次元世界ベルカ。
後の世で『諸王時代』と呼ばれる乱世の末期。
聖大陸東方を治める強国『ガレア王国』はなんの前触れもなく、西の隣国『コントゥア王国』への侵攻を開始。宣戦布告も出さないまま攻め込んだのである。
ガレア軍は通りがかった村々を焼き払い、住民や旅人を一人残らず虐殺しながらコントゥアに侵入。国境の街を廃墟に変えながら進軍を続けた。
圧倒的な敵軍の勢いと
この街も捨てなければならないのか、と誰もが思ったその時、西から『グランダム王国軍』が救援に駆けつけてきた。
その中には先日までグランダムにいなかった三人の女と巨漢の偉丈夫も紛れていた。
「武装変形……形態銃砲」
ガレア兵は腕を筒状の銃にしながら、コントゥア兵に向ける。コントゥア兵は盾を構えながら敵兵に迫るが――
「――発射!」
「ぐあっ!!」
ガレア兵が腕から撃ちだした弾は、盾を易々と砕きコントゥア兵の体を貫通する。
そこへ別の方角から、コントゥア兵が馬を走らせながら槍を突き出してきた。
「喰らえ化け物おおぉ!!」
喉に槍を突き立てられると、ガレア兵はうめき声も上げず
ざまあみやがれと思いながらほくそ笑むコントゥア兵だったが――
「離れろ――でりゃああああ!!」
どこからか黒鎧を着た赤髪の少女が槌を振るいながら飛び込んでくるのが見え、コントゥア兵は思わず馬ごと後ろに下がる。
少女兵は屍の前まで飛んでくると、屍に向かって槌を叩きつけた。
コントゥア兵はなんのつもりだと怒鳴りかけるが、空中に飛ばされた屍が突如爆散するのを見て思わず言葉を飲みこむ。そこで少女兵は後ろを振り返り、唾と罵声を飛ばしてきた。
「ぼやぼやすんなっ! お前は早く仲間の元に戻れ! お前一人がどうにかできる連中じゃねえ!!」
「――す、すまない! 恩に着る」
馬の足ほどもない子供にもかかわらず、彼女の剣幕に圧されコントゥア兵は詫びながら馬を走らせ、その場を後にする。
少女はふんと鼻を鳴らしながら前に顔を戻す。そこには銃砲状の腕を構えながらこちらに窺うガレア兵の一隊が見えた。
その全員が両目をバイザーで覆い、生気のない表情をしている。それを見て少女は舌打ちと忌々しげな独り言をこぼした。
「まさか、この時代で《マリアージュ》を見ることになるとはな。あいつらを操っているのはあのジジイどもの子孫か。――だったらいい機会だ。あの時代で晴らせなかった鬱憤をここで晴らさせてもらうぜ!!」
鼻息荒く息巻きながら、少女はマリアージュの群れに向かってまっすぐ飛ぶ。
マリアージュたちは即座に彼女に向けて無数の弾を撃ち込むが、少女は弾を避け、あるいは弾き飛ばしながら敵に迫り、槌を真横に振るった。
「グラーフアイゼン!」
『Giantform』
少女が呼びかけると、《グラーフアイゼン》と呼ばれた槌は無機質な声を返しながら赤色の薬莢を二発吐き出す。すると、槌の両端に取り付けられているヘッドは五倍以上に膨れ上がった。
少女はそれを軽々と振り上げ――
「でりゃあああああっ!!」
巨大な槌を叩きつけられたマリアージュたちは一体残らず払い飛ばされ、遠くの地面や建物に叩きつけられ爆散していった。
一方、味方の減少に気付いたマリアージュたちは、すぐに進行方向を変え、敵の排除に向かう。
しかし、そのマリアージュたちの頭上にも黒鎧を着た女の姿があった。桃色の髪を後ろに束ねた若い女兵士だ。
女兵士は廃屋の上に立ちながら、おもむろに剣を構え――
「レヴァンティン」
『Bogenform』
女兵が呼びかけると《レヴァンティン》と呼ばれた剣もまた無機質な声を返し、赤色の薬莢を排出しながら大振りの弓に形を変える。
女兵はマリアージュたちに弓を向け、両端に張られた弦に指をかける。すると、彼女の手元に魔力でできた弓が現れた。
「翔けよ、隼!」
『Sturmfalken』
女兵とレヴァンティンの声とともに、レヴァンティンから矢が放たれる。“炎の変換資質”を持つ術者が放った矢は敵に突き刺さった途端燃え上がり、マリアージュの体内に流れる燃焼液に反応して爆発を起こす。
それを確認するや、女兵は躊躇いなく眼下に飛び降りた。
『Schlangeform』
女兵が空中を跳んでいる間に、レヴァンティンは再び赤色の薬莢を輩出しながら剣の形に戻る。しかし、柄から伸びる刃は先ほどとは違い、炎を纏った連結刃の形をしていた。
「はああああっ!」
女兵は地面に着地すると同時にレヴァンティンを振るう。
するとレヴァンティンから伸びる連結刃は鞭のように
矢を撃たれたマリアージュ同様、斬撃を喰らったマリアージュは刃の炎と体に流れる燃焼液によって爆散していく。
その中で、桃色髪の女兵は間断なくマリアージュを斬り、焼き尽くしていった。
しかし、百体近くのマリアージュは彼女らの猛攻を掻い潜りながら街を通過し、コントゥア軍の本陣に迫っていた。
街の端にある砦を見つけた途端、二十体以上のマリアージュたちが腕を巨砲に変え、砦の門に撃ち込んでいく。それを止めようと果敢に挑んだコントゥア兵とグランダム兵は返り討ちにあった
それを目の当たりにした瞬間、マリアージュに挑もうとする兵は激減し、その逆に新たに増えたマリアージュも攻城に加わり、門は今にも崩れようとしていた。
だがその時――
「クラールヴィント!」
『Ja!』
砦の方から女の声と無機質な声が響いた瞬間、門の前に緑色の壁が現れ、砲撃を防ぐ。それを見てマリアージュたちは攻撃をやめ、砦に砲口を向ける。
そこへふいに砦の窓が開き、その中から犬耳と尾を付けた褐色肌の大男が降ってきた。彼もまた先の二人やグランダム兵同様、黒い鎧を纏っている。
「であああああっ!!」
男はマリアージュの真上に飛び降りて、その胴に太い腕を突き入れる。腕に黒い燃焼液が付着するのもかまわず男はマリアージュを掴み、砲撃兵に投げつける。その瞬間、二体のマリアージュは爆発し、まわりの何体かも吹き飛んでいく。
それに紛れて男はマリアージュの群れに飛び込み、攻撃を入れていった。
◇
「報告! ガレア軍の攻撃が停止。我が軍と友軍に遮られ、動きを止めています!」
二階から降りてくるや、監視兵は勢いよく指揮官の前に跪き戦況を報告する。それを聞いて、将の一人が指揮官に声をかけた。
「殿下、これは好機です。殿下はグランダム王子とともに裏門からお逃げください。ここは我らが命を賭してでも抑えますので――」
その言葉に指揮官たる王子は灰色の髪とともに首を横に振り、緑色の右眼と紫色の左眼で将を見返す。その色違いの両目から放たれる視線を受けて、将は思わず言葉を飲みこんだ。
「ならん。私は陛下よりこの街を守れとの厳命を受けてここにいる。好機というならばむしろ我らも打って出る時だろう――これより私自ら戦地へ出る!
そう吼えながら王子は椅子から立ち上がり、青色の宝石をあしらえた装飾物を握りこんだ。
彼の名はルオン・Y・R・アスル。
コントゥア王国の第一王子にして、この街の守備を任された指揮官でもある。
どよめく将や兵たちの間をくぐりながら、ルオンは扉に向かう。そんな彼に一人の男が声をかけた。
「待てルオン。俺たちはどうすればいいんだ? まさか、俺たちはここに残れと言うんじゃないだろうな」
ぞんざいな口調に気を悪くする様子もなく、ルオンは声の方に体を向ける。
そこにはマント付きの黒鎧を着た、茶髪の青年が立っていた。彼の瞳も左右色が違っていて、右眼が金色で、左眼が緑である。
遊軍の指揮官にして数歳年下の従弟に向かって、ルオンは笑みを浮かべながら言った。
「ケント、お前はグランダムの将兵とともに王都まで下がれ。お前に万が一のことがあったら、ザリアス王がお怒りになる。ガレアを退けても今度はグランダムと戦う羽目になりかねん。それに、こんな所で死んでしまったら継妃の子などに王位を奪われてしまうぞ」
それを聞いてケントはふっと笑いを漏らし。
「ろくに戦いもしないまま逃げ帰ったりなんかしたら、それこそ王位を取られてしまうさ。雷帝の血を引く“あの子”に王位を継がせるべきだという声はすでに上がっているしな。今のところ義母上にその気はないようだが」
「ほう、意外だな。あの《雷将》なら、自ら産んだ実子を使ってグランダムを乗っ取るぐらいはやりかねんと思っていたのだが」
目を丸くするルオンに、ケントは苦笑しながら続ける。
「まあ、色々あってな。それに何よりこの国は母上の故郷だ。その故郷やお前たちを見捨てたりしたら、母上に憑り殺されてしまう。今戦っている
「ああ、《守護騎士》と名乗るあの四人組の事か。戦の前にその“魔導書”から出てきたと聞いているが……本当なのか?」
ルオンはケントの腰に目を落としながら尋ねる。ケントはああと首を縦に振りながら、剣十字の装飾品がついた本を取り出した。
彼の名はケント・
ルオンの従弟にして、グランダム王国の第一王子である。
そしてあの四人――《守護騎士》が言うには、《闇の書》に選ばれた“主”でもあるらしい。
「とにかくそういうわけで俺も出る。クラウスとの決闘に比べればあんな奴らの相手なんて大したもんじゃないさ。……シャマル、門の守備と兵の救護、それと余裕があったら蒐集の補助も頼む」
「はい……主様、どうかお気をつけて」
ケントの命を受け、彼の隣に立っていた金髪の女兵は冷静に告げながら、主とその連れに頭を下げる。
それに頷いてから、ケントはルオンとともに片手に握っていた装飾物を掲げた。
「カズィクル!」
ルオンの呼びかけとともに、装飾物は青色の槍に形を変える。同時に――
「ティルフィング!」
ケントがその名を告げた瞬間、彼が手にした装飾物も一振りの剣になる。
二人は己が得物を手に握りながら、支援兵を除く将兵たちを引き連れて部屋を後にした。
◇
城門を出たルオンとケントたちが見たのは、巨砲となった片腕を軽々と持ち上げる異形の兵士と、それらを無手で薙ぎ払っている偉丈夫の姿だった。
その光景に一同は思わずその場に棒立ちする。
そこへ――
「――主!」
大男――ザフィーラが声を上げると同時に、マリアージュがルオンたちに
それに対してルオンは槍を構えながら、目に神経を集中させてマリアージュを睨み……
「――風巻突刺!」
ルオンは“視覚強化の固有技能”《極険眼》でマリアージュの
その直後、槍から細長い竜巻が伸びてマリアージュの核を貫いた。
核を失ったマリアージュはその場で爆発するものの、はるか遠くにいるケントたちやザフィーラなどの兵に届くことはなかった。
槍を構え次の敵を狙うルオンの横で、ケントも剣を構え――
「フライング・シュヴィンデン!」
ケントが技能を発動した瞬間、ルオンやを含めすべての敵味方の動きが
次の瞬間、ケントは止まったままの敵の眼前に迫り、紺色の魔力光を帯びた刃を振り上げて、敵の胸に収まっている核を斬り出す。
さらにその一瞬後、技能を発動したまま数マイル離れた敵の前まで跳び、その敵の核をも斬りだした。
そんな工程を五回ほど繰り返したところで、技能が解け、まわりが動き始める。
当然、マリアージュも動き、自爆を始めようとするが――
「――闇の書!」
ケントがその名を呼んだ瞬間、彼の腰に収まっていた闇の書は頭上まで転移し、ひとりでに頁を開く。そして――
『
闇の書が告げた瞬間、ケントが倒したマリアージュの
三頁埋めたところで闇の書は頁を閉じ、魔力を吸い取られたマリアージュは自爆もできず骸を晒す。それを見て、ケントは思った通りと内心で吐露した。
マリアージュが自爆する際、コアの魔力を使って自身の体を発火するため、魔力を失ったマリアージュは自爆ができなくなるのだ。
「そうとわかればこっちのものだ――フライング・シュヴィンデン!」
再びケントは技能を発動し、先ほど同様に四・五体のマリアージュを倒しつつ、魔力を奪い、また技能を発動させる。
そうして彼らがマリアージュを倒していくうちに、砦の前にいた異形たちはほとんどいなくなっていった。
すると――
「お、王子、マリアージュが空を――」
おもむろに兵が声を上げ、ケントとルオンは空を見上げる。
そこには三・四十体のマリアージュが浮いているのが見えた。まわりを飛ぶマリアージュには射撃砲が、中心を飛ぶマリアージュの腕にはそれより二回り大きな巨砲が付いていた。
「僚機の減少を確認。地上を捨て、空中からの制圧を開始します。敵将を優先的に攻撃を開始しなさい」
中心を飛ぶ《軍団長》がそう言うと、まわりに浮かぶマリアージュも一斉に眼下に砲口を向ける。
それを見て眼下の兵やわずかばかりいる飛行兵が射撃魔法を撃ってくる。その攻撃で何体かのマリアージュが撃ち落とされるも、マリアージュは即座に飛行兵や眼下の兵に砲身を向け、彼らを砲撃する。
そんな中、軍団長は地上に散らばる敵兵を眺め、そして見つけた。
「……コントゥア王子、ルオン・Y・R・アスル、発見。攻撃を開始――」
軍団長はそう声を発してルオンたちに砲を向けてくる。それを見て、ケントは剣を構え――。
「フレースショット!」
彼が唱えた瞬間、刃の先に三角の魔法陣が現れ、そこから数発の魔力弾が撃ち放たれ、頭上のマリアージュに向かって飛んでいく。
何体かのマリアージュが落とされる中、軍団長は砲を向けたままひらりと身をよじり、弾をかわす。
そして――
「――発射!」
軍団長の腕から300mmもの巨弾が撃ち出され、ルオンに向けてまっすぐ放たれる。
それを見て――
「ルオン――!」
ケントはたまらずルオンに向かって叫ぶ。だがルオンは落ちてくる球にむかって槍を突き出し――
「“展開”!」
そう告げた瞬間、槍の穂先が円状に開き、そのまま巨球を受け止める。
それを見てグランダム兵は目を見開き、ケントはほっとこっそり息をついた。
ルオンの槍《カズィクル》は防具としての機能も備えており、敵の攻撃を防ぐ盾にもなる。それも並大抵の攻撃では突破できないほど硬い盾だ。
ルオンはそのまま槍を振るって弾を弾き――
「逆巻突刺!!」
ルオンの手から放たれた槍は逆風を巻き上げながら、軍団長に向かっていく。軍団長は真横にかわそうとするものの間に合わず、ルオンの槍は軍団長の右脇腹に大穴を開けながらあらぬ方へ飛んでいった。
軍団長はふらつきながらルオンを睨み……。
「……損傷甚大……かくなる上は――」
その瞬間、軍団長は目を見張ったような表情を浮かべる。自身に向かって飛んでくる敵の姿が見えたからだ。その敵――ケントは魔力を帯びた剣を真横に構え。
「シュバルツ――ヴァイス!!」
穴の開いた脇腹から右に刃を滑らせた瞬間、敵の体は真っ二つに分かれ、胴から下が地面に落ちる。
しかし、上半分はケントの側を浮かんだまま……。
「かくなる上は、あなただけでも道連れに――」
その直後、軍団長の胸が白く光る。間に合わないかとケントが歯噛みした――その時。
「――っ!」
おもむろに軍団長の胸から腕が伸び、白いリンカーコアを曝け出す。さらにその腕の向こうから――
「主様、今のうちに蒐集を!」
シャマルの声が聞こえ、ケントはすぐに懐に手を伸ばす。
ケントが掴んだ瞬間、闇の書はひとりでに頁を開き、再び……
『
闇の書が告げた瞬間、軍団長のリンカーコアからおびただしい魔力が流れ出て、闇の書に吸収されていき、白紙だった頁が魔法の記述や式で15頁びっしり埋まる。それとともに軍団長の上半身も地面に落ちていった。
その瞬間、眼下から甲高い歓声が響いた。
軍団長が率いていたマリアージュもすべて撃ち落とされており、空にも地上にももうガレアの異形兵の姿はない。
――俺たちが勝ったんだ!
あちこちからそんな声が響き、兵たちは人目もはばからず抱擁を交わし、涙まで流す。
ケントも地上に降りてルオンと握手を交わす。
その様子を守護騎士たちは不思議そうな、だが久しく感じていなかった爽快な気持ちを抱きながら眺めていた。
◇
街から少し離れた街路で50ほどの壮年の男が二人、馬にまたがりながら街を眺める。少し白みがかっているが、二人の髪はルオンとケントと同じ色をしており、瞳の色も彼らと同じ配色の虹彩異色だった。
「煙が収まった……もしや息子たちの勝利かな」
「そう願いたいところだが、報告を聞くまで何とも言えん」
期待の声を漏らすコントゥア王ブラードに、グランダム王ザリアスはすげない返事を返す。しかし、その声色からはブラード同様、息子への期待と待望が篭っていた。
「しばらく見ないうちにケント殿も逞しくなった。彼とルオンが組めばガレアなど敵ではなかろうよ。伯父として甥を鍛えてくれた義母殿と、留学という形で経験を積ませてくれたシュトゥラ王には感謝しなくてはならんな……あと、あの者たちにもか」
怪訝そうに付け足すブラードに、ザリアスも同意の声を返す。
「《守護騎士》……さすがに儂もあのような者たちが現れるとは思っておらんかった。生まれたばかりのケントの傍に現れた魔導書……やはりあれは文献にある《闇の書》なのやもしれん」
そう零して顎に手を乗せながら考え込むザリアスに、ブラードは笑みを漏らす。
「ふっ、私は何者かの小細工だと思っておるがな。だが、もし本当に闇の書だったとしても、その力を私たちに向ける真似はせんでくれよ」
「安心しろ。犠牲を払ってまで守った国を攻めるような真似はせんわ。ただし、ガレアを倒した際はこちらの要求をある程度飲んでもらうぞ。儂らもただで助けてやったわけではないんでな」
釘をさすザリアスに、ブラードは「わかっている」とうなずく。
ちょうどそこで飛行兵がやってきて、ルオンとケント率いる軍の勝利とガレア軍の全滅を告げる。それが伝わった瞬間、王たちの後ろに控えている援軍からも歓声が上がり、そんな中で王二人も笑みをかわしていた。
その三日後、糧食と武器の補充を終え、態勢を整えたコントゥア・グランダム軍はガレア王国に侵攻し、数度の戦いを経てガレア本土を制圧。ガレア王国の王・イクスヴェリアと、彼女を傀儡に実権を握っていた宰相の捕縛に成功した。
宰相はその後、コントゥア王都の城前にて八つ裂き刑に処され、マリアージュ生成の技能を持つイクスヴェリアは生きたままグランダムに身柄を移される事となった。
それにより大陸東方を恐怖で支配していたガレア王国は滅亡し、東方諸国はひとたびの平穏を取り戻した。
しかし、これは新たな動乱の幕開けに過ぎず、それを知る者は“新たな敵”以外誰もいなかった。