「丁度いいタイミングだな…マヌル…お前に話がある…」
買い出しから戻って客人を案内したら同僚のケンシがキメ顔でなんか言い始めた。
なんだろう、僕は早く寝たいんだけど。
「お前は
「
何言ってるんだ、コイツ。もう部屋戻っていいかな。
「いや、別にボクは誰かと雇用関係にないし、仮にあったとしても勇者とだからただの同僚のキミに
どうしよう。彼は僕を雇用しているつもりだったのかな。給料請求してもよかったんだろうか。
「…っ!とにかくもう、お前はウチのパーティには…」
「いや、だからキミのパーティじゃないしパーティ構成の権限は勇者でしょ?」
何を言ってるのかよく分からない。お腹空いてるのかな?パン食べる?
「生意気ね!無能で貧弱なアンタは『お荷物の荷物持ち』なのよ!」
「いや、ごめん。大した言い回しでもないのに上手い事言ってやった感出すのやめてよ」
なんか便乗してティゴまで調子に乗り始めた。おっぱい要因のくせに。
「いいか、マヌル…お前が戦闘中に出来ることはアイテムでの回復や補助だけ…つまり、役に立ってるのは『アイテム』であって『お前』じゃない。お前が居なくても何一つ問題ないんだ!」
あ、まだ続けるんだ。まあ、色々溜め込んでるんだろうね…
同僚として仕事の不満を吐き出させてあげるのも仕事の内かな。
まあ、言ってる事は事実だけどね。
でも僕は楽して勇者の金魚の糞してたいから、出て行くのはもう少しヤバそうな地域になってからかなぁ…
とりあえず、一度黙ってまずは話くらい聞いてあげようかなって。
「アイテムだってタダじゃないのよ!それなのに使う量も増えてきてるし!どれだけ大きな出費になってるか分かってるの!?」
「え、いや。使う量が増えてるのはキミ達のケガが増えてるからでしょ?僕のせいじゃなくてキミ達の戦い方のせいじゃない。というか、出費を気にするならキミが買い出しと商談してよ。商家の生まれでしょ?本当はキミの役割じゃない」
おっと。話を聞こうと思ってたのについ反論しちゃった。
まあ、仕方ないよね。ケンシはともかくロクに仕事してないおっぱいには言われたくないよ。
「そこで!」
ケンシが大きな声で遮って来た。まだ続けるんだ。メンタル強いね。
「魔道士のカスパー殿がこのパーティに加入する事になった。回復、攻撃、補助…あらゆる魔法を習得されている。完全にお前の上位互換って訳だ」
え、ほんと?それは凄いな。魔物学の知識や旅の知識もきっとあるのかな?ようやくまともな人材だよ。
振り返ったらイケメンがニコッと笑ってた。そう言えば居たね。忘れてたよ。
しかしパーティに呼ばれた初日からドロドロの内輪揉め見せられて笑ってられるとかこの人も相当なメンタル強者だよね。
「これで戦力も出費も解決する!分かったら自分の村に帰れ!」
うーん…色々ツッコミ所はあるけど一応先にこれを聞いておかなきゃかな。
「えーっと…それ、勇者も承知の上ですか?」
「当然だ!勇者も賛成して…」
「じゃあ、明日書面で下さい。勇者のサイン入りで。勇者パーティから勝手に逃げ出したとか後で言われると困るんで…」
まあ、嘘だろうけどね。勇者は昔から僕にベタ惚れだし。
追放直前までそれを悟らせないような腹芸出来るほど頭も良くないもの。
基本的にアホだからね、勇者。
「うるさい!いいから早く出ていけ!俺たちは明日も早いんだ!」
「早く出てって!これ以上迷惑かけないでよ!」
「お疲れ様でした。私の乗っていた馬車を待たせてあります。それでお帰り下さい」
なんか勢いで押し切ろうとし始めたけど…ん?
なんかおかしいな。どうも噛み合ってない気がする。
「えっと…仮にパーティ抜けるにしても今日はここで寝ますよ?チェックインのとき宿帳に名前書いたの僕ですし…勝手に宿泊者変えたら詐欺になるんで…」
だってこの国、景品表示法があるくらい法整備が進んでいるのだ。
勝手に部屋を又貸ししたら詐欺にあたるんだよ。
現実でも東横キッズに名義貸しして詐欺で逮捕された事例が…あれ、現実ってなんだろう。まあいいや。
とにかく言いたい事は言ったみたいなのでもうツッコんでもいいよね?
「あと、カスパーさんがいくら有能でも一人に攻撃も回復も補助もさせるのは無理だよ。MPも手数も足りないでしょ。MP回復の薬って薬草よりずっと高いよ?そもそも、商家の生まれのクセに商人としての仕事放棄して戦闘にも消極的なおっp…ティゴの方が役割放棄してて不要じゃない?まあ、目の保養にだけはなるから危ない水着要員として置いておくのはいいけど。僕の勇者には僕の前以外では着せられないからね。まあ、どっちにしろパーティ構成は勇者の専任事項だから…不満があるなら明日勇者含めて話し合いするといいよ。あの子、夕方には疲れた寝るって言って寝るし朝も1番起きるの遅いから話し合うの大変だと思うけど…じゃ、とにかくそう言う事で。おやすみ」
ケンシとおっぱいの顔が信号機みたいに赤とか青に変わってたのでそそくさと部屋に戻って鍵をかける。
勇者パーティの泊まる宿だけあってセキュリティはしっかりしてるのがいいよね。
しばらくケンシの怒号やおっぱいのヒステリックな叫び声がしてたけど、勇者が起きて来て収まったみたい。
あと、その後窓から馬小屋に向かうカスパーさんが見えた。
勇者一行の泊まる宿だからね…そりゃ夕方に来ても部屋は満室だよね。
いい大人なんだから事前に予約くらいしておかないと。
馬小屋、冷えると思うから風邪ひいても大丈夫なように風邪薬くらい準備しておいてあげよう。
まあ、明日から5人旅になるのかおっぱいが減るのかは知らないけど、戦闘に参加しない僕には関係のない話だ。
おやすみ、エルフ。来週もいい針を。
fin