とある研究者ととあるニドキングのまったりスローライフ。
若干、章ごとのオムニバス形式っぽさがあります。
基本作者の理想を詰め込んでいくだけの作品ですのでご注意ください。
主人公の性別はご自由に解釈ください。
ぐきゅう、ぐきゅう。と、ポケモンの声がする。
猛獣が出すような、しかし心配するような色ばかりを孕んだそれは私にとっては聞き慣れたもので、
「……毒、キメ過ぎたか」
どうやら私は、また実験中にぶっ倒れたらしい。
□■□
「悪かった。ニドキング、私が悪かったから落ち着いてくれ」
私が目覚めるなりどくのトゲが当たらないように、甘えるようにしがみついて離れなくなったニドキングをそう諭してはみるものの、どうも聞き入れてもらえそうにない。
他のニドキングより一回りも二回りも大きな体躯が霞んで見えるその姿はあたかもたまごから孵りたてのニドランだが、これでも私たちの暮らす小屋の建っている森の中ではオヤブンのような立ち位置にあるというのだから驚きである。
何にせよどうにかして説得しなければ起き上がる事も難しそうだと判断した私は、寝起きのせいかキメすぎた毒のせいかいまひとつ目覚めきらない頭をどうにか回して口を開いた。
「……あのなぁニドキング、私は毒の研究者だぞ?
流石に何も考えず致死量を摂取するようなバカはしない」
「ぐぎゅゔ……?」
人間であったなら「はァ……?」とでも言っていそうな声色でなされたにらみつけるに私の心の防御力はがくーんと下がった。さっきとの温度差が凄まじすぎる。
流石にこれに真顔で耐えられるほどニドキングへの情が薄いわけでもなかった私は、言い訳を重ねるように再び口を開いた。
「…………いや、その、意識を保つことのできるギリギリの量を確かめたかっただけで、致死量ではなかった。……私にとっては」
「ぐぎゅうッ!」
「い゙ッ!?」
結果くりだされたのは
いやポケモン相手のにどげりに比べれば遥かに手加減されているのは分かるが、仮にも病み上がり患者の急所へにどげりを当てるのは駄目だろう急所は。
そう思い半ば涙目でニドキングを見上げると、私より余程泣きそうな顔のニドキングが目に映って。
「……すまない。
だが私は毒の研究者として手抜きはしたくないし、できないんだ。
絶対に命は落とさないと誓うから、そんな顔をしないでくれ」
「…………きゅう……」
ニドキングは暫く不満そうな顔で黙り込んでいたが、やがて弱々しいなきごえをあげて私から離れてくれた。
「ありがとう。
……最近は研究続きで一緒には食事を摂れなかったし、今日は久々に一緒に食べようか。メニューは勿論、ニドキングの好物で」
「! ぐぎゃう!」
どうやらこうかはばつぐんだったようだ。
ご機嫌とまではいかないものの気分を持ち直したらしいニドキングに、私は
私よりずっと大きいくせに、しっぽをふる小動物のように「早く来てよ!」とでも言わんばかりの様子でこちらを見つめてくるニドキングを見て、思わず頬がほころんだ。
まったく、私はいつまで経ってもニドキングには弱い。