ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 俺はスーパーベジータなので初投稿です。

 誤字指摘ありがとうございます…!
 3度チェックしたはずなのに…!


其之百十ニ 泣き虫と王子

 

 ベジータとラディッツが精神と時の部屋に入ってから2ヶ月…外界では4時間が経過したころ。

 

 ベジータはついに、サイヤ人の限界を超えた。

 自らを「スーパーベジータ」と名乗る彼に少しばかり生暖かい視線をラディッツが投げかけていたのはいうまでもない。

 

 「…貴様はどうだラディッツ?この2ヶ月、何も進歩がないようだが?」

 

 基礎パワーは大きく向上した。

 スタミナもついた。

 今なら一回きりの文字通りの切り札だった「大猿の力」を数回は使用できるだろう。

 しかしソレではダメだ。

 あの怪物セルにはそれだけの武器ではとてもじゃないが太刀打ちするのは難しい。

 

 「クソッタレ…!」

 

 この数年間、ラディッツはさまざまなトレーニングを積んできた。

 重力下での組み手、ヤードラットでの修行、そしてここ精神と時の部屋での修行。

 そのどれもが思った結果を残すことはできなかった。

 小籠包と同じようにラディッツ自身も壁を感じていたのだ。

 彼女を前に弱音を吐くなどなけなしのプライドが許さなかったのである。

 

 ーーーここが俺の限界なのか…?

 

 脳裏にチラつく「才能」の2文字。

 ベジータに負けるのはいい、ソレこそ「血統」の2文字で説明がつく。

 下級戦士である自分があのクウラを倒せたこと自体大金星…人生のピークを語ってもいいだろう。

 

 それだけなら、それだけならまだ彼も納得した。

 

 …しかし、弟のカカロットはどうだ?

 彼は神精樹の実に頼らずに己が潜在能力を、限界の壁を何度も何度も打ち破ってきた。

 同じ下級戦士であるにも関わらずだ…!

 

 にいちゃんはすげえ!

 そんな風に背を追いかけられる反面、彼は焦っていたのだ。

 このままの成長スピードでは確実に弟に超えられる。

 兄として、戦士として、そして小籠包の前に立つ一人の男として、彼は何としてもここで限界を超えねばならなかった。

 

 ただただ悪態を吐くしかできない同胞、2ヶ月前まではもう少し張り合いのあった一度はライバルと認めた男の不甲斐なさにベジータは舌打ちを打った。

 

 「そうやって腐っていろ。貴様に1%でも期待した俺がバカだったぜ。」

 

 落ちぶれたライバルを慰め、共に悩んでやるほどベジータは甘くない。

 何より今のラディッツはかつて弱虫と詰ったあの時と同じ…いやそれ以上につまらない存在だと彼は感じた。

 

 もうかける言葉などない。

 一人ベジータは黄金の気を纏い直して再び鍛錬に打ち込み始めた。

 メタルクウラを相手にしたあの瞬間…確かにラディッツは宇宙一の実力を持っていた。

 確かな地力と「大猿の力」という最大のユニークな力を持ち合わせる最高の戦士。

 ソレがどうだ?

 ()()()()()()()()()()()()()でウジウジと悩む情けない奴。

 フリーザの下で手となり足となり命令通り働くあの時に比べれば自分たちは遥かに自由で誇り高く生きられる。

 あの頃に比べれば伸び悩むことなどむしろ本望だ。

 己が限界に挑むことこそ戦士として、サイヤ人としての本領である。

 

 ーーーだからお前はその程度なんだ、「弱虫ラディッツ」め。

 

 地球で再開した時は多少は骨のある奴になったと感心したのに、やはり心根は何も変わってはいない。

 

 落ちこぼれとは、何かを得られない者のことではない。

 得られたモノをどう活かすかを知らない者、ソレを活かすことができない存在。

 

 今のラディッツが正にそうだ。

 負け犬と呼ぶに相応しい同胞は見るに堪えない。

 そんな雑魚に構っている余裕などベジータには無いのだ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()ではセルには敵わない。

 もっと強く、この力を更なる高みに連れて行かねばならない。

 

 ーーー俺はまだ、小籠包(あの女)を超えただけに過ぎん…!

 

 スパーリング相手にちょうどいいと選んだのだが、これなら天津飯とないう地球人の方がまだマシだった。

 

 さて、そんな「弱虫」の烙印を押された当の本人はといえば…

 その姿を一度居住区に戻し一息入れていた。

 彼らにできていたことが自分にできないのか、一体何が違うのか、足りないのかを考える為である。

 

 こういう時、小籠包は良い切り口を出してくれる。

 今ここに彼女はいない。無いもの強請りをしても仕方がない。

 ソレを聞く為だけにノコノコと部屋を出てアドバイスを求めに行っては、ソレこそ彼女に殴られるだろう。

 

 彼女はたった1日で恐るべきパワーを身につけて出てきた。

 しかし…自分が今のペースで修行して本当にセルを超えられるのか?

 そんな疑問ばかりが脳裏をよぎる。

 このままでは地球はもちろん、大事な女も怪物に喰われてしまう。

 そんな焦燥感ばかりがラディッツを襲うのだ。

 

 「親父よぉ…情けねぇなぁ。」

 

 地獄で待っているであろう父の冷たい視線を思い出す。

 彼は下級戦士でありながらエリートさながらの戦闘力を持っていた。

 その強さの秘訣は何だったのかを聞いておくべきだった。

 …いや、聞いたところできっと教えてはくれないだろうが。

 そもそも、惑星ベジータが消滅した折に…両親の死を「どうでもいい」と鼻で笑った自分が今更彼を思うなどとムシがいい話である。

 

 ーーー俺は昔からそうだ、都合のいいことにしか目に入らない。ベジータが今も黙々と鍛錬を続けてる時だって……。

 

 ぱちり、と瞬きをした。

 

 ベジータ、カカロット、そして自分。

 一体何が違うのかと先ほどまで悩んでいた。

 特別な何かがあるはずだ。小籠包が自らを進化させる為に日々工夫するようにと。

 だからここにきて様々なことを試した。

 気を最大まで落としながら修行をしてみたり、基礎訓練を積み上げたり、瞑想により気のコントロール技術を高めたり。

 その全てがこの異空間ならではと絶大な大きな効果を期待して。

 その間、ベジータは一体何をしていたかをよく思い出してみる。

 

 ーーー何もしていない。特別なことは…なにも…!…毎日毎日、この精神と時の部屋で同じ訓練を…ひたすら…!

 

 がたり、と椅子の倒れる音が響く。

 ここにきて思い知る。

 小籠包と自分との差、ベジータと自分との差、弟と自分の差。

 今の自分に足りないもの。

 

 彼女と同じやり方をして強くなれるはずがない。

 何故なら彼女は地球人のヤードラット人のハーフ、戦士としてはあまりに向いてない非力な種族のハーフである。

 小籠包には()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

 対して自分はどうか?

 彼女のおかげで自分は格段に進歩を遂げて自信をつけた。

 ソレが「自分の隠れた才能」と信じて疑わなかった。

 そんな都合のいい理由に飛びついてしまった。

 

 自分がなぜ強くなれたのかを真剣に考察しなかった。

 

 「俺には、サイヤ人の肉体がある。…これを鍛えずして…何が限界だ…!」

 

 バーダックの強さの秘訣?ベジータの進化の理由?

 単純な話、二人は「地道に努力」をして至ったに過ぎない。

 むしろ「地道な努力」こそがサイヤ人にとって最高の進化薬なのだ。

 この体は、サイヤ人の肉体はどこまでも強くなれるはずなのだ。

 

 「ッ……こうしてはおれん!!」

 

 今こうしてる間にもベジータは淡々と戦闘力を上げていくだろう。

 1日1%でも戦闘力をアップさせたのなら、60日もあれば2倍近くまで伸び代があるだろう。

 …いや、高い戦闘力は更なる目覚めを誘発させることを考えればそれどころの騒ぎではない。

 

 彼は元来考えるより動くタイプの戦士である。

 脱ぎ捨てたボディアーマーを引っ掴んで部屋を飛び出した。

 途端、凄まじい熱風が彼の頬を焼け焦がす。

 …だが問題ない。

 サイヤ人は戦闘民族だ、これくらいの悪環境だろうと問題なく生存できる肉体をそなえている。

 

 ーーーやってやるぞ…この肉体を限界まで鍛えてやる…!

 

 視界の端に映るベジータと、記憶の中のカカロットの動き、彼は敢えて最も敬愛する殺し屋を今は脳内から消し…同胞達に倣うことにした。

 彼が地球に来る前のラディッツなら「くだらん、下級戦士がベジータを超えられる訳がない」とこの猿真似すらせせら笑い、才能の差と吐き捨ててチャレンジすらしなかっただろう。

 そこが彼を「弱虫ラディッツ」にした所以である。

 

 心機一転から一ヶ月が経過した。

 僅かながら彼の戦闘力は向上した。

 …しかしわずかな自身の変化を感じ取れるほど彼は器用ではない。

 無意味かもしれないという焦燥感は、逆に彼を燃え上がらせた。

 

 二ヶ月、大きな肉体の変化はないが、確実にスタミナはついてきてるだろう。

 もうラディッツはベジータと同じ進化の方向を取らないことにした。

 ベジータの境地に至るより己の戦闘力とまっすぐ向き合うことにしたのだ。

 サイヤ人の王子と同じ成果を挙げるだなどと烏滸がましい…!

 通常状態の戦闘力があがれば、自然とスーパーサイヤ人としてのラディッツも強くなるはずだ。

 その一心で彼は淡々と鍛錬を続ける。

 

 三ヶ月…視界の端から鬱陶しそうな視線が突き刺さる。

 よほど自分が新たな境地に至らないことが気に入らないらしい。

 新たな境地に至ったベジータもここ最近で大きな伸びは見せていないように感じる。

 …ソレは自分も同じなのだが。

 

 四ヶ月…最早視界の外からの視線が気にならなくなった。

 よく動き、よく食べて(クソまずい飯だが)、よく寝る。

 決してオーバーワークはしない。

 …これも弟からの受け売りだ。

 辛いだけの鍛錬なんて修行でも何でもない。

 今ならその言葉の意味が少しだけわかったような気がする。

 

 半年…合計で八ヶ月。外界では16時間が経過しようとしていた。

 よく寝たと…今日は-38度の超極寒。

 水も一瞬で凍結するだろう気温の中、大きな伸びを一つ。

 冷える体にウォームアップをしてる最中のことだった。

 

 「…来いラディッツ、久しぶりに遊んでやる。」

 

 既に戦闘服を纏い、そろそろダメージの無視できなくなったグローブを着用するベジータが彼を待ち構えていた。

 舌打ちをされたあの日以来、一度も口を利かなかったのだが突然のことにラディッツは言葉を失った。

 

 「ふん、怖気ついて声も出ないか、流石弱虫ラディッツだな。」

 「バカを言え、口の利き方を忘れたのかと思ってびっくりしただけだ。」

 

 もちろん、虚勢である。

 今の自分が果たしてベジータに及ぶのだろうか?

 そんな不安。

 これからの戦いはラディッツの半年の成否を問うことになるだろう。

 ソレがたまらなく怖いのだ。

 いくら覚悟を決めたところで怖いものは怖い。

 

 「だったらかかってこい。お前の努力など無駄だと教えてやる。」

 

 ここまで言われたら引き下がるわけにはいかない。

 久しく触れてこなかったサイヤパワーを引っ張り出す。

 この半年感、敢えてスーパーサイヤ人を封じてきた。

 元々通常の戦闘力を底上げするのが目的だったのだから当然なのだが…。

 

 「どうした、さっさと構えろ。」

 

 いやに急かして来る王子を訝しみながら久しぶりに己が頭髪を金色に染める。

 直後、自身の内から溢れ出るパワーに驚きの声を隠せなかった。

 ベジータのこめかみが僅かに揺れたことに、ラディッツは気づかない。

 

 「ッ…、こ、これは…!」

 「…やはりな、ちっ…この俺様を2度も出し抜くとは…!」

 

 彼もスーパーサイヤ人になるが…あの「スーパーベジータ」ではなかった。

 

 「俺相手に本気は出さないつもりか?」

 「貴様などこれで十分だということだ。」

 

 ベジータは敢えてあの変身を封印しているが、その理由がわからない。

 気の大きさは互角…いや自分の方が僅かに小さいが…ベジータの性格を考えるなら意気揚々とスーパーベジータとやらで圧勝するのではないか?

 

 「その余裕を後悔させてやるぞ!…ずぁ!!!」

 

 まっすぐ、サイヤ人の王子目掛けて突進。

 勢いに任せてその胸元目掛けて片脚を突き出す。

 挨拶代わり蹴り1発。ソレをベジータは両腕で受け止めた後にすかさずその足首を掴み、ジャイアントスイングで上空目掛けて投げ飛ばす。

 

 「…ッちィ。」

 

 体勢を崩され、舞空術で一回転して受け身を取る。

 視界から外れた一瞬の隙にベジータの姿が消えた。

 しかし…気は追っている。

 目で追うまでもない。彼は自身の頭上にいる…!

 

 「舐めるなぁ!!」

 「!!」

 

 ノールックの背面エルボー、ダブルスレッジハンマーでの追撃を構えていたベジータの瞳が僅かに揺れた。

 鼻先に肘鉄が食い込むコンマ1秒手前でその姿が消える。

 気の放出による暴力で一瞬で背後に退避。

 

 大ぶりの攻撃に対するカウンター…ソレを外したラディッツは再び体勢を崩した。

 その隙を見逃さない天才戦士ではない。

 掌をむけて静かに気を高めたソレはベジータの必殺技だ。

 

 「ビッグバン・アタック。」

 

 避けられない、間に合わない。

 ならばとラディッツは気を全身に纏わせて防御の姿勢を取る。

 ベジータに倣い気の暴力による強引な防御。

 半年前ならこの防御には何の意味もなかっただろう。

 

 爆炎の先には濃密な金色のオーラを纏ったほぼ無傷のラディッツがそこにいた。

 お返しにと片腕に莫大なエネルギを纏わせて。

 

 「プレゼントをくれてやるぞ!!!」

 

 彼のように上等な技名をつけるつもりなどない。

 しかしそのエネルギーは確かな圧縮、気のコントロールを施された必殺技と呼んでいいものだ。

 小さいながらも強力なエネルギー弾が今度はベジータ目掛けて放たれる。

 

 「くだらん…!」

 

 もちろんただで受けるベジータではない。

 彼への意趣返しのつもりか、自身も黄金の気を全身に纏わせる。

 下級戦士にできるのなら自分にもできる。

 そんな自尊心が生み出した最大の隙。

 炸裂したラディッツの気功波は凶悪な爆裂を引き起こす。

 

 この一瞬、視界も、気の探知も封じられる。

 ベジータ自身が撒き散らしたラディッツの気に紛れて今度はラディッツがベジータの背後を奪う。

 

 「喰らえェェェェ!!」

 

 完全なる不意打ち、目も気も封じれば流石のベジータでも受けざるを得ない。

 

 「バカめ!!見えているぞ!」

 「おぐ!?」

 

 肘鉄がラディッツの鳩尾を確実に捉える。

 肺からすべての空気を搾り出され、口端から粘着く唾液が滴り落ちる。

 

 ーーーバカな…!完全にベジータの裏をかいたはずだ…!何故反応できる…!

 

 衝撃に視界を塗り潰されてもまだ辛うじて意識は残されている。

 しかし、ラディッツが意識を取り戻す前に、ベジータは高々と振り上げた片脚を振り下ろす。

 脳天に全体重を乗せた強烈な踵を落としを喰らって、確実にラディッツの薄れた意識を刈り取った。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 ラディッツが何かに思い至った様子で鍛錬を再開した。

 

 始めは今まで通り無意味でがむしゃらな特訓をしているように見えた。

 彼の性根はよく知っている。

 基本的にヘタレで、筋の通らない半端者。

 自分の猿真似をしようとしてたのはすぐにわかった。

 

 ーーー無駄な努力だ、精々頑張るんだな。

 

 何だかんだ、一度切り捨てても這い上がる根性のある同胞には目をかけたくなるのがサイヤ人の王子ベジータである。*1

 

 気になる事があるとすれば…。

 ラディッツは()()()()()()()鍛錬をしていたことだ。

 何を考えている、などと思いを馳せては見たが、考えなしに自身のオリジナルの要素を織り込んだのだろうと結論付けた。

 

 事態が変わったのは三ヶ月程経った頃だ。

 

 ーーー…アイツ、何故スーパーサイヤ人にならんのだ。

 

 尚も自身の姿勢を崩さず…そして見たことない鍛錬法を織り交ぜた肉体改造…恐らく地球の鍛錬法を取り入れたのだろう。

 頑なにスーパーサイヤ人にならない彼にベジータは苛立ちを隠さなかった。

 既にラディッツの気は大きな変化が始まっている。

 ここに入った時とは別人レベルだ。

 少なくとも一ヶ月前の自分…新たな境地に目覚めた頃の自分を確実に超えているだろう。

 

 ーーーだとしても、今の俺様の敵ではないがな。

 

 ソレはいい、当然のことだ。

 問題なのは…ラディッツが自分と同じステージにいたれたのかどうか、である。

 彼を切り捨てた以上、自分からその成果を尋ねるなどごめんだ。

 そのうちその成果を確認するタイミングがあるだろう。

 そのタイミングに皮肉の一つでも言ってやればよい。

 

 …が、ラディッツはいつまでもスーパーサイヤ人を解禁することはなかった。順当に気の大きさを膨らませていく。

 対して自分は新たなスーパーサイヤ人の更なる境地にまで開眼した。

 着実に進化をしている。

 これが使い物になる変身*2かどうかは置いといて、だ。

 

 もう1年の半分以上を使った。

 そろそろ自身の伸び代にも限界を感じた頃合いである。

 限界の壁を何枚も超えたのだから当然だ。

 問題はラディッツである。

 既に同程度の気を得た彼の成長は翳りを見せる様子が微塵も感じられない…。

 むしろここにきて更に力をつけているようにすら感じるのだ。

 

 ーーーどうなってやがる、クソッタレ…!俺は…サイヤ人の王子だ…またも下級戦士に遅れを取るというのか…!!

 

 これ以上下級戦士にヤキモキするのは時間の無駄、何より彼の戦士としての好奇心がプライドを乗り越えてしまったのだ。

 

 目の前で構えるラディッツを見て天才戦士は悟った。

 

 ーーー…こ、コイツ…あの形態になれなかったんじゃない…!ならなかったのか…!こ、この俺様を踏み台に……!

 

 この兄弟はいつもそうだ…!

 自身の上をあっさりと言ってしまう…!

 サイヤ人一の才能を持っているはずのこのベジータが、これほど努力をしているというのに…!

 

 更に彼の神経を逆撫でしたのはこの後のラディッツの態度だ。

 …まるでこの成長が予想外の成果だとでもいうように、そもそもこいつは何か考えを持って鍛錬をしていたのかすら怪しいときた…!

 

 ーーーこ、こんな間抜けに…!俺様は出し抜かれたと言うのか…!!

 

 こめかみに青筋が立つのを感じる。

 ここまで苛立ったのは久しぶりだ…!

 これでは何のかんのと色々考えて振り回されていた自分がまるで甲斐甲斐しい男のようではないか!!

 

 ーーー許さんぞ〜…!ラディッツ!!!

 

 スーパーベジータとなれば圧勝だろう。

 しかし、ソレは彼のプライドが許さなかった。

 相手が変身をしないのであれば自分も同じ土俵に立つまでである。

 

 その結果は、承知の通りだ。

 

 

 

 「ラディッツ如きに()()()()()で戦うことになるとはな…!」

 

 蓋を開けてみれば組み手はベジータの圧勝だった。

 しかしこれは単純な戦闘IQの差で勝利したにすぎない。

 ベジータにとってこの勝利は辛勝以外の何者でもない。

 そして何より、彼が無意識のうちに自分を出し抜いたことがこの上ない屈辱だった。

 相手が自分を踏み台にすると言うのなら、ソレをさらに踏み越えるまでである。

 

 「…見ていやがれ…ナンバーワンはこの俺様だ…最後に笑うのは…このベジータ様だぁぁ!!」

 

 溜まり切ったフラストレーションを黄金の闘気に換えて放出する。

 彼の覚悟が金色となってオーロラ輝く精神と時の部屋の果ての無い空に高く高く舞い上がった。

 

 

*1
ツンデレと言ってはいけない

*2
ご存知ムキムキのあれ





 戦闘力更新

 ベジータ
 基本最大:600万=>2億
 超1-1:3億=>100億
 スーパーベジータ:150億

 ご存知サイヤ人の誇り高き王子。
 凄い伸びてるように見えるが、これまで伸びてなさすぎ定期。
 凄いね、精神と時の部屋。

 スーパーサイヤ人を超えることに固執した結果、見事に下級戦士に出し抜かれてぐぬぬしている。
 この頃のベジータって割と仲間意識強いんじゃね?というのが筆者の個人的感想。
 アレコレ考えて、何してんだ…何企んでんだ…!
 とヤキモキさせられる系王子。
 これではヒロインみたいではないか。

 ラディッツ
 基本最大:2200万=>1.5億
 超1-1:75億
 in大猿パワー:225億

 ついにベジータに追い抜かされた。
 やっぱりドーピングは身体によくないよ!
 お前のことやぞターレス。

 ベジータがアレコレ想像してたが結局何も考えてませんでしたと言うオチ。
 悟空にしてこの兄あり。
 よく似た兄弟…に見えて多分ラディッツの方がアホアホ脳筋。
 師匠が師匠だし、嫁がアレだし、脳筋になるのは致し方なし。
 技に傾倒しすぎない辺り一番サイヤ人らしいのではと思ってる。
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