Fate/Red Knights 真性第四次聖杯戦争   作:ビンカーフランス

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今回は短いです、申し訳ございません。


主が為に戦う

「クソッ!あのバカッ……!!」

 

何処かのバカが捨てた道の空き缶を蹴り飛ばし、見事な軌道でゴミ箱にゴールさせる。だがそんな奇跡を起こしても、喜ぶどころか、セイバーの踏む地団駄は強まるばかりだった。

 

―――苛立ちの原因は分かっている。あの馬鹿(マスター)が、()()()()()()という甘い覚悟のまま戦う事を決めたからだ。

 

マスターは、榊は何も分かっていない。聖杯戦争に参加している以上、誰かを殺さずに終わらせるなど、幻想にもほどがある。勝ち残った最後の一組が願いを叶える仕組みになっている以上、コレは言わば確定事項だ。

 

その渦中に自ら飛び込むと言うのであれば、マスターはその選択を必ず後悔する。その気があろうとなかろうと、半端な覚悟で振るった刃は己を苦しめる。いつか誰かを命を奪った時、きっとそれに耐えきれず壊れてしまう。

 

そんな()()()()()()()を知っている身として、みすみす地獄へと突き落とす事など、出来る筈もない。他人であればいざ知れず、相手が悪い事に、それが己のマスターで有れば猶更だ。

 

ーーーだからこそ、セイバーがやるしかない。

 

そう思い至った直後、首筋を細い針で刺したかのような鋭い感覚に、セイバーは舌打ちが零れてしまった。

 

「……チッ、アソコか」

 

導かれるままに、直ぐ傍の横道にある歩道橋の階段を、半ば叩き割るような勢いで駆け上っていく。そして真下の大通りを渡る通路の上に辿り着くが、そこには人影は全くない。

 

だがーーーそこには人ではない存在、英霊のみが、一騎歩いていた。

 

「……」

 

その英霊は目もくれていなかった。誰かに振るまう予定なのか、高級菓子やジュースなど、やたら子供受けしそうな物を詰めた紙袋を大事そうに抱えて、ただ何事も無かったかのように、立ち塞がるセイバーの横を通り過ぎようとしている。

 

「待てよ」

 

そんな事をセイバーが許す筈がない。即座に顕現させた白銀の剣で通り過ぎようとする通路の脇を遮る。

 

「ーーー何用ですか。セイバー」

 

そして、ようやくその英霊がセイバーを捉えた。浅黒い肌の美丈夫顔が面倒気に引き攣り、溜息まで吐く始末。まるで心底相手にしたくない、野犬にでも絡まれたかのような風体だ。

 

「テメェの首を取りに来た」

 

それは、喉元に刃を添えようとも、同様の反応をしていた。

 

「その剣を納めて下さい。生憎と、今は小さなお客人を待たせていますので、未だ戦う気はありませんとも」

「なら黙ってその首を地へと落とせ」

 

何時でもその澄まし顔を身体から切り落とせるように、セイバーは喉元に突き付ける刃から力を抜かない。自然と閑散としている有り触れた歩道橋の上が、セイバーが放つ濃厚な殺気に汚染され、忽ちに良く知る戦場の気配に早変わりする。

 

「何故そこまで戦い急ぐのですか?」

 

刃を突き付けられても尚、英霊は全く武器を構えるどころか大事そうに構えた紙袋を離す様子すらも見せない。どうやら本当に戦う気はないらしい。

 

しかし。

 

「テメェには関係ねぇ」

 

相手にその気が無かろうと有ろうと館駅内。セイバーには、セイバーとして戦わなければならない理由がある

 

ーーいずれ、マスター()は、聖杯戦争に自ら首を突っ込む。本人がどう考えていようが、戦う事と覚悟を決めている時点で、それは既に確定した未来。

 

ならば、マスターの為に、敵を殺す事しか出来ない己が出来る事はたった一つ。

 

「敵は、全てオレがぶっ殺す。それだけだ」

 

全員殺せば良い。己以外のサーヴァントも、そのマスターも、邪魔する全てを殺し、その行く先を無人の荒野にしてしまえば良い。

 

覚悟も決まらぬ馬鹿が、震える身体で剣を手に取るより早く、己の手で一切合切を鏖殺すれば、マスターが戦う事も壊れる事は無い。

 

それこそがーーーそれだけが、セイバーが騎士としてできる唯一の手段だ。

 

「―――それが主人を守る騎士として、貴方なりの流儀という訳ですか」

 

英霊が、ようやくセイバーと目を合わせる。軽くウェーブした髪が一迅の風に煽られて、美丈夫顔の元に隠れていた黒い瞳が露わとなる。

 

「―――場所を移しましょうか」

 

その美丈夫に覆われていた英霊の双眼が、確実にセイバーを捉える。それはさも品定めでもするかのようにーーー敵対する強者を見据える、一切の熱が感じられない無機質な眼光をしている。

 

「どの道、貴方のような狂犬は野放しには出来ません。不肖ながら、このアーチャーがお相手致します」

「御託は良い。サッサとオレにぶった斬られろ」

 

セイバーは剣を下す。もう既に相手はやる気だ。今更あからさまな挑発などしなくとも、この英霊は言葉の通り、本気で付き合ってくれるだろう。

 

そしてーーー歩道橋の上で、英霊2騎が並ぶ。戦場へと赴く戦士が如く、互いが踏み込む足取りには迷いが無く、隣に居る敵への殺気が滲み出る。一定間隔の歩幅は開戦を待つカウントダウンのようであり、それは次第に現世から遠ざかっていく。

 

―――その最後には、夏の熱気に浮かぶ蜃気楼に紛れ、2人の姿は歩道橋の上から、いつの間にか消えていた。




英霊でも上位ランカーの2人、遂に激突します……!!

次回、セイバーVSアーチャー!!騎士VS元英雄の異次元マッチが始まります!!

『追伸』
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