Fate/Red Knights 真性第四次聖杯戦争   作:ビンカーフランス

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今回は二話同時投稿です。前回の話が以前に投稿した物なので、実質一話投稿です。


閑話:悪党共の悪だくみ

 考えるよりも先に、面白いと少しでも思えば即実行する──それを地で行くマハにしては、珍しくも頭を抱えて人生史上最大に悩んでいた。

 

 本来、フリーダムを悪い方で体現しているマハは、嫌な事や面倒な事があっても、考えるという行為自体、絶対にしない。もしあったとしても、その前に障害ごと吹き飛ばすので悩む必要もなかった。

 

 そんな彼女が何故悩んでいるのかと言えば。

 

「デュフフフ、やはり王道はツンデレ系幼馴染ですなぁ!」

 

 ソファに毛むくじゃらの足を投げ出しながらテレビゲーム(ギャルゲー)をするライダー(髭のおっさん)が全ての原因だった。

 

「……ハァァァァァァ」

 

 これ以上ない程の溜息を吐いて、マハはフカフカの一人用チェアにドスンと座り込む──流石はオフィスビルが群がる神宿市中央区の中でも一際天高くそびえ立つ高級ホテルのスイートルーム、椅子一つとっても、高級マットレスのような座り心地だ。

 

 このスイートルームはその値段に似合う通り(一泊七桁円)、部屋の広さや内装の豪華さ、勿論サービスの充実具合も、文字通りそんじょそこらのホテルなどとは格が違う。仕事柄、世界中を飛び回るマハを以てしても、最高級と評価を付けざるを得ない。

 

 だが、一度部屋を見渡してみればどうだろうか。あれほど清潔だったスイートルームは、ライダーの食い散らかした菓子や、いつのまにか(マハのポケットマネーで)買い集めたゲーム機器のソフトの山で埋め尽くされており、見る影も無い。

 

 替えて、ひたすら画面に向かって女の子を口説きまくっているのだ。

 

 自分の憧れである大海賊を召喚したと思えば、このダメ人間ぶりとは──まるで可愛いマスコットの中身が、小汚いおっさんだった時と同じぐらいのショックだった。

 

「アンタさぁ……ホントーにあの大海賊?」

「ん? 何か言いましたかなマスター?」

 

 落胆する心情そのままにそう愚痴を零していると、どこで買ったのか分からないタ●タのパチモンTシャツに身を包んだライダーが、その毛むくじゃらの髭面を、ディスプレイに表示される口説き文句の三択画面から、自分のマスターであるマハの方へと向き変った。

 

「何だい! ゲームばっかりしやがって!! 海賊ならさ、もっと略奪とか強奪とか海賊らしい事してみなよ!! それでもアタシが憧れたあの海賊かよ!!」

「えぇ〜めんどくさいし。拙者、働いたら負けだと思っているので」

「クソッ! 期待して損した!! これじゃあニートじゃんかよ!!」

「失敬な! 拙者はニートではなく自宅警備員!! 皆様の家庭を守護するガードマンですぞ!!」

「此処自宅じゃないし! ホテルだっつぅの!! 後、アンタとの家庭なんて最悪だわ!!」

 

 より一層痛くなる頭を、フカフカのチェアに沈ませて、シミ一つない真っ白な天井を見上げる──コレが、本当にあの大海賊なのだろうか。

 

 名だたる海賊達がカリブ海を支配していた全盛期、同業者からでさえも、その残忍さから悪魔と呼ばれた伝説の海賊。それこそが現在の後世に伝わるライダーという人物像だ。

 

 しかし今のライダーはどうだろうか。ある意味で海賊らしく強欲であるが、噂に伝わる残酷や無慈悲とは程遠い。略奪や殺戮も一切しないで、部屋に引き篭もっているだけのおっさんニート──到底、マハが望んでいたような伝説の通りの海賊とは思えない。

 

 これではライダーなど当てになる筈もない──折角、聖杯戦争と言う憧れの大悪党に出会える機会と、願望への片道切符を手に入れたと言うに、流石にコレは酷すぎる。何か()()()()()()()のではないかと、若干思ってしまうくらいだ。

 

「……だったら、アタシ一人でやるしか……」

 

 あの世紀の大海賊さえいれば、マハの望みも叶うと思っていた──しかし、この体たらくでは、到底頼りになる処ではない。寧ろ、計画に悪影響を及ぼすだけだ。

 

 ならば、マハはもうライダーという男を頼りはしない。自分の力で計画を成し遂げるだけしかない──ガンガンと頭痛がする脳内で、こうなった時から積み上げて来た計画をもう一度組み立てる。

 

 既にマハの願いを叶える計画は最終段階──その為の準備なら、既に始めている。

 

「それと……」

 

 その時、ライダーが思い出したかのようにポッと呟く。それと同時に、まるで仮止めしていたタガが外れたような、何かが切り替わった音が、マハには聞こえたような気がした。

 

「まだ動く時じゃねぇだろ? マスター」

 

 その瞬間に、強い引力に吸い込まれるように、白い天井を見上げていたマハの目線が、ディスプレイの前に胡坐を掻くライダーの方へと動いた。

 

 外見に何も変わりはしない。変わらずに気持ち悪い顔を髭面のオッサンだ──だが、同じ空気を吸っているというだけで、頭がどうしようもなくイカレテしまう、そんな一種の汚染物質のような存在感が、その真っ黒な瞳から溢れ返っていた。

 

 最早、見ているだけでも僅かながらに残っていた倫理観が、「悪」の存在に拒絶反応を起こして、吐き気すらも催してしまう──それなのにマハは目が離せない、いや離したくなかった。

 

 その汚染された悪意こそ──歴史に名だたる大悪党にさえ届く事が無かったその狂気こそが、マハが求めて止まない大海賊の象徴だ。

 

「──キャハ、そうだねぇ」

 

 思わずマハは自虐の笑みを零してしまう。そもそも自分如きがライダーという人間性を推し量れる訳がない。

 

 残虐こそが当たり前、悪ければ悪い程に大物にのし上がる。人としての善性と倫理が通用しない狂った時代で、その名を最も馳せた真の大悪党。たかが生温い現代の闇に身を置くマハごときに、その一端すらも理解できる筈が無かった。

 

 この男なら──いや、この大海賊だからこそ、成し遂げられる。人としての悪を体現したライダーであれば、マハのチッポケで短い人生全て注ぎ込んでも惜しくない、この壮大な計画をきっと成し遂げられる。

 

 今、足りなかったピースが全て揃った。

 

「教えてやるよライダー、アタシの人生で一番最大に最高に最低な計画(ショー)を」

 

 後は、この大悪党(ライダー)と叶えるだけだ。

 ────────────────────────────────────────────

「なるほどなるほどぉ……デュフフフ、やはりマスターはイカレテますなぁ」

 

 現時点でマハが想定しうる限りの計画を粗方語り終えると、ライダーはまるで褒めたたえるようにシミジミと頷いてみせた。

 

「でしょでしょ? 凄い最高でしょ? アタシ史上No1のやりたい事なんだよねぇ!!」

 

 憧れの大悪党からお墨付きを頂き、さっきまでドン底に下がっていたマハのモチベーションが、天井知らずに急上昇していくのを感じる。

 

 マハが語ったのは、計画とは名ばかりの目標地点──最終的にはこうなれば良いと言うだけの、未来のビジョンだけだ。そこに至るまでの過程など、一切考えていない。

 

 だが、享楽に生きるマハの性根故なのか、その為に必要な物だけは、何となく分かっている。ライダーと言う英霊を選んで召喚したのも、憧れていたというのもあるが、その一つの要素に含まれていたからだ。

 

 そしてマハの計画にはもう二つ程、必要な物がある。そして、その内の一つには見当が付いていた。

 

「そんじゃあライダー、早速頼みがあるんだけどさぁ」

「何ですかな?」

 

 ライダーが興味深そうに、操作していたコントローラーを投げ捨て、ズズイと耳を傾けて来る。それに対して、マハは事前に用意していた隠し撮りの写真を、ペルシャ柄のローブの内から取り出す。

 

 そこに写るのは、くすんだ茶髪頭をした、若干目つきの悪い何処にでも居るような青年──聖杯戦争の参加者を調べる中で浮上してきた、その青年を一目見た時、マハはその確信した。

 

 この青年こそが、マハの計画を叶える為に必要な存在──願いを叶えるキッカケをくれるキーピースになる。だからこそ、マハには一つやりたい事がある。

 

「この子、攫って来て来んない?」

 

 その為に此処は一つ、優雅なお茶会にご紹介しようか。




狂気と狂気は引き寄せられるーーー最悪の2人が出会っちまった感じですね。その毒牙に引き寄せられた主人公、榊は大丈夫なのやら……本当にご愁傷様です。

『追伸』
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https://x.com/8f8qdLIQID34426

作品の高評価や感想は何時でも待っています!!

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