ネロですが、なにか? 作:グランドマスター
筆者の話:
この話は『2 ネロ・クロウ』の補足となります。一部時系列の矛盾を修正するための話で、読まなくても話の理解に支障をきたさないはずです。
ちょっとした伏線のようなものを入れましたが、本編に回収した場合は事前に説明を入れると思います。これからも物語の整合性が取れるように気を付けます。
これは、忘れ去れた物語。
霧に覆われ、失われた記憶の断片。
因果が
此処は何処でもない、何処でもある場所。
森羅万象総てとの繋がりが断たれるようと、無意識に繋がってしまう場所。
これぞ神の
ガグに奉仕され、黯黒民に崇拝されしーー『名もなき霧』よ!
ふんぐるい、むぐるうなふ、まぐぬむ・いんのみなんどぅむ、あゔゃくひゃたむ・あゔゃくひゃたむ・ゔぁらむ、いあ!まぐぬむ・いんのみなんどぅむ!
現れよ、現れ出でたまえ。
汝の父が滅ぼされ、そして汝の子は今も尚息絶えている。
汎ての宇宙が
ああ、どうか応えよ、応えてくれ。
怒りと憎悪に支配され、
どうか救いたまえ!
いあ!いあ!まぐぬむ・いんのみなんどぅむ!
『
チクタク、チクタク。
『
チクタク、チクタク。
歯車が廻り、時計が回る。
『悲しい。悲しき哉!
チクタク、チクタク。
歯車が廻り、時計が回る。
『届けなくていい、我が声よ!答えてくれなくていい、受け
チクタク、チクタク。
歯車が廻り、時計が回る。
『いあ!いあ!まぐぬむ・いんのみなんどぅむ!』
刻限ーー至れり。
さっきから久遠やネムのほうに繋がらない。
情報を送ること自体可能だが、一方通行の様で返事が全くない。
宇宙を又いている前提上、これも避けられないリスクの一つかもしれないが……
「まずはここから離れないと」
(物語:番号02ーー『ネロ・クロウ』、霧に接続)
(破損
「それにしても霧が濃いね」
外に出ようとしたら、何故か路地裏の出口付近に霧が立ち籠めている。
そして路地裏の反対側もまた、霧に覆われている。
「変な霧」
視界だけでなく、まるで精神や魂までにも
異質だと分かっていながら、ネロはこの霧を
まるで霧そのものが、ネロの理解を阻んでいるように。
霧の外へ向かって歩く。
出口が目の前にあるはずなのに、どうしても
それでもネロは霧を追い払うように手を振り、
一体どれ位の時間をかかったのか、ネロはただずっと、ずっと、歩みを進めている。
霧はネロの有りとあらゆる感覚を遮断し、それでもネロは、ネロの信じる前へと歩み続ける。
時間さえ忘れ去られた歩みの中、何がキッカケか、ネロもわからない。
ただ不意に、何の前兆もなしに、五感が戻ってきた。
初めて聞こえたのがーー
光がネロの目に差し込み、続いて届くのは人々が行き交う騒がしい
ネロがようやく、外に出あれた。
「ッ!」
一瞬、耳鳴りと共に、大量な情報がネロの脳裏に流れ込む。
それはネムからの情報、まるで長い間ダムに累積された水が、ダムの決壊と共に一気に下流へと放出された感覚。
どうしてこうなるまでデータがスタックされたのかこれっぽっちも理解できない。
路地裏から出ようとしてから出てこれた間に、一体全体何があったのか全く分からない。
過ぎ去った時間だけを脳に刻み、ネロは再び本体との交信を試みる。
ネムからの情報によると、久遠が地球に戻ってすぐ気絶してしまい、気絶の原因が不明。
久遠が意識不明の間は、ネムが一時的に肉体の制御権を受け持っている。
そして久遠の意識が戻ってからも、何故か覚醒と
やはり久遠には繋がらない。そしてネムのほうにも、一応繋がりはしたが、ラグがとてつもなく酷い。とてもじゃないが正常に交信できない。
これは暫く、情報の交換を
耳鳴りが治まってくる。
脳に残っている靄がかかったような感覚も段々と晴れて往く。
『
チクタク、チクタク。
知り合いに似ている声。
前世のネロを作ったあの男の口調とほぼ同じで、けれど声質自体がかけ離れている。
その声は、きっと錯覚か、耳鳴りの後遺症か何かでしょ。
何故かネロは、無意識にもあの喧しい声を忘れ去ろうとしている。
街に踏み出す。
ネロはまだ始発駅の切符すら切られていない。
振り向くな、
思い出に浸れる時間は無に等しく、
ネロの物語は、まだ始まったばかりなんだから。
(修正完了。切り離し、遮断せよ)
(物語:番号02ーー『ネロ・クロウ』、霧に続く)