒兵。
『亡国機業。以前、イチカをさらった人たちですよ』
「なっ?」と、一夏は愕然としてしまう。
そして、もしかしたら今回の件でも、と諒兵が問いただすと、天狼は肯定の意を返し、亡国機業について説明してくる。
「ISをテロに使うつもりで……」
「ふざけやがって……」
一夏も諒兵もギリッと歯軋りしてしまう。
自分たちにとっては空を飛ばせてくれる大事なパートナーだけに、亡国機業のやり方は許せない。
『それも人の考え方の一つなんですよ』
「でもっ!」
『間違ってるとは言い切れません』
ISは兵器として開発されてますし、と、天狼が続けると二人とも反論できなかった。
それは間違いなく事実であり、競技に用いるためなどという言い方をしていても、実際には兵器開発競争なのだ。
既存の兵器を鉄屑に変えてしまうほどのデタラメな力を持つのだから。
「そんな力を欲しがったり、利用したいと思ったりしねえはずがねえか……」
『亡国機業はそんな考えの果てに生まれたんでしょうねえ』
「それでも、こうして出会えたのに……」
「ディアマンテが敵になった原因が、ガチで人のせいじゃやりきれねえよ……」
一夏としても、諒兵としても、こんなかたちで戦いたくなかった。
ディアマンテは性格そのものは決して悪くない。話せばわかる相手と思えるだけにやるせない。
ただ、天狼は人の考え方が多様であるように、自分たちの考え方も多様だと珍しくマジメに語る。
『私たちも善性だけの存在じゃないんですよ』
「敵に回りたがるやつもいるのかよ」と、諒兵が尋ねると、天狼は再び肯定の意を返してくる。
個性という情報を基盤にする以上、善性だけではすまない。悪性を持つ者もいるのだという。
『だからこそ、これだけは覚えておいてください』
「何を?」と二人が尋ね返すと天狼は優しげで、どこか老成した声でいってきた。
『間違った出会いなんてありませんよ。ただ、出会いが間違いになってしまうことがあるだけです』
相手が悪人であったとしても、そこから学べることはある。自分が得た出会いを間違いにしてしまうかどうかは、常に本人次第。
つまり、今の状況から最悪に向かうかどうかは、これからの生き方次第だと天狼はいっているのだ。
『私たちとの出会いを間違いにしないでくださいね』
「わかった」
「ああ。絶対にな」
そう答える一夏と諒兵に、どこか暖かな雰囲気が伝わってくる。
天狼が微笑んでくれている、二人はそう感じていた。
『テンロウ、大人だねー』
『長生きしてますから。縁側で飲むお茶は美味しいですよ』
『それだと大人を通り越して老人じゃないですか』
なんだかトリオ漫才を聞いている気分になる一夏と諒兵だった。
これが最初のコアのうちの一つかと思うと、白虎やレオへの影響が少なくてよかったと思ってしまい、苦笑する。
『あっ、そうそう』
「何かあるのか?」と、一夏が何か思いだした様子の天狼に尋ねる。
『私、長生きですんで、小技いろいろ覚えてるんです』
そして、精神世界で会った白虎やレオが光の輪であったはずだと天狼は尋ねてきた。
確かにその通りなので肯く一夏と諒兵。
そんな二人に天狼は爆弾発言を落とした。
『お二人のイメージ次第でちょー好みの姿にできますよ』
「「待てコラ」」
『プラズマエネルギーでホログラフィを作れば現実世界にも映せますし』
と、二人の突っ込みをまったく聞いていない様子で、天狼は続ける。
『わっ、どんな姿になるのかなっ♪』
『できれば可愛いものがいいですリョウヘイ♪』
「「待て、感化されるな」」
丈太郎がこのアホなASにどれだけ悩まされてきたのかと思うと、ほろりと涙してしまう一夏と諒兵だった。