ドラゴンボールAT   作:澄ましたガール大好きおじさん

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 お待たせしました。少しずつ更新していきます。
 待たせて申し訳ないので初投稿です。


其之百十三 帰ってきた二人の戦士

 

 「武道大会か…面白ェことを言いやがる。」

 「まだ決まったわけではない。全てはベジータとラディッツにかかっている。負けるにしても…ソレなりの負け方をしなければセルは納得せんだろう。」

 「…ちくしょう!オラ達が先に入るべきだったなぁ悟飯。」

 「でも、お父さん、ベジータさんが譲ってくれるとは思えません。」

 「悟飯のいう通りだ、特に相手はお前だ、絶対に譲らんだろう。」

 「何でだ?別にオラ、ベジータに何かしたわけじゃねーぞ?」

 「…そういう所がベジータの癇に障るんだ。」

 

 ピッコロの命懸けの交渉によって、何とか即地球滅亡の危機は回避された。

 その答えがわかるのはまだ先の話。

 

 「セルは…納得してくれるでしょうか…?」

 「慌てたって仕方ねぇ、ベジータ達に賭けるしかねえな。」

 「…そうですね。」

 

 そんな悟飯の目線は神殿の片隅で静かに瞑想する小籠包に向いていた。

 

 「今のアイツは怖いか?悟飯。」

 「天津飯さん。」

 「悟飯の前ではああ言う一面を見せないようにしていた。チチに叱られるからと言っていたが…本心ではお前に嫌われたくなかったのだろうな。」

 「……小籠包さん。」

 

 昔を思い返す、確かに彼女は自分にとてもよくしてくれた。

 最近は、父やピッコロとの修行が多いが…彼女が地球で死ぬ前はよく遊び相手にもなってくれたし、ちょっとした稽古をつけてくれたような気もする。

 

 「今のアイツにはソレを気にする余裕もない。アイツの中で師匠はとても大きな存在なんだ。」

 「分かります、僕もピッコロさんがナッパに殺された時は我を忘れましたから…。」

 「そうか、…よかったらお前からも何か言ってやってくれないか。今のアイツには時間よりお前のような純粋な気持ちが必要だと思うんだ。」

 「分かりました。」

 

 天津飯の言葉でようやく決心がついた。

 思えば最後にまともに会話をしたのはナメック星の時以来な気がする。

 溢れ出る殺気を抑えるためなのか、坐禅を組んで静かに瞳を閉じる様は確かに自分の知る優しいお姉さんではなかった。

 ソレでも、もし彼女が苦しんでいるのなら少しでも手助けがしたい。

 そんな一心で悟飯は彼女に歩み寄った。

 

 「小籠包さん、少しお話しませんか。」

 

 開いた眼に息を呑んだ。

 その瞳はいつもの彼女ではなかった。

 大きな黄色の瞳に黒の瞳孔がギラリと光る。

 触れるもの全てを傷つけるような気配。

 これがかつて「鬼姫」と呼ばれた殺し屋としての彼女の顔なのだろうか。

 恐らくはない。むしろ新鮮という感情の方が上回った。

 

 「ごめんね悟飯くん。後にしてくれる?」

 

 感情を押し殺した平坦な声。

 彼女からしたらソレは脅しを意味する。

 それ以上関わるなと。

 

 「できません、小籠包さんが苦しんでるのを、黙って見てるわけには行きません。」

 「…これが最後よ。孫悟飯…消えなさい。」

 

 黒の瞳孔がぎゅるりと三白に歪む。

 …凄い威圧感だった。

 でも不思議と怖くはなかった。

 

 「いやです。一人でいるより、気が楽になると思います。」

 

 フッ、と彼女の緊張が緩む気配がした。

 観念したように小さく笑うと…やっと剥き出しの殺意が少し引っ込んだように感じた。

 

 「…大きくなったね。」

 「そうですか?ナメック星の時から余り背は伸びてないと思います。」

 「そういうとこ、お父さんにそっくりだよ。」

 

 ふふ、と楽しそうに笑うその顔は悟飯の知る小籠包だった。

 坐禅を解いた彼女は隣の空間をこん、こん、と叩く。

 そこに静かに座った悟飯に彼女は静かに口を開いた。

 

 「…そういうところがマジュニアを変えたんだろうな。」

 「ずっと聞きたかったんです。マジュニアってなんですか?」

 「アイツ、私にはそう名乗ったからね。」

 

 いつかのやりとりを小籠包は思い出す。

 

 ーーー名前、なんていうの。

 ーーーピッコロだいまおうだ。

 ーーーピッコロ大魔王って世襲制なのね?呼びにくいから別の呼び名はないの?

 ーーー…マジュニアとよべ。

 

 彼女がピッコロに自我を与えてしまったキッカケの一つ。

 洒落が利いていていい名前だと思ったのは今でもよく覚えている。

 かつてこの行為を後悔したが、今のピッコロを見れば結果オーライだったとも言える。

 

 「ピッコロさんに、そんな名前が?」

 「今まで通りで良いんじゃない?アイツもそう呼べってさっき言ってたし。」

 

 それに大人しく従う彼女ではないのは言うまでもない。

 

 「小籠包さんは、ピッコロさんの師匠…なんですよね?」

 「そんな上等な物じゃないよ、私はアイツを叩きのめしただけ、アイツが勝手にーーー嬉しそうだね?」

 「だって、ピッコロさんと同じこと言ってますから。」

 「……あっそう。」

 

 バツが悪そうに頬を掻くことしかできない。

 ニコニコ笑っていた悟飯だったが、その顔がフッと険しくなった。

 

 「…小籠包さんは必要に迫られたら、僕らの敵になりますか?」

 

 彼女の瞳孔が細く鋭く尖る。

 悟飯が何をしにここに来たのかを彼女は察した。

 

 「必要になったらね。」

 「お父さんを…地球のみんなを、殺すんですか?」

 「必要になったらね。」

 

 彼女の変わりように少しばかり怯む。

 今隣に居るのは小さい頃から優しく面倒を見てくれていたお姉さんではない。

 師であるピッコロが悪と断じた、冷酷な殺し屋だった。

 ヒトとはこうも二面性が出る物なのだろうか。

 

 「でも、そうはならないかな。」

 「え…?」

 

 目の前の狂気を孕む女に対峙するために、覚悟を決めんと瞬きをしたその僅かな隙に、殺し屋は消え失せていた。

 

 「悟飯くんが地球を消す、なんてフリーザみたいなことを言い出したら、別だけど。」

 「そ、そんなことしません!」

 「だったら、私は君の味方だよ。故郷(この星)が大好きだからね、私。」

 

 師匠でも、間違う事もあるのだと悟飯は確信した。

 

 「ならよかったです!」

 「…余計なことを吹き込んだのはマジュニアか。次は念入りにボコボコにしないとね。」

 

 …そう言うところがピッコロに悪人と断じられる要因なのでは…?

 などと、悟飯は口が裂けても言えなかった。

 これが彼らの取れる唯一のコミュニケーションなのだと、師を見て察していたからだ。

 彼は頭の良い少年なのである。

 

 「はい、ピッコロさんも待ってると思います。」

 「…あっそう。」

 

 毒気を完全に抜かれてしまった小籠包は半目を明後日の方向に向けるしかなかった。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 悟飯との会話を終えて数刻後、天津飯の元にすっかりトゲの抜けた妹弟子が現れた。

 

 「多少は落ち着いたようだな。」

 「やっぱり天兄の差金か…。」

 

 孫悟飯は、自分が近寄るなと言えば素直に引き下がる。

 …にも関わらず食い下がったのは誰かの後押しがあったからだ。

 

 孫悟空はあのような小賢しい手を使う男ではない。

 ピッコロはそもそも自分にこんな気遣いをしない。

 だったら後は天津飯だけである。

 

 「お前は悟飯には甘かったからな、良い薬になっただろう。」

 「劇薬だったよ、いつからそんな小賢しい男になったの。」

 

 …とはいいつつも、こと戦い以外では意外と姑息だった気がする。

 

 「鶴仙流の戦士は手段を選ばんのさ」

 「都合のいい時だけ鶴仙流に戻らないでくれる?私と一緒に捨てた癖に。」

 「お前は捨ててないだろう、桃白白を師と仰ぎ続けてるのだから。」

 「とっくに破門されてます。」

 「破門されてようがいまいが、お前が奴の弟子を名乗るのなら鶴仙流と言っていいだろう。俺はもう鶴山人は師とは思ってない。」

 「現に悟空達も、とっくに武天老師様からは破門同然と言われてるしな。」

 「…彼らの場合は免許皆伝でしょ。」

 「そうとも言うな。」

 

 そうとしか言わないでしょうが。

 …などと返す刃はあったがそれを出す気にはならなかった。

 結局はのらりくらりと交わされるのがオチである。

 

 「今のお前なら…修行も身に入るだろうな。孫達の次はお前が入ったらどうだ。」

 「アイツと一年過ごすくらいなら24時間待ったほうがマシ。」

 「…そうか。」

 

 そんなやりとりをしてる最中だった。

 神殿の奥から大きな戦闘力が二つ現れたのは。

 

 「ら、ラディッツ達が出て来たぞ。」

 「そうみたいだね。」

 

 全員で神殿の入り口で待ち構える。

 小籠包にはわかった。

 二人のサイヤ人の立っているステージが何次元も上に至ったことが。

 

 ーーー気の質が、変わった。

 

 気を抑えているはずなのにその違いが分かる。

 感じられる気配の密度が上がったと言っていい。

 

 スーパーサイヤ人になれば今の自分などあっさり踏み潰せるのだと破壊する。

 

 ーーー…ほんっとにサイヤ人ってのはデタラメだよね…!

 

 自身が一年かけてようやく辿り着いた境地の遥か先をあっさりと超えられてしまった。

 中からはボロボロの戦闘服を纏った二人の戦士が現れる。

 ラディッツが真っ直ぐこちらに向かってやってくる。

 

 「小籠包。」

 「すごいね、超えたんじゃない?スーパーサイヤ人を。」

 

 にひ…、そんなふうに邪悪な微笑み浮かべてみせる。

 彼女の言葉に嘘はない。

 既に彼らのレベルは覚醒した時点とは次元が違う強さを身につけているのだ。

 

 「今の俺に、セルが倒せると思うか?」

 「無理。」

 「ちっ…はっきり言いやがる。」

 「自覚あったんじゃない?」

 「まあな、だが今のお前よりは強いぞ。」

 「…ふぅん。」

 

 口角が愉快そうに吊り上がる。

 今この場でラディッツに勝負を挑みたいのはやまやまだが、彼らにはすべきことがあった。

 

 「…ベジータ、ラディッツ。早速だが…貴様らにはセルと戦って貰う。」

 「な…!?ぴ、ピッコロ!?…む、無理だ!とてもじゃないが今の俺たちのレベルではーーー」

 「いいだろう、この俺様がケリをつけてやる。…カカロット、この臆病者の世話は任せたぞ。」

 

 なんの躊躇いもなくベジータは下界へと自由落下し…そのまま舞空術で遥か彼方へと飛び去った。

 

 「ッ〜〜どいつもこいつも…!」

 「ラディッツ、ベジータの回収はお前の役目だ。」

 「ち…!どうなっても知らんぞ!」

 

 自身を見つめるピッコロの瞳はこれまでにない静かな色をしていた。

 それに何かを察したのか、遅れてラディッツもベジータを追いかける。

 

 「孫!次は貴様らだ。行ってこい。」

 「あぁ。悟飯行くぞ。」

 「はい!…お父さん少しだけ…!」

 

 悟飯の向かった先は、飛び去るラディッツの残した飛行雲を静かに見つめる小籠包だった。

 

 「小籠包さん!」

 「…行ってらっしゃい。うんと強くなってきてね。」

 「はい!」

 

 振り返った彼女の言葉を胸に、少年は父と共に時の異次元空間へと吸い込まれていった。

 入れ替わるようにピッコロが彼女に声をかける。

 

 「次は貴様が入るか?」

 「いいよ、10日あるんでしょ?それまで待ってあげる。」

 「奴がベジータ達に満足するかはわからんぞ。」

 「するよ、…サイヤ人の細胞がいくつ入ってると思うの?」

 「…次は俺と天津飯が入る。」

 「はぁい、どうぞが勝手に」

 

 ヒラヒラと手を振った彼女は、一瞥も返すことなくピッコロを突き放した。

 

 ーーーサイヤ人に…好戦的なヤードラット人、…確かに奴はおかわりを要求するだろうな?

 

 背の向こう側のピッコロが実に楽しげな笑みを浮かべていたことなど彼女は眼中にもなかったのである。

 

 

 

 

 




 
 戦闘力更新

 ベジータ
 基本最大:9億
 超1-4:450億

 まさかのあの迷シーンをばっさりカット。
 セルに勝てる確信などないが、勝てないからと戦わない理由にはならないのがサイヤ人の本能。
 なんなら戦闘中に進化すればいいとすら思ってそう。

 ラディッツ
 基本最大:8億
 超1-4:400億
 in大猿:1200億

 シリーズ初の大台の4桁億。
 ただしこんな瞬間的なパワーではセルを倒せない。
 ラディッツ自身もそれは理解している様子。
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