英雄の作り方   作:中佐

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プロローグ

 戦姫絶唱シンフォギア。

 5期まで作られた超大作。可愛い女の子達が戦う萌えアニメ………のフリをした燃えアニメ。勝つモブ厳と呼ばれるタイプの人が死にまくるトラウマありのアニメだ。

 

 俺は、その世界に転生した。

 と言っても、はるか過去に。錬金術とかいう胡散臭い技術にのめり込んだ親父が奴隷として連れてきた白髪の女に戯れに文字を教えたら、なんか自分から勉強しだして、サンジェルマンという名前を聞いて前世を思い出した。

 

 サンジェルマン………後の世界にて『パヴァリア光明結社』とか言うどう考えても胡散臭すぎるボスが運営する組織で幹部をやる女だ。

 つまり錬金術はガチで存在するらしい。なので俺も学ぶ事にした。

 

 ある目的の為に、主人公が産まれる時代まで生きたいんだよね。

 今は古代ローマの時代。ついでに歴史の偉人の活躍もこの目でみたいな。

 

 錬金術と一口に言ってもいろいろある。最終的な終着点は『完全』な存在の創造。サンジェルマンは後の世界で『神の力』を得て人類を支配からの脱却を目指すんだよな。

 

 超ウケる。人類全員が同じだけの力を得ても、どうせ優劣が生まれ支配が生まれるだろうに、奴隷だから人を支配したがる人間の本性が解らないんだね。

 とても素直で可愛いですね。未來のそんな姿を想像したら色々愛しく感じて、お菓子を分けてあげた。

 

 俺はなぁ、シンフォギア世界の『完璧な肉体』にも、黄金錬成にも、何なら神の力にも興味はない。

 俺が極めたいのは『万象の記憶』。ちょっとした実験で、百年戦争時代に詐欺師に騙された哀れな男を処刑前に助けてやり俺の技術をくれてやった。

 

 彼は見事『アカシックレコード』から愛しの聖女の記憶を引き出し、聖女の妹の血筋に『記憶』を憑依させ聖女を復活させた。まあ、彼の望む復讐心を持ってなかったら、一部記録を書き換えて復讐者に作り変えたけどな。全く、お前は何処のギョロギョロ目玉だ。

 

 まあ、おかげで俺の研究も完成したが。いや別に、一人でもできたんだけど俺ってばアダムに目をつけられてたから派手に動けなかったのよね。あの人形め。最期はぶち抜かれて死んだ………ざまあ。

 

 ただ、本来の歴史と異なりサンジェルマンが生き残ったのは、まあ幼馴染として嬉しく思うよ。これも聖女から受け継いだ『天使の力』のおかげだね。反応兵器を消し去るために砕けだけど。

 

 それもこれも、俺があの変態を助けて錬金術師にしたおかげ。つまり、俺のおかげと言っても過言ではないだろう。

 

 まあ生きてた結果ちょいと齟齬は逢ったけど、概ね世界は歴史通りに過ぎた。研究の末わかったことだけど、この世界『本流』じゃないんたな。

 『本流』に限りなく近く、故に大きく歴史を変えることはない『支流』。俺という異物が生まれた時、すなわち『古代』とも呼べる時代から別れただろうに、大したものだ。

 

 まあ、どうでもいいけどね俺には。

 俺には俺の目的がある。その為なら何千年の時を生きようと、前世の記憶が過去に押しつぶされようと問題はない願いが。

 

 神が散り、漸くこの時が来た。

 ここからは、俺が歴史を作り出す。

 

 さて、それはそれとして日向未来を攫うか。あれには神の記憶が宿っている。すでに神の力、人格を失っているとはいえ、宿っていた過去は変わらない。

 素晴らしい、彼女是非欲しい。

 

 

 

 

 

 人類の天敵にして、天災たるノイズはノイズを生み出すプラントの存在した『バビロニアの宝物庫』ごと消し飛んだ。

 

 しかし、人々は未だノイズの脅威に晒されていた。より厳密に言うなら、それはアルカ・ノイズと呼ばれる亜種………というより最新式なのだが。

 

 『錬金術』を扱う錬金術師達により造られたノイズは、『パヴァリア光明結社』の残党により操られ、或いは金の為に売られていた。

 

 今日も今日とてテロリストがアルカ・ノイズを使い、ノイズに対抗できる武装と一つであるシンフォギアを纏った装者達により無事殲滅されていく。

 

 小日向未来は、その場に居ない。

 彼女は装者ではないからだ。ただ大切な親友である立花響や、彼女と共に戦う装者、錬金術師達の無事を、今日も祈る。

 

 因みに現在いる場所はシェルター。協力者という関係上、『S.O.N.G』本拠地にいることも多い彼女だが、今日は響と一緒に買い物に出かけていたのだ。

 

「響、大丈夫かなぁ………」

 

 と、心配する未来。何時も元気で帰ってくるが、だからといって心配しないわけがない。

 

「お、いたいた」

 

 不意に、声が聞こえた。避難する時逸れた誰かを見つけたのだろうと、未来は特に木にしなかった。

 

「小日向未来、だったよな?」

「………へ?」

 

 だが、自分の名を呼ばれ困惑する未来が思わす振り向くと見覚えのない少女が居た。

 

「悪いけど、また付き合ってもらうぜ」

「…………えっと」

「ん? ああ、そういや………」

 

 と、困惑する未来に首を傾げた少女は顔の皮を剥がす。ギョッと目を見開く未来だったが、皮膚の下から新たな皮膚が顔を覗かせる。変装だったのだろう。

 

「よっ、あたしのこと覚えてるか?」

「?…………!?」

 

 その顔を見つめ、記憶を探り、思い出し、目を見開く。

 

「あ、あなた………どうして!? だって、死んじゃったって………!」

 

 少女の名はミラアルク。かつて未来とエルフナインを攫い、翼のライブで十万もの命を奪った虐殺人。

 

「ん〜、まあボスにな。ボスはすげえんだぜ! あたしだけじゃなくて、ヴァネッサやエルザも生き返らせてくれたんだぜ!」

 

 嬉しそうに、宝物を自慢するように言うミラアルク。

 

「本当に、もう会えないと思ってた………それに、ボスなら……あたしが殺しちまった人達もきっと………!」

 

 かつてミラアルク達は怪物に改造され、人に戻りたいと願い、家族同然の残りの2人と共に人に戻る術を探し、神の力を求める風鳴訃堂に命と延命の為の稀血を与える代わりに忠誠を誓わされ、訃堂が翼を操る為の前準備のためだけに虐殺を行わされた過去を持つ。

 

 だけど、話を聞く限り彼女達もある意味では被害者だった。特に後に調べた経歴によれば、ミラアルクやエルザは悲惨な過去があったらしい。少女達には伏せられたが唯一報告を受けたマリアの顔からして、相当の。

 

「だけどさ、ボスが言うにはその為にはあんたの協力がいるんだって。だから、頼む! ついてきてほしいんだぜ!!」

 

 パン、と手を叩き頭を下げるミラアルク。かつてのように、無理矢理連れて行く気はないようだ。

 正直に、死人が生き返るなんて眉唾ものだが、こうして死んだ筈の彼女は生き返っている。そのボスという人も、信用していいのだろうか?

 

「………………ごめんなさい。一度、他の皆にも相談してから………」

「まあ…………信用なんて出来ねえよな。解ったぜ! お前ら全員にも、ちゃんと謝らなきゃならねえしな! じゃ、また後で……」

「いやいや、無理矢理にでも連れてこいって言われたでしょ」

 

 と、新たな声が聞こえた。振り向くと壁に扉があった。それだけなら別におかしくないが、そこは先程まで確かに壁だけだった筈。

 カチャリと扉がひらき、現れたのは異形の怪物。

 角張った体に、茶色い甲皮。その姿をあえて表すとするなら、ドアを無理矢理擬人化した、とでも言おうか。

 

「な、なんだあれ!?」

「ば、化け物!?」

 

 シェルター内部が混乱する中、怪物は未来へと歩く。

 

「待てよ、別に無理に連れてこなくたって………!」

「向こうには頭の硬いサンジェルマン伯爵がいる。死者蘇生の方がある知れば、必ずこじれる。死者蘇生とは、それだけ禁忌の領域なのさ」

「で、でも…………」

「また人形に戻りたいか?」

「────!!」

 

 ビクッと震えるミラアルク。その目に浮かぶのは、間違いなく恐怖。未来は咄嗟に彼女を庇うように二人の間に割り込んだ。

 

「や、やめてください!」

「……………良い子だね、君。とても良い子だ。でもね、そいつは君をかつて攫った女で、何万もの命を奪った悪人だよ? 拷問を誰よりも知ってるそいつが、どんな殺しをしたのか俺も気になるね」

「拷問………?」

 

 ミラアルクの顔が、更に青く染まった。

 

「あれ、てっきりもう調べたのかと………私もね、あの倶楽部にいたんだ。そいつが泣き叫ぶ姿はさぁ、愉しかったなあ。最後は全然動かなくなったから錬金術師達に売ったんだけどね」

 

 未来は、グッと拳を握りしめた。ミラアルクはボスという人を慕っているが、こんな奴を仲間にしているなんて信用出来ない。

 

「私は、あなた達についていきません。この子も、貴方に渡さない…………!」

「はは! 強気だねぇ。無理矢理連れてきてもいいなら、手足はいらないかな?」

「っ!!」

 

 咄嗟にミラアルクが未来の前に出て、何やらUSBメモリのようなものを取り出す。コウモリの羽をもした『V』が描かれたメモリだ。

 

「調子に乗るんじゃねえぜ! 希少な『ドア』の適合者だから優遇されてるだけのお前が、あたしに勝てるか!!」

『ヴァンパイア!!』

 

 メモリから響く音声。怪物はミラアルクに手を向け………

 

「だよね。ムカつく………またいじめたかったのにさ」

「え………」

 

 カチャッと言う音か聞こえ、未来の足元に扉が開く。ミラアルクが咄嗟に手を伸ばすが間に合わず、未来は床に開いた扉に吸い込まれた。

 

「じゃあ、貴方は歩いて帰れよ」

 

 そう言うと怪物は扉の中に消え、扉は幻のように消えた。

 

 

 

 

 

「で、ボス。小日向未来は?」

「返したよ。もうようはないからね」

 

 ミラアルクにボスと呼ばれた男は、そう言うと部屋の壁をクレヨンで汚していく小さな影を見る。

 

「…………なんだぜ、こいつ?」

「オッス、我チェム・ハ!」

 

 舌っ足らずな声で元気に応える謎の生物。気のせいか、未来に似ているような?

 何故か見てると体がゾワゾワする。

 

「思ってたのと違うのが出来た…………」

「そうか………あのクソオカマ野郎は………?」

「ん〜………バレないよう連れて来いとはいったけど、独断専行と勝手な判断が過ぎるな。新しい候補者が見つかったら、メモリは没収するさ」

「そうしろそうしろあんな奴なんだぜ!!」

 

 ミラアルクはあのオカマが大嫌いだ。

 

「ま、神の知識は手に入らなかったが、やりようは他にもあるさ。当初の予定通り、種を蒔く」

「…………でも、それは」

「なあに安心しろ。最後には全てを手にできる」

 

 と、ミラアルクの頭を手を置く男。

 

「人類は星の影となり、永遠の命を手にする。死せることも滅びることもなくな………」

「死んだ人間も生き返るんだよな?」

「ああ、お前を含めた、ここの6()()がその証拠だ。本音を言えばフィーネも欲しかったが、あれはイガリマで斬られたからな。肝心な『神』はデータ量が多いし、器から抽出してもあれだし………」

「なんだそのしせん? ふかいである!」

 

 ペチペチと男の足を殴ってくる謎生物チェム・ハ。

 

「…………ま、本音はどうでもいいけどな」

 

 ポツリと呟かれた言葉は、しかし誰にも聞かれなかった。




主人公
人間が頑張る姿が大好きな人。

ミラアルク
根は良い子。

ドア
変態

チェム・ハ
謎生物。

サンジェルマン
実は肉体関係を持ってる。
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