SAOエクストラストーリー   作:ZHE

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第15話 βの先へ(後編)

 西暦2023年2月14日、浮遊城10第層。

 

 第10層フロアボス。直訳なら『将軍像』といったところか。勉強不足ゆえに英語は難解だが、敵の名前については昨日の攻略帰りに教えてもらっていた。

 その名も『阿驚琵』と『吽浄乱』。

 これが受験関係にまつわるカマかけ質問で、年齢が3つも下だと判明したキリトが俺に教えてくれたボスの正式名称だ。なかなか情報通である。

 そして今B、C隊がボスの内の1体、アキョウビと剣を交えている。幸いにも戦況は善戦の一言に尽き、集中力の上がってきた攻撃特化のプレイヤー達は、3度目になる敵の動きを慣れた体裁きで(かわ)していった。

 戦術が功を成して、敵は6割以上もその体力を減らしている状態だ。あと少し、あと少しで……、

 

「最終段いったッ!」

 

 攻略隊の誰かが叫んだ。

 ガチャン、と膝をつき一時的に無敵モーションに入る10層フロアボスの片割れ。阿像の顔を持つ3メートル半の仏像が甲冑を着込み、仏神よろしく大太刀を振るその姿は、どこか神々しくもあった。が、今はそれが仰ぎ奉る対象足り得ない。むしろその逆、ここにいる4隊27人による共通の破壊対象だ。

 

「来たな、甲冑を捨てるぞ……!!」

「速度は1.2倍だが頭で計算するな! 感覚で覚えるんだッ!」

「モーションも増やすッ! あと《ホウオウイン》だけは絶対にかわせ!!」

 

 口々に攻略隊が掛け声で互いを叱咤した。

 真の名を《鳳凰印(ホウオウイン)》とする技を受けてはならない理由は、この技が《ウキフネ》と同じスキルコンボの初動技だからである。しかも、ただ上空に上げてランダムにソードスキルを追加発動する《ウキフネ》とは危険度が比べものにならない。

 《ホウホウイン》はスキル立ち上げの溜めが長く、初動が『突き』なためヒット範囲が狭い。避けやすく、続くソードスキルを地上で行う特性上、付近に展開された仲間は敵に反撃もできる。のだが、その攻撃力は瀕死もかくや。10層のクリア可能適正レベルが14~16なのに対し、俺のレベルは23も確保されているが、このソードスキルをくらうと間違いなく9割近くのHPは持っていかれるだろう。

 昨日の戦いでは、スイッチ直後に体力全快状態のタンカーがこれを受け、一気に《レッドゾーン》にまでHPを減らしたのをきっかけに撤退の合図がでた。討伐失敗の元凶とも言える。

 βテストの時『まだ見ぬ《カタナ》スキルの即死技』としてプレイヤー間で噂に上っていた、本層ボス達の必殺技だ。これを最終段から使ってくることが昨日までで確定している。

 

「(最終段……ってことは、他にも……)」

 

 いよいよ後半戦。戦線維持すら紙一重なうえ、もう1体のボス『ウンジョウラン』のHPゲージはまだ1本目すら削られていない。

 しかし、これで作戦通り。片割れの体力は3割間近に迫っているだのだ。このまま押し切る。

 アキョウビは効果があったのか疑問な甲冑を捨て、その銅の硬質を秘めた全身を晒す。ありふれた仏像のイメージだが、腰回りに布が巻かれているだけの、そして多くの男にとっては羨ましいほどの逞しい黄金(こがね)色の筋肉が露わになる。

 

「あの筋肉だけは欲しいな……」

「筋肉はいらねぇな~……」

「前から思ってたけどあの格好セクハラよね……」

 

 キリト、俺、ヒスイが三者三様の感想を述べたところでボスの無敵モーションが終了し、ゆっくりと立ち上がっているのが見える。

 その自信に溢れた佇まいは、『枷は外した……』とでも言いたげだ。実際、今まで身に着けていた甲冑は敵にとっての『枷』だったのだろう。素の状態で銅に匹敵する肉質の硬さなら、鉄で作られた防具を着る意味がまったくない。

 

「けど、ここに来てペースが順調になっている」

「ああ。次は俺達だ」

 

 そこまでの会話でリンドによる「B隊後退! D隊前進!」と言う指示が響きわたり、俺を含むD隊が雄叫びと共に集団スイッチを敢行した。

 元々システム外スキル《スイッチ》の強みは『集団ミスリード』。その特性上、プレイヤーの武装が一気に総入れ替えされれば、敵もその対処までに少しの時間を要する。つまり今このタイミングこそ、疲弊(ひへい)した味方部隊を後退させるだけではなく、実は『攻撃のチャンス』でもあるのだ。

 大きく前進。俺は例に則り《両手用大剣》専用ソードスキル、初級二連斬り上げ《ダブル・ラード》をその左足に全段命中させた。

 さらに、まったく同じ場所にキリトが片手剣のソードスキル、《バーチカル・アーク》の二連撃を決めることで、被弾箇所が集中したアキョウビは一際大きくよろめいた。

 

「らァあああああッ!!」

「しゃあ! ざまみろってんだっ!!」

「ディレイよ! 持ってる最大技で一気に攻撃!」

 

 もはや男らしくもあるヒスイの号令で、攻撃できる奴から絶え間なく膝を地につける敵に剣を突き立てた。

 片膝をついた場合、ディレイタイムは4秒。そして俺もその波に逆らわず、再び初級垂直三連撃《ガントレット・ナイル》を弱点の首に連発する。頭を垂れている状態で、さらに垂直斬りだからこそ狙える部位である。

 いっさい声を発しない今回の銅像は、怖い顔を俺に向けてさらに恐怖を煽ってきたが、いちいち(おく)してやることはない。

 

「追撃を……!!」

 

 しかしここで、衝撃がセリフを遮った。真後ろからリンド隊、つまり《ドラゴンナイツ》のタンカー1人が上からふっ飛んできたのだ。

 

「ガッ、なにすん……ッ!?」

 

 「だよ」が口から出る前に、転がるように押し寄せる巨大な剣を避けた。

 素直に自分の反射神経を褒めるべきだろう。

 ゴバァッ!! と、地面をえぐるオオダチ。とっさに動けたから良かったものの、いつの間にかウンジョウランがすぐ近くまで迫ってきていたのだ。

 

「オイ、タンクの方はなにやってる! ちゃんと止めろ!!」

 

 リンドが叫ぶ。俺もそう叫びたいぐらいだ。連携をさせないための面倒な作戦だったのではないのか。合流させてしまっては意味がない。

 

「ダメだッ。なにをしても振り向かない!」

「なんだ……と……?」

 

 しかし、すぐにウンジョウランが接近してきた理由を理解した。

 今までタンク隊は『ボスによるもう1体のボスへの援護』という行動をひたすら妨害してきた。人の壁で物理的な道を塞ぎ、ただただ防御し、さらにその後ろで《投剣》スキルを持つプレイヤーが弱点である首にピンポイント攻撃。そして憎悪(ヘイト)値上昇用の《威嚇(ハウル)》スキルでヘイトを溜め、常にきっちりとタゲをとり続けていたのだ。

 だがアキョウビの体力ゲージ最終段が《注意域(イエローゾーン)》に入った途端、すべての蓄積地をリセットしてアキョウビへの援護を優先した。これまでのヘイト稼ぎが水泡に帰してている状態だった。

 友情と仁義の再現。まったく、呆れたゲームの作り込みである。

 

「ジェイド! 他の奴も聞けッ! ここからは時間との戦いだ! 一気にアキョウビだけでも倒しきる!」

 

 変化した状況にキリトが叫んだ。

 一応パーティリーダーであるリンドがなにか言いたげだったが、緊急事態であることと、キリトの論の正当性を前に発言を控えた。

 そしてC隊がスイッチで交代するのと同時にA、Dの2隊が今までのなかで1番危険な特攻の賭けに出る。すると、そのリスクの代償としてA隊の名も知らぬ2人がその身を大きく後方へ飛ばされているが、四方八方からの攻撃もやはりボスのHPをガリガリと削っていた。

 ボスの体力はもう《危険域(レッドゾーン)》へ入っている。あとはとどめを刺すだけだ。

 

「あと少し……いっけぇええええええッ!」

 

 しかし攻撃隊の全員が玉砕覚悟の特攻を仕掛ける寸前、またしても足を止めきれなかったウンジョウランから横やりを入れられる。

 

「みんな伏せてぇっ!!」

 

 ヒスイが叫びながら急接近。

 俺の真後ろに立ち、右手の盾を後方に向ける気配がした。

 ――俺を守ろうとしている!?

 

「ヒス……ッ」

 

 しかし言葉と思考回路さえもが途切れた。

 凄まじい衝撃だけが残る。

 

「ガァアアアアッ!?」

 

 音という音が耳鳴りに変わり、彼女が吹き飛んだ一瞬後に宙を舞う俺は、どこが天井でどこが床で重力がどこから発生しているのかもわからない状態になっていた。

 五感が感じるのは、平衡感覚の消失と浮遊感のみ。

 そして派手に背中から地面に落ちると、肺からありったけの酸素を吐き出してしまう。

 しかし俺は言わば二次被害。ダメージなど微々たるものだった。なぜなら、ヒスイが身を(てい)して守ってくれたからだ。

 

「(くそっ、たれ。……やべェ……ヒスイはッ!?)」

 

 大バカ者だ。戦場では自分の命が最優先。なぜ俺を(かば)ったのか。

 とにかく俺は、考えるよりも先に立ち込める濃煙を振り払って起き上がると、ほとんどダメージを受けていないことを今1度確認しながら、周りを見て改めて絶句する。

 そこには10人以上のプレイヤーが横たわっていたのだ。ヒスイの姿もある。

 遅まきながらにも状況を理解した。これは《カタナ》専用ソードスキル、全方向重範囲水平斬撃《ツムジグルマ》だ。外れてほしい分析だったが、被弾したプレイヤー全員が《スタン》状態になっているためこれは明らか。

 そして俺は防御役の敵(ウンジョウラン)がもたらした隙を攻撃役の敵(アキョウビ)が連携して埋めていく様を、その絶望的なまでの構えを見てしまう。

 

「あ、あァああっ……!!」

 

 《ホウオウイン》だ。あの突きの構えと虹色のライトエフェクトは間違いない。

 しかも『見切り』で特定した攻撃対象は……、

 

「やめろぉおおおおあアッ!!」

 

 しかし俺の叫びも空しく、スキルコンボへの最初の1発が、体力を半減させ剣を《ファンブル》しているヒスイの腹を抉った。

 そして始まる。

 死への13連撃が。

 しかし、瞬時に考えた。諦めることはできなかった。

 こうなったらソードスキルの中断条件を利用するしかない。

 システムが認めるソードスキルの中断条件は2つ。

 その1つは『発動者の意志』。もっとも技後硬直(ポストモーション)と同じだけのディレイが課せられるから……いや、例えそうでなくとも、このボスには攻撃を止める理由がない。

 しかし2つ目。『剣撃軌道の著しい妨害』。この条件が成立すれば《ホウオウイン》を止められるかもしれない。

 なら俺がやるしかない!

 

「(させっかよッ!!)」

 

 無理矢理地上に立たされて拘束されたヒスイと、それを斬り刻もうとするボスの間にぎりぎり滑り込んだ。

 そして俺は自分の心臓の音すら聞こえかねない静寂を感じ、敵の振る《オオダチ》の軌道をはっきりとこの目に映す。さらに、極限の一瞬の中で、敵の目まぐるしいまでの連撃を単発技の《ホリゾンタル》、連撃技の《ガントレット・ナイル》の計4連撃で数発までを弾き返した。

 ゴガガガガァアアッ!! と、凄まじいサウンドエフェクトと火花が散った。

 もちろん、すべて弾き返せたわけではなく、漏れた攻撃は俺の体を、ひいてはヒスイの体を斬り裂いている。

 それでも、まさにスーパープレイ。動画で流しても賛辞しか湧かないだろう、奇跡の所業で刹那の隙を作り出したのだ。

 

「(ああ……クッソ……ッ)」

 

 だが限界を迎える。引き延ばされる一瞬の中で俺は確かにその時を感じてしまった。

 背中に冷や汗が流れるのを感じる。即死技設定のやけくそのような連続攻撃数を前に、数秒間の拮抗を作り出した俺は確かに記録的な結果を生んだのだろう。

 しかしそれでは足りない。圧倒的に足りないのだ。

 銅像型ボス《アキョウビ》の必殺技はまだ半分も終了していない。こんなちっぽけな俺の力では《オオダチ》の『ソードスキル中断』にはほど遠く、ヒスイも、そして俺自身も救い助けることなどできはしなかったのだ。

 

「(……なッ……!?)」

 

 だが変化が起きた。

 今まで意識の外にあったボス以外の光景が鮮明になり、そこに存在する者が見えてきた。

 視界に現れたのは討伐隊。しかもそれは、すでに有らん限りの力を振り絞り、その手に握る得物を振り回す姿だった。

 

「ンなろおぉおおおおおおッ!」

「手ぇ出させるなァ!」

「数で押せぇえええっ!!」

 

 ボスの体で見えなかったが敵の真後ろにも何人かいる。

 そして彼らは例外なく、ヒスイを守らんがためにその剣を振るって咆哮を上げていたのだ。

 ガッ!! ガッ!! と、連続して金属音が響いた。誰もが1つの命を繋ぎ止めようとしている。次から次へと押し寄せる討伐対の体を剣が貫通し、ボスの体にも針山のように剣が突き立てられる。そんな状態が数秒ほど続き……、

 

『…………』

 

 均衡が崩れた。

 俺が忘れていたソードスキル中断条件の3つ目、『発動者の絶命』が適用されたのだ。

 ギギギィ、とゆっくりアキョウビが傾き、そして青白いデータの欠片で爆散エフェクトだけをその場に残した。暴れまわったモンスターの壮絶な最期。しかし倒した……ボスの1体をとうとう倒しきったのだ。

 

「やっ……た……ッ!?」

 

 そうだ、ヒスイ……ヒスイは……、

 

「ヒスイ!」

 

 振り向くと、ヒスイがHPゲージを1ヶ月前のあの時のように赤く染めているのが辛うじて認識できた。だが間違いなく生きている。間違いなくヒスイは生きていた。

 

「生き……てるわよ。死ぬ……かと、思ったけど……」

「……ハァ……バカやろうが……ハァ……なんで……余計なこと、してんじゃねェよ……!!」

 

 こいつのやったことはソロプレイヤー失格の愚行だ。

 『周りの奴が死んでも自分だけは生き残れ』。これはソロの連中が鉄則としている最低条件のはずなのに。

 

「く……っそ野郎がッ! なに……してんだ……」

 

 呻くようにしか、自分に向けてしか、言葉がでない。

 かく言う俺の体力もレッド寸前のイエローだ。だが、2人は奇跡的にも命を繋ぎ止めた。生きていてくれた。

 

「あんたら、早く回復しろ! 2体目との戦闘に入る!」

「……あ、ああ。わかった!」

 

 現実に引き戻されて催促されるまま、俺達は指示に従う。

 そして互いの体力ゲージが再びマックス値にまで回復する頃には、残りの1体も最終段の攻撃モーションを行っていた。

 

「これで……勝ったかな」

「ええ、そうみたいね……」

 

 それからは早かった。

 今回のボスの最大の強みはやはり『連携プレー』にあったのだ。つまり片割れが消えたことで残りの1体はその力を十二分に発揮しているとは言えないことになる。

 それでもボスとしては強力だったが、レベル的余裕(安全マージン)を十分に取ったプレイヤーがほぼフルレイドの状態となった今では、ウンジョウラン1体を死者無しで倒しきることは容易だった。

 

「おらァあああッ!」

 

 バギンッ、と金属のひび割れる音が聞こえる。

 キリトがその手に持つ片手直剣をボスの脳天に叩き込んだ音だ。

 やがて『ウンジョウラン』が『アキョウビ』と同じ運命を辿り、その体を膨らませてついには爆散。しかし、大切な者を取りこぼしそうになったためか、第10層攻略の瞬間を俺は半ば放心状態で迎えることになる。

 

「助けてくれて……ありがとう……」

 

 響き渡る歓声の中、ヒスイの声は俺にだけ届いていた。

 

 

 

 ◇  ◇  ◇

 

 

 

 緊張も切れて11層を有効化(アクティベート)しながらの報酬の分配中、結局あの時《ホウオウイン》の連撃中に体を張った全員のプレイヤーにお礼を言って回り、少しぐったりしながらヒスイが再び戻って来た。

 ところで、毎度なぜ俺のところに戻ってくるのだろうか。

 

「律儀だよな、ヒスイ。ボス戦だぜ? その辺はお互い様だろうに」

 

 しかし助けられておいてシカトするわけにもいかず、渋々当たり障りのない話題をきりだす。

 

「そうは言っても……ね。みんな命の恩人だから……」

「まぁ好きにすりゃいいさ。でもなんか、やつれてね?」

「え、ええ。……たぶん緊張状態だったから勢いに任せちゃったんでしょうけど……ちょっと、あそこの黒髪フェンサーの人にまた告白されちゃってね。言葉を選んで断ってきたわ」

「…………」

 

 ――うわぁ、自慢かよ。

 と思わなくもない。しかしこれでも彼女にとっては嫌みでも自慢でもないのだ。

 俺はそんな風に思いながら考えが表情に出ないよう必死につとめた。少し弱ったところを見せると男はすぐコレだ。しかし納得もいく。前方20メートル付近にいる数人の男達がなぜ俺のことを睨んでいるのか、という納得のことだが。

 それにしても、ヒスイですらこれなのだ。SAO界最高の美少女――との噂が高い――アスナの人気とはこれいかに。彼女は胸までデカいのだ。バーチャル界に来てまで女に飢えたくはないが、あのバストだとどんな食生活をしているのか気にはなる。もしかすると胸筋周りのストレッチを毎日欠かさず……いや、やめておこう。

 もっとも、俺の好みはどちらかというとアスナではなく……、

 

「これからはさ」

「んえあっ? あ、あ〜なんだネ」

「なに今の謎言語。……まいいわ。なんか、次の層からはあたし達テスターすら知らない世界が広がってるんだなと思って……」

 

 危険な妄想に入る前にそんなことをヒスイが言った。

 しかし考えてみれば、これほど普通に女と話せるようになっている時点で、俺のこの世界での進歩は今まで生きてきた17年間を越えているとも思う。

 その事実が、なぜか俺に無限の自信をくれた。

 

「どってことねぇよそんなの。俺らは4ヶ月かけて死なない生き方を学んでたようなもんだろ? だから絶対に生き残れるさ」

「ええ、そうよね。……必ず生き残りましょう……」

 

 とうとうテスターにまで迫る未知の世界への旅立ち。しかし押し寄せる不安とは裏腹に、ヒスイと話す俺の覚悟は自然と揺らがなかった。

 

 

 そうして、第11層主街区《タフト》での新たなステージが切り開かれるのだった。

 

 

 

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