……ふぅ、ふぅ、ふぅ…いや、本当にすみません。ちょっと来週から行く専門学校の研修で、ちょっと外国に行くんでその最終準備してたのでいろいろ遅れました。はい。……で、ですので、来週は更新できません。はい。すみません。
さて、それはともかく置いといてっと……最新話です!どうぞゆっくりしていってね♪
翌朝、インターホンが鳴らされ、俺は光輝兄さんと龍巳の3人と一緒に出る――。
玄関前に立っていたのは黒いゴスロリ衣装を着た細身の少女。見た目は、昔の龍巳……オーフィスの1回り小さい感じだ。
その少女は一言、簡素に漏らした。
「久しい、お姉ちゃん、ドライグ」
少女は俺の隣にいる龍巳を見たあと、後方を見ていた。
「オ、オ、オ、オ、オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ、オーフィス!?」
後ろを見ると、いつの間にか来ていたイッセーが一歩後退し、指を突きつけて叫んでいた。
イッセーの叫び声に反応して玄関に集まっていた皆が臨戦状態に入っていた。一緒にいたレイジ兄さんと優子姉さんの2人は何もせず静かにこっちを見ていた。
俺と龍巳はその場でオーフィスの前に立った。
そして、光輝兄さんが俺と龍巳の一歩前に出て、面倒くさそうな顔で臨戦状態に入っている俺達以外の皆を見渡した。
「やめろ、俺はこの街を壊したくはない。それに、アザゼルが昨日言ったろ……"誰が来ても殺意はだくなよ"ってな。」
すると、光輝兄さんひとつの動作もせず、自身の気を溜めて全身に行き渡せる。
ゴゴゴゴゴゴゴ――。
光輝兄さんが気をを練り込んだだけで、イッセーの家全体が大きく揺れだした。兄さんの練られた青い闘気が肉眼で見えるほど濃く、身体中から溢れ出ていた。
それを見て、イッセーたちは慌てて出しかけていた矛を収める。
「ほらほらほら!昨夜言ったじゃねぇか!誰が来ても殺意は抱くなってよ!……って、遅かったか」
アザゼルが飛んできて俺たちの間に入って言うが、周囲を見渡して頬をかいた。
「……話は、中でしようか。こんな場所にいてはおちおち話もできんからな」
光輝兄さんのひと言で話し合いの場をリビングに移したのだった。
イスに座る俺、龍巳、アザゼル、オーフィス?、リアスさん、朱乃。朱乃とリアスさんは俺たちの反対側に座り、オーフィスは龍巳の隣に座っていた。
その周囲を囲むように立っている皆。
静寂のなか、光輝兄さんは口を開いた。
「……アザゼル、俺たちはことの成り行きを理解しているつもりだ。天使、堕天使、悪魔のスタッフや上の者を騙してまでオーフィスを招き入れたのは、無血であいつらを瓦解させられると踏んだからだろう?」
光輝兄さんの言葉にうなずくアザゼル。
「あぁ、そうだ。俺はこいつを招き入れるためにいろんなものを現在進行で騙している。だが、こいつの願いは、もしかしたら『禍の団(カオス・ブリゲード)』の存在自体を揺るがすほどのものになるかもしれないんだ。……無駄な血を流さないために、それが必要だと判断した。改めておまえたちに謝り、願う。――すまん、頼む。こいつの話だけでも聞いてやってくれないだろうか?」
アザゼルが再びイッセーたちに頭を下げた。プライドの高いあのアザゼルが何度も頭を下げる。
「……あのアザゼルが頭を下げてるんだ。俺からも、コイツの話だけでも聞いてやってくれ……頼む」
アザゼルに続いて光輝兄さんも頭を下げた。
そんな2人を見たのか、イッセーが口を開く。
「俺は先生を光輝さんを信じます。俺がここにいるのは先生達のおかげですから」
この大きな意味を理解したのだろう、イッセーはそれだけ言い籠手を消した。
そんなイッセーに続いてグレモリー眷属の皆も顔を見合わせつつ手に持っていた武器をしまう。
……皆がそれぞれの想いで呑み込んでくれたようだ。
これで俺もやっと落ち着くことができるのだ。……さっきまで、みんなを止めれるようにいつでも戦闘ができるように構えていたから、神経を使いすぎてもうクタクタだよ。
今いないメンバーである、ここに来ていないギャスパー、そして未だ自室で寝込んでいる白音、現在 北欧に一時帰還しているロスヴァイセさんの3人も、同じような状態になるだろうね
そんな時に、俺はふと思ったことをアザゼルに訊いた。
「…ねぇ、アザゼル。昨日いってた肝心のヴァーリたちは来ないの?」
「ん?あぁ、それは―――」
そう訊いた直後、玄関に人と魔物の気配を感じ取った。
廊下を歩いてくる気配――。
「来たか…」
光輝兄さんの一言と同時に
トントン…。
控えめなノック音と共にリビングのドアが開いた。
「お、お邪魔します」
そこには――魔法使いが被るだろうとんがり帽子にマントという出で立ちの少女と、灰色の毛並みを持つ大型の狼が立っていた。――ルフェイとその使い魔 神喰狼フェンリルだ。
「ごきげんよう、皆さん。ルフェイ・ペンドラゴンです。京都ではお世話になりました。こちらはフェンリルちゃんです」
物腰やわらかく、丁寧にあいさつをくれるルフェイ。…フェンリルのほうは、こちらにはまったく敵意を示していないようだ。
ルフェイとフェンリルが挨拶を終えた瞬間、その2人の後ろから着物を着こんだ金髪の女性が、突然俺を目がけて抱きついてきた。
「ひっさしぶりにゃ〜!ツバサちゃん♪」
「むきゅぅ!?」
「なっ!?」
完全に力を抜いて油断をしていた時に、あまりにも突然襲われたものだから避けるまもなく、あっけなく捕まってしまった。
近くでは黒歌の驚く声が聴こえた。
金華は自身の胸の谷間に俺の顔を押し付けるので、ムギュムギュされる度に、口の空気が抜けていくのでどんどん酸素不足で苦しくなってきた。……あっ。目の前が白くなってきた。
「ちょっ!いい加減にするにゃ! つばさが死にかけてるにゃ!!」
ガバッと離された俺は、プハッと新鮮な息を吸い込みなんとか一命をとりとめたのだった。
「ぶー。もうちょっとお姉ちゃんに触らせてもいいじゃない。ケチね〜黒歌は〜。」
「はいはい、ケチで結構。この子は私のご主人様であり愛する人なの。あんたなんかに絶対に渡すもんですか」
頬を膨らませて抗議してきた金華を軽くいなしながらフシャーと威嚇する黒歌。
…今のところ、この魔女1人と妖怪1人以外にいなくて、周りにも気配が感じないことを考えると、どうやらオーフィスの護衛はこの2人と1匹(狼)だけのようだね。
……他のメンバーどこに行ってるんだろうか?
「話、したい」
イッセーをじっと見つめているオーフィス。
そんなふたりを見ていたアザゼルも念を押す。
「お茶してやれ。このセッティングをするため、俺は他の勢力を騙しに騙してんだからな。これがバレて悪い方向に進んだら、俺の首が本当の意味で飛ぶんだよ」
「……いっそのことそのまま飛んじゃえばいんじゃね?――その方が世の中のためになるから」
「お前酷いなオイ!?」
アザゼルの言葉にレイジ兄さんがとんでもない事を言ったのでアザゼル先生は慌ててツッコミを入れていた。
「みなさん。お茶ですわ」
「あと、ついでにお菓子作ったよ〜。和菓子だけどね〜」
朱乃はトレイに乗せている人数分のお茶を運んで、その隣で俺は違うトレイに入った桜の形をした和菓子を一人ずつテーブルの上に並べた。
もちろん、ルフェイの足元に座っているフィンリルにも、魔物専用に作ったお菓子を皿に盛りつけて置いてあげる。このお菓子は他の魔物や神獣達にも好評だし、このフェンリルの子である、スコルとハティの大好物なので、きっとフェンリルにも好評だと思いたい。
ちなみにオーフィスは龍巳の隣で食べている…。なんか、見た目が一緒だと、俺と優子姉さんみたいな感じでなんか面白いね。
ルフェイは頬に手を当てて満足そうに食べており、金華は遠慮ということを知らないのか、それとも和菓子自体が好きなのかわからないけど、すぐに和菓子を平らげた上におかわり用に作っていたヤツも食べていた。
金華は見たところ、兄さん姉さんそしてアザゼル達を除いた他のメンバーのようにまったく緊張を見せていない…。
その反対に、イッセーたちは緊張した態度で和菓子を食べながらチラチラと目を配らせている…。
「…………」
お菓子を綺麗に食べ終えて、じっとイッセーを見つめているオーフィス。
「そ、そ、それで、俺に用ってなんでしょうか……?」
イッセーは口を引きつらせながら、笑みを無理矢理浮かべ、訊く。
オーフィスはお茶を口にし、ティーカップを置くと口を開いた。
「ドライグ、天龍をやめる?」
会話のキャッチボールで、いきなり暴投を投げつけられたイッセー。だが、笑顔を絶やさず声を絞り出した。
「……いや、言っている意味が……」
「宿主の人間、いままでと違う成長している。我、とても不思議。いままでの天龍と違う。ヴァーリも同じ。不思議。とても不思議」
オーフィスはイッセーとヴァーリの成長が歴代たちと違うことが気になっているようです。
そしてオーフィスは続ける。
「曹操との戦い、バアルとの戦い。ドライグ、違う進化した。鎧、紅色になった。初めて。我の知っている限り、初めてのこと」
イッセーの真『女王(クイーン)』のことは筒抜けのようだね〜…。まぁ、当たり前か。片割れといえどオーフィスには変わらないんだしね
オーフィスはさらに続ける。
「だから、訊きたい。ドライグ、何になる?」
オーフィスは首をかしげながら訊く。
イッセーが「ん~」と考えている…。――すると、イッセーの左腕に籠手が出現して、ドライグが皆に聞こえるように声を発す。
『わからんよ、オーフィス。こいつが何になりたいなどと、俺にはわからん。わからんが……おもしろい成長をしようとしているのは確かだ』
イッセーは会話の頼みの綱が現れたことで、安堵した表情をしていた。
肝心のオーフィスはイッセーの籠手に視線を移して話を続ける。
「二天龍、我を無限、グレートレッドを夢幻として、『覇』の力の呪文に混ぜた。ドライグ、なぜ、覇王になろうとした?」
『……力を求めた結果だろうな。その末に俺は滅ぼされたのだ。「覇」以外の力を高めることにあのときは気づけなんだ。俺の赤が紅になれるなぞ、予想だにしなかった』
「我、『覇』、わからない。『禍の団(カオス・ブリゲード)』の者たち、『覇』を求める。わからない。グレートレッドも『覇』ではない。我も『覇』ではない」
『最初から強い存在に「覇」の理なぞ、理解できるはずもない。無限とされる『無』から生じたおまえと夢幻の幻想から生じたグレートレッドは別次元のものだったのだろう。オーフィスよ、次元の狭間から抜け出てこの世界に現れたおまえは、この世界で何を得て、なぜ故郷に戻りたいと思ったのだ?』
「質問、我もしたい。ドライグ、なぜ違う存在になろうとする?『覇』、捨てる?その先に何がある?」
質問を質問で返す。イッセーや数人の者には理解ができていないと思う…。
「……実に興味深い。龍神と天龍の会話なんてそう見られるもんじゃない」
アザゼルは目を爛々と輝かせながら双方の会話を聞いていた。……龍巳がいるの忘れてるのかな?まぁ、あの三大会議以来、まだ2回しか龍巳とはあってないしね〜。
すると、オーフィスはまだあるのか口を開く。
「ドライグ、乳龍帝になる?乳揉むと天龍、超えられる?ドライグ、乳を司るドラゴンになる?」
「「ブフッ!」」
それを聞いたドライグは――過呼吸気味な様子となっていた。
そして、それを聞いた光輝兄さんとレイジ兄さんの2人は吹き出し、口を抑えて笑いを必死にこらえていた。
……何してんですか。あのバカ2人は…
「……何してんのよ。あそこの愚兄2匹は」
すると、隣にいた優子姉さんがそんなことを言った。ぐ、愚兄2匹って……最早、人として扱われなくなってしまったお兄ちゃん達。……自業自得ですね。
『うぅ……こいつにまでそんなことを……。うっ!はぁはぁ……!!意識が途切れてきた!カウンセラーを!!カウンセラーを呼んでくれぇぇぇぇっ!!!』
……どうやらつい先ほどの精神的なダメージを受けすぎたせいで、ドライグが壊れ気味になってしまったようだ。
イッセーは慌てて懐から薬を出し、籠手の宝玉に振りかけた。
「落ち着け、ドライグ!ほら、薬だ!」
『……あ、ああ……す、すまない……。この薬、き、効くなぁ……』
繊細すぎる天龍の片割れに俺はおもわず悲哀の視線を向けた。……いま俺の中に相棒の祖龍ミラ・ルーツことルーツも可哀想な子を見る目をしている。
「我、見ていたい。ドライグ、この所有者、もっと見たい」
どうやら、龍巳に続きこのオーフィスにも興味を持たれてしまったようだ。頑張って……イッセー。
三再びイッセーをじっと見つめるオーフィス。
そんな中、アザゼルは息を吐いて、イッセーの肩に手を置いた。
「てなわけで、数日だけこいつらをここに置いてくれないか?オーフィスはこの通り、おまえのことを見ていたいんだとよ。そこに何の理由があるかまではわからないが、見るぐらいならいいだろう?」
オーフィスに興味を持たれたイッセー。
助け船を出してもらおうとリアスさんへ視線を送っていたのだが――。
「イッセーがいいなら、私はかまわないわ。もちろん、警戒は最大でさせてもらうし、何かあったら、全力で止めるしかないでしょうね。それでいいなら、私は……呑むわ、アザゼル」
リアスさんはそれを無視した。おもわず吹きかける。
俺は、リアスさんの返答に予想通りだったなぁ〜なんて思いながら頷いた。
あとは…イッセーの返答だね。
「……俺もOKですよ。ただ、試験が近いんで、そちらの邪魔だけはしないでくれるなら」
最低限の条件だけを出してイッセーは折れた。アザゼルがイッセーの頭に手を置く。
「毎度悪いな、イッセー。大切な試験前だってのに、おまえに負担をかけちまって。――だが、これはチャンスなんだ。うまくいけば各勢力を襲う脅威が緩和されるかもしれん」
アザゼルに頭を下げられ、断ることができなくなったイッセー。
「俺が言える義理じゃないが、オーフィス、金華、こいつらは大事な試験前なんだ。邪魔だけはしないでやってくれ」
「だな。イッセー達はいますごく大切な時期だ。アザゼルの言う通りおとなしくしてもらえると、俺は嬉しいな」
アザゼルと光輝兄さんの願いに、2人は頷いた
「わかった」
「適当にくつろぐだけにゃん♪」
オーフィスも金華も了解してくれるようだ。
怪しく半眼で二人を見ていたイッセーにルフェイが何かを突き出した。――サイン色紙だ。
「あ、あの!!この間のバアル戦!感動しました!!差し支つかえなければ、サインをください!」
……お~、モテるねぇ、さすがイッセーだよ。……ただ、難点があるとすればエロすぎる事だよね〜。それさえなければもっといいのに……はぁ………まぁ、それに乳龍帝のファンでもあるらしいから、自然な流れなのかね〜。案外この様子だと、悪魔の他にもいっぱいファンがいそうだね〜。
「へいへい」
イッセーは苦笑いしながらルフェイのサインに応じるのだった。
こうして、龍巳の妹 オーフィスと、金華とルフェイ、そしてルフェイの使い魔 フェンリルを迎え入れ、イッセーたちの試験日まで共に過ごすこととなった。