色々と現実が詰まっているので書く時間があまりありませんでした。でも前回よりはマシです。何故なら意識がちゃんとあるから。前回みたいに眠い目をこすりながら6時ギリギリまで書いていないのでまだまともに読めると思います。
「壊理ちゃんの歓迎会じゃー!!!!準備はいいかー!?!?」
「「「うおぉぉぉ!!!!」」」
ここは雄英高校敷地内の1年A組の寮の1階。装飾で彩られたところには大きな垂れ幕が掲げられ『壊理ちゃん!!ようこそ!!』とデカデカと書かれている。
当の本人はソファに座りビクビクと体を小さくして緊張していた。
「こんな可愛い子と一つ屋根の下か〜。生きててよかった〜!!」
「おい
「過保護やね」
太陽は峰田の襟首を掴み上げる。ニッコリと笑顔だがそこから見える目はドス黒く殺意が潜んでいる。峰田は必死に暴れるもそのまま太陽によって外に連行される。
数分後、太陽1人だけ戻ってくる。
峰田は校内の青々とした葉のついた桜の木の下に埋められているのが次の日見つかるが今は関係ないだろう。
「よし、壊理ちゃん。食べたいものあったらなんでも食べてね!!ないものだったら今から作るから!!」
「はい!太陽くんの作るハンバーグ食べたい!!」
「うちも!!」
「蕎麦食いてぇ」
「僕はフレンチかな⭐︎」
「てめぇらには聞いてねえんだよ!!テーブルのスターゲイジーパイでも食ってろ!!」
「こんなもん食えたもんじゃねぇわ!ぼけ!!!」
「黙れ!!イギリスの人に失礼だろ!!」
「………ハンバーグ、食べたい」
「よし、今からハンバーグ作るわ」
「っしゃあ!!!!!」
「乙女にはあるまじき声が出ていましたが」
「ふっ、美味しいものにありつくには乙女を捨てるのも必要なんだよ」
1年A組全員集まった歓迎会は楽しい声で溢れていた。怪我をしていた緑谷や麗日、蛙吹がいる歓迎会は死穢八斎會事件の僅か1日後のことであった。
これには今日のことを話す必要があるだろう。
─────────────
死穢八斎會事件の次の日。つまり、歓迎会当日の午前8:00。
「みんな〜、元気!?」
「夢見くんにはこれが元気に見える?」
「見える」
全身に包帯を巻いた緑谷の病室に不躾に入ってくるのは対照的に無傷の太陽。
病院服に身を包んだ太陽は緑谷のベッドの傍の椅子に座る。
「あれ、事情聴取とかは?」
「終わった。死穢八斎會に誘拐されて壊理ちゃんのところに監禁されてたって言ったらすぐに終わったよ」
太陽の事情聴取をしたのは何度目かの再会である警察官の人と新たに塚内警部という人物。塚内警部はオールマイトとの旧い友人らしい。死穢八斎會にいた
事情聴取も終わると体の精密検査を受けた。壊理ちゃんには無数の注射跡や切り傷があったため共にいた太陽の体を調べざるを得ないのだろう。ありとあらゆる検査をしたものの呪文のおかげで健康体そのものなので何も検出されなかった。
「つーわけで、今から出久を治します」
「どういうわけ!?」
「まぁまぁ、《治癒》」
本来全治1週間ほど、リカバリーガールの力を借りれば4日ほどの傷がみるみるうちに癒えていく。
「うえぇ!?動かせる!?」
「そりゃあ治したんだから当たり前だろ」
「あ…ありが、と?」
「いいってことよ!それじゃ、他の人も治してくるから!!またね〜!!」
太陽が気紛れで病院内を徘徊しながら適当に今回の事件に関わったヒーローたちを治していると、背後から声がかけられる。
「夢見」
「ん?…相澤先生じゃん」
「話がある。壊理ちゃんについてだ」
太陽は壊理ちゃんという言葉に反応するように相澤先生についていく。ついたのは屋上。青空が空を覆い尽くし気持ちのいい風が彼らの肌を撫でる。
相澤先生は屋上に設置されているベンチに座るとフェンスに体を預けて空を見上げた太陽に言葉を投げかける。
「壊理ちゃんには身寄りがない。母親は精神疾患で精神病院、父親は〝個性〟の暴走で消失。唯一の身寄りがあの死穢八斎會だったらしい。…それで、だ。お前はどうする?」
「俺が引き取ります。壊理ちゃんの考えが一番ですけどね」
太陽はあっさりと当たり前のように話す。
「何故だ?孤児院に預けることもできるだろう?」
「〝個性〟がまた暴走したらダメでしょ。効果のない俺か相澤先生がいないといけない。……まぁ、後は。俺が助けたのにそこでほっぽり出すのは違う。助けたなら最後まで面倒を見てやらないと」
太陽はフェンスから離れると相澤先生の目の前に立って考えを宣言する。その目には一切の曇りがない。本心からそう考えているのだろう。
太陽にとっては人を助けることはその人の人生を決めつけることだと考えていた。人生に絶望して自殺する人を助けて、「もう自殺なんかしちゃいけないよ」で終われるわけがない。そのままだったら必ずまた自殺する。人の命を助けてそこで終わるはずの人生を勝手に伸ばしたくせに未来の指標も与えずに放置する気にはなれない。最低限、助けた人がこれから先をどう進めばいいかの選択肢を与えるべきだ。それが人を助けるということなのだから。
相澤先生はその目を見て安心したように笑みを浮かべる。
「そうか。ちゃんと考えているなら大丈夫だろう。俺個人としても何が起きてもいいように手の届く範囲に置いておきたかった。お前なら適任だろう」
「それじゃあ」
「あぁ、壊理ちゃんもお前と過ごしたいと言っていた。壊理ちゃんにはこれから寮で過ごしてもらう。お前の部屋の隣に空き部屋があっただろ?そこを使うといい」
「はい!!ぶち抜いて一部屋にしてもいいですよね!?」
「好きにしろ」
それから数時間後、太陽たちは退院することとなった。怪我がなかった者、何故か完治した者と病院にいるべきでない人物だからだろう。太陽の隣には壊理ちゃんがちょこんと立っている。今更気がついたことだが、リューキュウが少し若返っていた。精々5年ほどだが彼女にとってはとても嬉しいことなのだろう。病室に入った時でさえ手鏡で自分の顔を見ていた。肌にハリが戻ったのが一番嬉しいらしい。鱗にハリ?人間形態だしいいのか?
「夢見くん、本当に無事でよかったわ」
「うわ〜!!不思議不思議!!なんで角あるの!?なんでこんなに可愛いの??!!!」
リューキュウやナイトアイといったヒーローも太陽の《治癒》によって完治したため同じく退院である。リューキュウが改めて太陽の生存を喜んでいる傍で波動は壊理ちゃんに絡んでいた。子供特有のぷにぷにほっぺを突いている。
「本当に退院していいのかな…」
「漢らしくねぇな!!夢見が治してくれたんだから帰ろうぜ!!」
「そうそう、てか出久がまだ居たいなら居ればいいよ。怪我も治ってるのに居る意味ないけどね!!」
「まぁそうだけど。全治1週間が一晩で治るなんて………効果的にはリカバリーガールも凌ぐ効力。使われた時は脱力感も何もないからリカバリーガールみたいな使った相手から何かを消費するものではない……」
「また、始まったよ。緑谷くんこうなったら長いんよね」
「ほんとよ。早く帰りましょ」
太陽は傾き始め空は青からオレンジへと移り変わっている。雄英組はそのまま雄英高校へと、ほかのプロヒーローはそれぞれの事務所へと帰っていく。
太陽たちが寮へと着き玄関扉を開けるとそこには心配そうなクラスメイトがいた。
「うおぉぉぉおおおお!!帰ってきた!!!」
「大丈夫だったか〜!?」
「ニュースで報道されていたので心配しましたわ!」
「太陽くん!大丈夫だった!?」
「けっ」
玄関に入り靴を脱ぐこともできずにクラスメイトに揉みくちゃにされてしまう。
「どけどけどけ〜!!!うちの壊理ちゃんが困ってるでしょうが!!」
太陽は大きな声をあげてクラスメイトを牽制する。その言葉通り、太陽の腰にヒシリと抱きつく形で壊理ちゃんがいた。
その目には涙が浮かんでおり人の多さに困惑したのだろう。
「うえぇ〜!?何この子!?可愛い〜!!!」
理性を取り戻した葉隠が真っ先に近づいて壊理ちゃんを抱き上げる。真っ白い髪に赤い目という愛らしい姿に手が出てしまったのだろう。他のクラスメイトも壊理ちゃんのことに気づく。
「誰ですか!?この女の子は」
「くっ、オイラはロリコンじゃないのに……」
「おい、
「なんで〜!?」
太陽のドスの効いた声が峰田に届く。クラスメイトはそんなことはお構いなしに壊理ちゃんに興味津々の様子。男性陣は無闇矢鱈に触れないので眺めているが、女性陣は同性のため頬をプニプニしたりと結構好き勝手にしている。
一通り弄り終わったのか葉隠は太陽へと振り返って質問を投げかける。
「それで、誰なの!?」
「今日からうちで暮らすことになった壊理だ」
「へぇ〜!壊理ちゃんっていうの!?宜しくね!!」
「…よろしく、おねがいします」
壊理ちゃんは女性陣の包囲網を切り抜け、太陽の背後に隠れる。そこから顔だけ出して挨拶をした。
「部屋は俺んとこだから」
「女子棟じゃないの?」
「俺が一応保護者だから俺の部屋。隣の空き部屋も使うから問題ないよ」
「私…お兄さんと一緒がいい」
「お兄さん呼びだって!?オイラも呼んでくれ〜!!」
「…………カス?」
「なぁ、埋められたいか?」
一通り話し終えると太陽たちはクラスメイトから解放された。
そして荷物を部屋に置き終わると太陽と壊理ちゃんは共同スペースへと降りてくる。
そこには既にクラスメイト全員が集まっていた。
「あれ、みんないるんだ?」
「そらそうよ!!みんな壊理ちゃんについて知りたいの!!」
「あ〜ね。壊理ちゃん、みんなのとこ行ってていいよ。俺はすることがある」
「…うん」
壊理ちゃんは小走りに葉隠たちの方へと向かう。
太陽はそれを見て安心すると、側に来ていた峰田を見る。
「逃げなかったのは褒めてやる。さぁ、吊し上げるか」
「ご慈悲を!!どうかご慈悲を!!!」
「やだ」
峰田はロープでぐるぐる巻きにされると天井から吊るされる。その姿はまるでデカい蓑虫のよう。
「降ろして〜!!」
それから壊理ちゃんに質問が飛び交い、壊理ちゃんの壮絶な過去が明らかになったりして、夕食の時間へとなった。
─────────────
そして今に至る。
「おら、ハンバーグの出来上がりだ!!」
全員(峰田を除く)の前にハンバーグが置かれる。
「こんな速くできるものなの!?」
「タネは作ってたからな。あとは焼くだけだから簡単だよ」
「そうなんだ。じゃあ、いただきまーす!!」
「「「いただきます」」」「…いただきます」
ハンバーグに切れ目を入れると肉汁と中に入れていたチーズが溢れ出る。
一口口に入れると肉の旨みとチーズの味が口腔に広がる。
「うまっ!?」
「おいしー!!!!」
「っ!?おいしいですわ」
クラスメイトはそれぞれ感想を言いながらパクパク食べ進める。
1人壊理ちゃんは一口一口噛み締めてハンバーグを食べている。
「…………おいしい」
「いつでも作るからね」
「…うん!」
壊理ちゃんの向日葵のような笑顔が咲く。
そして、歓迎会は恙無く、そして盛り上がって進行した。
夜。お風呂を済まし寝るだけとなった太陽と壊理ちゃん。まだ、空き部屋と太陽の部屋との壁をぶち破っていないため太陽と壊理ちゃんは同じベッドで寝ることとなった。
壊理ちゃんは今日の歓迎会が楽しかったのか優しい寝顔で既に眠っている。太陽は壊理ちゃんの髪の毛をひと撫でするとゴロリと寝転がりその意識を手放す。
やくざ編は一先ず終了。