黄昏の姫と緑の勇者:転生者チート編   作:nocomimi

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追補編
冒険完遂後も好き放題、ゴロン鉱山を(半分だけ)爆速攻略した僕が狙うのは更なるとんでもないチート技


冒険の目的を完遂した僕は、人づてに聞いた。

 

どうやら、モイは子供たちとイリアを連れてトアル村に帰ったらしい。

 

だが、僕は本来の冒険の道筋に反して、城下町の酒場に逗留していたイリアを病身のゾーラ王子とともにカカリコ村へ護送する任務を果たしていない。

 

それなのに、イリアはモイの御する馬車に乗ってトアル村に戻っていったそうである。

 

返す返すも不思議である。

 

そして、城下町ではいつの間にかマロの経営する「マロマート」が大流行りしていた。

 

だが、僕はマロマート二号店の開店のために一ルピーだって募金したことはないし、それどころかゴロン族を助けるために鉱山に足を踏み入れたことさえない。

 

事実、族長ダルボスは未だに影の結晶石に魅入られて魔物に変身したままのはずである。

 

いや、それを言ってしまったら、そもそも森の神殿の奥に潜む、魔力で巨大化した怪奇植物ババラントは、今でもあの神殿でのうのうと生きている。

 

さらに言えば、雪山の廃墟の女獣人だって、依然として陰りの鏡の破片に魅入られたままだ。

 

そして、僕が今回の転生で近くを一瞬通りかかった時を超えた神殿にも、陰りの鏡の破片により巨大化した蜘蛛がいる。

 

もう少し小さな魔物に目を転じたとしても、砂漠の処刑場にはあの幽霊祭司がまだいるはずだし、天空都市の空飛ぶ蜥蜴騎士ガーナイルだって三匹も残っている。時を超えた神殿の鎧武者もだ。

 

ハッキリ言って、ハイラルから魔物が一掃されたというには程遠い状態だということは自分でもよくわかっている。

 

なんとなれば、一瞬でも早くこの冒険の主目的である「ガ」のつくオッサンを倒すことばかりを優先してしまっていたから、仕方ない側面もあったのだ。

 

それだから、僕はこれから多少そのやり残しを片付けることを今さらながら思い至ったわけである。

 

その前に僕はまず、ミドナと別れを告げなければならなかった。

 

砂漠の処刑場の鏡の間まで出向き、朝焼けの光の中僕はお姫さまとともにミドナを見送った。

 

人によってはザントに変身させられた姿の彼女を好きだという人もいるが、僕はやはり元のミドナのほうが美しいと思う。

 

だが、元の彼女の姿を見ることができたのはほんの短い間であった。彼女は涙を一粒流すと、陰りの鏡の発する光線の中へ吸い込まれていってしまい、後には粉々に割れた鏡だけが残された。

 

いろいろとクセの強いところはあったが、二度と会えなくなってしまうというには惜しい存在ではあった。

 

僕は、彼女が実はNPCであることを教えてあげようと思っていた。

 

だが、結局最後まで言い出せずじまいだった。

 

プライドの高い彼女のことだから、自分がNPCだなどと知ったら人格崩壊してしまうだろう。

 

まあいい、僕は転生者だからいつでも次のチャンスがある。

 

ともあれ、僕はこの冒険完遂後の冒険の残りカスみたいなものをどうやって片付けるかを考え始めていた。

 

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気が付くと、僕はハイラル城の前庭の入り口に立っていた。

 

どうやら、この世界では、冒険の最終目標を完遂した時点からの活動というのは許されていないらしい。

 

それで、それ以前の直近で過去の行動を思い返し(「セーブ」とも言うらしい)た時間軸に戻されてしまうのだ。

 

だがまあいい。冒険完遂時との違いと言えば魔物を数匹とあのオッサンを倒したかどうかに過ぎない。

 

僕は冒険は既に完遂しているものとみなし、先を急ぐことにした。

 

まずは、あの場所に行かねば。

 

僕は振り返ると、両開きの大門を押して城から出た。

 

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僕はミドナに頼んでデスマウンテンまでワープさせてくれるよう頼んだ。

 

ミドナが僕を狼に変身させワープを開始する。

 

数秒経つと、僕たちは目的の場所に降り立っていた。

 

あの巨大な火山噴石が突き刺さっていた広場だ。

 

僕は広場の奥に向かってダッシュした。

 

西側の壁際にある低い岩の台から先に登れることを知っていた僕はそこに飛び乗ってミドナに合図した。

 

ミドナは鉄骨で補強された壁の上に浮かび上がった。壁からはまた蒸気か噴出している。僕はその蒸気が止まった一瞬を見計らって飛び上がった。

 

段の上左側には見張り番のゴロンがいた。だが、今遊んでいる余裕はない。目の前にはもう一段、五メートルほど上の高さの段差がある。

 

僕は今いる崖の縁を急いで東に向かい、昔作られたと見える崩れかけた壁の残骸の上に登った。

 

上の段を見上げると、やはり壁から蒸気が吹き出している。

 

蒸気が止まった瞬間にミドナに合図した。浮上したミドナの後を追ってさらに上の段の縁を補強した鉄骨に飛び付く。

 

どうにかして鉄骨に前足をかけると、上に這い登った。

 

そこへ左から誰何の声が聞こえた。見ると、新手のゴロンの見張りが近づいて来る。

 

(僕の姿は狼なのになぜ人間だとわかったのだろう。)

 

僕は一旦彼を避け、目の前の道を先に進んだ。右手は十メートルほどの段差の下に浴場がしつらえられている。

 

左手には鉄を組んで作った手すりの残骸がある。僕はその陰で一旦ミドナに声をかけて人間に戻してもらい、改めてさっきのゴロンに近づいた。

 

僕は剣を抜いて身構える。相手の右パンチを盾で受けると、相手の腹に突きを放つ。するとそのゴロンは腹を保護するように丸くなってしまった。

 

僕は目の前のゴロンの上に剣を持ったままよじ登った。何秒かすると、ゴロンが弾けるように身体を起こした。僕は上方に数メートルも撥ね飛ばされた.

 

辺りを見ると、左手に金属の柵が立っている通路が目の前に伸びている。これも螺旋状になっているらしく、緩やかに右に向かってカーブしながらの上り坂になっている。

 

目の前の壁から蒸気が勢いよく吹き出していた。だが僕はそのまま横を向いてサイドステップした。どうしたわけか、僕は全く影響されずその蒸気の噴き出す場所を通り抜けた。

 

百メートルほども進むと、前方にトンネルが見えてきた。トンネルの中には大きな木箱がいくつか散らばっている。

 

すると、前方から岩の塊が転がって来る音が聞こえた。

 

「ミドナ!」

 

僕が叫ぶ。その途端足元が鉄のブーツに入れ換わった。ゴロンが向こうから勢いよく転がってくる。通路に置かれた箱が次々に潰れた。僕は素早く足を広げ腰を落とすとゴロンをしっかり受け止め、脇に投げて転がした。

 

だが、再び坂道の上のほうに向き直ると、もう一人ゴロンが転がってくる。体勢を整え、そいつも真正面から止めたうえで投げ下ろした。

 

ミドナが僕のブーツを元に戻した。さっき見た鉱道の入り口は近い。

 

トンネルを抜ける。すると、通路の突き当たりにゴロンの見張りが立っており、その一段上にもう二人いる。さらにその上の壁には鉱道の入り口だ。

 

僕は目の前のゴロンに用心深い足取りで近づいていった。間合いに入った途端にゴロンの重いパンチがこちらに向かってくる。盾で防ぎ横斬りを放った。ゴロンはたまらず丸まった。

 

素早く上によじ登り崖の方を向いた。ゴロンが弾けるような勢いで身体を起こした。僕は数メートル上に飛ばされた。

  

僕は崖の壁にある浅い出っ張りに手を引っかけぶら下がっている自分に気づいた。

 

僕は剣を背中の鞘に納めると、何とかしてその出っ張りによじ登った。奥行きは五十センチもない。

 

僕はこの際今いる出っ張りをつたって鉱道入り口まで行ってしまうことにした。

 

慎重に崖づたいに出っ張りを登っていく。行けるところまで行き、そこから掛け声をかけて飛び降りた。どうにか、鉱道入り口のある段に降り立つことができた。僕はすぐに入り口に進んだ。

 

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十メートルほどの短いトンネルを抜けた中は、円形の広い部屋で、中央にはボウの家で見たのと同じような土俵がある。

 

部屋には松明の灯りがそこここに灯されており、ゴロンが五、六人ほどいた。

 

そこで僕は驚くべき光景を見た。

 

左手には、まだ結晶石に魅入られて魔物になったままのはずの族長ダルボスが立っている。

 

土俵の前には、背の低いゴロン長老が一人立っていた。たしかシーゲルだったか。

 

彼に近づくと「あんたには世話になったのう....」と呟いた。

 

僕は少しも世話をした覚えはないのに。

 

土俵の向こうにはもう一人の長老がいた。たしかゴローネだ。

 

僕が近づくと彼は唐突に叫んだ。

 

「やめい!」

 

一体何をやめさせようとしているのだろう。

 

「この兄さんにはお前ら束になっても敵わねえゴロ。俺が話をするから下がってろゴロ」

 

渋みのある声でそう言うとゴローネはまた口をつぐんだ。

 

おかしい。何かが絶対におかしい。

 

「俺はドン・ゴローネだ」

 

男は名乗った。まあ知ってたけど。

 

「ゴロン族の長老の一人だ。族長の代理として一族を束ねている身だ」

 

ゴローネはそう明かすと僕に尋ねた。

 

「兄さん。人間の癖にここまで来るとは大したモンだ。人間にしては たいした奴ゴロ。だが・・・ 」

 

もったいをつけると男は続けた。

 

「ここから先は ワシら一族にとって神聖な場所 よそ者を通すわけにはいかねぇゴロ ・・・どうしても行くってんなら ワシを倒して力ずくで通ってみるゴロ?」

 

僕は頷いた。

 

だが彼は言った。

 

「おい、テメェらトンガリ帽子のダンナがお帰りだとよ。丁重に見送ってやりな」

 

なんと、勝負するのかと思ったらしてくれないらしい。

 

部屋の奥の壁には少し斜面を上がったところに馬蹄型の出入り口がしつらえられている。そこが鉱道の入り口なのだ。

 

だがその前には大柄なゴロンが二人も腕を組んで立ちふさがっていた。

 

僕は踵を返すと、土俵の脇を通り抜けて一旦部屋を出、そしてまた部屋の中に入った。

 

すると、坑道入り口を塞いでいたゴロンたちがやや間を開けてくれている。

 

僕は坑道の入り口の前まで行くと、その二人の間を通り抜けて坑道に入ろうとした。だが不思議なことに、見えない壁があるかのごとく、どうしても先に進めない。

 

だが僕は転生の経験を思い出した。この坑道には普通の方法では入れないのだ。

 

僕はミドナに頼んでスピナーを出させた。スピナーを起動してその上に乗り、体重移動して二人のゴロンたちの間を通過する。

 

すると僕は何にも妨げられることなくそこを通り抜けることができた。

 

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しばらく続いたトンネルが切れると、歩いてきた通路は目の前で下り坂になり、溶岩だまりの前で止まった。

 

目の前には、横幅三十メートルくらいの細長い洞窟の床が溶岩だまりになっている。溶岩は高温らしく、オレンジ色に燃え盛っていた。

 

そこからごく細い岩の足場が二、三本溶岩の中から先に続いている。だが、足場のところどころは欠けており、しかもその間から間欠泉のように時間を置いて溶岩が上に向かって噴き出している。

 

僕は床の縁まで進むとピョンと跳躍して目の前の足場に登った。そこで左手の足場に飛び移り、その奥まで進んで、溶岩の間欠泉が収まってから向こうの床に跳躍してどうにか飛び乗った。

 

さてとここからはズルだ。目の前は鉄骨で塞がれている。だが、左の端には狭い通路があるようだ。

 

僕は右手の鉄骨に近づくと尾ミドナに頼んでスピナーを出させた。さらに爆弾袋から爆弾を一つ取り出し、点火して鉄骨のやや手前に置くと、スピナーを起動させ、鉄骨と爆弾の間に斜め右から突っ込んだ。

 

爆弾が爆発し僕は吹き飛ばされ、気が付くと鉄骨の上に横たわっていた。

 

頭を振って立ち上がる。ダメージはあったが大したことは無い。僕はそこから鉄骨の上の岩棚によじ登った。

 

四角いスイッチがすぐ目の前にある。だがその向こうに炎を上げる巨大ナメクジが落ちている。僕は剣を振るいそいつを叩き斬ると、スイッチの上に乗った。ミドナに頼んで鉄のブーツを履かせてもらう。

 

その途端、ボタンが重々しく音を立てて押された。機械の作動音がした。

 

再びミドナに合図して革のブーツを装着した。

 

洞窟の奥方面を見ると、途中が少し欠落した通路の先にはまっすぐこちらを向いた炎の噴出口があったが今のスイッチの操作で噴出は停止したらしい。その先に目を凝らすと右に折れていく通路があるようだ。

 

僕はダッシュして奥に進んだ。通路の欠落部分を一つ飛び越えると、また炎ナメクジが落ちて来る。僕はそいつを回避するとさらに走り、もう一つの欠落部分を飛び越えて、一時休止した炎噴出口の目の前を通って通路を右に曲がった。

 

やがて通路は下り坂になったあと切れていた。その先は数メートル下に床がある。右手突き当たりには丸い扉があった。だが扉の前には頑丈そうな鉄の門がしつらえられている。鉄の門の右側には鉄製の大きな昇降台のようなものがあった。いま立っている通路の終端まで行くと、昇降台までの距離はそれほど遠くはない。 

 

僕はジャンプして昇降台に飛び移りミドナに合図して鉄のブーツを履いた。体重が三倍くらいになる。すると、たちまち昇降台が沈み始めた。

 

昇降台が一番下まで沈むと、鉄の門が重々しい音を立てて開き始めた。

 

僕はブーツを元に戻して台の上から降り、扉に手をかけて開けた。

 

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その先はどうやら野外だ。広大な空間の中、巨大な鉄の構造物が複数そびえたっている。

 

僕は目の前に伸びる通路の左手からいきなり外に飛び出した。

 

だが、下はちゃんと金網製の床だった。降り立つと、僕はそのまま進んで、崖際にあった大きな木の箱に近づきそのフタを開けた。

 

中は金属の小さな鍵だ。鍵を仕舞っているとブルブリンドもがちょっかいを出してきたので回転斬りであっさり片付け、踵を返すと上に登る通路を駆け上がった。

 

ここに入ってきた入り口から伸びる通路の終端の踊り場まで登ると、さらに登っていく通路が向かい側にあった。

 

その通路に入り、道なりに左に折れると、やがて通路が切れた。その間隙には巨大な板が通路と平行の軸でも周期的にって回転している。

 

僕は回転の周期を見計らって板に飛び乗り、そこから先の通路に飛び移った。

 

もう一つ、同じような間隙と回転板があったのでそれも飛び越える。道が右に折れ、岩壁についた扉に突き当たった。

 

僕は扉を開けた。

 

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内部は溶岩の熱気でむっとする部屋だった。目の前の通路は右に向かって伸びそれから左に折れている。

 

道なりに左に折れ、少し行ったところで僕はサイドホップして通路の縁に乗った。さらにそこから外に向かって跳躍し、僕は数メートル下方にあった丸い足場に着地した。

 

周囲は溶岩だまりだ。

 

少し間違えていれば溶岩にまっ逆さまだった。

 

僕は溶岩だまりのあちこちから間欠泉のように吹き出す溶岩の周期を見極めながら足場を飛び移り、三十メートル四方ほどの広場に出た。

 

巨大なヤモリがうろうろしている。僕が近づくと口を大きく開けて火を吹こうとしたが、後ろに回って回転斬りを叩きつけるとあっさりと4んだ。

 

僕は右手の壁に近づき、そこから伸びた鎖の先についたハンドルスイッチを引っ張った。引っ張るごとに、壁に仕込まれていた岩製の隠し扉が引っ張り出される。この向こう側は通路になっていたのだ。

 

四度ほど引っ張ると手を離し、僕は引き出された隠し扉の左側に無理矢理体をネジ込み、何度も前転した。

 

ある時点で僕はいきなり壁をすり抜けた自分を見いだした。

 

尻餅をついてしまったが成功だ。

 

僕は抜けた先の通路を進むと突き当たりの扉を開けた。

 

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その先はうって変わって涼しい部屋だった。

 

目の前の通路は数メートルで切れており、そこから先は透明な水をたたえたプールだ。

 

僕は迷わずプールに飛び込んだ。泳いで先に進むと、プールは真ん中あたりで金網で仕切られている。

 

だが水中の水底近くでは金網に穴が空いていることを僕は知っていた。

 

ミドナに合図して鉄のブーツを履かせてもらうと、水中へ沈んでいき、それから底を歩いて先に進んだ。

 

すると、水底に四角いスイッチがある。

 

僕がその上に乗ると、作動音がして、やがて僕は強い力で天井へ引っ張り上げられるのを感じた。

 

だが僕は、自分の体が空中に浮いた瞬間にミドナに合図し、無理矢理ブーツを元に戻した。

 

すると、上方に引き上げられた僕はプールの対岸の壁から張り出している青い金属製の出っ張りの下側に逆さに立っていた。

 

僕はそのまま、スタスタと歩いてその青い金属の壁の出っ張りの裏側を進み、その上に登り、そこにあった足場の奥の扉の前に到達した。

 

これもこの世界の法則の一つだ。僕は転生を繰り返すうち気づいたのだ。鉄のブーツを履いているときにこの鉱山の仕掛けにより電磁石の力で引き上げられた場合、その直後に無理矢理ブーツを元に戻せば、まるで普通に歩いているように壁や天井を歩くことができるのだ。

 

僕は扉を空けて向こう側に出た。

 

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そこは鉱山の入り口があった部屋のように、土俵をしつらえた円形の部屋だった。

 

土俵の上には小柄なゴロンの長老がいる。

 

あのシーゲルという老人だ。

 

(僕はさっきこの老人とダンジョンの入り口で会ったのだから、考えてみれば極めて奇妙なことなのだが。ドッペルゲンガーかも知れない。)

 

ともあれ僕は近づいて彼から金属の断片を受け取った。まあ今回の僕の目的に照らして大して役には立たないのだが。

 

僕は彼の話を聞き流すと、土俵の奥の壁の上方にしつらえられた通路から下がった梯子を上った。

 

通路は右に伸びている。進んでいくと、やがて入ってきた扉のちょうど真上の箇所に至っていた。

 

そこにも扉がある。僕はそれを開けて外に出た。

 

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さっきのプールの部屋の天井近くにある足場の上に出た。

 

左右には青い金属の壁が向こうまで伸びている。向こう岸にはやや低い場所に同じような足場がある。だが、それぞれの壁に火を吹くナメクジが一匹づついるが、僕は構わず足場から左のほうの壁に沿ってダッシュし、壁を蹴って向こう岸の足場に飛び移った。

 

向こう岸の足場の突き当たりにある扉を開けて外に出る。 

 

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出たところは、あの溶岩だまりの部屋だった。隠し扉のあった通路のちょうど上に出たらしい。終端の近くまで進むと、四角いスイッチが床にしつらえられている。

 

僕はそのスイッチの上に乗るとミドナに合図して鉄のブーツを履かせてもらった。

 

すると重みでスイッチが作動する。僕は天井に引き寄せられる力を感じた途端に、ミドナに合図してブーツを元に戻してもらった。

 

次の瞬間 、僕は逆さになって天井に両足をつけて立っていた。成功だ。

 

僕は駆け出した。完全に上下逆さまだが、問題なく動ける。心の中に部屋の図面を思い浮かべながら、岩だらけの天井に刻まれた青い金属の貼られた道をひた走り、あっという間に部屋の向かいの扉から伸びる足場の上までたどり着いた。

 

ミドナに合図して鉄のブーツを履かせてもらい、すぐにまたブーツを元に戻してもらった。

 

僕は天井から下の足場に飛び降り、突き当たりの扉を開けた。

 

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扉の向こうは以前訪れた機械装置の立ち並んだ野外空間だ。僕は剣を抜くと、今いる通路の前方にあった巨大な細長い塔まで進んだ。

 

塔の左側に広がった足場に鬼どもの姿が見える。僕はそこに回り込むと回転斬りを放ってそいつらを斬り捨てた。

 

鬼どものいた位置の床に四角いスイッチがある。僕はその上に乗るとミドナに合図して鉄のブーツを履かせてもらった。

 

作動音がした。僕はミドナに合図してブーツを元に戻させると、前方に進み、そこにあった八角形の踊り場に立った。

 

先ほど作動させたスイッチにより、塔の機械が動き始めたようだ。塔から吊るされた巨大な青い金属の円盤が、塔の回転により上方に近づいてくる。

 

僕はミドナに頼んで鉄のブーツを履かせてもらった。頭上に円盤がやってくると電磁石の力で僕は引き上げられた。上下さかさまに円盤にくっつき、塔が回転するに従って移動する。そうして運ばれた先はもう一つの同じような八角形の踊り場だ。そこでミドナにブーツを戻してもらい飛び降りると、そこから伸びた登り坂を駆け登る。

 

坂の上は、また同様の八角形の踊り場で、その中心に四角いスイッチがある。僕はスイッチの上に乗るとまたミドナに鉄のブーツを履かせてもらった。踊り場の左右の端で歩哨をしていた二匹のブルブリンが僕に気づいて喚き声を上げる。

 

スイッチが作動した。僕は鉄のブーツを履いたまま剣を抜いて回転斬りを放ち鬼どもに先制攻撃を喰らわす。すぐに円盤が頭上にやってきた。僕は上下さかさまに引き寄せられて、今度は北側の崖の縁にあった岩棚の上まで運ばれた。

 

ブーツを元に戻してもらって飛び降りると、そこにいた鬼どもには構わずに僕は北側の壁にあった扉に走り寄ってそれを開け、向こう側に出た。

 

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そこは縦横五十メートルほどの岩壁に囲まれた部屋だ。部屋を南北に隔てるようにプールがあり、その中にはいくつかの飛び石が設置され向こう岸に渡れるようになっていた。向こう岸には頑丈そうな金属の門がある。その左手には高い舞台がある。

 

水面の上に巨大アメンボがたくさん群れていた。僕は素早く目の前のプールに飛び込むと、左手の奥に向かって全力で泳いだ。水底に宝箱があるのが見える。

 

僕は宝箱の上まで来るとミドナに合図して鉄のブーツを履いた。水底まで沈んで宝箱を開ける。中の鍵を回収しブーツを元に戻して浮上する。

 

巨大アメンボどもに追いつかれる前に急いで向こう岸に渡って這い上がった。手にクローショットを嵌めると、奥の左手にあった舞台の上にしつらえられたクリスタルスイッチを狙い撃つ。たちまち奥の門が開いた。

 

門をすり抜けて次の部屋に行く。正面には上り坂の短いスロープがあり、その上の通路の左右の端に警備機械が一台づつ置いてある。

 

さらに、そこにはブルブリンが二匹いてこちらを見咎め武器を構えた。だが僕はダッシュすると右手の壁に走り寄った。その壁には例の青い金属が張られた場所があり、それが斜面状に地面から続いている。青い金属の張られた斜面を駆け上がり、ミドナに合図して鉄のブーツを履くと、両脚が斜面にくっついた。悔しがる鬼どもを尻目にそのまま斜面を登っていくと、壁の高所にしつらえられた張り出しの上にまで行き着いた。

 

ミドナに合図してブーツを元に戻し張り出しの上を歩くと、正面北側の奥に行き着いた。そこには、金属製の跳ね橋が上げられた状態で張り出しの上からロープで吊られている。僕は剣でそのロープを切断した。騒々しい音を立てて跳ね橋が降りる。

 

張り出しから飛び降り、跳ね橋を渡るとそこには錠と鎖で閉じられた扉があった。先ほど回収した鍵を差し込むと錠が開いた。

 

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向こう側は野外だった。少し進むと地面が水面に接して終わっているが、そこから細い木道がしつらえられており、ジグザグに向こう側まで続いている。

 

僕は迷わず木道へ進んだ。だが、途端に前方遠くにあった足場の上にブルブリンが何匹か顔を出した。背に負っていた弓を構え、次々にこちらに火矢を放ってくる。だが構わず、僕はまず木道の入り口にかけられていた簡易な木の柵を剣で叩き壊した。

 

木道を駆け上がる。鬼どもは腕が悪いのか、走っている標的に当てる腕はないようだ。ジグザグの木道の終端まで行き着くと、そこから左右に分岐している。僕は迷わず右、すなわち東への分岐に走り込んだ。その先は広い岩棚になっている。そこまで逃げ込むと、鬼どもからは見えない場所のようで矢は飛んでこなくなった。

 

岩棚の南側に鍵箱があるはずだ。果たして岩棚の手すり沿いの南端に箱があった。その左側に置いてある警備装置の射程内に入らないよう注意して近づくと、僕は箱から鍵を回収し、木道に取って返した。

 

今度は木道を西側へ突っ走る。矢が背後をかすめるのもかまわず向こう側に到達すると、そこにあった扉にかかっていた錠に鍵を差し込んで開いた。

 

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今度は横三十メートル、縦五十メートルほどの部屋だ。目の前の通路の眼下五メートルほど、床のほとんどがプールになっている。通路のすぐ先に進行方向と平行の軸を中心に回転する巨大な板がある。

 

僕は板の周期を見極め板に飛び移り、通路の向こう岸に渡った。そこから通路は右に折れて、それからまた左に折れたあと、長さ二十メートルはあろうかという細長い回転板につながっている。その板の向こう岸には扉があった。

 

扉は一定の周期で回転している。だが細長い回転板の中央あたりに例の青い金属の板が二メートル四方ほどの面積で張られている。僕は板が地面と平行になった瞬間走り始めた。板の中途まで来たところでまた回転が始まる。ちょうど青い金属の上でブーツが入れ替える。鉄のブーツは、果たして磁力によって青い床にくっついた。

 

回転板が逆さまになり、しばらく静止すると再び回転し始めた。また地面と平行になった瞬間ミドナに合図する。僕は普通のブーツに履き替えて再び走り、板の上を通過し向こう岸の通路に辿り着いた。そこには扉があった。

 

だが、僕はそこで立ち止まった。向こう側の扉を開けると第二の長老がいることを僕は知っていたが、ある方法を使えば長老との面会を飛ばして先に進むことができるのだ。そのためには、目の前の扉の上にある狭い張り出しにどうにかして飛び付かないとならない。

 

僕は背後の回転板が水平になった瞬間を見計らって、後じさりしてその上に乗った。

 

すると再び板が回転し始める。僕は左にサイドホップし、回転板の端あたりに位置を占めると、板が急角度になって自分が高い位置に来た瞬間、落下してしまうギリギリのところで前方に向かってジャンプした。

 

僕は目の前の扉の上にあった張り出しに両手を伸ばしてしがみついた。成功だ。僕は這い上がると、ミドナに合図して鉄のブーツを履いた。目の前の壁にはもう一つ扉があるが、これは長老の部屋の二階に通じるものだ。その左側に青い金属が張られ、それがずっと部屋の左側の壁に至るまで続いている。

 

僕は壁に鉄のブーツをくっつけて歩き始めた。部屋の角、すなわち南西の角に至るまで壁を歩くと、そこでミドナに合図してブーツを元に戻す。

 

降り立った先は、木でできた足場だ。足場を歩いて南側の壁の中ほどにあった扉を開けると僕は向こう側に出た。扉が自動的に閉まると同時に上から鉄格子が落ちてきて扉を塞いでしまった。

 

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細い通路の先は青い金属を張った円形状の巨大な円盤が吊るされている。その下は溶岩だまりだ。円盤は分厚く、また直径三十メートルくらいで、まるでその上で戦士を闘わせる闘技場を思わせるような有様だ。反対側にも通路があったが、そこには巨漢のゴロンが座っていた。

 

だが僕は心の中で「スキップ」を念じた。すると次の瞬間には闘技場の円盤を吊るす鎖が切られ、円盤は溶岩の上に浮いていた。僕は扉から続く通路から、円盤の上にいる巨漢ゴロンを見下ろしていた。

 

だがこいつは見た目ほど強敵ではない。僕は通路から飛び降りた。戦闘開始だ。

 

巨漢ゴロンは両腕を振り上げてこちらを威嚇する。だが僕は冷静にミドナに声をかけると、鎖と鉄球を出してもらった。

 

鉄球を相手に投げつける。鎖が一杯まで伸び鉄球が相手の腹を直撃する。たちまちゴロンが丸まった。回転攻撃を仕掛けてくるのだ。

 

だが僕は冷静に鎖と鉄球をミドナに仕舞ってもらうと今度は後ろに向いて一度前転し、鉄のブーツを履いて再び敵に向き直った。

 

ゴロンが回転しながら突進してくる。それを受け止めると、やや体が後ろに押される。闘技場の縁が近い。

 

だがすんでのところで踏みとどまると、僕は掛け声を掛けながら投げを打った。たちまちゴロンが背後の溶岩の中に落下していく。しかし、それと同時に僕の身体も闘技場の縁から落ちそうになってしまった。

 

僕はすんでのところで片手で縁につかまった。だが、これこそが計算した行動だったのだ。

 

溶岩に落下したゴロンは、悲鳴を上げながら何度もその上を跳ね飛んだ。そして闘技場に戻ってこようとしたが、敵である僕を目掛けて戻ってきたがゆえに、再び溶岩の中に落下してしまった。ゴロンが二度目の落下でまたぞろ悲鳴を上げている間に僕は闘技場に這い上がった。

 

僕は縁からやや離れた場所に陣取った。それと同時にゴロンもようやく溶岩の上から闘技場の上に戻ってきた。

 

ゴロンがファイティングポーズをとる。だが、相手が拳を振り上げた瞬間に僕は剣を抜いて回転斬りを放った。刃が腹を直撃し、ゴロンがたまらず体を丸める。

 

回転攻撃を仕掛けてきたゴロンを僕は受け止め背後に投げ飛ばした。溶岩に投げ込まれたゴロンは悲鳴を上げながら何度も跳ね飛び、ようやく戻ってきた。

 

だがこれで終わりだ。もうこいつに用はない。ゴロンは戦意を喪失した。溶岩の水位が上がり闘技場が通路の高さにまで到達すると、僕は立ち尽くしたゴロンの横をすり抜け、部屋の奥、南側の扉から向こう側に出た。

 

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次の部屋は、入り口から縦に走る岩の通路が溶岩だまりを左右に隔てていた。通路の中頃はやや広い踊り場になっている。そこに木造りの立派な箱が置いてあった。

 

僕は立派な木造りの箱に近づいて蓋を開けた。中には頑丈そうな弓が入っていた。

 

これだ。これ。この玩具さえあれば。

 

僕は、この玩具を入手すれば発動できる、あるズルい技を知っている。それを試したかったのだ。

 

僕は今までのことを思い返すと(「セーブ」とも言うらしい)、その場でゴロリと横になり目を閉じた(「セーブリセット」とも言うらしい)。

 

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気が付くと、僕は鉱山の入り口の相撲部屋に至る開口部の前に立っていた。

 

さてと、これからゾーラ川上流の貸船屋の姉ちゃんのところに行くとしよう。

 

そこで一定の作業をした後ある技を使えば、矢も爆弾も無限に手に入るというとんでもないチート技を僕は知っている。

 

だが、ここに至るまでがだいぶ長くなったので、その顛末は次回にお話ししよう。

 

(つづく)

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